TOP > イベント > イベント > 現役テック系ベンチャーの資金調達のリアルを学ぶ!『ガクベンピッチ』@東京工業大学
大学発ベンチャー "ガクベン" が各大学で次々に生まれていますが、ガクベン同士の交流の機会はほとんどありません。ではやってみることで何か起こるのでは?ということで、テック系ベンチャーへの支援で数々の実績を持つ弊社プロトスターと東京工業大学が手を組み、勉強会イベントを実施しました!
初回のテーマは「現役テック系ベンチャー経営者による起業のための資金調達」。R&D系、テック系のガクベンを対象に、創業時の最大の課題である資金調達について現役ベンチャー経営者の生の声を聞きました。
またガクベン経営者、起業希望者によるピッチも実施!若い起業家が、今後の可能性を大いに感じさせるピッチを披露しました!
開催日:2018年9月10日
開催場所:東京工業大学 大岡山キャンパス
主催者:東京工業大学 研究・産学連携本部、プロトスター株式会社
東京工業大学 研究・産学連携本部の吉田匡氏が今回のイベントの趣旨・目的を軽く紹介しました。
まずは弊社栗島がスタートアップの資金調達の常識を紹介。スライドの一部を交えながら内容を紹介します。
プロトスター株式会社 代表取締役CCO
栗島祐介
早稲田大学商学部卒。株式会社VilingベンチャーパートーナーズCEOを経て、プロトスター株式会社を設立。HardTech領域の起業家コミュニティ「StarBurst」を創設し、日本最大のスタートアップコミュニティにまで育成。現在は起業家・投資家の情報検索サービスStartupListの立ち上げ、運営も行う。
そもそもスタートアップとは?ということをさらっと紹介。スタートアップはスモールビジネスと異なり、急速なスケールを目指します。
リーンスタートアップとは?という話もさくっと紹介しました。
シード、SeriesA〜Dのフェーズごとの定義とその資金調達相場を解説。
例えばエンジェル〜シード期のチーム有り・プロトタイプ有り・トラクション無しの状態だとバリュエーション相場が1億円、調達額は1,000万円程度です。
国内シード期以降の資金調達相場は以下の通り。
資金調達のタイミング・相場については、栗島が記事を書いています。非常に濃い内容となっており、読者からも好評をいただいています。こちらもぜひ!
スタートアップの資金調達についての常識を紹介したうえで、株式会社 RESVOのCEO 小林宣文氏にバトンタッチ。2017年5月に1.1億円を資金調達した時の生の声を聞かせてくれました。
株式会社RESVO CEO 小林宣文
東北大学大学院工学研究科 前期博士課程修了 修士(工学)。トヨタ自動車東日本株式会社開発部を経て2015年 株式会社RESVO CEOとして参画。
株式会社RESVO(レスボ)は統合失調症・自閉症の完全治療や発症予防の実現を目指す会社です。2015年創業で、2017年5月には1.1億円の資金調達を行っています。
現在、島根大学・大手製薬会社と提携し研究開発を実施中。
0から資金調達を学び、資金調達をして着金するまでの6ヶ月の体験を踏まえた感想・気づきをお話してくれました。
例えば、資金調達時の注意点として以下の3つが挙げられました。
1. チームに投資
1人法人はほとんど通らない。2~3人の創業チームが望ましい。
2. 時には断ることも大事
株式による調達は結婚よりも重い契約。自社から見てアンマッチなVCは勇気を出して断るべき。事業計画の相談についても、不合理なアドバイスは不採用に。
3. 初めての投資契約書は経験者か専門家にレビュー依頼必須
投資契約書の確認の段階で白紙になる可能性もゼロではない。初めての場合は初歩的なことを知らないのが普通。必ず相談を。
また資金調達時をした際の感想として以下の3つが挙がりました。
喧嘩も大事
調達がうまく進まない、決まらないととても焦るがそこはチーム皆で乗り切るしかない。お金も絡むことなので喧嘩も起きるが、このときの喧嘩で普段言えない深いところまで考えを共有できるので意外と大事。
資金調達をするなら覚悟を持つ
VCとの面談など、資金調達では事業責任者・開発責任者の工数が奪われるが、一度やると決めたら最短距離で走り抜けるべき。
技術かビジネスかを見極める
VC担当者の質問が技術に関するものか、ビジネスに関するものかを見極めて適切に対処する必要がある。ここを間違えると、たいてい上手くいかない。
ここまでの内容を踏まえ、質問タイム。参加者からの鋭い質問がいくつかあったので紹介します。
「人」をみて投資を決める人はなくても全然決める。
でもあった方が良い。イケてる資料があれば、イケてる人だと思われる。
プロトタイプを作るなど行動も見せると、口だけの人ではないと判断されるので尚良い。
IPOを考えているのであれば、それまで株式過半もてるように必要な資金と合わせて逆算して決める。
ただしシードの最初の投資は20%以下におさえるべき。
例えば最初に25%あげてしまうと、次のフェーズで創業者が過半の株式を維持するには、次の投資を25%未満に抑える必要がある。すると、新しい投資会社は既存投資家より比率が低いことになる。これを投資会社は嫌がるので、投資を受けるのが難しくなってしまう。
次の投資家が筆頭になれないのはだめということ。
大学発ベンチャー "ガクベン" によるピッチが各社6分の持ち時間で実施されました。これからが楽しみなガクベンばかりでした!
ピッチ順
1. iGEM Tokyo Tech
2. Hapbeat
3. SAgri
4. オーロラ
5. OUTSENSE
複数あるデング熱のタイプを判別するキットを開発。すでにある判別キットに比べ安価かつ正確なプロダクトを目指す。将来的には、デング熱感染の予測にも生かす。
どこでも音圧を体感できるウェアラブルデバイス。音楽の新しい楽しみ方を提供します。独自の振動メカニズムで、使いやすいサイズかつ高出力を実現した点が強みです。
実際に審査員がデモを体験。音楽のみだけでなく、ゲーム内の体験と連動して振動がフィードバックされるパターンも体験し、審査員も非常に好反応でした。
農家のノウハウの継承を支援する農家向けSaaSサービスを提供。農地位置、農地情報を航空写真から取得できる技術を有しています。
モバイルバッテリーのシェアリングサービスを開発中。コンビニなど、街中のお店で借りて、充電後に別のお店で返却することができます。
折りたたんで広げることができる "折り紙ハウス" ことポータブル住居を開発中。2030年を目処に月面での施設建設を目指しています。まずは地上で仮設住宅の建設などに生かす計画です。
なお、審査員は INDEE Japan Ltd 代表取締役 津田真吾氏とみらい創造機構 取締役 金子大介氏が務め、各起業家にフィードバックを行いました。
Hapbeatのデモの感想を共有する津田氏
フィードバックを行っている金子氏
スタートアップの資金調達の基礎知識を学び、実際に資金調達を終えた生の声をきき、さらに5社のピッチを見ることができるという、とてもたった3時間のイベントとは思えないほど充実した内容でした。
今回は第1弾ということで、また第2弾が開催されるはずです。第2弾開催の際は、またしっかりとレポートしてまいりますので、どうぞお楽しみに!
写真撮影:起業LOG編集部
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