TOP > イベント > イベント > 川崎市主催のアクセラレータープログラム「Kawasaki ZENTECH Accelerator」説明会イベントVol.02を実施!
川崎市が主催するアクセラレータープログラム『Kawasaki ZENTECH Accelerator』の第二回説明会イベントが、2018年8月22日、ミューザ川崎で行われました。
このプログラムは新技術・新産業をつくるテクノロジースタートアップ・ベンチャーを川崎市が支援するプロジェクトです。なお本プロジェクトの運営は、株式会社INDEE Japan、ラーニング・アントレプレナーズ・ラボ株式会社と弊社プロトスターで行っています。
「Kawasaki ZENTECH Accelerator」公式HPより
今回の説明会では、ゲストとしてテクノロジーベンチャーの支援を数多く行うTomyK Ltd.代表の鎌田富久氏と、当アクセラレータープログラム専門アドバイザーを務める慶應イノベーション・イニシアティブ代表取締役社長の山岸広太郎氏によるスペシャルゲスト対談が実現し、説明会自体が充実したイベントとしての開催となりました。
川崎市経済労働局イノベーション推進室長、玉井一彦氏による「Kawasaki ZENTECH Accelerator」プログラムの説明からイベントがスタートしました。
このプログラムは川崎市が主催し、起業家育成のアクセラレーションプログラム「ZENTECH DOJO」を運営する株式会社インディージャパンの協力で実施される、テックスタートアップ対象の約5ヶ月のアクセラレーションプログラムです。
テクノロジー系のビジネスは、開発のための資金や模索期間が通常より必要になります。資金繰りだけでなく、量産化やマーケティングなどでも特有の難しさがあるため、経験豊富な支援者の存在は非常に大きいと言えます。
プログラム参加チームは、専門的なメンター・アドバイザーの伴走的支援を受けながらビジネスをブラッシュアップしていきます。
プログラム終了後にはピッチイベントが実施され、投資家からの資金調達や事業会社等との事業提携、公的機関の資金支援を実現するチャンスを得ることができます。
また、プログラム参加費用は無料(※交通費・通信費等は各自負担)であり、参加チームは経済的負担を抑えることができます。
経験豊富なジェネラルメンターの方々です。起業家と一緒にビジネスモデルを考えていただけます。本イベントでは実際に津田氏、津嶋氏による個別面談も実施されました。
プログラムの応募条件は以下のすべての条件を満たす方となっています。
1.次のいずれかを満たす個人・企業
A: 2019年6月頃までに会社設立を目指している起業家
B: 設立後、資本調達金額が1億円以内の企業
2.ハードウェア/ナノテク/ロボティクス/AI/宇宙/航空/ヘルスケア/ライフサイエンス等の技術開発分野に取り組んでいる
3.将来的に川崎市内で事業化を行う可能性がある
まだ実績や資金のない、テックスタートアップに挑戦しようとしている方でも応募することができますのでご検討してみてはいかがでしょうか。
Kawasaki ZENTECH Acceleratorの詳細はこちら
https://kawasaki.zentech.world/
続いては、NEDOイノベーション推進部スタートアップグループ主査 牧野泰丈氏によるベンチャー向け支援事業のご紹介が行われました。ナショナルプロジェクトのイメージが強いNEDOですがスタートアップ支援プログラムも行なっています。
NEDOと川崎市は、研究開発型ベンチャー企業の支援に向けた包括協定を締結しているとともに、起業家支援のワンストップ窓口の開設に向けた覚書も締結しており、スタートアップ支援に向けて連携した取り組みを進めています。
NEDO TCP公式HP
イベントではNEDOが運営しているテックスタートアップ支援プログラム「Technology Commercialization Program(以下「TCP」)」の概要説明がありました。
NEDO TCPでは、技術を基に起業して事業を大きく拡大させたいと考えている起業家、起業家予備群、起業意識のある研究者等が支援を受けることができ、以下の機会を得ることができます。
1.技術シーズの事業化に必要な知識を提供する「教育プログラム」
2.専門家によるビジネスプランの作成支援・メンタリング
3.ビジネスに結び付けるための大企業・ベンチャーキャピタル等へのビジネスプラン発表、ネットワーキング、マッチング
研究開発型ベンチャー支援事業の全体像
また、NEDOでは起業前の方が中心のTCPだけでなく、事業規模ごとのプログラムが用意されており、EXITまでの伴走型の支援を受けることができます。
NEDO TCPについてはこちら
https://nedo-tcp.jp/
イベント終盤には、数多くのテックスタートアップ支援経験を持ったゲストスピーカーが登壇し、テックスタートアップの面白さと難しさについて対談形式で語っていただきました。
まずは、登壇されたゲストスピーカーのお二人をご紹介します。
東京大学にて情報科学を専攻され、理学博士を取得されています。
1984年、大学4年生の時にソフトウェアのベンチャーACCESSを共同創業されました。世界初の携帯向けウェブブラウザを開発し、モバイルインターネットの技術革新を牽引。2001年に東証マザーズに上場を果たしました。2012年にスタートアップを支援するTomyKを設立され勢力的に活動されています。
ご自身の経験をもとに、東京大学での講義を行う他、東大発スタートアップを生み出すための活動もされています。
著書として「テクノロジー・スタートアップが未来を創る」を出版されています。
2015年12月、慶應義塾大学のベンチャーキャピタルである慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)の設立と同時に代表取締役社長に就任されています。2016年7月より45億円の1号ファンドの運用が開始されました。
また、山岸氏ご自身も慶應義塾大学経済学部を卒業されています。
KII以前は、日経BP編集記者、CNET Japan編集長を経て、グリーを共同創業。10年間、同社の副社長として事業部門などを統括されていました(現在は非常勤取締役)。
スペシャル対談のメイントピックは「テックスタートアップ」として進行されました。テックスタートアップは通常のスタートアップとは異なる難しさがあります。今回は経験豊富なお二人による、失敗しやすいポイントの議論が交わされました。
うまくいかない時に、開発に戻ってしまう
テックスタートアップではプロダクトが重要であることは間違いありませんが、ビジネスがうまくいかない理由はプロダクトではないことも多いとのこと。
プロトタイプで良いから、とにかく外に出してみて、顧客の反応を確認することが重要であり、意見をどんどん取り入れてプロダクトを改良していく方が良いようです。
BtoC事業の場合はクラウドファンディングを使って市場の調査や顧客の反応を見るのもおすすめされていました。
BtoBの場合は何とかしてリードカスタマーを1社持つことで、顧客の要望をヒアリングしながら開発を進めることが望まれるとのことでした。
テックスタートアップの資金繰り
テックスタートアップ、特にハードウェア系はまとまった資金が必要になります。また、開発や市場の仮説検証にも時間がかかるため資金繰りがシビアに要求されます。
しかし、開発に集中しすぎたり、長期的な資金計画が甘かったりする場合もあるそうです。経営者としての資金管理を通常以上に意識すべきとのことでした。
大企業と協業する必要性と難しさ
テックスタートアップの場合、材料調達から生産・販売までのバリューチェーンを全て自社で行うことは難しいです。製品のコア部分を手がけ、大企業と協業でビジネスを展開していく必要があります。
しかし、大企業とスタートアップでは感覚の違いや見えているビジョンに差が生じてしまうことも多く、失敗の原因となりやすいとのことです。
実際に、半年間協業で実証実験を行った末、事業化は保留・再検討となるケースもあるそうです。スタートアップにとっては再検討するリソースの余裕などないですから、事業推進の感覚を共有できる担当者の存在が重要となるようです。
テックスタートアップはそもそもの技術開発が難しいです。その上、webサービスに比べて大きな資金と時間が必要になる困難な挑戦になります。
しかし、テクノロジーが社会に与える影響は大きいからこそ、挑戦する価値も大きい領域であると言えます。
最近では「Kawasaki ZENTECH Acceleratorプログラム」を始め、「NEDO TCP」など多くの支援プログラムが運営されており、テックスタートアップに挑戦する環境は良くなってきているのではないでしょうか。
質疑応答の様子
対談後には会場からの質疑応答が行われました。「開発フェーズの資金をどうすべきか?」「大企業内で新規事業をすべきか、独立するべきか?」など実践的な質問が多数ありました。経験豊富なゲストのお二人が事例を踏まえて親身に回答していただける貴重な場になっていたと思います。
懇親会の様子
また、ジェネラルメンターによる個別面談や懇親会もあり、イベントに参加された方にとっては得るものが多かったのではないでしょうか。
▶︎Kawasaki ZENTECH Acceleratorプログラム
主催:川崎市
協力:株式会社インディージャパン
プログラムの詳細はこちらから
http://kawasaki.zentech.world/
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