電子印鑑で業務効率化!印鑑を電子化する意味やおすすめツールも紹介

電子印鑑で業務効率化!印鑑を電子化する意味やおすすめツールも紹介

記事更新日: 2024/09/12

執筆: 高浪健司

書類に印鑑を押すといったシーンはビジネスにおいて良くあることです。

特にハンコ文化が根付いている日本では印鑑を必要とする場面が非常に多く、テレワークを実施しているにも関わらず、わざわざ押印するために出社するケースも少なくないほどです。

近年では押印作業を減らし、ペーパーレス化にしていくため電子印鑑を取り入れる企業も増えてきています。

そこで今回は、電子印鑑について詳しく解説するとともに、おすすめ電子印鑑作成ツールも紹介していきます。

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電子印鑑とは

見積書や納品書、請求書に契約書など、ビジネスにおいては様々な書類が存在します。

また、そうした書類をやり取りする際には、書類を確認した、承認した、ということを示すために印鑑が用いられるケースがほとんどです。

しかし近年では働き方改革の一環として、政府をはじめとする多くの組織や企業の間でペーパーレス化が進んでいます。

そのため、これまで用紙を使用して作成していた書類も今ではPDFファイルで作成し、相手にはメールで送信して確認してもらうなど、デジタル化が進んでいます。

電子印鑑とは、こうしたPDFファイルなどでデジタル化させた書類を作成する際、パソコン上で押印することができる印鑑のことを言います。

ここ数年の間で、自宅などオフィス以外で仕事をおこなうテレワークが増えてきており、書類のやり取りもメールなどで済ませるケースが確実に増えました。

しかしながら、ハンコ文化が根付いている日本においては、わざわざハンコを押すためだけに出社するといったケースも少なくありません。

仮にそれが代表者印(会社実印)や銀行印であればともかく、社内文書など認印だけで済むような書類であれば電子印鑑を活用し、日々の業務をより効率的に遂行していきたいところです。

 

電子印鑑の種類

一口に電子印鑑と言っても電子印鑑には大きく分けて「印影を画像化したもの」と「印影に情報が入ったもの」の2種類があります。

では続いて、この電子印鑑の種類についてそれぞれ違いを紹介します。

画像化した電子印鑑とは

これは単純に印影を画像化するものです。この方法は、主にパソコンを使用して作成され、その作成方法はいくつかありますが、いずれも比較的簡単に作成することができます。

電子印鑑の作成方法としては…

⑴ 用紙に押印して、押印した印影をスキャナで読み込み作成する

⑵電子印鑑を作成する専用ソフトで作成する

⑶ハンコ屋さんなどが行う電子印鑑作成サービスを利用して作成してもらう

このように単に印鑑を画像化するだけのものであれば、費用をかけずに自身でも作成することは可能です。

なお、印影を画像化する際、画像形式をPNG形式で作成すると背景が透明になるため使い勝手が良くなります。

なお、上の(1)で挙げたスキャナを使う方法ですが、スキャナが無い場合はスマートフォンのカメラで印影を撮影して同じように作成することができますので、スキャナが無くてもわざわざ準備する必要はありません。

上記の方法で作成する場合であれば費用をかけず、比較的簡単に作成することが可能です。

印影に情報が入った電子印鑑とは

電子印鑑には単に印影を画像化したもののほか、印鑑の所有者は誰なのか、いつ押印をしたのかなどが判別できるよう、印影の画像データのなかに識別情報が組み込まれている電子印鑑があります。

こうした識別情報が組み込まれている電子印鑑を作成するには、大半が有料ソフトやウェブサービスを利用することになりますが、しっかりと情報が組み込まれている分、単に画像化したものよりも信ぴょう性が高く、セキュリティ面においても安心です。

ただし、作成する際はほぼ有料となります。

◾️電子契約上ので印鑑の法的な取り扱いについてはこちらをご覧ください。

 

電子印鑑のメリット・デメリット

時代の変化と共にペーパーレス化が進み、大企業のみならず中小企業でも電子印鑑を使用する機会がこの先も増えていくでしょう。

そして今まさに、電子印鑑を使おうとしている人も多くいるかと思いますので、ここで電子印鑑を利用することのメリット・デメリットをお伝えします。

メリット

電子印鑑を使うことで、どのようなメリットが得られるのか。まずは電子印鑑のメリットをご紹介します。

1. 業務の効率化

電子印鑑を利用することによる最大のメリットは「捺印業務の効率化」です。従来は、捺印を押す必要のある書類は、まず作成した文書を印刷してから用紙に捺印を押します。

しかし電子印鑑の場合は、パソコン上で捺印を押すことができるので、わざわざ印刷する必要はありません。また、朱肉の付け方やハンコの押し方が悪いと印影のかすれが生じることも稀にあります。

ちなみに、印影がかすれている場合、認印であれば問題なくとも実印の場合は照合が必要となるため、全体が把握できないと法的効力が効かない場合があるので注意が必要です。

電子印鑑では、印刷の手間や朱肉の準備、そしてハンコの押しミス、印鑑本体の劣化・紛失などといった、手間やリスクを無くして書類を扱う日常業務の効率化に繋がります。

2. コストの削減と管理のしやすさ

電子印鑑にすると、当然ながらペーパーレスとなるため印刷に伴うコスト(コピー用紙・インク代)を削減することができます。

日々なにげなく印刷している印刷物も、月や年単位の合計を可視化してみると意外と多くのコストがかかっているのが分かります。

また、紙書類はファイリングしたのち、一定の場所に保管しなければなりませんが、電子文書はUSBメモリーなど電子記録媒体に保存しておけます。

そのため、紙書類よりも管理がしやすいといったところも大きなメリットです。

 

デメリット

では続いて、電子印鑑を使用することによってどのようなデメリットが生じるのでしょうか。電子印鑑に関して考えられるデメリットをご紹介します。

1. 導入コストがかかる場合がある

電子印鑑を使用するには当然ながら電子印鑑を作成する必要があり、作成には専用ソフトやツールなどを用意しなくてはなりません。

なお、電子印鑑用として印影画像を作成するサービスも多々ありますが、業者に依頼すれば当然コストがかかります。

いずれにせよ電子印鑑を使用する際にはコストがかかると考えておくと良いです。

2. セキュリティにおける信頼性の考慮

電子印鑑はエクセルや画像編集ソフトなどを使用すれば自分でも簡単に作成することができます。

しかし、簡単手軽に作成することができるということは、その裏をかえせば印影画像の複製も簡単にできてしまうということ。

そのように、印影が複製されてしまうと、なりすましなど不正利用などのリスクも伴います。

こうしたリスクを考慮すると、識別情報などのデータが組み込まれている電子印鑑を使用すると安心です。

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電子印鑑で対応できるもの・できないもの

電子印鑑を使用するにあたり、電子印鑑で対応できるもの、そうでないもの、つまり電子印鑑の法的効力はどうなのか。といったところは気になる部分かと思います。

前述のとおり、書類に印鑑を押すという行為は、本人がその書類を確認し承認したか、ということを示すためのものであり、押印自体に法的効力はほとんどありません。これは電子印鑑だからというわけではなく通常の印鑑でも同じです。

つまり、電子印鑑の使用が認められるか認められないかは、あくまで取引をおこなう相手側のルールによるもの。ということになってくるでしょう。

なお現段階において、電子印鑑は多くの企業で広く普及しているものではなく、特に実印が必要となる場合、電子印鑑の使用が認められないといったケースがほとんどです。

そのため、現段階の日本において電子印鑑は、認印としての使用が妥当であると考えます。

とはいえ、請求者や納品書、領収書などの書類をPDF化し、積極的に電子印鑑を使用する企業も増えていることは確かであり、近年ペーパーレス化も進んでいることから、今後もさらに電子印鑑を活用する機会も増えていくものだと思われます。

◾️会社における「認印」についての詳しい解説はこちら!

 

電子印鑑おすすめ作成ツール8選

ここまで電子印鑑についてお伝えしてきましたが、これから電子印鑑を使用する、もしくは使用してみたい。そう考えている人も少なくないでしょう。

続いて、電子印鑑を作成するための、おすすめツールを8つご紹介します。

Web認印

Web認証 公式サイト:http://www.hakusyu.com/webmtm/

Web認印は、無料かつ会員登録することもなく簡単に電子印鑑を作成することができるオンラインサービスです。

また、名字も10,000姓が収録されているため、たとえば佐藤や鈴木、高橋など比較的多い名字であれば簡単に作成できるでしょう。逆に珍しい名字の場合は作成することができません。

また、このサイトで作成した印影画像は背景透過になっていません。そのため、白背景の場所に使用する分には問題ありませんが、文字の上など背景がある場所に使用すると文字が消えてしまいます。

もし背景がある場所で押印する場合は、自身で背景透過に加工する必要が出てくるので、その点注意が必要です。

クリックスタンパー

リックスタンパー  公式サイト:https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/clickstam/

クリックスタンパーは、丸印だけでなく角印も対応しているほか、上段・中段・下段と複数段にわけて任意の文字を入れることが可能です。

そのため、使用用途に合わせた様々な印鑑を作成することができます。

また、縦横のサイズや解像度も調節することができ、さらに作成直後にクリップボードにハンコがコピーされるため、エクセルやワードなどに直接挿入することが可能です。

Excel電子印鑑

Excel電子印鑑  公式サイト:https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/excelstamp/

Excel電子印鑑は名称のとおり、マイクロソフトのエクセルで丸印や角印が使える電子印鑑作成ツールです。

このExcel電子印鑑はフリーで使用できるアドオンで、エクセル使用中に右クリックするだけでExcel電子印鑑といったメニューが現れ、いつでも簡単に印鑑を作成・押印することができます。

また、認印から日付入りのデーターネーム印、「社外秘、重要、見本 など」のビジネス印などまで、多種多様な電子印鑑が作成できるというのも嬉しいところです。

日常的にエクセルを使用して書類やビジネス文書を作成しているという方には、非常に使い勝手の良い便利な電子印鑑作成ツールであると言えるでしょう。

電子三文判

電子三文判  公式サイト:http://www.tororokonbu.jp/shankofree/

こちらの子三文判は、有料ソフトとして「とろろこんぶシステム工房」がリリースする「承認はんこ」のフリー版です。

有料版である承認はんこでは2600名字が収録されていますが、フリー版の電子三文判はそのうちの多い名字200種類に限定されているほか、自らテキストを入力して作成することができないないなど制限はあります。

しかし、「承認・領収・受領・回覧・重要 など」全20種類のビジネス印が使えたり、印鑑に日付や文書番号、承認者名、承認者の所属、承認項目など、様々な情報を挿入したりすることが可能です。

電子三文判は名字が200種類と限定的となってしまいますが、個人・企業ともに無料で使えますので、社内の業務で軽く使用するぐらいであれば手軽で良いのではないでしょうか。

パパッと電子印鑑

電子三文判  公式サイト:https://ging.co.jp/product/useful/estamp.html

パパっと電子印鑑は、本格的な電子印鑑を作成するユーティリティソフトで、使用できる印章用フォントは全10書体。

作成できる印鑑の種類も、認印・三文判をはじめ会社印として使用できる本格的な丸印・角印、そして社内で頻繁に使用する承認印や社外秘など、様々な種類の印鑑に対応しているので便利です。

また、一般的に作成する電子印鑑画像は、JPG・PNGなどビットマップ形式で出力されるのに対し、パパっと電子印鑑はベクターデータ形式で出力されるため、縮小・拡大しても変わらず綺麗に表示されます。

さらに、紙へ押印した際に生じる印鑑独特のかすれも独自の技術を駆使してリアルに表現。かすれ具合も自身で調節することができるなど、印鑑へのこだわりが感じられます。

もちろんExcelにも対応しており、Excelに使用する際はドラッグ&ドロップだけで印影を挿入することが可能なので、非常に使い勝手の良い電子印鑑です。

料金については、「パパッと電子印鑑Free:無料」「パパッと電子印鑑3  PRO:9,241円(税別)」「パパッと電子印鑑3  Premium:11,074円(税別)」の全3種類となっています。

しかしながら「パパッと電子印鑑Free」に関しては現在のところダウンロードできない状態となっているため、パパっと電子印鑑を使用する場合は、有料版の「PRO」か「Premium」どちらかとなるのでご注意ください。

はんこ堂ドットコム

電子三文判  公式サイト:http://www.hankodo.com/

はんこ堂ドットコムは、印鑑やゴム印の製造・販売をメインとする会社で、電子印鑑としてのサービスは本来おこなっておりません。

しかし先頃、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、テレワークが一層求められるようになりました。

そんな中、はんこ堂ドットコムを運営する株式会社リンシュンドウは、印鑑を作成する際の仕上がりイメージを確認するため以前からおこなっていた「印影プレビュー作成ツール」をテレワーク支援のため無料で公開されたものです。

印影の作成方法は非常に簡単で、同社トップページより印影プレビュー作成ツール画面に入り、個人・法人・法人角印など用途に合わせて選択、指示に従って文字列を入力するだけで印影のプレビューが作成されます。

作成された印影(画像データ)を右クリックして画像を保存し、デジタルデータに挿入すれば完了。電子印鑑として使用することが可能です。

ちなみに保存される画像データはすべてPNG形式なので、文章の上に置いても文字が潰れてしまうということもありません。

なお、使用できる書体は用意されている「隷書体(れいしょたい)」「篆書体(てんしょたい)」「行書体(ぎょうしょたい」の3種類です。

もちろん、個人用・法人用・商用、いずれも無料で使用することが可能となっているので、この機会にぜひ一度、利用してみてはいかがでしょうか。

京都光林堂

電子三文判  公式サイト:https://www.kyoinsho.co.jp/d_hanko/

京都光林堂は、彫りとデザインにこだわりを持ち、クオリティの高い本格的な印鑑を作成する京都のはんこ屋さんです。

同社が提供する電子印鑑作成サービスはすべて有料となり、「個人認印:1,500円(税抜)」「法人角印:4,500円(税抜)」「法人丸印:5,000円(税抜)」の3タイプから選べます。

また、書体は最大27種類から選ぶことができるほか、背景透過処理をした「PNG」「GIF」いずれか2種類の画像形式から選べます。

京都光林堂の電子印鑑は、実際の印鑑デザインと同じ工程で制作するので仕上がりも綺麗で、もちろんエクセルやワードなど一般的に広く使われているオフィス系ソフトにも簡単に印影を挿入して使うことができます。

いずれも費用が必要となりますが、比較的リーズナブルな設定となっているので、「自分で作るのは面倒」だけど「クオリティの高い電子印鑑が使いたい」といった方にはおすすめです。

My電子印鑑

MY電子印鑑  公式サイト:http://www.sunsale.co.jp/myden/

画像というのは基本的に「ビットマップ画像(ラスター)」「ベクトル画像(ベクター)」この2種類に分類されます。

このうちビットマップ画像は、ひとつの画像に対して無数の点が集まることで構成されています。そのため、画像を拡大していくと画像が荒くなってしまします。

一方ベクトル画像は、点と線の情報が数値化されている画像であるため、どんなに拡大や縮小をおこなっても画像が荒くなりません。

現在のところ、電子印鑑はビットマップで作成されることが多いですが、このMy電子印鑑は、画像サイズを変更しても荒くならないベクトル画像で作成されます。

そのため、たとえPDFで拡大してもギザギザやカクカク感が無く、鮮明で美しい押印が実感できます。

また、印影の不正コピーを抑制するため、使用者の名前を2か所、極細・極小のカタカナで埋め込むなど、セキュアな電子印鑑の仕組みとなっているのもMy電子印鑑の特徴です。

料金については下記のように設定されています。

My電子印鑑の料金は自身の用途に合わせて選べるよう細かく設定されています。そのため、実際に導入する際は見積りを請求し、正しい料金を確認するようにしてください。

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まとめ

納品書に請求書、そして契約書、さらには社内回覧や報告書、起案書など、ビジネスシーンには数多くの書類が存在し、その書類を確認し承認したという意思表示を残すために承認者は押印をします。

こうした押印作業は、ハンコ文化が根強く残る日本においては当たり前な作業となっています。しかし、この押印作業こそが業務の効率を下げ、そして無駄なコストをかけているのです。

近年では働き方改革の一環として、テレワークやペーパーレス化など企業における業務改善が推奨されています。

なかでも用紙を使わずPDFファイルで書類を電子化するペーパーレス化に関しては、日常業務におけるコスト削減や作業効率化などに繋がるなど、多くの企業でも取り入れ始めています。

前述のとおり、電子印鑑はパソコン上で作成された電子書類へ直接押印することができるようにしたもので、ペーパーレス化においては必要不可欠なシステムです。

ただ、私たち日本人の暮らしにハンコ文化が深く根付いていることもあり、ビジネスにおける電子印鑑の普及はまだまだ発展途上の段階であると言えます。

そのため、電子印鑑はあくまで認印として使用する程度にとどまるケースが現時点では多いでしょう。

しかし、経団連の中西宏明会長も「ハンコに頼る文化はまったくナンセンス」と、語るほど脱ハンコに対する意見を述べられています。

こうした動きから、今後はさらに電子印鑑の普及は広がっていくものと考えられます。

なお、ここでご紹介したとおり、電子印鑑には無料で作成できるものから有料で作成するものまで数多くのサービスが存在します。

ぜひ、ご自身の利用用途にあったサービスで電子印鑑を作成し、脱ハンコで日々の業務をよりスマートなものにしていきましょう。

画像出典元:O-DAN/PhotoAC

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