キャッシュ・フローとは?計算書の基礎から会社を倒産させない管理法も解説

キャッシュ・フローとは?計算書の基礎から会社を倒産させない管理法も解説

記事更新日: 2020/07/30

執筆: 編集部

キャッシュ・フローとは、現金(キャッシュ)の流れ(フロー)という意味で、現金の収入と支出のことを指します。

現金の流れを把握することは、現金の不足によって引き起こされる資金ショートを未然に防いだり、それによる倒産の恐れを回避できるというメリットがあります。

今回はキャッシュ・フローの意味から重要性、キャッシュ・フロー計算書の基礎知識、キャッシュ・フローの管理方法や改善する方法などについて解説していきます。

キャッシュ・フローを理解して、健全な会社経営を行っていきましょう。

キャッシュ・フローとは?

現金の流れのこと|収入と支出

キャッシュ・フローとは、現金の流れのことです。

「キャッシュ・イン」を現金が入ってくること(収入)、「キャッシュ・アウト」を現金が出ていくこと(支出)を差し、キャッシュ・フローとは収入と支出、両方のことを指します。

一般的に出ていくよりも入ってくる現金の方が多い状態が、「キャッシュ・フローが良い」と見なされます。

財務が健全かどうかの指標で銀行による融資判断にも用いられる

キャッシュ・フローは「会社の経営状況が健全かどうか」という指標のひとつとして重要視されています。

現預金の増減額にスポットをあて、その原因を分析し、会社の財務内容を明らかにしていくことができるためです。

銀行が融資を行う際、審査をするときにもキャッシュ・フローが重視されます。銀行は「貸したお金が返済されるかどうか」を判断するので手元に現金があるかどうかが重要となるのです。

キャッシュフロー計算書は「財務三表」のひとつ

上場企業に作成が義務づけられている「キャッシュ・フロー計算書」は、財務諸表の中でも特に重要とされる「財務三表」のひとつで、お金の流れを管理・把握するためのものです。

キャッシュ・フロー計算書はキャッシュ・フローを「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに区分し、それぞれの現金と現金と同等とみなされる資産の入出金について記載したもので、これを見ることで現金の収支を把握することができます。

「損益計算書」と「貸借対照表」と合わせて「財務三表」なのですが、損益計算書と貸借対照表だけでは現金の流れは把握できません。

財務三表それぞれの役割を図にまとめてみました。

財務三表 役割
キャッシュ・フロー計算書 現金の流れを把握する
損益計算書 売上高や営業利益、経常利益など「利益」がいくらか把握する
貸借対照表 資産や負債など、企業の資本(純資産)を把握する


ここで注目したいのが、損益計算書の「利益」では現金が把握できない、ということです。利益とキャッシュ・フローは違うのでしょうか?

ここからは利益とキャッシュ・フローは何が違うのかを見ていきましょう。

「利益」と「キャッシュ・フロー」は別物である

損益計算書に記載される売上高や営業損益・特別損益は、収益はいくらで、損失(費用)はいくらで、結果利益がどのくらい残ったのか、を記載したものです。

会計上では、「商品を売った」時点で収益を計上することになるので、商品を売ったという事実があっても「現金が手元に入っていない」という状況が発生するのです。

たとえば、企業間では「売掛け」で取引が行われることが多く、売掛けとはサービスや商品の代金を後日受け取る約束をして売ることです。

売掛けで取引をすることで、「会計上は商品の代金を収益として記載しているが、現金は手元にない」という状況になります。

そのため、損益計算書だけでは現金の流れが把握できないので、キャッシュ・フロー計算書を別途作成する必要があるのです。

キャッシュ・フローの押さえておきたいポイント

現金が増える原因はさまざま

キャッシュ(現金)が増える原因はさまざまです。

例えば、今年1年間で会社の手持ち現金が100万円増加したとしましょう。

その原因として考えられるのは次のようなパターンです。

・売上高200万円-経費100万円=利益として100万円計上した

・固定資産を100万円で売却した

・銀行融資を受けて100万円を調達した

上記のように、手持ち現金が100万円増加する原因は様々であり、その原因によって、会社に対する銀行の評価が大きく違ってきます。

資産が増えると現金は減る!現金が増減する事例を紹介

ここでは貸借対照表に記載する「資産」などを例に、キャッシュ(現金)の増える事例や減る事例について見ていきます。

前述した通り、会社の現金が増加する原因には様々な要素がありますが、同様に現金が減少する原因も様々です。

現金が減少する事例


・ボーナスを払った
・固定資産を購入した
・税金を払った

……などが考えられます。

「キャッシュフロー」の基本的な考え方は、大きく2つにまとめることができますのでまずはここをしっかりイメージしましょう。

①【資産】資産が増えると現金が減り、資産が減ると現金が増える

わかりやすく言い換えると、

→資産を購入すると手元の現金を払うので現金が減り、資産を売却すると現金が増える

②【負債】負債が増えると現金が増え、負債が減ると現金が減る

わかりやすく言い換えると、

→借金(負債)をすると手元の現金が増え、借金(負債)を返すと現金が減る

資産 負債
増える  → 現金は減る 増える  →  現金が増える
減る  →  現金は増える 減る   →  現金が減る


具体例として売掛金(資産)を回収するケースを使って詳しくみてきましょう。

100万円の売掛金を回収した場合

仕訳 : 現金 100万円 売掛金 100万円

売掛金を回収⇒売掛金(資産)は減る⇒手持ち現金は増える

キャッシュフロー的には資産の減少は「プラス」となります。

逆に資産が増加した場合には、キャッシュフロー的には「マイナス」として考えます。

キャッシュ・フローの計算は「前期末」と「当期末」を比較する!

資産や負債についてキャッシュ・フローを計算する方法は、「前期末(当期首)」から「当期末」までの増減を比較します。

前述した売掛金(資産)の回収の場合、「前期末の売掛金残高」と「当期末の売掛金残高」の増減を比較し、減少していれば「プラス」、増加していれば「マイナス」と判断します。

負債については「前期末の残高」と「当期末の残高」の増減を比較し、増加していれば「プラス」、減少していれば「マイナス」と判断します。

資産 前期末の売掛金残高 ー 当期末の売掛金残高 = 減少 または 増加
減少なら現金はプラス、増加なら現金はマイナス
負債 前期末の残高 ー 当期末の残高 = 減少 または 増加
減少なら現金はマイナス、増加なら現金はプラス


ここで重要なポイントは、計算した「キャッシュ・フロー」の増減額は、前期末と比較した現金の増減額と必ず一致する、ということです。

会社の帳面は複式簿記を使っていますので、相違することがありません。

キャッシュ・フロー管理の重要性

黒字倒産を未然に防ぐ

黒字でも現金が手元になく、支払いが滞った場合に倒産に追い込まれることがあります。

黒字倒産とは会社の会計上は利益がプラスとなっているのにかかわらず、支払う現金がなかったり、取引先の倒産により資金の回収ができないなどの理由で資金繰りが回らなくなり倒産してしまうことです。

キャッシュ・フローを把握していれば、今いくら現金が手元にあるのか、いつ現金が手に入るのか、いついくら支払う必要があるのか、が明確になるので、支払期日までに確保しておかなければならない金額がわかります

現金が必要な時期がわかるので、足りなければ計画的に資金調達を行うことができ、黒字倒産を未然に防ぐことができます。

不測な事態に備えることができる

会社経営では、思いがけない大きな支払いが突然発生することがあります。

・取引先の支払いの遅れ、倒産
・災害による損害や感染症蔓延による売上減少
・損害賠償金の支払い、弁護士費用など

キャッシュ・フローを常に意識しながら財務状況を把握することで、これらの不測の事態に日頃から備えることができます。

無駄な費用を削減し、健全な会社運営を行うことができる

会社を長く経営していくと、顧客契約や外注費、リース契約、月会費などがいつの間にか大きく積み上がっていることがあります。

それぞれを再検討すると、「実は必要がなかった」「なくても困らない」というものはよくあります。

現金の入出金を定期的に確認する機会を作れば、無駄な費用かどうかを意識しながら会社経営を行うことができるでしょう。

キャッシュ・フロー計算書で現金の流れを把握しよう!

キャッシュ・フロー計算書を作成することで、現金の流れを管理することができます。

これは中小企業庁のホームページに掲載されている「キャッシュ・フロー計算書」です。

出典:中小企業庁ウェブサイト

ここからはキャッシュ・フロー計算書について解説していきます。

キャッシュ・フローが解き明かす決算書の3要素

キャッシュ・フローにはその発生原因別に3つの要素があります。

そしてこの3要素の増減から、会社の決算書を以下の様に分析することができます。

「営業」で現金を稼げているのか?稼いだ現金を「投資」「財務」にどれだけ分配しているのか?

「営業」で出た現金のマイナスを、「投資」「財務」でいかに資金調達したか?

などが、全て明らかになるのです。

つまり、「営業キャッシュフロー(以下、CF)」からは会社の損益や売掛金の回収状況、棚卸資産の保有状況といった営業活動が推測できます。

また、「投資CF」からは設備投資の状況が分かりますし、「財務CF」については銀行借入の状況が把握できますので、融資が必要な財務内容か否かを知ることができます。

CFの理想形としては「営業」がプラス、「投資」「財務」がマイナス

良くないのは「営業」がマイナス「投資」「財務」がプラス、という形です。

粉飾決算も丸わかり

赤字会社が利益を出すために、減価償却費を少なく計上したり、棚卸資産を水増ししたりしても、この「キャッシュ・フロー」を使えばすぐに見抜くことができます。

銀行がキャッシュ・フローを計算する裏の狙いは粉飾決算を見抜くため、と言っても過言ではありません。

表向きの決算書上は利益が出ていたとしても、キャッシュ・フローはあくまで現金を中心に財務内容を分析しますので、もし仮に粉飾していたとしても、その利益調整は全て「なかったもの」として数字に現れてきます。

例えば、黒字決算にするため棚卸資産を水増ししたとしましょう。

「当期純利益」はプラスになっていますが、「棚卸資産」が増えていますので、「資産の増加=キャッシュの減少」としてカウントします。

結果、水増しした分がそっくりそのままマイナスされますので粉飾しても無意味というわけです。

キャッシュ・フローを改善する方法



それではここで、キャッシュ・フローを良くするためのキーワードを提案したいと思います。

回収は早く、支払いは遅く

資産の減少や負債の増加が「プラス」要素となることを、実際の営業活動に当てはめた場合、以下のような手法が有効となります。

売掛金や未収入金などの売上債権は可能な限り早期回収し現金化する

注意点としては、受取手形は売上債権(資産)ですので、手形回収しただけではキャッシュ・フローは改善されません。

割引、裏書で受取手形を減少させればキャッシュ・フローはプラスとなりますが、割引手数料を考慮すると、割引よりも裏書手形で処理するのがおすすめです。

買掛金や未払金などの仕入債務は可能な限り支払いを延ばす

支払手形は仕入債務(債務)としてカウントしますので、決済方法を現金から手形に切り替えるだけでキャッシュ・フローは改善されます。

また、月末に支払をしている会社の場合、月末が休日となる際には「休日前払い」ではなく「休日後払い」とするのも有効です。


取引先との兼ね合いがありますので、決済方法や決済日をこちらの意向だけで変更できないという部分はありますが、ちょっとした改善で「営業」をプラス方向にもっていくことが可能です。

まとめ

会社を経営していく上で、銀行と良好な関係を維持していくことはとても大切です。

表面上の損益だけではなく、資金調達の原資からその使い道までをしっかり把握されているということを常に意識した経営、決算書の作成を心がけましょう。

画像出典元:O-DAN、Unsplash

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