中小企業の優遇税制、活用してます?概要からオススメの制度まで解説!

中小企業の優遇税制、活用してます?概要からオススメの制度まで解説!

記事更新日: 2021/03/17

執筆: 小石原誠

日本国内には300万を優に超える中小企業があります。

大企業と比べて企業規模が小さく経営力も弱いこともある中小企業ですが、実際のところ日本国内の企業のうち99%以上が中小企業であり、実は中小企業こそが日本社会の経済と雇用を守る重要な役割を担っているといっても、過言ではありません。

そのため国は、企業規模が小さく経営力も弱い中小企業をサポートするべく、「中小企業を対象とした優遇税制」という仕組みを運用しています。

そこで今回は、中小企業を対象とした優遇税制について解説するとともに、あなたの企業でも適用できる可能性のある優遇税制について、ピックアップしてご紹介していきます。

中小企業の優遇税制とは

中小企業の優遇税制の概要と目的

中小企業の優遇税制とは、地域の経済と雇用を支えている中小企業の企業活動を支援することを目的として、設備投資や研究開発あるいは事業継承にかかる税負担を軽減する税制上の仕組みです。

「平成26年経済センサス-基礎調査」によると、日本国内にはおよそ382万の企業があります。

しかし、このうち大企業はわずか1万社ほどであり、残りの381万社が中小企業となっています。

このように、日本経済や社会を支えている大部分は中小企業であり、中小企業の企業活動をサポートすることが、地域の経済や雇用を支えることにつながるのです。

そもそも「中小企業」とは

一言で「中小企業」といっても、法的にはいくつかの定義があります。今回ご説明する優遇税制に関わる定義としては、以下の2つが挙げられます。

・租税特別措置法上の「中小企業者等」

・法人税法上の「中小法人等」

「中小企業者等」「中小法人等」それぞれ見なされる条件が微妙に異なっていますが、共通していることは「資本金額または出資金額が1億円以下」であること、そしてもう一つが、端的に言うと「大企業の子会社ではないこと」です。

特に自分で立ち上げたベンチャーのような企業であれば、基本的には中小企業に分類されると考えておいて間違いないでしょう。

しかし、今回ご説明する優遇税制は、それぞれ適応される中小企業の定義や条件が設定されるために、優遇税制を活用する際にはその点を慎重に確認する必要があります。

中小企業の優遇税制はいくつもの種類がある

「中小企業の優遇税制」は、これ自体が一つのシステムを表すわけではなく、実際には10数種類の制度が集まって、一緒くたに「中小企業の優遇税制」と呼ばれています。

先述のとおり、それぞれ対象となる「中小企業」の定義(条件)も微妙に異なるほか、中には事前に各種申請が必要となる制度もあったりするので、あらかじめ各種制度について適用可能かどうかを確認しておくことが重要です。

あなたの企業も受けられる?中小企業の優遇税制をピックアップ

中小企業であるだけで受けられる優遇税制

法人税率の軽減

中小企業の優遇税制のうち最も広く知られているのが「法人税率の軽減」でしょう。

これは、原則的には23.2%である法人税率が、「中小法人」の場合は年800万円以下の所得金額の部分については15%にまで軽減される、という仕組みです。

適用条件は法人税法上の「中小法人」であることのみですから、基本的には全ての中小企業が受けられる優遇税制と言えます。

交際費課税の特例

「交際費課税の特例」は、支出した「交際費等」について800万円分までを全額損金に算入するか【1】、もしくは「接待飲食費」の50%を損金算入するか【2】、どちらかを選んで適用できる制度です。

まず「交際費等」とは、事業の関係者への接待や贈答などに要する費用のことをいい、「接待飲食費」は交際費等のうち飲食に類する行為のために要する費用をそれぞれいいます。

すなわち、基本的には交際費等のうち接待飲食費の占める割合が小さければ【1】を、接待飲食費の割合及び金額が大きければ【2】を選べば、より効果的に優遇税制を利用できることになります。

これも適用条件は法人税法上の「中小法人」であることのみですが、適用手続きとして、法人税の確定申告書に「別表(交際費等の損金算入に関する明細書)」を添付する必要があります。

消費税の特例

「消費税の特例」も、中小企業の優遇税制として広く知られている制度です。

こちらはさらに以下のとおり3つの制度に分かれて運用されています。

(1)事業者免税点制度
(2)消費税の簡易課税制度
(3)消費税軽減税率制度への対応

これらのうち特に重要なのは「(1)事業者免税点制度」と「(3)消費税軽減税率制度への対応」です。

(1)事業者免税点制度は、ひらたく言うと1年間の売上高が1,000万円以下である場合は売上にかかる消費税の納税義務が免除される、というものです。

こちらは中小企業というよりも売上高で基準が定められています(ただし、大企業が売上高1,000万円以下となることはほぼありえないため、実質的には中小企業の優遇税制といえます)。

(3)消費税軽減税率制度への対応は、おもに小売店や飲食店が軽減税率に対応するためにレジを新たに導入したり受発注システムを改修などした場合に、そららにかかった費用の2/3を補助する、というものです。

こちらは中小企業及び小規模事業者等が対象となっています。

中小企業が設備投資等をした際に受けられる優遇税制

中小企業投資促進税制

中小企業が設備投資等をした際に受けられる優遇税制はいくつか制度がありますが、中でも手続きが比較的シンプルな制度として「中小企業投資促進税制」があります。

これは、中小企業が機械装置等の設備投資(取得や政策)を行った際に、取得価額の30%を特別償却するか、7%を税額控除するか、どちらかを選択して適用できる、という制度です。

対象となる設備は1台160万円以上の機械及び装置、1台120万円以上もしくは1台30万円以上かつ複数合計120万円以上の測定工具及び検査工具、1セット70万円以上もしくは複数合計70万円以上のソフトウェアなど。

対象となる企業は、租税特別措置法の定める「中小企業者等」です。

中小企業が社員待遇を良くした際に受けられる優遇税制

中小企業向け所得拡大促進税制

「中小企業向け所得拡大促進税制」は、中小企業が従業員への給与等の支給額を前事業年度比で1.5%以上増加した際に、その増加分の15%分を法人税額や所得税額から控除できる、という制度です。

さらに、2.5%以上増加した場合は、一定の条件により25%を控除できるようになります。

適用条件は、租税特別措置法の定める「中小企業者等」であること。

事前の手続きは不要であり、上記の条件を達成していれば税務申告の際に申請を行うことで適用を受けることができます。

まとめ

今回は、中小企業を対象とした優遇税制について解説するとともに、あなたの企業でも適用できる可能性のある優遇税制について、ピックアップしてご紹介してきました。

文章の中でも触れたことですが、中小企業を対象とした優遇税制については、それぞれ対象となる「中小企業」の定義(条件)が微妙に異なるほか、中には事前に各種申請が必要となる制度もあったりします。

あらかじめ各種制度について適用可能かどうかを確認しておくことが重要です。

特にベンチャー企業の場合には、もしかしたら会計や税務に明るい人材が乏しい状況にあることも考えられます。

そういった場合は、税務の専門家である税理士などに相談することをおすすめします。

画像出典元:Unsplash、Pixabay、O-DAN

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