多くの企業で使用している角印や丸印ですが、どんなものだか詳しく知っていますか?
会社で使う人も、起業するためにこれから作成する人も、種類や用途について知っておきましょう。
この記事では、角印の基礎知識から丸印との違い、使い方から作成方法までを解説します。
このページの目次
そもそも角印とは、ハンコとは、どういうものなんでしょうか。読み方も含めて基本情報から見ていきます。
印章(いんしょう)とは、ハンコのことです。
日本にある最古の印章を知っていますか?歴史の授業で習った「漢委奴国王印」の書かれた金印です。漢から送られたこの金印が、日本における印章の始まりです。
これを真似て、「大連の印(おおむらじのいん)」が作られます。日本で初めて作られた印章だと言われています。
この頃、印章は四角く、丸いものは日本にはありませんでした。時が経つにつれ、印章は変化し、丸やほかの形が作成されます。
明治時代になり、印影登録制度ができ、「印鑑登録」が始まりました。登録した印章は「実印(じついん)」と呼ばれ、重要な書類などに押捺する際に使用することになりました。
「自分の分身」とも言われるほど大切な役割を果たすのです。
ちなみに、「印鑑」とは、実は押したあとに紙に残る印影のことを指します。印鑑登録とは、その印の形を届出るということなんです。
さて、金印から2000年近くも時は流れました。私たちは丸い印章をよく目にしますが、四角い印章はあまり馴染みがなくなりました。消えてしまったのかというと、そうではありません。企業・法人では、四角い印章は日常的に使用されているのです。
会社で使われる印章はすべて社判と呼ばれます。その中で実印として登録されるのは代表者印と呼ばれる印章のみです。そのほかはすべて認印(みとめいん)です。
普段目にする丸い印章は丸印(まるいん)と呼ばれます。それに対して四角い印影をしているのが角印(かくいん)です。
古くからの習慣で社印には角印が使われ、ほかで角印は使われることがあまりありません。そのため「角印」といえば「社印」だという認識が産まれました。
「実印」と「銀行印」はどちらも一般的に「丸印」ですが、用途が違うため、「代表者印」、「実印」、「銀行印」というふうに呼ばれることが多いようです。
もちろん、実印、銀行印、社印を、すべて角印にすることもできますし、すべて丸印にすることもできます。とはいえ、慣習に倣って一般的には、表のように使い分けている企業がほとんどでしょう。
角印は四角い形、丸印は丸い形の印影だというのは見て分かりますが、そのほかにどういった違いがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
法人の実印は、印影をよく見ると、内側と外側の二重構造になっています。
中央には「取締役印」など役職名が入り、その周りをぐるりと会社名が囲みます。中央を中文(ちゅうぶん)、まわりを廻文(かいぶん)と言います。
二重構造によって複雑な印影となり、偽造が困難になるのです。
会社の認印である「社印」には角印がよく使われます。
法的に決まっている訳ではなく、丸印(実印や銀行印)と区別するために四角い印影が使われるのです。
二重構造はなく、社名のみが入ります。
商業登記則第9条3項によると、法人実印のサイズ規定は1cm(10.00mm)以上、3cm(30.00mm)以内の正方形に収まる形にする必要があります。
この規定の中で、最も多く使われているサイズは18.00mmから20.00mmです。小さすぎず、大きすぎず、それでいて印影が分かりやすいサイズです。
さて、角印はというと、実はサイズに規定がありません。
個人の認印にも規定がないように、どういったサイズでも問題ありません。あまりに大きいと書面上で目立ちすぎてしまいますし、小さすぎると社名が読めなかったりします。一般的には実印より少し大きめで、21.00mmから24.00mmで作成されることが多いです。
社名が入った角印は、どのような場面で使うのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
社名が入っているものを、社内文書で使用してもあまり意味がありません。「確かに当社が発行しました」と示す必要があるのは主に社外文書です。
社外文書の中でも、重要な書類や契約書などには、法務局に登録した実印が使われます。角印が使われるのは、領収書や請求書などです。
個人に置き換えてみても同じことです。家や車の購入時など、大きな契約の際は市町村に登録した実印が必要になります。一般的な書類に押印する場合は認印ですよね。
実印も、銀行印も、角印も一つの印章で済ませることもできますが、偽造防止の観点から、実印はやたらと使用しないほうがいいでしょう。
人の目に触れることが多くなるということは、偽造される可能性を大きくしてしまうということです。
実印・銀行印・角印はそれぞれ作成しましょう。
重要な契約書で角印を押す場合、実印と一緒に使用される場合があります。
これは、企業や地域による習慣によるもので、絶対に2つ押さなければならないわけではありません。
しかし、取引先が両方押印している場合は、それに倣って両方押印することが多いでしょう。
角印は認印とはいえ、会社にとって重要な印章です。不正に使用されることがないよう注意しましょう。
電子文書が増えている現代では、押印が必要な文書をプリントアウトして、押印する手間を省きたい気持ちも分かります。
しかし、電子印鑑は偽造が容易いと言っても過言ではありません。わざわざ押印する手間をかけるのは悪意から会社を守るためでもあるのです。
確かに、猛威をふるうコロナウィルスの感染拡大で在宅ワークが導入され、これから電子印鑑の使用が増えていくことでしょう。
しかしながらまだ法が整備されていませんので、今のうちから電子印鑑を多用することはおすすめできません。
認印とはいえ、押印した時から効力を持ちますので、気を付けて保管・使用してください。
民法上の効力は、実印、銀行印、角印、そのほか認印、すべて同一です。
ある一定の役職より上の人のみが使えるようにしたり、保管場所を決めておくなど、適切なルールが必要です。
初めて押す場合には、分からないことも多いでしょう。注意点を理解し、自社の不利益にならないように使用することが大切です。
市販されてある領収書は、日付や金額欄などがある汎用的なものです。どこの誰が出したのか、最初は書かれていません。
そのため、領収書を出すときには、発行元の所に、会社名・所在地・電話番号などの情報を記載します。膨大な数の領収書を発行する企業では、事務作業の軽減化のためスタンプ印やゴム印を使用したり、印刷したりします。
この時点では、領収書の偽造はまだ難しくありません。そこで角印の出番となります。
朱肉を使い、会社名・所在地・電話番号などに重なるように押します。こうすることで領収書の偽造は困難になります。
さらに安全に発行するために、領収書を発行を担当した人が自分の認印も並べて押すこともありますよ。
日本では、横書きの書類は左から文字を読むので右端に押すとバランスがいいでしょう。
縦書きの場合は、右から左に読みますから、左下端に押します。場所が決まっている場合は、それに従って押印します。
丸印は、斜めになってもさほど気になりませんが、角印が斜めだととても目立ちます。用紙に対して水平・平行になるように注意して押印しましょう。
角印の作成に主だった規則はありません。だからと言ってなんでも良いわけではありません。
バランス、形状、素材、書体、文字についてポイントがありますのでご一読ください。
起業の際に作っておきたいのは、「実印(法務局に登録する丸印)」「銀行印(金融期間に登録する丸印)」「社印(社名の入った角印)」の3点セットです。
この3点をすべて同一の書類に使用することはあまり無いでしょう。しかし、実印と銀行印、実印と角印はセットで使うこともあります。
ですので、それぞれのバランスが悪くならないようにするのがポイントです。
「角印 > 実印 > 銀行印」が一般的ですね。
個人の認印は、寸胴タイプが一般的です。
しかし、法人の印章でよく目にするのが、天丸タイプです。持つ部分がくびれており、手にフィットする形状です。
押す際に手のひら側が丸い形状になっており、手のひらにあてると綺麗に押印することができるでしょう。天丸タイプは法人印章ならではの形状で、多くの企業がこの形状を採用しています。
実印(丸印・天丸)、銀行印(丸印・天丸)、社印(角印・天丸)という風に揃うと、見た目も美しいですね。
ただ、実印と銀行印は、サイズが少し違うだけなので、間違う可能性があります。そこで、銀行印のみ寸胴(丸棒ともいう)にして、間違いを未然に防ぐこともできます。
次に、印章をつくる上で大切な素材を選びます。
何十年も使っていくわけですから、耐久性に優れた素材をおすすめします。あまりに粗末な素材では会社の格が損なわれますので、高級感も大切です。
おおまかに分類すると、木質、動物、金属の3つの素材があります。例を見てみましょう。
・本柘植(ほんつげ)
木のぬくもりが感じられ、硬く粘りがあるため彫刻に適した素材
産地によって木材の質も変わるので、産地も要チェック
・黒檀(こくたん)
世界屈指の良質な木材で、耐久性もあり、印章に適した素材
高級家具にも用いられるので、深みのあるこげ茶色は高級感あり
・水牛(すいぎゅう)
有機的な色合いが特徴で、美しい印影を残す素材
黒水牛なら重厚な黒、水牛ならグラデーションのあるアイボリーが魅力的
・チタン
さびない、欠けない、洗える金属で耐久性ピカイチ、スタイリッシュな素材
黒やシルバーだけでなく、ゴールドやプラチナカラーも
上記の素材が有名どころで、多くのショップで取り扱っています。
最近では、「アグニ」という地球にやさしい合板素材も出てきています。積層強化木材と呼ばれ、茶色よりも赤色に近い美しい素材です。
印章の素材は印材と呼ばれ、10種類以上もの印材から好みのものを選べるお店もあります。ご自身の好みや、会社としてどれがふさわしいかなどを考慮して決めましょう。
書体は主に3~5つ程度から選ぶことができます。篆書体(てんしょたい)、吉相体(きっそうたい)、古印体(こいんたい)がよく選ばれる書体です。
漢委奴国王印にも使用されている古くからある書体です。日本の紙幣に使用される印鑑もこの篆書体で、偽造が困難だと言われています。
なんと書いてあるか読みづらいが、ぎりぎり読めるレベルの書体です。
篆書体からの派生で、印相体や八方篆書とも呼ばれます。外側に向かって流れる自体は力強さを感じさせます。
末広がりな文字が多いことから開運の書体と言っていいでしょう。しかしながら、篆書体よりも読みづらくなっています。
読めない文字は実印登録できませんので、あまりに読みづらいと注意が必要です。
とても読みやすく、実印や銀行印ではあまり用いられませんが、認印によく用いられる印章彫刻用の書体です。
画数が多い社名でしたら、こちらの古印体が見やすいかもしれませんね。
いまやほとんどのショップで、英字、数字、漢字、ひらがな、カタカナ、すべて彫刻文字として使用することができます。
しかし、機械彫りであれ手彫りであれ、印章の大きさによって彫刻できる文字数が制限される場合があります。
ショップごとに違いますので、不安がありましたら問い合わせてみましょう。
また、文字数・配列のバランスを見て、「之印」や「印」が会社名のあとに続く場合もあります。これから長い年月付き合っていく印章ですので、印影のプレビューを確認することをおすすめします。
店頭でも購入できますが、インターネットでの購入が便利でおすすめです。どのような利点があるか見ていきましょう。
実店舗がある傍ら、ネットで注文を受け付けているお店もありますが、そうでないお店もあります。
実店舗を構えている場合は、家賃や光熱費などの費用を商品の代金に上乗せして販売します。
実店舗がないということは、上乗せする費用がないためその分安く購入できるということです。
コロナ自粛の影響もあり、営業時間を大幅に短縮している実店舗は多いものです。
ですが、ネットショップはというと、24時間注文可能で、コロナの影響を感じさせません。店舗に行く必要がありませんから、外出を極力減らすことができますし、安全に買い物できますね。
いろいろなショップがありますが、ネット通販専門店を3つ紹介いたします。
はんこプレミアムは創業8年、まだ新しいながらも豊富な品揃えとスタイリッシュなデザインが目をひきます。
素材で驚いたのは、チタン・水牛・木材のほかに、樹脂の印章があるのですが、ボディの中に本当に小さな花が入っているものがあります。飾っておいてもいいほど美しく、印章とは思えません。是非探してみてください。
さて、こちらも「法人用印鑑セット」があり、黒水牛3本で14,080円(税込)から(2020年6月現在30%割引応援キャンペーン中)と、かなり安くてに入ります。
素材を選ばなければ、9,000円を切るものもあるのが嬉しいですね。商品代金5,400円以上で送料無料になります。
支払い方法は、クレジット・代金引換・後払い決済・銀行振込(前払い)、Amazon Payに対応しています。
はんこdeハンコは、全国一律で送料550円と送料がお得な印鑑ネットショップです。
通常の印鑑だけでなく、電子印鑑も作成できるのが魅力。
即日出荷にも対応しているので、急に印鑑が必要になったときにもおすすめです。
購入より10年以内であれば無料で彫り直し可能。
印影プレビューが無料で、印鑑一本につきソフトケースが付属されています。
出典元:ハンコマン公式HP
ハンコマンは、100%自社制作の印鑑を専門にオンライン販売しています。
法人印鑑が急に必要になった時は、平日は16時までの注文で、即日スピード出荷・翌日配達が可能です。
支払い方法は、クレジットカード決済、代金引き換え、銀行振込、NP後払い、コンビニ決済に対応しています。
いかがでしたでしょうか。角印ってそういうことだったのか、と思っていただければ幸甚です。
最近では、自分らしさを追及して、個人の認印に角印を使う人もいるのだとか。一味違った宅配便の受取になりそうですね。
画像出典元:Pixabay、Photock