契約社員はやめるべき?正社員との違い・メリットを理解しよう

契約社員はやめるべき?正社員との違い・メリットを理解しよう

記事更新日: 2020/07/10

執筆: 編集部

同一労働同一賃金の規定を盛り込んだ「改正労働者派遣法」が適用されるようになり、正規社員と非正規社員の不合理な待遇差が解消されることが期待されています。

それで待遇が今まで以上に良くなるならば、正社員ではなく契約社員という働き方もありではという意見があります。

この記事では契約社員の意味、契約社員と正社員の待遇面での違い、契約社員で働くことのメリット・デメリットを紹介します。これらを理解できれば自分にとって契約社員で働く方がいいのか、それとも正社員として働くほうがいいのか判断できるでしょう。

あらためて契約社員とは?

契約社員とは、企業との間で有期労働契約(雇用期間が定められた契約)を交わして働く社員のことです。契約社員は雇用期間が満了すると、契約更新を行わない限り退職することになります。

企業によっては契約社員のことを、嘱託社員、非常勤社員、準社員と呼ぶことがあり、工場勤務の契約社員は期間工と呼ばれることがあります。

契約社員と正社員の待遇の違い

契約社員と正社員の待遇面での違いを以下の7つの点から比較してみます。

  • 雇用期間
  • 給与
  • 賞与やその他の特別給与
  • 昇進や昇給
  • 退職金
  • 有給休暇
  • 福利厚生

 

雇用期間

契約社員は、有期雇用契約であり雇用期間が決まっています。契約期間が満了すれば契約更新を行わない場合、退職となります。

正社員は、無期雇用契約です。会社が倒産する、定年を迎える、本人が退職を希望するなどの理由がない限り退職することはありません。

契約社員の雇用期間は最長何年?

労働基準法の第14条により、有期労働契約の期間は「原則として3年」を超えてはならないとされています。高度な専門職を持つ人や満60歳以上の人とは、例外として5年を上限とした有期労働契約を結ぶことが可能です。

もちろん会社と契約社員の両方が望むなら有期労働契約の契約更新は可能です。さらに同じ会社での契約期間が通算で5年を超える場合、契約社員が無期雇用契約を希望すれば、会社はそれを拒否できないということも法律で規定されています。これは平成25年4月1日から適用された適用された制度で、有期契約労働者の無期転換ルールといわれています。

ですから、契約社員として働く場合、契約期間・契約更新の可能性・同じ会社で5年働いた後はどうするかを考えておかなければなりません。

有期労働者の無期転換ルールとは?

無期転換ルールは同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期労働者からの申込みがあれば、期間に定めのない労働契約つまり無期労働契約に転換できるというルールです。

たとえば、有期契約期間が1年の場合、5回目の更新後に無期転換の申込権が発生し、契約期間が3年であれば、1回目の更新後の3年の間に無期転換の申し込み権が発生します。

有期労働契約者が使用者に対して無期転換の申込みをした場合、使用者はこれを断ることができず、無期労働契約が成立します。

無期労働契約後の給与や待遇などの労働条件は、労働協約や就業規則、労働契約で定める必要がある部分を除いて、直前の有期労働契約のときの労働条件がそのまま引き継がれます。

無期労働契約の申し込みの方法

無期労働契約の申込みは法律的には口頭で行っても有効とみなされます。しかし後々トラブルになることを予防するためにも、書面により意思表示し記録を残して置くことができます。

勤務先の会社に所定の様式の書類がなければ、厚生労働省の「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」から書類をダウンロードできます。

契約社員のまま仕事を続けられる?

有期労働契約が5年を超えて更新された場合は、無期転換申込権が発生します。しかしそれを行使するには労働者からの申込が必要です。

つまり無期転換の申込みをしなければ、有期労働契約のまま、つまり契約社員のまま働くことは可能です。

給与

同一労働同一賃金の導入により、同じ会社で同じ仕事をしているのであれば、正社員でも契約社員でも同じ額の給与がもらえるようになることを期待できます。

しかし、厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」には基本給について以下のような説明があります。

基本給が、労働者の能力又は経験に応じて支払うもの、業績又は成果に応じて支払うもの、勤続年数に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。

同じ会社でも正社員と契約社員の間で、経験や業績、勤続年数に差があれば、基本給の支給額に違いが生じることを認めています。

ですからすべての契約社員が正社員と同じ額の給与をもらえることを期待するのは現実的ではありません。

契約社員と正社員の給与額の違い

令和元年の賃金基本統計調査を参考資料に正社員と正社員以外の平均給与を比較すると以下のようになります。

  所定内給与額(千円)
正社員・正職員計 326
正社員・正職員以外計 211.5

この結果からすると正社員として働く人の平均給与は32万6千円、契約社員を含む非正規雇用の人の平均給与は21万5千円です。

正社員以外の人にはパートやアルバイトで働く人も含まれるので、この数字だけで契約社員の給与平均を正確に割り出すことはできません。しかし正社員と契約社員の間に給与面である程度の差があることは認識できます。

賞与やその他の特別給与

契約社員であっても正社員と同じように会社の業績に貢献をしていれば、正社員と同一の賞与をもらうことができます。「同一労働同一賃金ガイドライン」では賞与について以下のように説明しています。

”ボーナス(賞与)であって、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない”

しかし、契約社員は定型業務などを任されることが一般的なので、直接業績を伸ばすことにつながる業務に携わる正社員と比較すれば、会社への貢献度に違いが生じるので、どうしても賞与の額にも差が出てしまいます。

契約社員と正社員の賞与額の違い

令和元年の賃金基本統計調査を参考資料に正社員と正社員以外の賞与額を比較すると以下のようになります。

  年間給与・その他特別給与(千円
正社員・正職員計 1087.5
正社員・正職員以外計 224.7

正社員の平均賞与はおよそ108万円、正社員以外の平均賞与はおよそ22万円です。こちらもかなりの差があります。

昇進や昇給

正社員には管理職への昇進、昇進に伴う昇給の機会があります。

しかし契約社員は社員の仕事を管理する管理職に就くことは一般的にはありません。ですから昇進に伴う昇給もありません。

退職金

正社員が退職したときには退職金が支払われます。しかし一般的な例として契約社員に退職金が支払われるということはありません。

とはいえ契約社員に退職金は支給しないという仕組みが改められる傾向が見られます。そういえるいくつかの理由があります。

「同一労働同一賃金ガイドライン」の記載

「同一労働同一賃金ガイドライン」に退職金についての具体的な記載はありません。しかし次の文章がガイドライン内に記載されています。

このガイドラインに記載がない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合についても不合理な待遇差の解消等が求められる。このため、各社の労使により、個別具体の事情に応じて待遇の体系について議論していくことが望まれる。

つまり退職金についても、同じ会社で同じ仕事をしている正社員と契約社員の間に待遇差があれば、それを解消することを求めているわけです。

契約社員の退職金に関する東京高裁の判決

東京メトロの子会社メトロコマースで勤務していた契約社員の4人は、退職金や褒賞、住宅手当などの支給に関して正社員との間にある格差の是正を求める訴えをしていました。

2019年2月20日に東京高裁は、退職金などの不支給は違法であると認め、訴えていた4人のうちおよそ10年勤務していた2人に退職金の支払いを命じました。支払うべき退職金は正社員と同じ基準で算定した額の25%でした。

さらに、早出残表手当、住宅手当、10年勤務褒賞の不支給も不合理な格差であることを認めました。

退職金の額が正社員の25%とした根拠が不明などいくつかの疑問は残りますが、契約社員への退職金の不支給は違法とした判例となりました。

こうした判例がさらに増えれば、契約社員にも正社員と同じように退職金は支払われるべきという風潮になるでしょう。

有給休暇

有給休暇については正社員も契約社員も同様の基準で取得することができます。

厚生労働省の「年5日の年次有給休暇の確実な取得」というパンフレットでは、有給休暇が与えられる労働者の資格を次のように説明しています。

”使用者は労働者が雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、その6ヶ月間の全労働日の8割以上を出勤した場合には、原則として10日の年次有給休暇を与えなければなりません。

(※)対象労働者には管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。

そして勤続年数が1年増えるたびに、付与される有給休暇も1日ずつ増えます。

有給休暇については同僚への気兼ねや、請求することへのためらいなどの理由で取得しない正社員や契約社員が多いというのが現状です。

それで2019年4月からすべての企業において、年10日の年次有給休暇を付与された労働者(管理監督者や有期雇用労働者も含む)には、年次有給休暇の日数のうち5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務化されました。

福利厚生

福利厚生についても、「同一労働同一賃金ガイドライン」に基づいて契約社員は正社員と同じ待遇を期待することができます。ガイドラインには福利厚生について以下の説明があります。

食堂、休憩室、更衣室といった福利厚生施設の利用、転勤の有無等の要件が同一の場合の転勤者用住宅、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保証については、同一の利用・付与を行わなければならない。

病気休職については、無期雇用の短時間労働者には正社員と同一の、有期雇用労働者にも労働契約が終了するまでの期間を踏まえて同一の付与を行わなければならない。

ですから社会保険の加入を含め、福利厚生については契約社員も正社員と同じ待遇を受けることができます。

契約社員で働くメリット

契約社員と正社員の待遇面での違いを紹介しました。次に契約社員として働くことのメリットを紹介します。

スキルを活かして働ける

企業は特定のスキルを持っている人をスポットで契約社員として雇いたいと考えている場合があります。

もし企業と自分のスキルのマッチングがうまくいけば、自分のスキルを活かせる職場で働くことができるでしょう。それは仕事のやりがいにもつながります。

ワークライフバランスが保ちやすい

採用時に交渉すれば正社員よりも勤務時間に融通が利く契約ができるかもしれません。

子育てや介護、または自分の趣味の時間を確保しながら働くことができれば、ワークライフバランスを維持することができます。

時間に融通が利き、就業規定に違反していないならば副業することもできます。

人間関係のトラブルに巻き込まれる可能性が低い

正社員として定年まで働くわけではないので、社内の複雑な人間関係、派閥闘争などに巻き込まれる心配もあまりありません。

転勤がない

正社員は会社の辞令で転勤することがあります。

しかし契約社員は基本的に契約時に勤務地が決まっているので、転勤するということは基本的にありません。

ライフプランが立てやすい

契約社員には雇用期間があります。ですから「この仕事でお金を貯めて3年後には海外留学する」「この会社でスキルアップして次は別の会社に転職する」などのライフプランが立てやすいというメリットがあります。

契約社員のデメリット

契約社員として働くことにはいくつものメリットがありました。しかし理解しておくべきデメリットもあります。次にそうしたデメリットのいくつかを紹介します。

雇用が不安定

契約社員は雇用期間が満了すれば基本的には退職となります。

今の会社で働くことを希望するなら契約更新しなければなりません。しかし、会社側に契約更新の意思がなければそれで終わりです。

こうした点で契約社員は雇用が安定していないというデメリットがあります。

給与や賞与が少ない

同一労働同一賃金の制度が導入されたとはいえ、現状としては契約社員と正社員の間には、任される仕事に違いがあり、背負っている仕事上の責任の重さにも違いがあります。

ですからそれらが給与や賃金の差になって表れるのは仕方のないことです。

しかし正社員と同じ仕事し、同じ重さの責任を担い、同じ程度の業績を残せば、給与や賃金の格差は是正されていくでしょう。

社内で出世するということがない

正社員は長期間その会社で働くことが期待されているので、結果を残せば昇進して出世することができます。会社での地位が上がればそれが給与に反映され仕事のモチベーションも上がります。

しかし、雇用期間が限定されている契約社員には会社で出世するということはありません。

ローンの審査が通りにくい

クレジットカードや住宅ローンなどの審査では、契約社員ならば雇用期間満了後の収入はどうなるのかということがネックとなり審査が通りにくいということがあります。

まとめ

契約社員とは会社と有期雇用契約を結んで働く社員のことです。

雇用期間が限られていて、契約内容によっては時間の融通も利くので、ワークライフバランスを保ちながら仕事がしたいという子育て中の方、介護をしておられる方、副業や趣味の時間も欲しいという方にはぴったりの働き方です。

また数年間契約社員として働き、スキルアップしてから待遇の良いところに転職するなどの目標を持つこともできます。

いずれにせよ、同一労働同一賃金の制度がさらに一般化すれば、契約社員と正社員の間に存在する給与や賞与などの待遇面での格差も狭まることが期待されますから、もし自分のライフスタイルやライフプランにマッチしているなら契約社員という働き方もありでしょう。

画像出典元:pixabay

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