5月に挨拶文を送る場合は、季節を表わす季語を入れるのがマナーです。
とはいえマナーに固執し過ぎると、温かみのない堅苦しい文面になってしまうかもしれません。
そこで本記事では、カジュアルに使える例文や柔らかい表現になる例文を5月「上旬」「中旬」「下旬」に分けて紹介します。
結びの言葉もまとめているので、ぜひ実際の手紙で活用してみてくださいね。
爽やかな5月を象徴する言葉を折り込んで、心のこもった挨拶を伝えましょう。
このページの目次
「拝啓」「敬具」は「頭語」「結語」といい、礼儀が重んじられるシーンで使われる挨拶文です。
親しい人との間で使っても問題はありませんが、「よそよそしいな」「他人行儀だな」という印象を与えてしまうかもしれません。
親しい人に送る手紙には、カジュアルな挨拶文を入れましょう。
親しみを込めたい手紙にマッチする、5月にふさわしい挨拶文の書き出しを紹介します。
1. 爽やかな五月晴れが続き、寒からず暑からずのよい季節がやってきました。
2. 爽やかに澄み渡る空の下、大小の鯉のぼりが誇らしげに泳いでいます。
3. 花屋の軒先にカーネーションが並ぶ季節となりました。
4. 新茶の豊かな香りと風味を楽しめる季節となりました。
5. 藤棚の見事さに、思わず足を止めて見入ってしまう今日この頃。皆さまいかがお過ごしでしょうか。
5月上旬は春の気配も残っており、過ごしやすい時期です。
「五月晴れ」「寒からず暑からず」と記せば、上旬らしさが出ます。
また5月上旬をよりアピールするなら、「鯉のぼり」「カーネーション」「新茶」といった言葉もおすすめ。
5月ならではの行事は、季節感を伝えるのに最適といえます。
このほか、5月にちなんだ花の様子を伝えると華やかな挨拶文となるでしょう。
例えば藤は、4月から5月上旬が見頃です。
花の様子を伝えれば、季節感のある書き出しとなります。
1. 好天が続いたゴールデンウィーク、ご家族で満喫されたのではないでしょうか。
2. まぶしい木々の青さから、力強い生命力を感じる季節となりました。
3. 咲き誇るバラを目にし、ふと○○さまのことを思い出しました。
4. 可憐に咲くアヤメに、心を動かされる今日この頃です。
5. 日本ダービーの開催日を指折り数えて待つこの頃です。
中旬はゴールデンウィークも終わり、5月らしい爽やかな気候が深まります。
ゴールデンウィークの疲れをいたわる言葉や、5月らしい爽やかな空気感が伝わる言葉がおすすめです。
またバラやアヤメは、5月を代表する花といっても過言ではありません。
カジュアルな書き出しに用いると、季節にぴったりの挨拶文となるでしょう。
日本ダービーは、「東京優駿(ゆうしゅん)競走」という正式名称を持つ競馬レース。
毎年5月最終日曜日に行われるのが慣例で、5月の象徴として使える言葉です。
競馬に興味のある人が使えば、ユーモアのある挨拶文となるでしょう。
1. 5月もいよいよラストスパート。梅雨の走りのような雨も多くなってまいりました。
2. 日射しが強さを増し、半袖を選ぶ日も増えてまいりました。
3. 汗ばむ日が多くなり、緑の青もより一層濃さを増してきました。
4. 茶碗によそわれたたけのこご飯に、初夏の訪れを感じた食いしん坊な私です。
5. 鮎釣りの解禁が迫る今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
「梅雨の走り」「日射しが強い」「汗ばむ」などは、初夏を感じさせる定番の言葉。
梅雨が近づき、空気にも少しずつ湿度がおびてくる頃です。
5月下旬にマッチしていて、違和感のない書き出しといえます。
さらに、俳句において「筍飯(たけのこめし)」は初夏の季語とされます。
5月下旬なら、「たけのこご飯」について言及しても違和感がありません。
書き出しに加えると、親しみのある楽しい文章となります。
また「鮎釣りの解禁」が5月下旬にふさわしいのは、日本各地では6~7月にかけて鮎釣りが解禁となるためです。
釣り好きの人なら「鮎釣りが待ち遠しい」と加えると、その人らしさが出ます。
「相手に失礼のないようにしたいけれど、堅苦しいのは避けたい」という場合は、「和語調(口語調)」で5月の挨拶を伝えましょう。
5月におすすめの、柔らかい表現の書き出しを紹介します。
1. 八十八夜も過ぎ、心地よい日が続く今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
2. 鯉のぼりが競い泳ぐ季節を迎え、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
3. 矢車の回る音が心地よく響く季節、いよいよご隆盛のこととお喜び申し上げます。
「八十八夜」は、立春から数えて88日目に当たる日です。
立春の日程によって5月1~2日になるケースがほとんどで、5月上旬の挨拶にはぴったりです。
また「鯉のぼり」「矢車」は、端午の節句を連想させる言葉。
こちらも5月上旬にふさわしく、柔らかい表現となります。
「ご清栄」「ご隆盛」などと続ければ、ビジネスシーンで使っても違和感がありません。
1. 立夏を過ぎ、夏の足音が身近に聞こえてまいりました。
2. 街路樹の緑が日ごとに濃さを増し、初夏の香りを感じられるようになりました。
3. 「目には青葉山ほととぎす初鰹」の良い季節がやってまいりました。
「立夏」とは、二十四節気における「夏の始まりとなる日」。
例年5月5日または6日にあたり、これを過ぎれば暦の上では「夏」となります。
5月中旬に入って「夏っぽくなってきたな」と感じたら、「立夏」を使いましょう。
「目には青葉……」は、江戸時代の俳人・山口素堂が読んだ有名な俳句です。
初夏を示す季語がたくさん使われており、一文で夏の訪れを感じさせます。
この句をそのまま取り入れれば、「初夏」という季節を明確に表現できるでしょう。
1. 木々を吹き抜ける風にも、夏の香りを感じる今日この頃。皆さま益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
2. 日射しに宿る強さから、夏の到来を実感する季節。皆さま益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
3. 走り梅雨に濡れた青葉が、まぶしい光を放っています。
5月下旬になれば、「夏」を意識した言葉を入れても構いません。
吹く風が夏らしくなってきたこと・緑が濃くなってきたことなどを示す言葉が最適です。
また「走り梅雨」とは、梅雨前に降る雨のこと。
「梅雨が始まりそうですね」という意味で、5月下旬の挨拶に使えます。
誰かに送る手紙やメールでは、書き出しと同様に結びの挨拶も重要です。
締めの言葉にもこだわって、マナーに則った手紙に仕上げましょう。
近しい人への手紙・メールに使える、カジュアルな5月の結びの挨拶を紹介します。
1. 風にたなびく鯉のぼりのように、元気いっぱい頑張りましょう。
2. ゴールデンウィークは五月晴れとなりそうです。ご家族でお出掛けを楽しんでください。
3. 新しい生活にもそろそろ慣れてきた頃でしょうか。くれぐれもご無理なさいませんように。
4. 母の日には、ご実家に顔を見せられるのでしょうか。お母様にもよろしくお伝えください。
5. ネモフィラの見頃が終わらないうちに、ぜひ一緒にお出掛けしましょう。
「鯉のぼり」「ゴールデンウィーク」「新生活」、さらに「母の日」は、5月上旬らしい印象を強めてくれる言葉です。
親しい人への挨拶文なら、気取らずに平易な文で記しましょう。
5月のイメージを視覚で表わしたいなら、鮮やかなブルーと白のコントラストが美しい「ネモフィラ」を入れるのもおすすめです。
ネモフィラの見頃は、4月中旬から5月上旬となります。
5月上旬のイメージにぴったりとはまるでしょう。
1. 連休の後で忙しい時期ですが、どうぞご自愛くださいませ。
2. 春から夏へ移ろう時期、お体を大切にお過ごしください。
3. 野山の青葉がまぶしく映える時期、皆さまの益々のご活躍をお祈りしております。
4. 吹く風も心地よい季節、大いに英気を養いましょう。
5. 吹き渡る風が心地よい季節。近いうちにお茶でも楽しみましょう。
5月中旬は、ゴールデンウィーク疲れをいたわる言葉を入れるのがおすすめです。
またこの時期は、だんだんと空気に夏らしさが混じってきます。
季節の移ろいについて言及すると、時節にマッチするでしょう。
ごく親しい人への手紙・メールなら、「~しましょう」と語りかけても失礼にはあたりません。
1. 夏の足音もすぐそこまで迫っています。ご無理をなさらず、体調を崩されませんように。
2. 照りつける日差しも、日に日に強さを増しております。くれぐれもご自愛くださいませ。
3. 身にまとう空気も、湿気で重くなってきたように感じます。梅雨に向かう折、体調にはお気を付けください。
4. 梅雨前の心地よい季節、お互い存分に満喫しましょう。
5. 本格的な梅雨が到来する前に、皆を誘って近況報告会を開きましょう。
梅雨を目前に控えた5月下旬は、梅雨が迫っていること・春が過ぎてしまったことを印象付ける言葉を入れるのがおすすめです。
体調を崩す人が多いので、相手の体をいたわる言葉を入れておくと気の利いた挨拶になります。
書き出しの言葉を柔らかくしたい場合、結びもそろえるのが鉄則です。
マナーに則りつつも堅苦しさのない、5月にぴったりの表現を紹介します。
1. 新緑のみぎり、皆さまのご多幸を心よりお祈りいたしております。
2. 風薫る爽やかな5月、益々のご活躍をお祈り申し上げます。
3. 薫風吹き抜ける好季節、お健やかな日々をお過ごしください。
「新緑」「薫風」は、5月の象徴として頻繁に使われる言葉です。
言葉のチョイスとしては極めて無難なので、ちょっとした挨拶や、フランクなビジネスメールなどに使うとよいでしょう。
1. 連休の疲れを残されませんよう、ご無理なさらずご自愛ください。
2. 暦の上では夏に入ったところです。くれぐれもご無理をなさいませんようお過ごしください。
3. 軽暑のみぎり、お体を大切になさってください。
中旬の結びの言葉に迷ったら、ゴールデンウィークへの言及が無難です。
連休疲れをいたわる言葉を入れれば、あなたの印象もアップします。
また軽暑とは、軽い暑さを感じる気候のこと。
夏が近づく5月中旬でも使えるので、、相手の体調を気遣う言葉も添えるとよいでしょう。
1. 向暑のみぎり、くれぐれもお体を大切になさってください。
2. 梅雨も差し迫ってきたこの時期、くれぐれもお体にはご留意ください。
3. 梅雨の走りで気まぐれな天候が続きます。ご無理をなさらず、健やかにお過ごしください。
「向暑」とは、夏に向かう季節を表わす言葉です。
「梅雨」と同様に、5月下旬の挨拶にふさわしいといえるでしょう。
ビジネス上の相手・さほど親密ではない相手への手紙・メールにも、「体を大切に」というメッセージを添えるのがおすすめです。
「常識をわきまえた気遣いのある人」という印象を持たれやすく、ビジネスでもよい関係に発展するかもしれません。
5月にしたためる手紙・メールでは、5月らしさが伝わるひと言を入れましょう。
上旬なら「ゴールデンウィーク」「鯉のぼり」、中旬・下旬なら「バラ」「緑が濃くなる様子」「梅雨の走り」など、その時々にふさわしい言葉を取り入れて文章を考えるのがおすすめです。
5月上旬は肌寒い日や春らしさがある一方で、、下旬になると夏寄りの気候となります。
手紙・メールを出すタイミングを考えて、違和感のない言葉を選ぶことも大切です。
親しい人への手紙・メールでも、マナーをわきまえて日本の古き良き伝統を踏襲し、季節感のある挨拶文に仕上げましょう。
画像出典元:Unsplash、Pixabay
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