タイムカードは法改正によって3年から5年に保存期間が変わりました。
また、タイムカード保存期間が延長となり起算日が明確化された事で、タイムカードを劣化・紛失させない保管方法が重要になります。
タイムカードの保存義務を怠ると重大なトラブルを招きます。
本記事では、タイムカード法律に基づいた保存期間と起算日の計算方法から正しい保管方法を解説します。
法改正を期にタイムカードから勤怠管理システムへの変更も検討してみましょう。
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このページの目次
タイムカードは労働基準法が定める「その他の労働関係に関する重要な書類」です。
労働基準法では、従業員の労働に関する書類の保存を義務付けています。
その中でも、特に重要な書類として「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3つがあり、この3つを法定三帳簿といいます。
タイムカードは、法定三帳簿である「賃金台帳」に記載された内容を証明する書類であり、「出勤簿」に位置づけされています。
労働者名簿 | 賃金台帳 | 出勤簿 | |
保存期間 | 3年間 | 3年間 ※源泉招集簿を兼ねる場合は、法定申告期限から7年間 |
3年間 |
法改正後の保存期間 | 5年間 | 5年間 | 5年間 |
起算日 | 労働者の死亡 退職 解雇の日 |
最後に記入をした日 | 労働者の最後の出勤日 |
保存期間 | 法的位置づけ |
3年間保存 | 2020年3月31日までのタイムカードは3年保存でも違法ではない |
5年間保存 ※今後「5年保存義務」へ移行予定 |
2020年4月1日以降のタイムカードは5年保存を原則とする |
7年間保存 | 賃金台帳が源泉徴収簿を兼ねている場合はタイムカードも7年間保存が必要 |
(参考:厚生労働省リーフレット「未払賃金が請求できる期間などが延長されます」)
労働基準法は、令和2年4月1日に改正施行されました。
これまでの労働基準法では、法定三帳簿等の重要書類の保存期間は、3年間となっていましたが、新たに改正された労働基準法では、保存期間を5年間としています。
ただし、現時点(2020年9月現在)では、経過措置の段階であり、当分の間は3年間を保存期間としています。
この法改正では、賃金請求権の消滅時効も5年間となりました。
このため、退職金請求権や賃金請求権は5年間あるため、タイムカード等の労働・勤怠に関する重要書類は、5年間保存しておくことが望ましいでしょう。
また、労働関係に関する重要書類は、労働基準法に定められたものですが、源泉徴収簿は、税法によっても規定されている書類です
もし、賃金台帳が源泉徴収簿と兼ねている場合は、税法に従いタイムカードも7年間の保存が必要になります。
(出典:200401リーフレット(改正法)(厚生労働省)を加工して作成)
では、いつから5年間(当分の間は3年間)と計算するのでしょうか?
法改正によってタイムカード保存期間の起算日は「最後に記入をした日」と明記しています。
タイムカードの最後の記入日とは「タイムカードを使用して賃金の計算し支払が完了した日」です。
法改正前は「最後の出勤日」「最後に使用した日」など曖昧な点がありました。
労働基準法施行規則(令和5年4月1日施行)では、起算日が明確化されています。
もし、タイムカード等を記録した賃金の支払期日が、タイムカードの最後の記録した日より遅い場合は、その賃金の支払期日を起算日とすることとなっています。
改正労働基準法施行規則(令和5年4月1日施行)
第五十六条 法第百九条の規定による記録を保存すべき期間の計算についての起算日は次のとおりとする。
一 労働者名簿については、労働者の死亡、退職又は解雇の日
二 賃金台帳については、最後の記入をした日
三 雇入れ又は退職に関する書類については、労働者の退職又は死亡の日
四 災害補償に関する書類については、災害補償を終わつた日
五 賃金その他労働関係に関する重要な書類については、その完結の日
2 前項の規定にかかわらず、賃金台帳又は賃金その他労働関係に関する重要な書類を保存すべき期間の計算については、当該記録に係る賃金の支払期日が同項第二号又は第五号に掲げる日より遅い場合には、当該支払期日を起算日とする。
2020年9月現在は経過措置の段階ですが、いずれは施行されるものです。(2023年4月1日施行予定)
タイムカードの保存期間は、現時点から新しく明確化された起算日に従っていくのが望ましいでしょう。
タイムカードの保存義務は、労働基準法に規定された義務で、保存義務を怠ると法律違反になります。
労働基準法では、労働関係に関する重要書類の保存義務に違反した場合、30万円以下の罰金に処することとなっています。
労働基準法
第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 …(中略)…第百六条から第百九条までの規定に違反した者
また、タイムカードは、企業と従業員の間でトラブルが起こった場合、従業員の就業時間を証明する重要な証拠書類となります。
賃金債権の請求や未払い請求、残業代請求等、賃金に関する請求があった場合に、会社側は未払いがないことを証明しなければなりません。
従業員からの訴えに対して、正当な労働時間を立証できなければ、会社側が不利な立場に追い込まれます。
そういう意味でも、賃金債権の消滅時効である5年間は保存しておくのが望ましいでしょう。
上記の理由から、タイムカードの保存をおろそかにせず、規定期間内は紛失しないように保管することが重要です。
タイムカードを保存する時は劣化と紛失の対策が必須です。
では、タイムカードの保管方法にはどのような方法があるのでしょうか。
タイムカードの保管方法には、2つの方法でまとめるのが一般的です。
監査では「年月ごと」の提出を求められます。
よって、監査にスムーズに対応できる「年月ごとにまとめる方法」をおすすめします。
提出しやすくしておくと、余計な出し入れが少なく紛失対策にもなります。
タイムカードの原本は、劣化する危険があります。
年月ごとにタイムカード専用のBOXに入れての保管が最適です。
BOXに入れて保管することで光を防ぎ、インク文字の劣化や退色を防ぐことが出来ます。
長期間タイムカードをクリップや輪ゴムでまとめるのはNGです。
クリップの錆や輪ゴムの劣化により、タイムカード原本の破損に繋がります。
ただ、どうしても紙ベースでの保管は場所をとってしまうものです。
保存期間が3年から5年に延長されたことで、保管量も増えていきます。
BOXでのタイムカード保管は長期間の場所確保も必要です。
タイムカードを3点の理由から電子データでも保存する事をおすすめします。
タイムカードの電子データを残しておけば、紛失や劣化が起こってもタイムカードが存在した証拠が残ります。
対策をして保管していてもタイムカード紙原本は、紛失や劣化が生じることもあります。
2重の紛失・劣化対策としてタイムカードの電子データを必ず保存しておきましょう。
電子データ化は改ざん防止策としても重要です。
長期間保存になると、担当者の変更など諸々の事情でタイムカードの状態を把握出来なくなる可能性があります。
タイムカードの改ざんに気付けない可能性もあります。
BOXに保存する前にタイムカードの電子データをとり、保存期間が始まったら起算日以降に改ざんなどの変更の証拠を残せるようにしましょう。
保存中のタイムカードは、不必要な出し入れをしない事が劣化と紛失対策に有効です。
タイムカードの電子データは検索可能なデータベースにしておく事をおすすめします。
確認だけならデータ検索で済ませることができ管理が楽になります。
タイムカードでの勤怠記録を採用している企業の他に、近年タイムカードを廃止し、勤怠管理システムを導入する企業も増えています。
勤怠管理システムとは、従業員の勤怠に関わる様々な業務の管理ができるシステムで、タイムカードを使わずに勤怠情報の入力ができたり、欠勤・有給管理、工数管理や働きすぎ防止などの機能が備わっています。
各社の勤怠管理システムの料金、特徴、機能などの詳細は、以下の資料をご確認頂くことにし、ここでは勤怠管理システムを導入するメリットについて解説してきます。
勤怠管理システムを導入するメリットの1つは、勤怠の正確な管理と不正防止ができる点です。
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いつどこで誰が打刻したのか、打刻後に誰がそのデータを操作したかなどあらゆることが記録されるので、不正がしにくいのもメリットです。
集計も、期日になればシステムが自動集計するため、勤怠管理に関する手間が大幅に削減されます。
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多くの勤怠管理システムは、労働基準法など勤怠管理に関する法改正に対応しているため、人事・労務がいちいち手間をかけずとも、最新の法令に順じた勤怠管理が可能になります。
ただし、法改正に伴う自動アップデートや有料・無料対応は勤怠管理システムによって違いますので導入前に確認しましょう。
現時点(2020年9月現在)では、勤怠管理書類の5年保存義務化への移行期間であり、今後も法改正があるかもしれません。
勤怠のデータは、紙でもデータでも5年間は保管しなければなりませんが、勤怠管理システムであれば、保管場所不要でデータを保管することが可能です。
また、データの検索機能を利用すれば、過去の勤怠状況などを簡単に調べることができ、紙で残すより利便性が高いです。
場所も取らず、劣化もせず、法律に沿って保管できるのが勤怠管理システムを導入するメリットです。
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