【初心者向け】貸借対照表とは?貸借対照表の勘定科目とその読み方を解説

【初心者向け】貸借対照表とは?貸借対照表の勘定科目とその読み方を解説

記事更新日: 2023/09/25

執筆: 編集部

貸借対照表はバランスシートとも呼ばれています。会社の財政状態を表す計算書です。

この記事では貸借対照表とはどんなものなのか、貸借対照表のそれぞれの勘定科目の内容、貸借対照表の見方を初心者向けに分かりやすく解説します。

そもそも貸借対照表とは?

貸借対照表は、企業のある時点における財政状態を①資産②負債③純資産の3つの分野で表したものです。

貸借対照表の資産を表す左側の部分と、負債と純資産を合計した右側の部分は必ず一致します。

貸借対照表はバランスシート(Balance sheet)もしくはそれを略してB/Sと呼ばれます。

貸借対照表を見れば、決算時に、会社にはどれくらいの資産があり、その資産を獲得するためのお金(負債と純資産)はどこから集めたのかが分かります。

貸借対照表は、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書とともに財務諸表に含まれており、決算書とも呼ばれる財務諸表の中で、貸借対照表は会社の財務状態を知るうえで欠かせない書類です。

この記事では、まず貸借対照表の①資産②負債③純資産それぞれの勘定科目に含まれるものを説明します。

1. 資産

貸借対照表の「資産」とは、個人に置き換えて考えれば財産のことです。

個人の持つ財産には持ち家やマンション、現金や定期預金、車や株券などがあります。会社の資産もそれと同じです。

会社の所有している自社ビルや土地、現金や定期預金、有価証券、社用車や機械などの設備も資産にふくまれます。

貸借対照表の「資産」は次の3つに大きく分けることができます。

資産に含まれるもの

1. 流動資産
2. 固定資産
3. 繰延資産

貸借対照表の資産は、現金化しやすいものから順番に並べるというルールがあるので、記入する際も上から下に、流動資産・固定資産・繰延資産の順番で表示します。

1-1. 流動資産

流動資産とは読んで字のごとく増減や出入りの動きがある資産を指します。

図にも記載されているように流動資産には、現金・預金・受取手形・売掛金・有価証券などが含まれます。

1-2. 固定資産

固定資産には、土地・建物・機械・長期保持している投資有価証券などが含まれます。

1-3. 繰延資産

繰延資産とは会社が支出する費用のうち、その支出効果が長期間収益を生む可能性があるもののことです。

実態は支出ですが、後に収益を生むということで資産として計上します。

繰延資金には、創立費・開業費・開発費などが含まれます。

2. 負債

貸借対照表の「負債」は個人でいう借金のことです。

事業継続のためには銀行などからの融資により資金を調達します。

負債には以下の2つが含まれます。

負債に含まれるもの

1. 流動負債
2. 固定負債

 

2-1. 流動負債

流動負債も文字に表されているように増減などの流れや動きのある借金のことを指します。

流動負債には、支払手形・買掛金・短期借入金などが含まれます。

2-2. 固定負債

固定資産には返済に時間余裕がある負債が含まれます。

長期借入金・社債などが含まれます。

3. 純資産

貸借対照表の3つめの大きな勘定科目は「純資産」です。

純資産は株主が会社に供給した資金やこれまで積み上げてきた利益を指します。

負債と異なり返済する必要がないお金なので自己資本と言い換えることもできます。

純資産は大きく分けると以下の2つに分けることができます。

純資産に含まれるもの

1. 株主資本
2. 株主資本以外

株主資本と株主資本以外を足したものが純資産になります。

3-1. 株主資本

株主資本には、資本金・資本剰余金・利益剰余金が含まれます。

3-2. 株主資本以外

株式資本以外には、その他有価証券評価差額金・新株予約権・少数株主持分などが含まれます。

その他有価証券とは売買目的有価証券・満期保有目的債権・子会社もしくは関連会社株式以外の有価証券のことです。

その他有価証券は、時価が上がれば利益になり、時価が下がれば損益になります。

こうした時価変動による結果を決算書に記したのがその他有価証券評価差額金です。

貸借対照表で分かる3つのポイント!

貸借対照表を分析すれば以下の3つの事が分かります。

貸借対照表の見方が分かれば会社の財務分析が行えるようになります。

貸借対照表で分かる3つのポイント

1. 自己資本比率で経営の安定性を分析
2. 流動比率で支払い能力を分析
3. 当座比率で支払い能力をさらに分析

 

1.自己資本比率で経営の安定性を分析

会社の総資産のうち、返済する必要のない資本の比率がどれくらいあるのか計算したものが自己資本比率です。

自己資本比率が高いということは、会社の基礎の大部分を自分たちの資本で築いているということです。

それで会社の経営状態が安定していると判断できます。

逆に自己資本比率が低ければ、会社の基礎となる部分を他からの資本に依存しているので、不安定な経営状態と言えます。

一般的には自己資本比率が50%を超えると超優良企業で、40%以上で経営状態が安定した起業、40%を下回ると不安定な経営状態で倒産の可能性がある企業とみなされます。

自己資本比率の計算方法

自己資本比率(%)=自己資本÷総資産×100

上記の例として挙げた貸借対照表の数字を用いて計算すると、1300÷3,000×100=43.3となるので自己資本比率は43%になり、安定した経営状態と分析できます。

2.流動比率で支払い能力を分析

短い期間で支払い義務が生じる流動負債に対して、すぐに現金化して支払いに対応することができる流動資産がどれくらいあるのか、その比率を計算することで、会社の支払い能力が分析できます。

流動比率の計算方法

流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

例として挙げた貸借対照表を用いて計算すると、1,600÷700×100=228.5で流動比率は228%です。

流動比率は200%が望ましいとされていますが、130~150%でも十分な支払い能力を維持しているとみなせます。

逆に100%以下ならば短期の支払い能力が乏しいと分析できるので、資金計画の見直しなどの早急な対策が求められます。

3.当座比率で支払い能力をさらに分析

貸借対照表の流動資産には「商品」という項目が含まれています。

もし商品が売れず、在庫として抱えたままならば、換金性が下がります。

支払いのための資産には実質含められません。

それで流動資産の中から、商品を除いた現金化のしやすい現金・預金・売掛金・受取手形・短期保有有価証券がどれくらいあるのか計算することで、短期の支払いに本当のところはどれくらいの支払い能力を持っているのかを分析できます。

当座比率の計算方法

当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100

当座資産とは、現金・預金・売掛金・受取手形・短期保有有価証券の合計額です。

先ほどの貸借対照表の数字を用いて計算すれば、1,500÷700×100=131.4で、当座比率は131%になります。

一般的には当座比率は100%以上で十分支払い能力があると判断できます。

流動比率と当座比率を比較して、流動比率が200%近くあるのに当座比率が100%未満という結果ならば、長期にわたる商品在庫を抱えているなど、すぐに現金化できない資産があると判断できます。

その場合には在庫管理や販売方法の見直しなどの経営判断が求められます。

スピーディーな経営判断のために定期的な分析を

決算時に貸借対照表を分析すれば会社の財務状態をすぐに分析でき、必要ならば早急な対策を講じれます。

しかし、年に1度や2度の決算では、貸借対照表を含めた財務諸表を見て分析する機会が少ないのでスピーディーな経営判断ができません。

とはいえ、こうした計算書の作成は何かと面倒です。

そこで、おすすめするのが「会計ソフト」の導入です。

これにより経理業務を効率的に行えるようになり、貸借対照表などから会社の経営状態を定期的に分析できるようになります。

 

まとめ

貸借対照表とは何か、貸借対照表の勘定科目に含まれるもの、そして貸借対照表で分析できる3つのポイントを紹介しました。

貸借対照表では、まず会社の所有している資産と資産を獲得するための資金をどこから調達したのかが分かります。

さらに、貸借対照表を使い自己資本比率を計算すれば会社の安定性が分析できます。

加えて、流動比率や当座比率を求めることで会社の支払い能力を分析することもできます。

決算時などに貸借対照表を分析することで、会社の財政状況を把握でき、必要ならば対策を講じることができます。

経営状態を知る鍵となる貸借対照表の見方を是非身に着けてください。

画像出典元:pixabay

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