【初心者向け】損益計算書とは?損益計算書の勘定科目とその読み方

【初心者向け】損益計算書とは?損益計算書の勘定科目とその読み方

記事更新日: 2021/04/14

執筆: 編集部

損益計算書は財務三表のひとつに入れられる決算書の中でも大切な書類のひとつです。

この記事ではあらためて損益計算書の意味、損益計算書に組み込まれている勘定科目それぞれの意味、損益計算書を読むことでチェックできるポイントを2つ紹介します。

あらためて損益計算書とは?

損益計算表は企業が一定期間にどれだけの利益を出したかを表したものです。

それを収益・費用・利益の3つの分野から計算します。

英語での損益計算書「Profit and Loss Statement」を略してP/Lと呼ぶこともあります。

損益計算表を読むことで、会社が1年間で、どれくらいの収益をあげたのか、どれだけの費用を使ったのか、どれくらい儲けたのか(利益)が分かります。

さらに損益計算書を注意深く読むことで、会社の利益が本業かそれとも本業以外で出ているのかも分かります。

損益計算書は、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書とともに財務諸表に含まれており、決算書とも呼ばれる財務諸表の中で、損益計算書は会社の経営成績を知るうえで欠かせない書類です。

この記事では、損益計算書の各勘定科目の意味やそれに含まれるものを表の上から順番に説明します。

損益計算書の勘定科目

損益計算書に含まれる勘定科目の意味やそれに含まれるものを説明します。

勘定科目 意味やそれに含まれるもの
売上高

会社の本業のみで稼いだ金額
例として販売業を営む会社が、本業で100万円の稼ぎがあり、本業以外の不動産業で200万円の稼ぎがあったとします。この場合は、本業で稼いだ100万円のみが売上高として計上される

売上原価 売れた商品の仕入れや製造にかかった費用
売上総利益

いわゆる「粗利」のこと
売上高から売上原価を引いたもの

販売費及び一般管理費

会社の本業に必要な営業活動のための諸費用のうち売上原価に該当するものを除いたもの
例として、販売費には犯相手数料や広告宣伝費が含まれ、一般管理費には会社内の間接部門の人件費減価償却費、租税公課、交通費などが含まれます

営業利益

会社が本業で稼いだ利益
売上総利益から販売費及び一般管理費を引いたもの

営業外収益

本業以外の活動から得られた収益
例としては受取利息・受取配当金・不動産賃借料収入がある

営業外費用

本業以外の活動で生じる費用のこと
例としては支払利息・社債利息・有価証券売却損などがある

経常利益

営業利益に営業外収入を加えて、そこから営業外費用を差し引いた利益
本業と本業以外の活動から得られた利益の合計

特別利益

会社の通常の経営活動とは直接関係のない特別な要因で臨時に発生した利益
固定資産売却による利益や有価証券の評価利益などが含まれる
経常利益と特別利益を一緒にすると会社の収益力が過大評価される可能性があるので、それぞれ別に分けられている

特別損失

会社の通常の経営活動とは直接関係のない特別な要因で臨時に発生した損失
例えば、災害による損失・固定資産売却損・不良債権処理のための損失計上などが含まれる

税金等調整前当期純利益

経常利益と特別利益を合計したものから特別損失を差し引いたもの
税金が控除される前の、本業・本業以外・臨時的なものすべてを含めた利益の合計

法人税・住民税および事業税 確定した法人税・住民税・事業税のこと
当期純利益

税金等調整前当期純利益から法人税・住民税・事業税を差し引いたもの
会社の最終的な利益を示す金額

 

損益計算書でチェックできる2つのポイント!

損益計算書を読めばチェックできる2つの点を次に紹介します。

1. 会社の5つの利益をチェック!

損益計算書では会社の上げている5つの利益がチェックできます。

先ほどの勘定科目の説明の表にもありましたが、その中から5つの利益の部分だけを抜き出してみました。

売上総利益

いわゆる「粗利」のこと
売上高から売上原価を引いたもの

営業利益 会社が本業で稼いだ利益
経常利益 本業と本業以外の活動から得られた利益の合計
税金等調整前当期純利益 税金が控除される前の、本業・本業以外・臨時的なものすべてを含めた利益の合計
当期純利益

税金等調整前当期純利益から課税額を差し引いたもの
会社の最終的な利益

この5つの利益がマイナスつまり赤字になっていないかチェックできます。

これらをさらに細かく分析することができます。

例えば、「当期純利益」はプラスだったとしても、「経常利益」がマイナスであれば、会社の通常の活動は赤字状態であり、その赤字を補填するために固定資産の売却や投資目的の有価証券の売却などの方法で「特別利益」が発生していると分析できます。

通常の事業活動が赤字のままならば、売却できる資産がなくなった場合、当期純利益もマイナスになるので、事業計画や資金計画の改善などの対策が早急に必要と判断できます。

2. 会社の収益力をチェック!

損益計算書を見れば、売上高利益率を計算できます。

その数値により会社の収益力を分析できます。

売上高利益率は以下の3つからなっています。

売上高利益率に含まれるもの

1. 売上高総利益率

2. 売上高営業利益率

3. 売上高経常利益率


損益計算表の勘定科目を使いこの3つをどのように計算できるのか説明します。

1. 売上高総利益率

売上高総利益率は一般的に粗利率と呼ばれているものです。

売上高総利益率は以下の計算方法です。

売上総利益率(%)= 売上総利益÷売上高×100

冒頭の損益計算表の参考例の数字を使って計算すると、40,000÷100,000×100=40%になります。

一般的には売上高総利益率つまり粗利率が高いと、それだけ収益性が高いと言われています。

全業種の粗利率の平均は17、18%です。

しかし業種や業界により粗利率には偏りがあるので、同業他社との比較や過去の自社データと比較して分析することが必要です。

2. 売上高営業利益率

売上高営業利益率を計算することで、本業での収益力が分析できます。

売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100

先ほどと同じように例に出した損益計算書の数字を基に計算すると、35,000÷100,000×100=35%になります。

参考例の数値は高水準ですが、一般的に売上高営業利益率の標準は1%~3%と言われています。

この数値が高ければそれだけ会社の本業での収益力が高いということになります。

3. 売上高経常利益率

売上高経常利益率を計算すれば、会社が本業とそれ以外の活動、つまり財務活動も含めた全体の事業活動でどれくらいの収益力を持っているかが分析できます。

売上高経常利益率(%)=経常利益÷売上高×100

これも最初の表の数字を使って計算では、37,000÷100,000×100=37%になります。

参考例の結果の数値は高いものですが、一般的には売上高経常利益は4%以上で優良企業、5%以上では超優良企業と判断されます。

分析の結果、もし売上高経常利益が0%以下ならば、収益を上げたりコストカットするための抜本的な改革が必要と判断できます。

まとめ

損益計算書は、会社の1年間の本業、本業以外の財務活動でどれくらいの収益があったのか、それらの活動のためにどれくらいの費用がかかったのか、会社の1年間での利益はどれくらいなのかを表すものでした。

損益計算書を見ることで、会社が利益を上げているかをチェックできます。

また売上高利益率を計算することで、会社の持つ収益力を分析できます。

会社の経営成績を知る鍵となる損益計算書の見方を是非身に着けましょう。

 

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画像出典元:pixabay

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