大企業病とは|中小企業も危ない?原因や対策、具体的な事例を知ろう

大企業病とは|中小企業も危ない?原因や対策、具体的な事例を知ろう

記事更新日: 2020/06/15

執筆: 編集部

「大企業病は大企業に見られるもの」と思い込んでいませんか?

ところが実際には、中小規模の企業でも大企業病にかかることは珍しくありません。

具体的にどのような症状が出れば、大企業病と考えられるのでしょうか。大企業病の意味や症状に加え、原因や対策、具体的な事例を紹介します。

万が一自社にその傾向があると疑われる場合は、早急に対処しましょう。

大企業病とは

大企業病を英語に訳すと、「Big Company Disease」。著しく非効率化してしまった企業状態を指す言葉です。

たとえ中小規模の企業であっても、組織や経営状態の非効率化が顕著な場合は大企業病を疑うべきです。

大企業病とはどのような状態なのか、具体的に紹介します。

1. なぜ「大企業」病と呼ばれるのか

組織や経営が非効率化した状態が「大企業病」と呼ばれるのは、企業規模が大きくなるほどそのような状態になりやすいためです。

企業規模が小さい場合、トップと現場との距離はさほどありません。末端の声は上に届きやすく、有益な意見は誰のものであれ受容されやすい傾向があります。

企業一丸となって効率のよい方法を検討し、試行錯誤しながらベストな方法を選択できるでしょう。

ところが企業規模が大きいと、現場の判断が全体の作業や工程に影響を及ぼすことはまれです。現場の意見が聞き入れられないことも多く、非効率な作業を強いられます。

臨機応変に無駄を省きながら工程や作業を変えられる中小企業と、わずかな変化さえ容易ではない大企業。比較してみればどちらが組織として機能不全に陥りやすいかは明白でしょう。

人が増えて組織が拡大すれば、舵取りが困難になるのは当たり前のこと。これにうまく対処できない企業が「大企業病」とよばれるのです。

2. 大企業病にかかるとどうなる?

大企業病にかかった企業には、さまざまなビジネス上の不利益が発生します。

まずあげられるのが、非効率的な経営による生産性の低下です。

企業規模が大きいほど現場とトップ、部門ごとの分断が顕著となり、物事の決定には時間がかかります。世間のトレンドをうまく掴めず、商機を逃す可能性があります。

また、「言うだけ無駄」「言われたことだけやればよい」といった空気が蔓延すれば、社員のモチベーション低下は避けられません。

思うように働けないことに失望した優秀な人材が離れていき、深刻な人材ロスに見舞われます。

安定志向でチャレンジ精神を持たない社員ばかりになると、冒険が忌避されがちです。業績が大きく落ち込むことはないにせよ、企業としての魅力は失われるかもしれません。

3. 大企業病の具体的な症状

前述のとおり、大企業病は企業規模にかかわらず発生します。どのような状態であれば大企業病であると考えられるのでしょうか。

大企業病の具体的な症状を紹介します。

1. 顧客のニーズが後回しになる

大企業病にかかっている企業では、顧客ニーズよりも社内の事情が優先されます。

企業内で認められることが第一とされるため、社員は顧客ではなくトップの意向や社内のパワーバランスを気にしながら働かねばなりません。

このような状況では、顧客を引きつける商品やサービスを提供するのは困難です。

世間一般のトレンドやニーズから外れた製品ばかりリリースすることとなり、やがて顧客からの信用を失ってしまいます。

2. 企業の方向性が掴めない

規模が大きくなるほど、企業としての小回りは利きにくくなります。現場に決定権がないため、「ここぞ」というタイミングを逃しがちです。

トレンドの波に乗れずにいれば常に競合の後塵を拝することとなり、業界での地位も危ぶまれます。

加えて大企業になるほど組織が細分化する傾向が顕著です。部署同士の張り合いや押し付け合いが頻繁に発生し、同じ企業で働いているにもかかわらず足を引っ張り合うことさえあります。

こうなると、皆が企業利益のために同じ方向を向いて働くことは困難です。一つの案件に次々と横やりが入り、企業の目指す方向が定まりません。

3. リスクを取ることを恐れる

大企業病にかかっている企業は、現状維持に努めようとしがちです。

社員の多くは「余計なことをして悪い評価を受けたくない」と考えるため、あえて冒険を犯しません。

既存の製品と同じような無難なアイデアしか上がらず、企業価値を上げるような革新的なアイデアは生まれにくくなります。

大企業病になってしまう原因・きっかけは

大企業の全てが大企業病になるというわけではありません。組織がどのような状態になると、大企業病を発症しやすくなるのでしょうか。大企業病になってしまう原因やきっかけを考察します。

1. 安定した企業状態

企業の経営状態や業績が安定すると、大企業病を発症しやすいといわれます。

どんな企業でも、スタート時点では「安定的な収入を得なければ」「業績を安定させて企業としての信頼を積まねば」考えているはずです。そのためにさまざまな試行錯誤を続け、効率を追求して利益を上げようとします。

ところがいったん目標がクリアされてしまうと、次に考えるのは「安定」です。

「失敗して現状維持できなくなったらこわい」という考えから、新しい試みや変革は忌避されます。もっと上を目指そうという企業としての気概は失われ、無難なアイデアしか生まれなくなるのです。

「波風を立てないのが一番」という雰囲気が漂えば、社員は行動することを恐れます。結果、企業全体に無気力感が漂い、組織としての活力は失われてしまうでしょう。

2. 従うべき慣例やルールが多すぎる

大企業ほど、昔ながらのルールや慣例、手順が多く存在しがちです。例え形骸化してしまったルールでも、社員は遵守を求められます。

しかし本来、社内規則やルールは作業を効率化したり組織運営を円滑にしたりするためのものであるはずです。

意味のない規則やルールがはびこっていては作業効率が落ち、社員のモチベーションも削がれてしまうでしょう。

3. 社員・部門の増加

企業規模が大きくなると、必然的に社員が増え、仕事を請け負うセクションも増えてきます。

トップの目が全てに行き届くことはなくなり、部門やチームのトップが社員を率いて働くようになります。

これはうまく機能すると効率的に事業運営できますが、企業全体の目的や目指すところが見えにくくなるというデメリットがあります。

部署間の垣根が高くなれば物事を決めるのも難しくなりますし、それぞれが縄張りを主張して争うケースもあるでしょう。

結果、効率化のために分業化したはずがかえって業務効率を落とすこととなってしまうのです。

また企業規模が大きいと、社員の帰属意識が「企業」ではなく「部署」になってしまうケースも少なくはありません。企業利益よりも部署の利害が優先されれば、本末転倒というしかないでしょう。

大企業病を発症した企業は?事例を紹介

大企業の中でもトップクラスといわれる企業でも、大企業病を発症すれば経営不振に陥ったり事業経営が困難になったりしてしまいます。

大企業病にむしばまれていたといわれる企業を具体的にみてみましょう。

1. 三菱自動車

まず有名な例として、三菱自動車が挙げられます。

三菱自動車は、1970年に「三菱重工業」より独立した自動車メーカーです。

特にモータースポーツ事業で名を馳せており、世界ラリー選手権 (WRC) においては2009年に撤退するまで、幾度も好成績を残しました。

一般的なイメージは非常に良好といえる企業でしたが、総会屋に対する利益供与やリコール隠し、燃費偽装などさまざまな問題が発覚。一時は企業存続さえ危ぶまれました。

こうした問題の根本には、三菱自動車が顧客ではなく「自社第一主義」であったこと、社員が企業のためというよりは個人や部署の目標をクリアするためにのみ働いていたことなどがあったといわれます

現在の三菱自動車は日産自動車が筆頭株主となり、ルノー・日産自動車・三菱自動車を構成しています。

2. 東芝

東芝は、1904年に設立された電気器機メーカーです。日本の白物家電におけるパイオニアとよばれ、かつては冷蔵庫や洗濯機などで圧倒的なシェアを誇りました。

ところが2015年に利益を水増しする粉飾決算が発覚し、経営は一気に傾きます。

2017年には上場廃止の可能性さえ浮上し、東京証券取引所と名古屋証券取引所により、自社株は「監理銘柄」に指定される事態となりました。

東芝でも官僚的で非効率的な組織運営が行われていたといわれます。加えてトップを巡る派閥争いも見られ、企業の目は顧客よりも自社内部に向いていたことは疑いの余地がありません。

そんな東芝も2018年にはトップが代わり、構造改革の真っ最中。2019年4~9月期の連結決算は営業利益が前年同期比7.5倍の520億円になるなど、着実に経営状態は改善されています。

大企業病を克服するには

大企業病の進行を放置していては、やがて取り返しのつかない状態にまで悪化してしまいます。自社にその傾向が見られるならば、速やかに対策を取るのがベターです。

大企業病を克服するには、どのような手段を取るべきなのでしょうか。

1. 最も有益なのはトップの刷新・意識改革

すでに大企業病に寝食されている場合、末端の社員が頑張ったところで企業体質は変わりません。

最も有益かつ効果が高いのは、トップを刷新したり組織構造を変革したりして、企業全体の意識を改革することでしょう。

ただしトップをすげ替えたとしても、顧客目線で物事を考えられない人では意味がありません。自社よりも顧客第一で考えられ、社員と同じ方向を向いて働ける人が必須です。

トップが変革の姿勢を見せれば、現場の社員の共感を得やすくなります。「古い体制を変える」という強い意志が伝われば、組織の効率化や社員の意識改革もスムーズに進むでしょう。

2. 社内の風通しを良くする

企業で働く社員同士が分断される状態は好ましくありません。トップと社員のつながりはもちろん、社員同士の横の連携も取りやすくしておくべきです。

部署が細かく別れている場合でも、機会を作って意見交換の場を設けるなどしましょう。

社内ネットワークが広がれば、何かあったときにお互いに助けやすくなります。仲間意識も持ちやすく、企業の一員として同じ方向を向いて働きやすくなるのです。

近年では、社員同士の交流の場やイベントを設けたり社内SNSやチャットツールを活用したりなどする企業も少なくはありません。

企業内の透明性を高め、閉塞した雰囲気を作らないように努めましょう。

3. 社員のチャレンジを推奨する

企業としての安定を求めすぎると、新しい試みや変革が生まれなくなります。社員には積極的なチャレンジを許し、それによる失敗も許容する雰囲気を作りましょう。

チャレンジが許されない企業では、社員は歯車となって働くしかありません。企業の一員であるという当事者意識が芽生えにくく、本当に企業のために働く社員がいなくなってしまうのです。

具体的な施策としては、マイナス評価を止めること。「○○をしたから減点」という評価ではなく、「○○にチャンレンジしたからプラス」と評価するシステムを作りましょう。

チャレンジする姿勢を評価されれば、社員のモチベーションは上がります。企業の一員として働こうと発奮してくれれば、企業全体が活性化していきます。

まとめ

企業が健全な経営状態を維持していく上で、大企業病は大敵です。

企業規模に関わらず非効率的な体制やルールがはびこっていたり、チャレンジを嫌う気風が漂っていたりなどする場合は、早急に組織全体を見直してみる必要があるでしょう。

加えて、企業第一でなく顧客第一という基本を忘れないことも大切。企業トップが正しい姿勢で社員を率いて行ければ、大企業病が発症する確率は確実に低くなるのです。

画像出典元:Unsplash、Pixabay

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