「データマスキング」という言葉を聞いたことはあっても、具体的にどんなものか理解している人は少ないのではないでしょうか。
データマスキングとは、簡単に言うと「データの匿名化」です。
システム・アプリ開発や社内外へのデータ共有時に機密情報を守るために行う工程で、特に自社開発を行う企業にとっては必要不可欠です。
この記事では、データマスキングについて、その概要から、なぜ行う必要があるのか、具体的な利用シーンやフローまで、詳しく解説します。
このページの目次
まずはデータマスキングがどんなものなのかを理解しましょう。
データマスキングとは、おもにシステムやアプリケーション開発において、機密情報を保護するために実施する工程です。
具体的には、テストのために本番環境から非本番環境へデータをコピーする際に、その一部を書き換えることでデータを匿名化するというものです。
例えば、名前であれば名字のみ、クレジットカードの番号であれば下4桁のみなど、開発に影響が出ないよう、データ形式を保ったまま書き換えを行います。
実際にデータマスキングを行う際はツールを利用するのが一般的で、事前に設定したルールに基づいて自動的に書き換えが行われます。
データマスキングが必要とされる最大の理由は、やはり機密情報を守ることです。
企業のシステムやデータベースには、顧客や取引先の氏名、住所、電話番号、支払い情報が含まれていて、これが外部に漏れるリスクは計り知れません。
テスト環境は本番環境と比べてセキュリティが万全でないことが多いため、データをコピーする際はデータマスキングによる匿名化が欠かせないのです。
また、背景としてペーパーレス化によってデータ管理の重要性が増してきたことも挙げられます。
IT化以前は、情報の管理は紙やオフラインデータが中心で、情報が外部に触れる機会が多くありませんでした。
しかし現在では、ネットワークやクラウドの普及であらゆるデータが外部と接するようになり、厳重に管理する必要が生まれているのです。
データマスキングは、システム開発を中心に、以下のようなビジネスにおける様々なシーンで活用すべき手法です。
それぞれ詳しく解説していきます。
データマスキングの活用シーンとしてもっとも多いのがシステムやアプリのテストです。
本番環境からテスト環境へデータをコピーする際に、そのままコピーすると、セキュリティの甘いテスト環境では漏えいリスクが高まってしまいます。
マスキングを行うことで、テストに影響が出ないようデータの形式(桁数や表記、紐付けなど)を保ちつつ、匿名化によって情報を保護できます。
社内での情報共有のためにデータを抽出する際にも、できる限りデータマスキングを行っておくべきです。
例えば利用状況の分析や売上データなどであれば、数値部分を残して顧客の名前をマスキングしたり、あらかじめ削除して利用するといった方法が有効です。
これによって、万が一データが流出したり印刷物が第三者の手に渡っても、個人情報の漏えいを防ぐことができます。
データを協業先や委託先に提供する場合は、テスト開発や社内共有よりも厳重な対策が必要になります。
内部利用のためのデータマスキングと比較して、より広範囲・複雑なマスキング処理を行わなければいけません。
具体的には、書き換える範囲や桁数を増やす、複数の処理方法を組み合わせる、ツールの暗号化機能を利用するなどが挙げられます。
データマスキングを実行する場合、専用ツールを利用するのが一般的です。
特に重要な機能として、以下の内容についてはぜひ理解しておきましょう。
それぞれの内容を確認していきましょう。
データマスキングを行うにあたっては、まずマスキングすべき機密データを特定する必要があります。
一つひとつ指定していては非効率なため、多くのマスキングツールにはAIやアルゴリズムを活用して自動的に当てはまるデータを検出する機能が備わっています。
また、「電話番号だけ」「支払い情報だけ」など、ユーザーが独自のルールを設定して対象となるデータを絞り込む機能も備わっているのが一般的です。
特定したデータに対して、実際に書き換えの処理を行うのがこのプロセスです。
書き換えには以下のような複数の処理方法があります。
▶︎文字列の一部を置換する方法
▶︎データの組み合わせをシャッフルする方法
▶︎暗号化する方法
などが例として挙げられます。
それぞれセキュリティレベルや処理の複雑さが異なるため、マスキングするデータの重要度や性格に合わせて最適な処理方法を選択しましょう。
共有する必要のあるデータが全体の一部である場合には、サブセット化と呼ばれる削除処理を行うこともあります。
たとえば、売上データだけを利用したい場合に、不要な他のデータを削除した状態で抽出することが可能です。
これによって余計な漏えいリスクをなくし、ストレージのコストも抑えることができます。
厳密にはデータマスキングとは異なるものの、目的の近い処理として覚えておくと良いでしょう。
続いて、実際にデータマスキングツールを使う際の流れについても解説します。
【データマスキングツール活用フロー】
順番に内容を見ていきましょう。
データマスキングツールは国内外でいくつものサービスがあり、選択肢が豊富です。
まずは自社にあったサービスを選ぶことがデータマスキングのファーストステップです。
先ほど解説した内容(検出、データ処理)を中心に機能がどれくらい充実しているかを基準にして比較していきましょう。
さらにコストや導入形態、サポートなども加味して選ぶことをおすすめします。
はじめてデータマスキングツールを導入するのであれば、シンプルな機能でランニングコストが安く、サポートが充実した国内のサービスが有力な選択肢になります。
ツールを導入したら、実際にマスキングするデータを決め、さらにマスキングのルールを設定する必要があります。
各ツールにあらかじめ定義されているルールをそのまま用いるか、特定のデータのみを書き換えたり特別な処理をするといった独自ルールを設定することになります。
この段階で対象データを漏れなく定義し、適切なルールを設定できているかどうかがデータマスキングの成果を左右するため、注意深く行いましょう。
ルールの設定と前後して、マスキングするデータをツールに取り込みます。
CSVをはじめファイル形式でのアップロードも可能ですが、基本的にはデータベースとツールを連携させて処理を行うのが一般的です。
データのアップロードが完了したら、実際にマスキング処理を行い、匿名化したデータを出力して各用途に利用しましょう。
ペーパーレス化が進むいま、クラウドやデータベース上の機密情報を保護する重要性は日に日に増しています。
そして、機密情報の保護にはツールを使ったデータマスキングが最適です。
特に自社でシステムやアプリケーションの開発を行っている企業にとっては必須と言っても良いでしょう。
実際にツールを導入する際は、各機能がどれくらい充実しているかを第一に考え、さらにコストやサポートも加味して最適な製品を探すことが重要です。
自社にあったツールを導入して、大切な情報を守りましょう。
画像出典元:Unsplash、Pixabay
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