会社設立の手続きを完了したら、次に行うのは企業の口座開設です。
「法人口座開設」のためにまずは何を用意すべきなのか、審査落ちしないためにクリアしておくべきポイントを説明していきます。
また法人口座開設に選ぶ各金融機関のメリット・デメリットも紹介していきます。
このページの目次
個人口座に比べて開設への審査がかなり厳しくなっている法人口座ですが、必ず作らなければいけないものなのでしょうか?
結論から言えば、法人口座がなくても事業は開始できます。
しかし法人口座を開設する事で会社に与えるメリットがあるため社長は必死になって法人口座を開設しようとするのです。
まずは法人口座の意義や必要性について説明していきます。
法人口座とは、金融機関の口座名義が「株式会社〇〇〇」など法人名義になっているものを指します。
法人口座は、会社を設立したからといって誰でも簡単に開設できるものではありません。
必要書類を用意し、社長自らが申請を行う必要があります。
冒頭で説明した通り、法人口座は事業を始める際に必ず用意しなければならないというものではありません。
会社代表(社長)の個人名義の口座で取引をおこなっても、法律的には問題ありません。
しかし、法人としか取引しない企業があったり、従業員採用時も法人の方がイメージが良いなど「社会的信頼」の面で差が出てきます。
個人事業主として事業をしていくことも可能ですが、このように法人口座を開設することで、社会的信頼を得られる要因になり、ビジネスをする上で様々な取引がしやすくなります。
無事会社設立を終え、「あとは口座開設だ!」と思っていたらなかなか思うように進まず、何度も銀行に足を運んで書類を用意し直す、といった人は少なくありません。
多くの人が口座開設につまずく要因を把握し、同じ苦労をしないよう事前に注意点を確認していきましょう。
平成18年の会社法の執行に伴い、資本金の下限がなくなったため「1円」から会社を設立できるようになりました。
しかし資本金は自己資金を意味するため、その額で銀行の心証はだいぶ変わります。
そのため最低でも50万円、できれば資本金100万円以上を目標にするのが安全です。
また資本金が1000万円を超えると設立初年度から消費税を払う必要が出てきてしまいます。
そのため基本的には資本金は100万円以上999万円以下に設定することをお勧めします。
また銀行によって基準が違うため、各金融機関のHPでチェックすることをお勧めします。
資金調達の方法は下記関連記事をご参照ください。
会社の定款に記載する「事業目的」があまりにも多い、または一貫性がない場合、事業内容が不明瞭であると判断され、口座開設を断られる可能性があります。
そのため事業内容を証明できるような資料を用意しておくことをお勧めします。
顧客との契約書や、自社ホームページ、事業内容を分かりやすくまとめた資料なども、十分な説得材料になります。
振り込め詐欺などの、法人口座を悪用した犯罪が多発していることから、登記住所は注意深くチェックされるポイントです。
そのため会社の住所をすぐに移転できるようなバーチャルオフィスやシェアオフィスの場合、審査に通らない可能性が高まります。
会社の電話を携帯電話にしている場合も事務所の実態が不明だと判断され、審査上マイナスポイントになることがあります。
法人口座開設時は固定電話を用意するようにしましょう。
しかし「固定電話を引くことで、維持費や料金が気になる、、、」という人も少なくないと思います。
そんな人にお勧めな裏技が「IP電話アプリ(050アプリ)」を利用することです。
簡単にいうと、いわゆる固定電話は持っていないものの、このサービスを利用することでスマホで固定電話の番号を使用することができます。
以上が法人口座開設時に審査でつまずく主な要因です。
各金融機関によって審査基準は異なりますが、基本的に上記4つに当てはまる場合は審査に通りにくいと覚えておいてください。
法人口座は会社設立後に開設に取り掛かかることが可能になります。
登記申請(会社設立日)をして、3日〜2週間ほどで登記登録が完了し、その時に履歴事項全部登録書(謄本)という書類を受け取ります。
この書類が法人口座開設には必要になってくるため、口座開設はこの後から実施することになります。
登記完了にかかる日数は法務局の混み具合によって変わってくるため、余裕を持って登記申請から1ヶ月後くらいに法人口座が出来上がる、と思っておきましょう。
まずは口座開設時に必要な書類を準備することから始まります。
必要な書類は次項にまとめてあります。
実店舗のある金融機関に申請に行く場合は、代表者(社長)が直接出向くことが求められます。
審査にかかる時間は、場合によって異なりますが、余裕を持って1ヶ月程度は見ておきましょう。
これで晴れて法人口座開設完了となります!
法人口座開設時に求められる書類は銀行によって微妙に異なりますので、各金融機関のHPで確認しましょう。
下記では基本的にどこの銀行でも必要になる、最低限準備が必要な書類を紹介します。
履歴事項全部証明書と印鑑登録証明書の取得方法は関連記事をご参照ください。
取得方法を分かりやすく紹介しています。
また会社実印、銀行実印の購入がまだの方は早めに準備をしましょう。
今すぐ購入しておきたいという方には、はんこプレミアムの会社設立印鑑セットをお勧めします。
自分できちんと選びたいという方は関連記事をご参照ください。
最近では、口座開設の審査が比較的ゆるく、手数料も安いネットバンクを選ぶ企業も増えてきています。
しかし手続きによってはネットバンクが対応していないこともあるため、ネットバンクに加えてメガバンクの口座も1つ持っておくのが理想的と言えます。
なぜなら、メガバンクの法人口座を持っていると、支店が多く取引がしやすいという点や取引先からの信用度も上がるため、やはりメガバンクでの口座開設は検討してみるのが良いでしょう。
法人口座開設ができる銀行は下記3つになります。
メガバンクには、「三菱UFJ銀行」「みずほ銀行」「三井住友銀行」などがあります。
メガバンクは審査が厳しいと言われがちですが、近年ではベンチャー支援を強化しており、一概に「メガバンクでの口座開設は難しい」とは言えない状況になっています。
やはり圧倒的な知名度と信頼度がメガバンクの強みです。
また、融資に利用できる点や全国各地に支店があり取引しやすいというメリットがあります。
法人口座の維持に年会費がかかるため定期的にお金を払う必要があります。
ネット銀行や地方銀行に比べて費用も高くなっているので、駆け出しの企業にとっては厳しい場合もあります。・
ネット銀行とは固定店舗を持たずに、コスト削減を図っている振興の銀行です。
「GMOあおぞらネット銀行」「住信SBIネット銀行」「ジャパンネット銀行」「楽天銀行」があります。
一言で言えば、ネット銀行は手間がかからず、費用が安く済みます。
メガバンクや地方銀行のように店舗に出向く必要がなく、ネット銀行ではインターネット上での手続きのみで口座開設することができます。振込手数料が安く済み月々の口座の利用料がかからないのもネット銀行を利用するメリットです。
例えば、GMOあおぞらネット銀行では、振込手数料が金額にかかわらず145円/件で、口座利用料やサービス利用料が一切かかりません。メガバンクでは400〜600円/件かかることが多いので、振込手数料だけでかなりの経費削減になるでしょう。
また、2023年1月16日よりペイジーの対応も可能になったため、メガバンクと遜色なく口座の利用が可能です。
住信SBIネット銀行もまた、インターネットバンキング利用料や口座維持手数料が一切かかりません。
他のネット銀行と比較しても、業界最低水準の料金なので、企業にとってはコスト削減につながり、おすすめです。
ネット銀行では、1日の引き出し金額に制限があります。
また、融資を受ける際に対象の口座として指定されていないケースもあるため、注意が必要です。
ネット銀行は開設しやすいと言われることもありますが、決して審査が緩い訳ではありません。ネット銀行での開設は非対面で進めるため、逆に審査が厳しいこともあります。
地方銀行は地域の主要な企業と連携していることが多く、「横浜銀行」や「群馬銀行」などが当てはまります。
メガバンクと比較すると、規模も小さいため近い距離で細かい点まで相談でき、融資や新規企業の相談に親身に乗ってくれるケースが多いです。
また、事業を展開している地域に支店やATMが集中しており、場合によってはメガバンクよりも利用しやすいという場合もあります。
地方銀行で法人口座を開設するデメリットとしては、首都圏に支店が少ないことです。
幅広い地域での事業展開を検討している場合は不向きだといえます。
さらに詳しくメガバンクやネット銀行の口座開設の費用や必要書類を知りたい方は関連記事をご参照ください。
この記事では法人口座開設の流れや注意事項、必要書類など「法人口座開設」の全体像を紹介しました。
結論から言うと、やはり法人口座開設は簡単に突破できる壁ではありません。
そのため自社の事業内容や事業計画を証明できる書類はできるだけ多く準備し、万全の対策をして口座開設に臨みましょう。