世界的に注目されているWeb3ですが、具体的にどういうものかご存知ですか?
Web3とは仮想通貨やNFTなど、ブロックチェーン技術を用いたインターネットの概念です。
現状Web3の定義はふわっとしていて、難しい単語と一緒に語られることが多く、難しく感じている方も多いのではないでしょうか。
今回はWeb3の代表的なサービス、関連用語についてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
このページの目次
Web3(Web3.0)は、新しいインターネットの概念「次世代分散型インターネット」を指しています。
通称ウェブスリーと呼ばれ、2014年に英国のギャビン・ウッド氏が提唱したブロックチェーンの技術を活用した概念です。
現在主流であるWeb2.0は、5大企業であるGAFAM(Google・Amazon・Meta・Apple・Microsoft)が多くの個人情報を独占している状況です。
巨大企業のみが情報を独占すると、情報漏えい等のリスクも高まるだけでなく、運営の一存でプライバシーの侵害にも繋がりかねません。
Web3はWeb2.0の課題を解決するためにブロックチェーン技術を活用し、個人が適切にデータ管理できる自立分散型インターネットとして注目されています。
インターネットの歴史はWeb1から始まり、さまざまな変化を遂げて現在のWeb3にたどり着きました。
ここではWeb3までのインターネットの歴史について、確認していきましょう。
Web1は1990年代に登場し、Windows95が普及し始めた1995年頃から急速に発展。
インターネットの黎明期と呼ばれるWeb1は、一方的に情報を発信することしかできず、テキストや静止画で情報を閲覧する方法が主流となっていました。
メインサービスとしては企業のHPやメールが主で、一般的なユーザーは情報を得るためにインターネットを利用していた時代といえます。
2000年代に入るとインターネットの技術が発展し、一方的な情報発信から双方向のコミュニケーションが可能になるSNSが発展してきました。
TwitterやYouTubeなどのプラットフォームが提供されたことで、誰でも手軽に情報を発信できるようになったのがWeb2の特徴です。
Web2では、気軽に世界中のユーザーとコミュニケーションが取れるようになった反面、GAFAMが多くのユーザー情報を独占するといった問題点も発生しています。
Web3は、Web2で問題視されてきた巨大企業による情報の独占(中央集権型)のリスクを解消するために、自律分散型のブロックチェーン技術を基盤として発展し始めています。
従来のように企業に個人情報を登録せず、さまざまなサービスを利用できるようになるため、情報漏えいのリスクにも備えることが可能です。
特定の管理者を介さずユーザー自身が情報を管理し、ブロックチェーン技術でデータを分散・共有することで、セキュリティとユーザーの利便性が向上するでしょう。
また、メタバースやNFTなど続々と次世代の技術が登場しているので、革新的なサービスの登場も見逃せません。
Web3は、ブロックチェーン技術を用いてさまざまなサービスの利便性を向上させています。
ここでWeb3を活用した代表的な事例を3つ紹介します。
仮想通貨取引はブロックチェーン技術を活用した代表的なWeb3サービスです。
銀行などの仲介組織を介さず、安全に仮想通貨を取引するためには、ブロックチェーン技術が欠かせません。
仮想通貨はどこの国にも属さない国際通貨であり、ブロックチェーンやマイニング(取引の承認・記録)の技術を信用の裏付けとして取引されています。
Web3は、仮想通貨ウォレットと呼ばれるサービスに登録しておけば、アカウントを作成せずさまざまなサービスが利用できます。
サービスを利用するために個人情報を企業に渡す必要がないので、ユーザーは情報漏えいや不正な個人情報収集のリスクが軽減されるでしょう。
仮想通貨ウォレットは、英数字を羅列したウォレットアドレスを利用するため、匿名性も担保されています。
Web3で活用されているブロックチェーン技術は、情報が分散されているため、サーバー攻撃に遭ってもすぐに情報が漏えいする心配がありません。
これまでは情報を一箇所にまとめられていたため、ハッキング等のサイバー攻撃を受けると大量のデータが書き換えられたり、流出したりとトラブルになりやすい環境でした。
しかし、Web3では個人情報を取り扱う必要がなく、取引情報も暗号化されているので、高いセキュリティ環境でサービスが利用できます。
従来よりも便利で、安全なサービスが利用できるようになるWeb3ですが、デメリットや注意しなければならない点があります。
ここでは普及し始めたばかりのWeb3を利用する上で、注意しておきたいポイントを3つ紹介します。
Web3は個人情報をすべて自分で管理する必要があるため、何らかのトラブルに遭った場合はすべて自己責任です。
気軽にさまざまなサービスが利用できるようになる一方、トラブルを解決してくれる運営企業や組織が存在しません。
フィッシング詐欺等でうっかり仮想通貨を盗まれてしまっても、自己責任となるので管理や取引方法は注意しましょう。
新しい概念であるWeb3はまだ登場して間もないため、法整備が追いついていないデメリットがあります。
仮想通貨に関しては2017年に仮想通貨法が成立していますが、利用するサービスによって利益確定のタイミング等が異なるため万全な法整備とは言えません。
しかし、Web3は日本国内の成長戦略の要としても注目されているため、今後法整備が進められていくでしょう。
Web2では各運営企業がサービスの利用方法やトラブルシューティング、ユーザー間のトラブルなどさまざまなサポートが受けられました。
一方、Web3は基本的に利用方法からすべてを自分で調べる必要があるため、IT知識が乏しいと利用するハードルが高く感じるかもしれません。
特に仮想通貨はある程度知識がないと損をしてしまう可能性があるので、しっかりと内容を確認しておきましょう。
Web3関連でよく耳にする用語を7つピックアップしてご紹介します。
ブロックチェーンとは、ネットワーク上のデータを管理する技術のことを指し「分散型台帳」とも呼ばれています。
ブロックチェーンはその名の通り、「ブロック」と呼ばれる単位ごとに時系列データが保管され、ネットワーク上の参加者同士で取引履歴を相互管理する仕組みです。
これまで1箇所にすべての情報を集めて管理していた中央集権型と比較して、データの破壊や改ざんが困難であり、高いセキュリティ性が担保されます。
すでに仮想通貨などを取り扱う金融業界やシステムで多く活用されていて、今後の経済活動のプラットフォームとして期待されています。
メタバースとはインターネット上に構築する仮想空間を指し、仮想空間で自分の分身であるアバターを用いてさまざまなサービスを利用する世界です。
「Meta(超越)」と「Universe(世界)」を組み合わせた単語で、VRやARなど没入感を高める技術として注目を浴びています。
現在ゲームや広告業界で主に活用されているメタバースですが、近年は国内外で就活サービス等の事業にも活用され始めました。
今後はWeb3の基幹であるブロックチェーン技術を用いて、仮想空間における資産取引などにも活用されるかもしれませんね。
NFTとは、替えの効かないデジタル権利証を指す「Non Fungible Token(非代替性トークン)」の略称です。
ブロックチェーンが活用されている技術で、デジタルデータをNFT化することで世界で唯一無二のデジタルデータとして認められます。
NFT化されたデータには所有権や作成者、取引データが紐づけされるため、データが本物であることが証明できるようになりました。
また、転売された場合でも製作者に利益が入るようプログラム設定すれば、データ作成者にも利益が入るようになります。
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationを略した単語で、自律分散型組織を意味します。
ブロックチェーン技術を活用しているので、年齢や性別、国籍等関係なく誰でも参加できるのが特徴です。
特定の企業や管理者が存在せず、ユーザー同士が投票や議論等を行いルールを決定していくためフラットな環境が構築できます。
DeFiとは、Decentralized Financeの略で、日本語に訳すと分散型金融という意味です。
ブロックチェーンのネットワーク上にスマートコントラクトという自動取引承認プログラムを構築し、銀行や組織を通さずユーザー同士の直接取引が成立します。
仮想通貨を保管するウォレットがあればどんなDeFiサービスでも利用できるため、会員登録などの手続きが必要ありません。
また、取引はすべてブロックチェーン上で行われるので、誰でも取引内容を確認でき、不正行為やデータの改ざんが困難というのも特徴の一つです。
SocialToken(ソーシャルトークン)とは、仮想通貨の一種で、特定の人物やコミュニティが利用できるトークンです。
コミュニティのソーシャルトークンを購入すると、限定グッズやコースにアクセスできたり、仮想通貨取引ができたり、さまざまな権利を保有できます。
SocialTokenには、個人向けのパーソナルトークン、グループやコミュニティなど組織向けのコミュニティトークンの2種類に分類されます。
近頃はコミュニティトークンを活用して、ファンサービスやコミュニティのメンバーシップ特典を提供する有名人も増えてきました。
GAFAM(ガーファム)とは、Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの5社の頭文字を取った単語です。
現在のIT社会において大きな影響力がある企業として親しまれていて、Web3関連でも目にする機会が多いでしょう。
近年は影響力の大きさから市場が独占されてしまい、同業種への新規参入の妨げになるとして問題視されていることも。
しかし、Web3が登場したことで、GAFAMの中央集権型な情報管理ではなく、ユーザー同士が情報管理する分散型へ変化していきました。
Web3は未だ発展途上であり、今後さまざまなサービスの登場や新しい技術が生まれる可能性を秘めています。
今後のWeb3の発展としてまず考えられるのは「DeFi」の拡大化です。
保険や暗号資産など金融業界と相性のいいWeb3の技術を活用すれば、今後便利なサービスが多く提供されるでしょう。
これまで仮想通貨取引所によって中央管理されていた暗号資産も、DeFiを活用すれば入出金の時間の短縮など取引が手軽になります。
さらに資産を預けたいユーザーと借りたいユーザー同士で直接やり取りをすれば、手数料が安くなる可能性も高いです。
2022年3月日本政府は、Web3のデジタル経済圏の起爆剤としてNFTを活用したコンテンツ価値の最大化を目指していると発表しました。(参照:NFTホワイトペーパー案)
複数のメタバースを相互運用する方法や、日本のアニメ映画の原画を紐づけてグローバルオークションでの取引などさまざまな構想がされています。
こういった動きは海外でも行われており、今後NFTを活用したビジネスが発展する可能性が高いでしょう。
新しいインターネットの概念であるWeb3は、これまで問題視されてきた中央集権的なインターネットを革新する新しい仕組みです。
ゲームや音楽などエンタメ業界では、すでにブロックチェーン技術やメタバースを活用した新しいサービスが提供されています。
Web3は多くの業界や企業から重要な概念として注目されていて、革新的なサービスやビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
日本政府だけでなく、国内企業でもWeb3を活用しようと盛り上がりを見せているので、今後の動向に注目してみてください。
画像出典元:写真AC
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