廃業やむなし!決断前に知っておきたい廃業の意味とメリット・デメリット

廃業やむなし!決断前に知っておきたい廃業の意味とメリット・デメリット

記事更新日: 2020/03/18

執筆: 編集部

後継者がいない、事業に明るい未来が見えない、などの理由で廃業を考える経営者が年々増えています。

長年経営した愛着のある会社を廃業するのは苦渋の決断ですが、その決断の前にもう一度廃業の意味を見直してみませんか?

この記事では廃業と倒産の違い、廃業が増えている背景、廃業のメリット・デメリット、廃業の手続きなどを分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。

廃業と倒産の違い

廃業と倒産のもっとも大きな違いは、倒産には必ず経営破たんという前提があるのに対し、廃業の前提条件はさまざまだということです。

廃業とは

廃業とは、経営破たん以外の理由で自主的に事業をたたむことです。(経営破たんとは一言でいうと「支払うべきお金が払えなくなリ事業を継続できない経営状態」です)

廃業の理由には、おもに次のようなものがあります。

  • 経営者が高齢になったが、後継者がいない
  • 経営不振(このまま事業を続けると経営破たんする可能性が高い)
  • M&Aを試みたが、買取先がなかった
  • 事業を継続する意思、意欲がない

事業を継続する意思がなくなるのには、個人的な意欲以外に時代が変わって事業内容(製品・サービス)に需要がなくなるというケースもあります。

倒産とは

倒産とは、経営が破たんして再建または清算に向けて法的手続きに入った状態です。

再建に向けた法的手続きには、「会社更生法」の適用申請と「民事再生法」の適用申請があります。

清算に向けた法的手続には、「破産法」の適用申請と「特別清算」の申請があります。

「特別清算」とは、債権者の同意が得られた場合の会社清算の手続きで、破産よりも手続きが簡単になります。

この他に、6ヶ月以内に2度の不渡り手形を出して銀行取引が停止されると「事実上の倒産」と見なされます。事実上倒産した企業も、再建または清算に向けて法的手続きに入ります。

ニュースなどで「今月の倒産件数」として発表される数字は、上記の諸手続きに入ったか、銀行取引停止になった企業の数です。

申請が認められるか否かに関わらず、申請した時点で倒産件数にカウントされます。

「倒産」は正式な法律用語でなく、東京商工リサーチが1952年から「全国倒産動向」の集計を開始したことで一般に知られるようになった。特に、1964年11月9日衆議院商工委員会で中小企業の倒産問題を東京商工リサーチの倒産データに基づいた国会質疑が行われ、「倒産」という言葉が普及した。

引用元:東京商工リサーチHP「倒産とは」
※強調は引用者

 

大廃業時代がやってくる?

日本企業全体の99.7%を占める中小企業の多くが後継者不在で、産業界は近い将来に「大廃業時代」を迎えると言われています。

倒産は減っているのに廃業は増えている

2013年から2019年にかけて、倒産件数は年々減っているのに、「休廃業・解散」の件数は年々増えています。

また、下のグラフのように、各年度とも休廃業・解散企業は倒産した企業の3~5倍に達しています


引用元:東京商工業リサーチ 2019年「休廃業・解散企業」動向調査

2019年に全国で休廃業・解散した企業は4万3,348件で、全企業358万9,000社の1.2%に当たります。

倒産した企業は8,383件で、全企業の約0.23%です。

【「休廃業・解散企業」の意味】

上記の統計で「休廃業・解散企業」となっているのは、休業・廃業・解散の3つが含まれているということです。

休業とは、会社はそのまま置いておくが事業は休止するということです。休業するときに、税務署と自治体に休業届を出す必要があります。(休業数のみの統計は一般に公表されないのか、筆者は見つけることができませんでした)

解散とは、広い意味では廃業や倒産で会社を清算する手続きですが、ここではM&Aによる旧会社の解散を指しており、廃業の1形態と言えます。

 

6割以上の企業が黒字で廃業している理由は?

2013年から2019年に廃業した企業の約6割は、直近の決算が黒字なのにもかかわらず廃業しています。

引用元:東京商工業リサーチ 2019年「休廃業・解散企業」動向調査

黒字にもかかわらず廃業する理由は、廃業した企業の社長の年齢を見ると分ります。

【廃業時の経営者の年齢 / 2019年】

  • 60代 27.5%
  • 70代 39.0%
  • 80代 16.9%

このように60代以上が全体の83.5%を占めています。

そこからうかがえるのは、黒字廃業の主な理由が経営者の高齢化と後継者の不在にあることです。

職種別で廃業が多いのは?

2019年に廃業した会社を職種別にみると、多い順に次のようになります。(カッコ内は2018年の件数)

1. サービス業他  13,245件(136,98件)

2. 建設業     7,027件(9,084件)

3. 小売業     5,749件(6,508件)

4. 製造業     4,996件(5,321件)

5. 卸売業     4,317件(4,557件)

(データ引用元:東京商工業リサーチ 2019年「休廃業・解散企業」動向調査

サービス業には飲食業を始め、美容院などの生活関連サービス、教育産業、運輸業などの多くの業種が含まれるので、トータルすると多くなるのは当然ですが、廃業が多いのは飲食業や美容室などの経営者の高齢化が大きな要因だと考えられます。

建設業の廃業の多くは、やはり経営者が高齢化して後継者がなく、黒字経営でもM&Aで大手に企業を売却するというケースです。

廃業のメリットやデメリットは?

経営が破たんする前に自主的に廃業することには、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

廃業のメリット

廃業のメリットには次のようなものがあります。

  • 倒産のような社会的不名誉ではない
  • 従業員や仕入れ先にかける迷惑を倒産よりも小さくできる
  • 経営状態によっては、ある程度の資産を守れる
  • 経営の責任から解放されて、精神的に楽になる

廃業は経営という観点からはあくまで後ろ向きの行為なので、メリットといってもハッピーなものではなく、倒産よりもメリットがあるという消極的メリットに留まります。

廃業のデメリット

廃業のデメリットには次のようなものがあります。

  • 従業員が失業する
  • 仕入れ先の仕事がなくなる
  • 地域社会の活気がなくなる
  • 資産の売却で足元を見られる
  • 長年愛着をもってやってきた仕事が消滅する

デメリットの中でもっとも経営者が心を痛めるのは、一緒に働いてきた従業員が職を失うことでしょう。

関係の深い仕入れ先を連鎖廃業や連鎖倒産に追い込むのではないかという心配もあります。

廃業の前にM&Aを検討しましたか?

廃業する会社の経営者の8割以上が60歳以上の高齢者で、廃業の理由が後継者いないことだとすると、廃業を避けるにはM&A(事業譲渡)しかありません。

従業員の中に後継者にふさわしい人がいたとしても、現実には無償でその人に資産を譲るわけには行かないという問題があります。

しかし、M&Aなら雇用を守りつつ廃業することができます。

経営者の中には最初から「うちの会社を買う会社などないだろう」と思って検討すらしない人が多いようですが、M&Aの環境は昔とは大きく異なっています。

2011年には1,687件だったM&Aの件数は、6年後の2017年には3,050件と倍増しています。

M&Aアドバイザーの数も増え、国も2018年改正の産業競争力強化法で中小企業のМ&Aを支援する施策を打ち出しています。廃業を決断する前に、一度は会社の売却を考えてみるべきです。

 

廃業の手続きはどうする?

廃業の手続きは個人事業と法人企業で違い、法人の場合はかなり多くの手続きが必要です。

個人事業の廃業手続き

個人事業の廃業は、「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署と都道府県税事務所に提出します。(廃業した日から1ヶ月以内)

青色申告をしている場合は、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を税務署に提出します。(廃業した翌年の3月15日まで)

消費税を納めていた場合は、「事業廃止届出書」を税務署に提出します。

従業員に給与を支払っていた場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を税務署に提出します。(廃業日から1ヶ月以内)

個人事業の廃業手続きには経費はかかりません。

 

法人企業の廃業手続き 

株式会社など法人企業の廃業手続きは、まず株主総会で会社の「解散」を決議して「精算人」を選定します(通常は会社の代表者)。

次に下記の諸手続きを行ないます。

  • 解散登記を申請⇒法務局
  • 財産目録と貸借対照表の作成⇒株主総会で承認
  • 債権者への告知と官報で解散公告を掲載⇒2ヵ月間掲載
  • 清算⇒債権を回収、債務を弁済、残った資産を株主に分配
  • 清算結了登記⇒法務局
  • 税務署に異動届を提出
  • 社会保険、雇用保険の「適用事業所全喪届」を提出⇒年金事務所

このように法人企業の廃業には多くの手続きが必要なので、実際には司法書士・税理士などの専門官のサポートが必要です。

廃業にかかる費用には以下のようなものがあります。

  • 解散・清算人登記 3万9000円
  • 清算結了登記 2000円
  • 官報公告費用 約3万3000円
  • 専門家への報酬

 

まとめ

自主的に事業をたたむ廃業は、経営破たんから倒産という最悪の事態よりも、関係者にかける迷惑が少ない選択肢です。

しかし、廃業にはM&Aで事業そのものと雇用を守る道も含まれます。

「廃業やむなし!」となったときは、経営が悪化しない内の早めの決断が必要ですが、愛着のある事業や従業員の未来もできるだけ配慮してあげたいものです。

画像出典元:pixabay、写真AC

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