会計事務所が教える悪い節税対策と節税対策のポイント

会計事務所が教える悪い節税対策と節税対策のポイント

記事更新日: 2019/05/17

執筆: 編集部

「今期は売上が好調」「利益が予定よりもでている」こんなことは経営者にとって嬉しい限りです。しかし、利益がでると違う悩みがでてきます。それは税金です。

今回は、中小企業の法人に着目をした節税対策についてご紹介します。会計事務所の方に聞いた内容を踏まえて、早速確認しましょう。

悪い節税対策とは?

税金の支払いを少なくするために節税対策は必要です。節税対策の中には意味のない「悪い節税対策」があります。節税対策といって単純に経費を増やしたらいいわけではありません

編集部

節税対策を考えるのって大変そうですね。

会計事務所

そうですね。

積極的な節税対策ならいいですが、経営者の中には「その節税対策意味がある?」って思う節税対策をしようとする方もいます。

編集部

意味のない節税対策ですか?

会計事務所

はい。

その前に1つ質問をしてもよろしいですか?あなたが節税対策をするとしたらどうしますか?

編集部

私ですか?

節税対策ですか...経費を増やしたり、何かものを買ったりですかね。

会計事務所

いいですね。

もう少し具体的にお願いします。

編集部

具体的にですか...。

交際費を増やしたり、パソコンを買ったりですね。

会計事務所

ありがとうございます。

経費を無理矢理考えた感じですよね。その経費って本当に必要ですか?

編集部

特に必要では....あっ。

会計事務所

そうなんです。

節税対策といって、必要のない経費を無理矢理増やしても意味がないんです。将来利益を生まない経費や、不必要な設備投資はオススメしません


経営者がよくやってしまう悪い節税対策が、経費を増やそうと無駄な買い物をしてしまうこと。

単純に経費を増やすのは無駄遣いであって、節税対策とは呼べません。

節税対策はお金がかかる

節税対策をするには経費が必要になります。通常はお金を支払って経費が発生するので、節税対策には資金が必要になってきます。

節税対策のために経費を増やすと、それだけ資金が会社から流出します。節税対策をしない方が会社に資金が残ることを忘れないようにしましょう。

会計事務所

節税対策した方が会社にお金が残ると思っているクライアントが多いですが、実際はそうではないです。

編集部

どういうことですか?

会計事務所

例えば今期100万円の利益がでているとします。

極端な話で、税金を0にしようと思ったら経費が100万円必要になります。ということはお金が100万円必要になるということです。

編集部

それはわかります。

会計事務所

今、節税対策で100万円のお金を使った状態です。

仮に節税対策をしなかったらどうなると思いますか?法人実効税率33%とすると、100万円に対する法人税は約33万円です。

 

税金を0にするために100万円を使いましたが、100万円に対する税金は約33万円です。

結果、節税対策で100万円お金を使うよりも、100万円に対する税金約33万円を払った方が会社にはお金が残ります。

編集部

税金のことだけを考えると「節税対策をしないと」って思いますが、お金のことを考えるとちょっと違いますね。

会計事務所

そうなんです。

勘違いされるクライアントがいるので注意したいところです。


節税対策はすればするほど良いというものではありません。支出はあくまで支出です。

節税対策だからといって財布の紐がゆるんでしまっていませんか?

それでは、ここからは正しい節税対策のポイントを確認していきましょう。

節税対策のポイント

ここまでの話で「節税対策は必要ないのでは?」と思っていませんか?それは違います。意味のない節税対策は不要ですが、意味のある節税対策は必要です。

節税対策をする前に、2つのポイントを検討しましょう。

近い将来する予定の修理、設備投資

不必要なものを購入してまで節税対策をする必要はありませんが、近い将来する予定の修理や設備投資であれば、利益がでている期間に前倒しすることをオススメします。

修理、設備投資はいつしても同じと思うかもしれませんが、タイミングが大事です。

今回のように、利益がでている期間で修理などをすると、利益が減少し節税対策になります。損失がでている期間に修理をしても、損失が増えるだけで、税金は減少しません。

修理は資本的支出に該当しない限り、基本的には修理をした期間に全額損金となりますが、設備投資は違います。

1単位あたり、10万円を超える設備投資は減価償却資産となり、購入をした期間に全額損金ではなく、法定耐用年数に応じて損金になります。(少額減価償却資産を除く)

利益を生むため

会社は継続することが前提で、利益が出た期間以降も事業が継続されます。そのため、大事な資金を使うのであれば、将来利益を生むお金の使い方をしましょう。

将来利益を生むための具体例

  • 人材の確保
  • 生産性のあがる資産の購入
  • 新規出店
  • 情報収集

利益を生まない具体例

  • 高級車の購入
  • 交際費の増加


節税のために高級車を購入したり、交際費が増えても仕事に繋がらなければ意味がありません。そうなっては節税対策ではなく無駄遣いです。

利益がでている時はいいですが、毎期利益を出し続けることは難しく、損失がでる期間もあります。そんな時のために、会社で十分な資金を確保しておきましょう。

新たな資金を使わない節税対策の方法

貸倒引当金繰入

節税対策の多くは資金が必要になりますが、貸倒引当金は資金が発生しない経費になるので積極的に活用しましょう。

資本金が1億円以下の法人や大企業の完全子会社などに該当しない法人は、貸倒引当金を計上することができます。

貸倒引当金は期末の売掛金・貸付金・未収入金などの帳簿価額に法定繰入率を乗じて計算します。

業種 法定繰入率
卸売業・小売業・飲食店業 10/1000
製造業 8/1000
金融業・保険業 3/1000
割賦販売小売業等 13/1000
その他 6/1000


法定繰入率は業種によって違い、上記は業種ごとの法定繰入率になります。

例えば、卸売業で期末の売掛金の残高が3,000万円の場合、貸倒引当金繰入として計上できる金額は30万円です。30万円の経費があれば税金は約10万円節税されます。

会計事務所

貸倒引当金は期末の帳簿残高に法定繰入率を乗じて計算されますが、個別に貸倒引当金を計算する金額や、売掛金と買掛金などで同じ取引先の残高がある場合は注意が必要です。

 

例えば、A社の売掛金100万円、A社の買掛金50万円の場合は100万円−50万円=50万円に対して貸倒引当金が計算されます。

 

飲食代1人当たり5,000円以下の交際費

交際費は決算書上は経費になっていても、税務上は損金にならない金額があります。

資本金が1億円以下の法人や大企業の完全子会社などに該当しない法人は、年間800万円まで損金算入さます。

会計事務所

交際費の損金算入は厳密には

 

1. 年間800万円

2. 飲食費その他これらに類するものの50%

 

1.と2.の選択になりますが、多くの中小企業は1.の年間800万円までの方が有利になります。


年間800万円の交際費は業種、規模によっては超えることがあり、800万円を超えた金額は税務上損金不算入(経費にならない)となります。

しかし、取引先との飲食代が1人当たり5,000円以下であれば交際費から除外されます。

会計事務所

年間交際費850万円であれば、通常は800万円を超えた50万円が損金不算入になりますが、850万円のうち1人当たり5,000以下の交際費が100万円であれば、交際費は850万円ー100万円=750万円となり、全額損金算入されます。


交際費が多い会社にとっては魅力的ですが、以下の事項を記載した書類を保存しておく必要があることには注意しましょう。

記載事項

  • その飲食等の年月日
  • 飲食等に参加した取引先、仕入先などの氏名又は名称および関係
  • 飲食等に参加した人数
  • 飲食店等の名称・住所
  • その他参考事項

 

まとめ

今回ご紹介した節税対策は、新たな資金を使わない節税対策です。節税対策は生命保険料、生産性向上設備、所得拡大税制など様々です。

他にも法人の税金を下げようとした場合、役員報酬を増額すれば法人の税金は下がりますが、個人の税金が増えます。

節税対策をする時は、その1つのことだけを考えるのではなく、法人・個人・期間など全体で考えることが大切になるので、税理士などの専門家に相談することをオススメします。

税理士の探し方・選び方については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

画像出典元:写真AC

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