荷物の受け渡しや会社の書類などにも使用する印鑑「認印(みとめいん)」。同じ印鑑だからと、認印を実印(じついん)として使う方もいます。
しかし、認印は実印とは異なります。また、認印は「三文判(さんもんばん)」と呼ばれることもありますね。
認印と三文判、実印は、何がどう違うのでしょうか? そもそも認印とは何でしょうか?
普段何気なく使っている認印ですが、その定義や他の印鑑との違いについて説明してと言われても、意外と適切に説明できないものです。
そこで今回は、日常的に使用する認印について、定義から使用用途、他の印鑑との違い、購入するならおすすめのハンコ業者に至るまでをご紹介します。
このページの目次
日常的に使う頻度の高い「認印」。その定義について、解説します。
認印とは、どこにも届け出をしていない印鑑全般を指します。荷物の受け渡しや、役所での届け出、会社などの書類の承認や意思確認といったものに使われます。
認印には、「シャチハタ」や「三文判」と呼ばれるものがありますが、これらはそれぞれ異なるものです。
シャチハタと認印の違いについての詳細は後述しますが、認印をよく「三文判」と呼ぶことがあります。
これは、どんな印鑑も手彫りされていた昔から、機械による大量生産が可能になってから呼ばれるようになりました。
街にある印章店(ハンコ屋)で売られている認印でも、最近は機械で生産されたものが販売されていますが、それらは全て三文判に当たります。
また、100円均一ショップで販売されている認印も、同じく機械生産によるものですので、ディスプレイに「認印」と書かれていても、三文判と呼ばれるものになります。
あえていうなれば、認印の定義とはどこにも届け出をされておらず、なおかつ手彫りされたものといえるでしょう。
認印の代わりにシャチハタが使われることがあります。
これは、シャチハタが認印の一種だからです。ところが、使用する書類によってはシャチハタの使用ができないものがあります。この理由は、シャチハタの特徴に関係しています。
シャチハタは、文字のある印面がゴム製になっており、ゴムの印面にインクを浸透させて使う浸透印です。
一般的な認印は、木やプラスチック、金属、高価なものになると動物の骨から作られた材質を使用して、そこに名前が彫られて作られます。
堅い印材のため変形しにくいのですが、シャチハタの場合は柔らかいゴムを使用しているため、何度も使用を繰り返すうちに印面に変形が見られるようになります。
さらに、シャチハタに使われているインクは朱肉とは異なり、消えやすいという特性があります。
長期保存を目的とした書類や公的な書類など、重要度の高い書類でシャチハタが許されないのは、このためです。
ちなみに、「シャチハタ」はメーカーの名前です。
もともとは、シャチハタ株式会社が浸透印のハンコを製造・販売したことが始まりです。
それまで朱肉を使う認印が一般的でしたが、印鑑と朱肉の両方を常に用意していなければならず、それが不便でもありました。
ところが、浸透印が開発されて市場に出回るようになると、とても便利で画期的な商品だということで利用者が増えたのです。
当時、販売されていた浸透印はシャチハタだけでしたので、いつしか浸透印のことを「シャチハタ」という通称で呼ぶようになり、現在に至っています。
認印を銀行印として利用している人は、案外多いのではないでしょうか。
銀行で口座開設をする際、用意する印鑑は認印でも可能なことから、銀行印の代わりに認印で開設する人もいます。
ですが、本来、銀行印は認印とは異なる印鑑を使うのが望ましく、できれば印影の複雑なものを使用するのがベストです。
銀行印に認印を使用すると、簡単に印鑑を複製できてしまうからです。
もしも、銀行印として使用した認印が三文判であった場合には、簡単に印鑑そのものを用意できてしまいます。
さらには、万が一通帳や印鑑を紛失したり、盗難に遭ったりしたときに資産を失う可能性が高くなります。
こうしたセキュリティを考えると、未然にトラブルを防ぐためにも銀行印に認印を使用するのは避けるべきです。
また、犯罪などのトラブルに巻き込まれないためにも、銀行印に使用する印鑑は、多少費用がかかってもハンコ業者に依頼して作製してもらうのが望ましいでしょう。
実印とは、役所に届け出た印鑑のことを指します。
認印とは異なり、法的効力を持つ印鑑です。そのため、実印は日常的に使うものではなく、使用用途も資産に関わる契約や会社の登記など、重要な場面に限られています。
たとえば、車や保険、不動産の購入や譲渡など、権利にまつわるものです。
実印として登録する印鑑は、認印でも届け出ることは可能です。
けれど、先述したことを踏まえれば、簡単に複製できる認印は避けるべきでしょう。
法的な効力を発揮する印鑑ですから、ハンコ業者に依頼して銀行印よりも複雑で、偽造することが困難な印面で作製してもらいましょう。
費用は認印よりも高価になりますが、印材によって金額に幅がありますから、予算を立てて業者と相談してみるのもいいですね。
なお、実印は役所に印鑑登録の届け出をするまでは、効力を持ちませんが、認印として日常的に使うのは避けましょう。
役所で印鑑登録手続きを行うと、証明として「印鑑登録証」が発行されます。この証明書は、実印同様に大切に保管してください。
認印を用意するとき、どんな材質のものを用意して、どんな書体に仕上げてもらうのがベストなのか。その判断のポイントはどこなのかについて、解説します。
印鑑の材質のことを「印材(いんざい)」といいますが、種類は多岐にわたります。
以下に、材質としてよく使われるものと、その特徴を挙げています。認印を作られる際の参考になさってください。
材質名 | 特徴【長所】 |
特徴【短所】 |
価格相場 |
黒水牛 |
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~10,000円 |
オランダ水牛 |
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~20,000円 |
彩樺 |
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~5,000円 |
柘/薩摩本柘 |
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~5,000円 |
黒檀 |
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~5,000円 |
白檀 |
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5,000~20,000円 |
チタン |
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10,000~20,000円 |
象牙 |
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10,000~20,000円 |
琥珀 |
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10,000~20,000円 |
水晶 |
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10,000~20,000円 |
マンモス |
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20,000円~ |
天然石 |
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|
20,000円~ |
印鑑の素材に使われるのは、大まかに分けて、木材・金属・宝石類・動物由来のものの4種類です。
どの素材にも良い点、悪い点がありますので、使用用途や頻度など総合的に判断して素材を選ぶようにするといいでしょう。
なかなか自分では素材を決めかねるという方は、ハンコ業者に相談してみると、適した素材をピックアップしてもらえます。
認印に使われる書体は、主に3種類です。
印鑑そのものに使われる書体は、主に6種類ですので、その半数の書体が認印にも使われていることになります。
書体名 | 特徴 |
隷書体(れいしょたい) | 象形文字から生まれたとされている篆書体(てんしょたい)を簡略化した書体。 |
古印体(こいんたい) | 隷書体から派生した日本独自の書体。隷書体よりもやや丸みを帯びた書体になっている。 |
楷書体 | 教科書で見られる書体と同じ。浸透印でよくみられる書体。 |
行書体 | 一点一画を続けて書いたような書体。画数の多い文字では、簡易表記になることも。 |
100円均一ショップや文具屋にある認印は、1種類のサイズで販売されていることがほとんどです。
しかし、本来、認印には男女で違いがあるのです。
・印鑑のサイズが異なる
・名前の入れ方が異なる
まず、サイズについて。男性の方がやや大きく、女性の方がやや小さめに作製するのが古くからの習わしとして残っているのです。
この慣習は、認印だけでなく、実印や銀行印にも適用されています。
認印 | 銀行印 | 実印 | |
男性サイズ | 12.0~13.5mm | 13.5~15.0mm | 15.0~ 18.0mm |
女性サイズ | 10.5~12.0mm | 12.0~ 13.5mm | 13.5~ 15.0mm |
実印の場合は、登録する先によって定められたサイズのものを用意する必要がありますが、基本的にはどの印鑑も、女性の方が一回り小さいサイズになっています。
この理由は、後家相(ごけそう)という言い伝えに由来します。
後家とは、未亡人という意味があるように、“つがい”となる相手を失うことを指す言葉です。
つまり、後家相とは、女性の運気が強くなり、男性の運気を吸い取ってしまうことなのです。
昔は女性が男性を立てることが夫婦の在り方とされており、男性が一族の家長という考え方根強くありました。
家長である男性や世継ぎの男性が早くに逝去することは、一族の存続に多大な影響を与えかねないとされていました。
これらの社会的背景から、女性は男性よりも運気が強くなりすぎないようにという意味を込めて、男性より小さい印鑑を持つこととされたのです。
名前の入れ方が違うという点については、女性は結婚によって姓が変わるところから、男性は苗字、女性は下の名前を刻印することになっています。
しかし、これらは絶対的なルールというわけではありません。
男性でも妻方の姓を名乗ることもありますし、双方が別姓であることもあります。
結婚をしないという選択もありますから、必ずしもこの習わしに合わせる必要はないのです。
ただ、依頼するハンコ業者によっては、何も言わなければ上表の範囲のサイズや、性差による名入れでの対応を受ける可能性があります。
サイズや名前の入れ方に要望がある場合は、依頼時に誤認がないよう、しっかりと伝えるようにしましょう。
近年は、街で印章屋を見かけることも随分と少なくなりました。
認印を購入するに当たり、きちんとした業者に依頼したいという方には、以下のハンコ業者をご紹介します。
各業者は、それぞれインターネットで依頼・購入ができますので、忙しい起業家やビジネスパーソンの皆さんにとって、スムーズに欲しい認印を手に入れられるはずです。
はんこdeハンコは、全国一律で送料550円と送料がお得な印鑑ネットショップです。
通常の印鑑だけでなく、電子印鑑も作成できるのが魅力。
即日出荷にも対応しているので、急に印鑑が必要になったときにもおすすめです。
購入より10年以内であれば無料で彫り直し可能。
印影プレビューが無料で、印鑑一本につきソフトケースが付属されています。
関東一円で店舗展開もしている「平安堂」は、日本で一番印材が豊富な印章店です。
芸術性高い印影から、一般的な書体による印影まで幅広く対応してくれます。象牙の印材では、100年間の保証制度もあります。
また、使用しているうちに欠けてしまう印面の彫り直しサービスもあり、長く付き合える業者だといえるでしょう。
高級印材を求めやすい価格で販売している「はんこプレミアム®」です。耐久性に優れたチタン製や、開運効果があるとされる水晶など、高級印鑑が10,000円以下で購入できます。問い合わせへのレスポンスも早く、最短で即日出荷してもらえるのも大きなメリットです。
無料の10年保証サービスがあるので、摩耗で印影が出づらくなっても送料以外の負担金なしで彫り直しも可能です。
認印は、役所にも銀行にも届け出をしていない印鑑です。
いくつも印鑑を持つのが面倒だからと銀行印や実印と混ぜてしまうのは、防犯上とてもリスクがありますから、それぞれで印鑑を用意するようにしてください。
また、認印は三文判やシャチハタで代用することは可能ですが、こちらも印影が複製されるようなリスクがある場面で使うのは避けるようにしましょう。
社会生活をしていると、認印を使う場面は、幾度となくあります。
長く使うものですから、この機会にぜひ、オリジナルの認印を購入してみてはいかがでしょうか。
画像出典元:Pixabay