人事評価でもAIは十分活用できる!成功事例・デメリット・メリットも紹介

人事評価でもAIは十分活用できる!成功事例・デメリット・メリットも紹介

記事更新日: 2024/09/18

執筆: 編集部

近年、AIが人事評価の現場にも導入され、企業の人材育成や組織全体の活性化に貢献しています。

本記事では、AIを活用した人事評価の事例や、導入のメリット・デメリットを紹介します。

失敗しないAIの運用ポイントも解説しますので、AI導入を検討している企業や担当者の方は、ぜひご覧ください。

 

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人事評価システムでAIを活用できるの?

大和ライフネクスト株式会社が2023年10月に発表した「企業の人事部門における生成AI活用と従業員エンゲージメントに関する調査」によると、正式に生成AIを導入していると回答した企業は19.3%です。

幅広い業務がある中で、人事領域に活用されているのは、社員の評価制度内容の検討・作成:51.9%、社員の評価:40.3%という結果が出ています。

機械学習した内容を基にデータドリブンな人事評価ができるというメリットはありますが、偏った評価を生み出す可能性には注意が必要です。

人材不足によって業務効率化が急務となっている日本では、人事評価システムでAIを活用する企業が今後も増えていくでしょう。

人事評価にAIを導入するメリット

人事評価にAIを導入するメリットについて解説します。

業務効率化に繋がる

人事評価におけるAI導入の最大のメリットは、業務の効率化です。

評価シートの作成や配布・記入・回収・催促といった、手間のかかる作業をAIに任せることでスピーディーに進められるようになります。

また、自動化できる部分はAIに任せ、人間にしかできない業務と切り分ければ、担当者の負担が減り、コア業務に集中できます。

評価の公平性を高められる

人事評価の大きな課題は、評価の公平性です。

評価基準を定めていたとしても、感情を持つ人間が評価を行う以上、主観的な要素が含まれてしまい、正確な評価結果をもたらさない可能性があります。AIに膨大なデータを分析させたうえで、人事評価に活用すれば、評価の公平性を高めつつ、迅速な意思決定が可能になります。

評価項目の多角化に対応できる

従来の人事評価では、評価項目が限られており、社員の能力やポテンシャルを十分に評価できていないという課題がありました。

人事評価にAIを導入すれば、社員のパフォーマンスデータ、行動履歴、スキルセットなどを多角的に分析し、従来の評価では見つけられなかった強みや改善点の洗い出しができます。

例えば、社員の会議への参加度、プロジェクトへの貢献度などを数値化し、定量的な評価ができるようになります。

さらに、社員のスキルや経験を基にした将来的なキャリアパスの予測も可能です。

エンゲージメント向上

AIによる正当性の高い評価は、従業員のモチベーションや仕事の質を高め、離職防止にも影響します。

また、業務効率化によって生まれた時間を1on1などのマネジメントに費やすことも可能です。

従業員のやりがい促進やマネジメントの強化は、結果的に社内のエンゲージメント向上に大きく影響します。

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人事評価にAIを導入するデメリット

続いては、人事評価にAIを導入するデメリットについて解説します。

AIによる評価の検証が難しい

AIによる人事評価は、AIがなぜそのような判断をしたのか不透明になりやすく、評価の検証が難しくなります。

膨大なデータを取り込んで学習したAIには、どのデータからどのように考えて結果を出したのかという考察のプロセスが従業員からは見えません。

そのため、評価に疑問を抱いた従業員がいた場合、明確な説明を行えない可能性もあります。

公平性が高められた評価だとしても、最終的には人間である従業員が評価結果に至ったプロセスを、理解・納得できるようにする必要があります。

ブラックボックス化により訴訟に至った事例も

日本IBMでは、2019年8月に導入したAI「ワトソン」を巡り、労働組合との間で訴訟に発展しました。

労働組合側は、AIの評価基準が不透明で、従業員がなぜ低評価を受けたのか理解できないと主張。

会社側は、AIはあくまでも補助的なツールであり、最終的な判断は人間が行っていると反論しましたが、最終的に会社側がAIの評価基準の一部を開示し、従業員への説明を強化することで2024年8月に和解が成立しました

この事例は、AIによる人事評価のブラックボックス化が、労働問題に発展する可能性を示唆しています。

参考:JMITU日本アイビーエム支部

AIに依存する可能性がある

人事評価にAIを導入すると、全ての判断をAIに任せてしまう危険があります。

AIは多角的に分析をして結果を出してくれますが、学習させたデータに偏りがあった場合は適切な評価結果にならない可能性があります。

また、人事評価では、数値だけでは判断できない企業貢献度などを加味する必要もあります。

AIは、あくまでも人事評価の補佐的なアイテムということを念頭に置き、活用してください。

不適切なバイアスが含まれる可能性がある

AIによる人事評価は、学習データに含まれる不適切なバイアスが評価結果に反映される可能性があります。

たとえば、IT大手アマゾンが導入したAI採用システムは、女性応募者を不利に評価する重大な欠陥があることが明らかになりました。

応募数の多い男性ばかり採用していた過去のデータを基に、AIが男性を採用することを良いと認識したためです。

AIの評価結果を信じきるのではなく、その結果に至った理由を分析・判断することが重要になります。

 

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人事評価にAIを導入した事例

ここでは、日本で人事評価にAI導入をした事例を解説します。

事例1:三井住友信託銀行

三井住友信託銀行は、2024年1月にAIを活用した360度評価ツール「GROW360(グロー・サンロクマル)」を導入しています。

GROW360とは、Institution for a Global Society株式会社が提供するサービスであり、AIと軽量心理学の知見に基づいて開発された人事評価AIシステムです。

従業員に非認知能力を把握させたり、若手・中堅など階層ごとに受験結果を用いて能力をより伸ばすための研修を実施しています。

事例2:東洋建設株式会社

東洋建設株式会社は、2024年2月に建設施工職員を対象としたAIによる「能力評価システム」を導入しています。

能力評価システムは、株式会社L is Bと開発をしており、職位ごとに設定した能力要件を172個の達成項目で構成し、株式会社HRBrainのタレントマネジメントシステム「HRBrain」を利用して評価をします。

その評価結果をAIが分析し、自身のスコア・同一職位での偏差値・スキルの特徴などが記載された能力評価シートとして従業員へのフィードバックをしているのです。

株式会社レビックグローバルの学習管理システム「SmartSkill Campus」も併せて導入をしており、将来的には各個人の能力に応じた研修プログラム・ジョブローテーションなどにも活用すると発表しています。

事例3:東京都渋谷区(自治体)

渋谷区は、2023年5月にデロイトトーマツコンサルティング合同会社のAIによる人材配置案制作サービス「Talent Matching」と株式会社カオナビのタレントマネジメントシステム「カオナビ」を導入しています。

カオナビで職員の経験・資格・異動希望・評価などを一元管理し、これらのデータを利用してTalent MatchingのAIが配置案を短時間で作成します。

Talent Matchingは、独自のアルゴリズムによって、個人の適正や希望を考慮した上で数百人分の配置案を約10分で5案生成してくれるため、業務効率化が期待できます。

事例4:防衛省

防衛省は、2020年9月に、人事評価や人事異動に関して、AIスタートアップのACESとの連携を発表しています。

ACESは、ディープラーニングを用いた画像処理技術を強みとしており、自衛官の健康状態の把握や、組織全体の働き方改革をサポートするとのことです。

事例5:明治安田生命

明治安田生命は、2020年にISIDが提供する統合HCMソリューション「POSITIVE」を導入しました。

POSITIVEは、人財マネジメントプロセスを統合管理・支援するタレントマネジメントモジュール機能を実装しています。

明治安田生命は、POSITIVEの充実した機能を活用し、職員個人のキャリア、研修履歴、保有資格、評価といった人財情報の一元管理を実現しました。

人事評価のAI導入で失敗しないポイント

人事評価のAI導入で失敗しないためのポイントを3つ解説します。

評価の最終決定は人間が行う

人事評価にAIを導入しても、評価の最終決定は人間が行いましょう

機械学習させた内容やデータ量によってAIによる分析や評価は変わる可能性があります。

また、読み込ませたデータはあくまで過去の情報を基にしているため、定期的な学習データのアップデートも欠かせません。

そのうえで、数値だけでは評価できない業務貢献度なども踏まえて、人間が最終的な評価を決定するようにしてください。

従業員に評価基準の説明を行う

AIを活用した人事評価を導入する場合でも、従業員に評価基準の説明をしっかり行いましょう。

膨大なデータを基に評価を算出するAIは、何をどのように考えて結論を出したのかという評価のプロセスがブラックボックス化しやすいといえます。

従業員のモチベーションを下げないためにも、評価結果に納得してもらえるような丁寧な説明や質問を受けられる体制を整えておくとことが有効です。

本格導入前にトライアルを実施する

人事評価にAIを導入する際は、本格的な導入の前にトライアルを実施してください。

評価制度の仕組みを変えるということは、従業員のモチベーションやエンゲージメントに大きな影響を与えます。

機械学習の精度によって不備が出る可能性もあるため、一部の部署や役職など小規模から導入を始めて慎重に検討するようにしましょう。

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まとめ

人事評価システムでAIを活用できるのか、導入メリットやデメリットについて解説してきました。

従業員に納得感を持ってもらえるように努めた上で、導入はスモールスタートから検討することが重要です。

AIによる結果は1つの指標にすぎないということを念頭においた上で、人事の業務効率化に役立ててください。

画像出典元:O-DAN

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