組織づくりのプロが語る!リモートワークでも従業員の生産性を上げる方法

組織づくりのプロが語る!リモートワークでも従業員の生産性を上げる方法

記事更新日: 2020/12/17

執筆: 編集部

コロナ禍でリモートワークを導入したものの、従業員の生産性低下に悩まされている経営者の方も多いのではないだろうか。

そんな悩みを解決する糸口を見つけるため、今回取材をしたのは、世界で初めて「モチベーション」にフォーカスした経営コンサルティング会社、株式会社リンクアンドモチベーション取締役の川内正直様だ。

長年企業の組織変革に携わってこられた川内様より、明日から取り組める従業員の生産性を向上させるための工夫、そして、組織状態を診断し、組織改善に活用できるサービス「モチベーションクラウド」について伺った。

プロフィール

川内正直/ 株式会社リンクアンドモチベーション 取締役

1979年生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、 2003年株式会社リンクアンドモチベーション入社。
2018年株式会社リンクアンドモチベーション取締役に就任し、現在は組織開発本部にてコンサルティング・クラウド部門を統括。

リモートで生産性が低下した企業としなかった企業の差

ー2020年はリモートワークの導入が一気に進み、生産性が下がってしまった企業と生産性が下がらなかった企業が二分されたように思います。
この差は何なのでしょうか?


川内さん:
自分たちのビジネスのコアポイント、すなわち「顧客への提供価値」を従業員に分かりやすく共有できていたか、できていなかったか、の差ですね。

この話をする前にまずは「生産性」という言葉の定義を明確にしましょう。

「生産性の向上」とは、「顧客価値に繋がる仕事の効率を上げること」です。
世の中では、「今やっている仕事の作業効率を高めること」を「生産性の向上」と認識されているケースも散見されますが、これは単なる「効率化」です。
例えば、売れないものをどんなに効率よく工場で生産しても、生産性が上がったとは言えないですよね。

さらに、日本企業においては、これまで「顧客価値に繋がる仕事」が言語化されずに会社内で「暗黙知」とされてきた傾向があります。

そのため、従業員は、「一つひとつの仕事が誰のためになっているのか」「何が顧客価値に繋がる仕事なのか」といったことを、経験を積みながら徐々に周りから学んでいく必要がありました。

そんな中、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でリモートワークに移行したことで、
「顧客価値に繋がる仕事」が言語化されていないため従業員間で共有することができなくなってしまいました。

特に経験の浅い従業員は、それぞれの仕事の意味や価値を見失い、結果的に生産性の低下につながってしまったように思います。

逆に、「自分たちは何を目指していて」、「どういった形で届けるのか」、そしてそのために「どのような行動をすべきなのか」、をコロナ前から会社内で明確に共有できていた企業は、リモートワークに移行しても従業員の生産性を落とさずにいたと思いますね。

 

コロナ危機は変化のきっかけ

ー確かに、自らの仕事の意味や価値がわかると仕事に対してやりがいを感じられますよね。
この「顧客価値に繋がる仕事」を会社内で共有する際のポイントはありますか?


川内さん:
「顧客価値に繋がる仕事」の共有にあたっては、管理職の役割が重要です。

私たちは、管理職の役割は「メンバーを育てること」や「一流のプレイヤーとして成果を出すこと」ではなく、会社とメンバーをつなぐ「結節点」として、メンバーのモチベーションを高め、主体的な行動を引き出し、それを会社の成果につなげることだと捉えています。

有事においては、「従業員が管理職に対して、強いリーダーシップを求める傾向が強くなる」といった調査結果もあるように、管理職は状況に応じてメンバーとの接し方を変えていかなければなりません。

また、マインドセットも重要です。私たちは、コロナのような危機下において「ちょうどよかった、これをきっかけに」を合言葉にすることが大切だと考えています。
このコロナの状況を、「何で起こってしまったのだろう」と思っても何も変わらないですし、ただなんとなく「みんなで頑張ろう!」とそのまま突っ走っても、環境の変化には対応できません。

リーダーは、自ら強い意思を持って、このコロナ禍をきっかけとして捉え、ビジネスが世の中にどう貢献するのかを従業員に分かりやすく共有することが大切だと思います。

リモートワークで減少したのは「非言語情報によるコミュニケーション」

ー他に、リモートワークでの生産性を上げるために大切なことはありますか?


川内さん:
生産性の向上に繋がっていた非言語情報によるコミュニケーションをオンラインでも保つことです。

リモートワークへの移行に伴い、コミュニケーション量が減少したと感じる方も多いと思いますが、オンラインミーティングやチャットツールによって、「言語情報によるコミュニケーション」はむしろ増加しました。

減少してしまったのは、お互いのコンディションなど、直接顔を合わせることで得られていた
「文字では表現できない非言語情報によるコミュニケーション」です。

実は、組織においてはこの非言語情報がとても重要で、言語情報よりも非言語情報から学んでいることの方が多いのです。

 

非言語情報によるコミュニケーションを保つ方法

ーその大切な非言語情報によるコミュニケーションをリモートワークでも減少させないようにするにはどうしたら良いのでしょうか?


川内さん:
各施策を見直す際に「何の機能が大事だったのか?」を一つひとつ問い直し、重要な機能をオンラインで代替することが重要です。

例えば、今まで毎週朝にやっていた10分間の朝会。
この時間では、何の機能を重視していたのでしょうか。
部長からの伝達機能を重視していたのであれば、チャットで完結してしまいますよね。

実は、朝会は「伝達」という表層的な機能だけではなく、個人のコンディションを把握するという副次的な効果があるのです。

それに気づくことができれば、「オンラインでも朝会を実施する」という判断になりますし、効果を高めるために、お互い画面を見ながら話したり、雑談の時間を設けることにつながります。

他の例としては、アポイントメントのオンライン化があります。

顧客訪問に伴う移動時間がなくなったことで効率性は高まりましたが、「あのときのコメント良かったね。」という上司からのフィードバックや、「なんであの質問をしたんですか?」というメンバーからの質問など、アポイントメント直後の上司との振り返りの時間も失われてしまいました。

若手社員は、振り返り時間がないと情報が整理されないため、アポのノックを受けている状態になってしまいます。

上司が何を言ったかはわかるけど、どういった思考回路でその発言が出たのかは分からない…。
PDCAをうまく回すことができず、結果として成長スピードが落ちてしまうのです。

私は、この振り返りこそが育成において重要な時間であると捉えています。

弊社では、アポイントメント後に15分間の振り返りの時間を設けることをルール化し、オフラインと同じような人材育成の機能を維持しています

 

相談されやすい環境を作ることで、生産性は向上する

ーなるほど。他にコミュニケーションを行う際に留意すべきことはありますか?


川内さん:
メンバーから上司への相談のハードルを下げることですね。
これは、生産性を上げるためにとても大切です。

仕事で何が一番無駄な時間かというと、悩んでいる時間です。リモートワークになると、若手社員は電話に慣れていないのかメールで相談をしてくるケースがあります。「電話してくれればすぐ解決したのに…長いメールを書いている時間がもったいない!」と思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

従業員が「どうしたら良いんだろう…」と相談せずに悩んでいる20-30分は何も生み出しませんし、
上司からしても従業員の大量の無駄時間を抱えることに繋がります。

特に、ネガティブな情報こそ早めに把握するに越したことはないので、困ったことがあったときにすぐに相談できるようにしておくことは、上司にとっても非常に重要です。

相談されやすくするには

ー具体的にはどのようにハードルを下げたら良いのでしょうか?


川内さん:
まずは、「何かあったら電話をかけてほしい」というスタンスをメンバーに示すと良いですね。着信が残っていれば上司もかけ直すので、メンバーが上司の予定を見ながら悩む時間もなくなります。

上司がなかなか時間を取れない場合は、あらかじめ「なんでも質問タイム」を定期的に設けても良いでしょう。

また、相談してきてくれた社員の話をすることも効果的です。
「この間、〇〇さんが電話してくれて助かった」と、良い話としてメンバーに共有すると、相談してもらいやすくなります。

モチベーションクラウドとは?

ーリモートワークでもいかに従業員に相談されやすい環境をつくれるかが重要なのですね。
御社のサービスは組織への問題意識から始まったそうですが、従業員の生産性向上にどうアプローチできるのでしょうか?


川内さん:
キーワードは「従業員エンゲージメント」(企業と従業員の相互理解・相思相愛度合い)です。
モチベーションクラウドでは、組織状態を見える化し、組織課題の優先度を明確にします。

加えて、6,980社、169万人のデータベースを基に、エンゲージメントスコア(偏差値)を算出し、抽出された課題に対して適切に解決策を実施していくことが可能になります。

エンゲージメントスコアが高い状態とは、従業員が組織の目指すべき方向性を聞くだけで自発的に行動できる状態です。そのため、有事の際にも前向きにリモートワークなどの新しい取り組みを推進することができます。

一方、エンゲージメントスコアが低いと、何か新しい取り組みを導入しようとすると
「ここはどうなるんですか?あれは?」などさまざまな要望が出てきて、なかなか上手くいきません。

「笛吹けども踊らず」どころか、逆効果になってしまう状態です。

実際、組織の課題に対する「万能薬」はありません。
課題は会社ごとに異なりますし、同じ会社でも状況によって変わるものです。
しかも、その状況というのは常に変わり続けるため、従業員が会社に求める期待も刻々と変化します。

その移り変わる従業員の期待に対して適切な手を打つことができるのが、モチベーションクラウドなのです。

モチベーションクラウドをご利用いただいている顧客の中には、エンゲージメントスコアの上昇に連動して業績や株価の向上を実現された企業もいます。
組織風土は一朝一夕では構築できないからこそ、競合他社が簡単に真似できない競争優位性となりえます。

変化の激しい今だからこそ、変わりゆく最適解に対して、自社の最適解を作り続けられれば、瞬間的なダメージは受けてもすぐに変化に対応できるのです
変化に強い会社になるためのキーは「従業員エンゲージメント」だと確信しています。

 

最後に

ーなるほど。最後に、2021年の抱負をお願いします。


川内さん:
何よりも、日本全体の生産性を上げていきたいですね。
そのために、コミュニケーション円滑化のためのサービスや、悩まれている管理職の方々への支援を、より一層強化していきます。

組織づくりはまだまだ問題だらけです。

もちろん、誰もわざと問題を作っているわけではありません。組織のことを一生懸命考えているのですが、間違った思い込みなどが原因で違う方向に進んでしまっただけなのです。

例えば、上司がラーメン屋に連れて行ってくれて、部下が「美味しい!」と言ったら、その上司は部下のためを思って、何度も同じラーメン屋に連れて行ってくれるとします。
でも部下としては、「その日はよかったけど、毎回同じだと…」となりますよね (笑)。

そういうすれ違いがすごくもったいないと思うんです。一回、「あっ、他のものも選択肢にした方が良かった」と気付きさえすれば変わります。

一人ひとりのポテンシャルを正しい方向に向けることができれば、生産性も高まって日本の国力増強に繋がっていくはずです。
だからこそ、意識のボタンのかけ違いを一つひとつ直していきたいですね。

 

 

 

 

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