電子契約の普及率は?増加の背景や法律・電子契約にするメリットなど事例をあげて解説!

電子契約の普及率は?増加の背景や法律・電子契約にするメリットなど事例をあげて解説!

記事更新日: 2024/11/26

執筆: Mai Nemoto

電子契約は、リモートワーク普及に伴い、ビジネスシーンで欠かせない存在となりました。

本記事では、電子契約の普及率とその背景にある要因や法律、電子契約を導入するメリットを具体的な事例とともに解説します。

電子契約の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。


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電子契約の普及率

ここでは電子契約の普及率について解説します。

  • 最新の普及率データ
  • 普及率の推移(グラフ)
  • 業界別・企業規模別の普及率
  • 海外との比較
  • 電子契約サービス別のシェア

【デジタル庁調査】電子契約の普及率は56.3%

デジタル庁が2023年9月に発表した「電子契約の普及状況等について」によると、電子契約の普及率は56.3%(調査に回答のあった455社のうち)です。

この結果は、自社主導で契約する場合に電子契約を使用しているかという点で調査されているため、受信者として利用した企業が含まれていない数値と考えられます。

受信者として利用した企業も含めた電子契約の普及率は、企業全体の74.3%という結果が出ており、多くの企業が電子署名を活用しているというのが現状です。

 普及率増加の背景

近年、電子契約が急速に普及している背景には、以下の要因があげられます。

まず、2020年に政府は「押印についてのQ&A」で押印に関するガイドラインを見直し、契約書への押印が必ずしも必要ないとの見解を示したことで、電子契約の法的根拠が強化され、企業は安心して電子契約を導入できるようになりました。

さらに、政府はデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しており、電子契約の導入を後押しする政策を打ち出しています。

2020年に発表された「デジタルガバナンス・コード2.0」では、企業が自主的にデジタル化に取り組むことを推奨しており、電子契約の導入もその一環として位置づけられています。

これらの要因が複合的に作用し、電子契約は今やビジネスシーンにおいて欠かせないツールとなりつつあります。

グラフでみる普及率の推移

参考:GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社の決算説明資料より執筆者作成

電子契約サービスを展開するGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社の決算説明資料によると、2019年に3,707社だった導入社数が2023年には1,837,207社まで伸びています

2020年の新型コロナウイルス感染防止対策に伴い、多くの企業が在宅勤務やテレワークを導入しました。

さらに2021年1月には法改正により、電子署名が自治体でも利用可能になったことが導入社数の急激な増加背景にあると考えられます。

業界別・企業規模別の普及率

ドキュサイン・ジャパン株式会社が2023年6月に発表した「電子署名レポート2023」によると、電子契約の普及率は、インフラサービス業(電気・ガス・熱供給・水道業・放送・通信・情報サービス)が最も高く49%という結果が出ています。

次いで金融業・保険業が44%、製造業が41%と続いています。

インフラサービス業界の導入理由は、在宅勤務/テレワークの増加・社内業務のIT推進など、働き方改革や業務効率化への意識が見受けられます。

一方で金融業・保険業は、従来より手作業の業務が多いことや、膨大な紙書類の使用が課題でした。

そのため、導入理由は事務処理の効率化・ペーパーレス化による環境保全が上位を占めています。

また、大企業と比較すると中小企業の普及率は低い傾向があり、契約書の枚数が少なかったり、取引先から紙での締結を求められるといった理由が影響していると考えられます。

海外との比較 海外と比べ日本は普及が遅れている

電子契約は、海外の多くの国で普及しています。

アメリカ合衆国は、世界で最も電子契約が進んでいる国の1つであり、2000年には全ての電子取引に適用されるESIGN法が制定されました。

ヨーロッパでは、2014年にeIDAS規則が採択され、EU加盟国であれば国を跨いだ電子契約が実現できるようになっています。

一方で日本は2001年に電子署名法が成立したにもかかわらず普及が進みませんでした

その理由は、押印文化が根強く残っていたためです。

信頼性の高さを示す押印は、紙の契約書の価値を確固たるものにする存在であり、電子契約書に同等の効力があると世間が認めるには高いハードルがあったのです。

そのため、自社が電子契約を導入したいと思っても、取引先が望まず、紙の契約書で進めざるを得ないといったケースが多発し、海外と比べて普及が遅れていました。

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電子契約のメリット・デメリット

ここでは電子契約のデメリット・メリットに加えて対策と注意点について解説します。

メリット(コスト削減、業務効率化、ペーパーレス化など)

電子契約を導入すると、紙・インク・郵送費用といった諸経費や人件費の削減が期待できます。

また、自動化されたプロセスによって契約締結までをスムーズに進めることができるため、業務効率化にも繋がります。

さらにペーパーレス化することで、デジタル化された文書管理により、契約書の検索や参照といった作業も簡単になります。

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デメリット(セキュリティリスク、導入コスト、法的有効性など)

電子契約には、なりすまし署名・データの改ざん・不正アクセスといったセキュリティリスクが存在します。

また、高度なセキュリティ対策やニーズにマッチしたシステムを導入するには、導入コストがかかります。

さらに、一部の契約書では現在も紙での書面契約が法律上で求められているため、電子契約を活用できないという点には注意が必要です。

デメリットへの対策と注意点

なりすまし署名やデータの改ざんといったリスクには、2段階認証などの本人性確認や暗号化技術を搭載したセキュリティ対策に強い電子契約サービスの選定が重要です。

また、法律は改正される可能性があるため、常に最新の情報を把握して、適応していくことも必要といえます。

電子契約のメリット・デメリットについてもっと詳しく知りたい方はこちら

電子契約の導入事例

電子契約を導入した企業の事例を3つ紹介します。

電子契約で、これまでの業務がどのように変わったのか具体的に見ていきましょう。

三井ホーム株式会社

三井ホームでは、年間1万件を超える工事ごとに書類のやりとりが発生し、時間やコストがかかるという課題を抱えていました。

電子契約サービスを導入したことで、対面での書類の受け渡しが不要になり、契約締結までの期間を5日から1.5日に短縮、契約業務のスピードアップに成功しました。

また、契約書周りの業務もテレワーク対応できるようになり、働き方改革にもつながっています。

参考:クラウドサイン オーナーからは「投函作業が無くなり楽になった」と好評の声。契約締結までのリードタイムを3.5日分短縮し、契約業務のスピードアップに成功

鳥取県庁

鳥取県庁では、コロナ禍による行政業務の増加により、紙の書類が増えて書庫がひっ迫する問題を抱えていました。

さらに、事業者からの電子契約の要望や、令和3年度の地方自治法施行規則の改正によって電子署名法に基づく電子契約が可能になったことを受け、電子契約サービスの導入を決定します。

サービス選定では、総合行政ネットワーク(LGWAN)への対応や法令への適合性などが決め手となり、電子契約サービス導入後は、3ヶ月で300件以上の契約を電子化し、業務効率化とペーパーレス化を達成しました。

参考:WAN-Sign 運用3ヶ月で300件を超える契約を電子化!RPAによる自動化も図り、全庁展開をスタート

株式会社 ADX Consulting

コンサルティング事業を展開する株式会社 ADX Consultingでは、契約関連業務の負荷増大や、コロナ禍におけるリモートワークの推進を背景に、電子契約サービスを導入しました。

契約書の製本や押印、郵送といった非生産的な業務が削減され、大幅な業務効率化を実現しています。

また、社員はリモートワークで契約業務に対応できるようになり、働き方改革につながっただけでなく、自社の電子契約サービス導入の経験を顧客への提案にも役立てています。

参考:マネーフォワード クラウド 月100件以上の締結を紙から電子へ!自社の業務効率化だけでなくクライアント企業のDX支援にも繋がっている

 
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電子契約の未来予想図

市場規模の予測

株式会社アイ・ティ・アールが2023年11月に発表した「国内IT投資動向調査報告書2024」によると、2023年度は前年の41%を上回る44%の企業がIT投資を増額しています。

2024年も44%の企業は継続して増額すると予想されているのに加え、2024年度新規導入・投資増額が期待される上位10製品には、3位に電子契約が入っています。

このことからも、電子契約の市場規模は増加傾向にあると予測できるでしょう。

技術的展望

電子契約における技術的展望としては、暗号技術・人工知能(AI)・自然言語処理(NLP)を活用した、より効率的で安全な取引手段に発展していくと予測されます。

2024年度は、1位にAI/機械学習プラットフォーム・2位に生成AIが投資意欲の高い分野と位置付けられており、この技術を応用すれば契約書の自動生成や解釈などが可能です。

また暗号技術は、契約の改ざんや不正防止に有効な手段であり、より高度な暗号化手法や認証手法が開発されることで高いセキュリティレベルを担保できるようになるでしょう。

まとめ

電子契約は、コスト削減や業務効率化など、多くのメリットをもたらします。

デメリットに過剰な不安を抱かず、市場シェアや導入事例などを参考にして、自社のニーズに合った電子契約サービスを選びましょう。

本記事が、電子契約の導入や受け入れに迷っている方の参考になれば幸いです。

画像出典元:O-DAN

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