自己破産後であっても起業や融資は可能!「再挑戦支援資金」とは

自己破産後であっても起業や融資は可能!「再挑戦支援資金」とは

記事更新日: 2019/06/07

執筆: 小石原誠

自己破産をしてしまうと、起業をしたり融資を受けることができなくなるのでは?とお考えの人もいるかと思います。

確かに、自己破産の手続きを行うことよって様々な制限が課せられるのは事実ですが、起業ができなくなったり融資を受けられなくなる、ということはありません。

今回は、自己破産の手続きによってできなくなること等について整理するとともに、自己破産後でも受けられる可能性のある融資制度「再挑戦支援資金」について詳しく説明していきます。

自己破産により出来なくなること


 
 

自己破産の手続き中に制限されること

まずは、自己破産の手続きを行うことにより出来なくなることについて整理しましょう。

自己破産により出来なくなることは、「手続き中に出来なくなること」「手続き後に難しくなること」の2つに分けることができます。まずは、手続き中に出来なくなることを解説していきましょう。

裁判所に自己破産の手続きを申請すると、手続きが完了するまでの間、破産者の行動が制限されたりします。これは破産者の財産について調査する必要があることなどが理由なのですが、具体的には、主に以下のような制限等がされます。

・高額な財産の処分
・居住移転の自由の制限
・職業・資格の制限

まず、自己破産の手続きを申請すると、高額な財産を処分されます。

これは債権者に可能な限りお金を分配するためであり、基本的には99万円を超える分の現金や、時価20万円相当以上の財産などが処分の対象となります。家具などの日常生活に必要不可欠な物品等は対象外となっています。

次に、破産法第37条に規定されているとおり、破産者は居住移転の自由も制限されます。

しかし、これは実際には自己破産手続きの内容により引っ越しができる場合とそうでない場合とがあり、更に引っ越すことができない場合であっても、裁判所に申し出て許可が下りれば可能となることがあります。

職業・資格の制限については、おもに以下のような「~士」という名称がつく、所謂「士業」の仕事のうちいくつかは、各種法令により破産者が復権を得るまでその職業に登録することができません。

これは先述の破産法ではなく、各士業について規定するそれぞれの法律によって定められています。

・弁護士
・弁理士
・税理士
・司法書士
・行政書士
・土地家屋調査士
・宅地建物取引士
・不動産鑑定士
・公認会計士

以上が、自己破産手続き中に出来なくなることです。

ここで気をつけてほしいのが。これらはあくまで「手続き中に」出来なくなることだという点。自己破産の手続きが無事に終われば、基本的にはこれらの制限は無事に解除されます(これを「復権」といいます)。

自己破産手続き後は「借金」が難しくなる

自己破産を行ったという事実は、官報へ記録されたりインターネット上に裁判結果記録として掲載されたりします。

しかし実際のところ、これらは探そうとしなければ見つけられない情報なので、自己破産の事実が周りの人などに広く知られてしまうことはあまりありません。

それよりも、信用情報機関のいわゆる「ブラックリスト」に載ってしまうのが非常にダメージが大きいのです。信用情報機関のブラックリストに載ってしまうと、「借金」をすることがかなり難しくなってしまいます。

ここでいう「借金」とはただ単に銀行などでお金を借りることに限られません。

クレジットカードを新たに作ることや、カードローンの利用申し込みをすること、家などを購入するためにローンを組むことなども該当します。

あるいは、最近ではスマートフォンも高額な商品となっているために分割購入をすることもありますが、これも信用情報機関への問い合わせが行われる手続きであることが多いので、難しくなります。

自己破産をしてしまった後の「起業」と「融資」


 
 

自己破産後であっても「起業」は出来る

自己破産をしてしまうと起業することも出来なくなるのでは、と不安に思う方も多いです。

たしかに、自己破産をすると法的に様々な制限を受けますが、これらは基本的には自己破産の手続きが終わり「復権」すれば解除されますし、そもそも起業をすることは制限されませんから、自己破産の経験関係なく起業をすることは可能です。

また、自己破産前に就任していた取締役はいったん退任する必要がありますが、改めて就任することは可能ですし、新たに別の企業の役員となることもできます。

自己破産後には「融資」を受けるのが難しくなる

自己破産をしても起業することはできますが、先述のとおり、信用情報機関のブラックリストに載ってしまい「借金」が難しくなります。

これは法人の資金調達としての「融資」も含まれます。特に銀行や信用金庫などといった「民間」の金融機関から融資を受けることは相当難しくなります。

信用情報機関のブラックリストへの掲載情報にはおよそ5~10年の時効があるとはいえ、事業展開の可能性という観点からいえば「借金ができない」ことは大きなデメリットといえるでしょう。

もちろん、融資を受けなくとも法人を運営し事業を行うことは可能ではありますが、やはり融資という選択肢の有無は、事業展開の可能性を大きく左右します。

自己破産後でも受けられる融資「再挑戦支援資金」


 
 

「再挑戦支援資金」の概要

自己破産をすると民間の金融機関などからの融資は難しくなりますが、破産者であっても利用できる可能性があるのが、日本政策金融公庫の「再挑戦支援資金」です。

日本政策金融公庫の「再挑戦支援資金」とは、「廃業歴等のある方で創業に再チャレンジ」する人や「一旦事業に失敗した起業家の経営者」などを対象とした融資制度です。新たに開業する人もしくは開業後おおむね7年以内の人のうち、以下に該当する人が融資を受けられます。

  • 廃業歴等を有する個人または廃業歴等を有する経営者が営む法人であること
  • 廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込み等であること
  • 廃業の理由・事情がやむを得ないもの等であること


再挑戦支援資金には、個人事業主あるいは小規模事業者を対象とした「国民生活事業」と、中小企業を対象とした「中小企業事業」の2種類があり、前者は7,200万円、後者は7億2,000万円をそれぞれ融資限度額としています。

「再挑戦支援資金」の特徴

日本政策金融公庫に限らず、破産者であっても融資を申し込むこと自体はどの金融機関であっても可能です。

要は、融資の申し込みにOKが出るハードルが非常に高くなることが破産者にとっての死活問題なのです。その点において、そもそも一度失敗してしまった人を対象とした再挑戦支援資金はハードルが低いものであり、破産者にとって心強い手段の一つといえます。

また、民間の金融機関と比べて金利が低いことも大きなメリットといえるでしょう。

金融機関による融資の利率は2%から9%が一般的であるのに対して、再挑戦支援資金の利率は0.66~2.15%となっています。

「再挑戦支援資金」を利用する際の注意点

再挑戦支援資金は、すべての破産者が利用できる、というわけではありません。

自己破産を行った人が申し込む際には、自己破産の手続きの結果、きちんと「免責」を受けていることがポイントとなります。万が一「免責」を受けていない場合は「返済能力が疑わしい」という判断がなされる可能性が高くなってきます。

きちんと「免責」を受けている破産者であっても、申込さえすれば必ず融資される、というものでも当然ありません。

むしろ、一度は失敗してしまっているからこそ、融資を申し込む際に提示する事業計画や収支計画については、より厳しい目でチェックされると思っておくべきでしょう。

また、過去に日本政策金融公庫の融資などを利用していて、返済の遅延などの「事故」を起こしていると、融資のハードルは上がります。

まとめ


自己破産の手続きに着手すると、高額な財産は処分され、居住移転の自由や職業・資格の制限といった処分が科せられます。

ただし、これらはあくまで手続き中であるために、自己破産の手続きが無事に済みさえすれば、きちんと復権してもらえます。当然、起業をしたり融資を受けたりすることに何ら制限はありません。

ただし、自己破産をしたという経験は金融機関からネガティブに見られることは確かです。

そのため、融資を受けることのハードルは高くなるのは確かでしょう。そんなときに活用可能性があるのが日本政策金融公庫の融資制度「再挑戦支援資金」です。

もちろん、再挑戦支援資金だって簡単に受けられるわけではありません。

自己破産の経歴があるからこそ、より綿密な事業計画及び収支計画などが求められます。もし再挑戦してみたい!という意思がある方は、前準備をしっかりとした上で、再挑戦支援資金にトライしてみてはいかがでしょうか。

画像出典元:Pexels、Unsplash

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