Cartaという会社をご存知ですか?
アメリカスタートアップ業界では「絶対に手放せない魔法のSaaS」と言わしめるほどのCarta。
Cartaは、クラウド上で簡単に株式管理ができるサービスや、未公開株式を簡単にやり取りできるプラットフォームを提供しています。
なぜここまでの注目企業になったのか?
便利すぎて一度手にしたら手放せないという、Cartaを徹底解説します!
このページの目次
Cartaをひとことで言うと「株式管理のSaaS」です。
スタートアップ企業にとって、資金調達は重要な要素です。
そのため、現状誰が会社の株式を所有しているのかなど、資本構成を明確にする必要があります。
誰が会社の株を所有しているのか、会社の持ち株構成を示した一覧表を、「キャップテーブル」といいます。
このようなキャップテーブルを、今まではExcelで管理することがほとんどでした。
しかし、企業によってフォーマットが違ったり、「普通株」「ストックオプション」など株式には多くの種類があったり、ひとつひとつ管理するのに手間がかかると、資本状況の管理には多数課題がありました。
そういった、複雑で手間がかかるという課題を解決するべく、資本状況をデジタルで一括管理するSaaSアプリケーションを作ったのが「Carta」です。
Cartaは2012年に創業、2019年には17億ドルの評価額で3億ドルの資金調達を実施しました。
直近の時価総額はなんと8000億円を超える超優良スタートアップで、CB Insightsとニューヨークタイムズとの共同リサーチによる「次のユニコーン企業50社リスト」にも載っていた、急成長の企業です。
Cartaはアメリカではスタートアップ、VC(ベンチャーキャピタル)双方にとってデフォルトになっているツールで、シリコンバレーの根幹にいると言っても過言ではありません。
前述したように、管理が面倒な資本情報をクラウドで管理するプラットフォームを作り、その他にも、未上場企業の株式を売買させるプラットフォームを作っています。
拠点は、
・サンフランシスコ
・シンガポール
・リオデジャネイロ
・シアトル
・ニューヨーク
・ソルトレイクシティ
・ニュージャージー
・フィラデルフィア
・ウォータールー
の現在9拠点になります。
前述している通り、Cartaは複雑で面倒だった資本管理を簡単にできるサービスを提供しています。
Excelで管理をすると、情報が最新でなかったり、正確でない恐れが出てきます。
Cartaではキャップテーブルがリアルタイムで更新されるため、手動で更新をしなくて済むのです。
基本的に企業価値というのは「株式数×株価」で決まりますが、キャップテーブルを自動管理することで、企業価値の算定もすぐわかることが特徴です。
アメリカでは、金融業界の「西海岸・東海岸問題」というものがあります。
西海岸はVCが未上場企業に投資をすることが多く、その未上場企業がひなから育つと東海岸の大きい株式市場(NASDAQなど)で上場するというパターンが多いそうです。
しかしこのCartaでは、クラウド上で株式のやり取りや企業情報が見れるので、西海岸にいたまま投資家の層を広げることを可能にしました。
Cartaの顧客にはRobinhood,Slack,Wealthfront,Squarespace,Coinbaseなどがいて、現在およそ5000億ドルのエクイティを管理しています。
Carta導入企業(未上場企業)
出典元:https://soeur.me/business/knowledge/carta#Carta-6
上場企業向けには、主に従業員による自社株式購入制度(ESPP)の管理サービスがあるそうです。
ESPPでは自社の株を安く買うことができますが、毎月の給与から積立をしたり、場合によっては売却時期が決まっていたりと、こちらも管理がなかなか難しいようです。
Cartaではそうした大企業のバックオフィスにある株式管理のサポートを行なっています。
Carta導入企業(上場企業)
出典元:https://soeur.me/business/knowledge/carta
投資家は、その企業をクリックするだけで簡単にキャップテーブルや投資する上での主要データにアクセスすることができます。
キャップテーブルや財務諸表、KPIなどにすぐアクセスできることによって、投資先との細かいやり取りを減らし、ファンドの運用により多くの時間を費やせるようになります。
それだけでなく、自分の投資情報をジャンルやステージなどで分類しつつ一括管理を行うことができるので、投資家にとっても面倒だった株式管理の課題を解決することができます。
出典元:https://carta.com/sg/investors/
今まではウォール街で上場した企業の株式を売り買いすることが主流でした。
しかし、スタートアップ業界やVCの拡大などを受け、上場する前の株式をやりとりすることが徐々に主戦場になりかけています。
Cartaはこの問いから始まりました。
”Why can I buy Google stock on my phone, but investing in a private company costs $20K in legal fees, takes 45 days to close, and ends with a mailed paper stock certificate?”
Googleの株を買おうと思えば、スマホでこんな簡単に買えるのに、なぜ非公開株式になると弁護士費用に2万ドル、締結まで45日もかかり、この時代に紙の”株式”が送られてくるのだろうか
引用:Cartaホームページよりhttps://carta.com/blog/seriese/
確かに、上場企業の株式はスマホで簡単にやり取りができるようになりました。
しかし未上場の非公開株は、やり取りできる人間が限られている故に、その透明性には問題がありました。
Cartaはそこに目をつけて、特にスタートアップの非公開株式において外部の人間が関わりやすいように、スタートアップの株式の把握をするためのプラットフォーム非公開株でもクラウド上で簡単に株式管理ができるプラットフォームを創出しました。
未上場の株式発行時やExit(投資資金の回収)時の株式種類の変換なども含めた管理は、複雑な取引や契約が必要です。
かつ、それを正確に効率的に管理を行うには相当なノウハウが必要になります。
Cartaの情報ベースがあれば、株主間の取引が非常に簡単にでき、必要な手続きや契約もオンラインで完結でき、とにかく便利だと話題になりました。
便利になったのは株主だけでなく、企業、弁護士にとっても非常に便利でしたので、彼らの口コミで瞬く間に広まったといいます。
広告でなく口コミで広まったという点から、Cartaがいかに便利なサービスであったかということがわかる!
Apple、Facebook、Teslaなどの名だたる企業の共通点というのは、「VC(ベンチャーキャピタル)がつくってきた」というところにあります。
VCはまだ確信の無い企業に投資をするわけですから、ハイリスク・ハイリターンですが、革命を起こすような企業はVCから生まれており、VCの市場も年々拡大しています。
その上、スタートアップが上場するまでの年月は平均で14年かかると言われており、株式を公開していない未上場企業は全部で約数千億ドル(数十兆円)の価値があるとも言われています。
未上場企業に投資する機関投資家の増加や、上場するまでの時間が長くなっていることから、未公開市場での複雑な株式取引の課題を解消するCartaがかなり大きな存在感を示したと見られます。
未上場株をやり取りするためのプラットフォーム(Carta X)を創出したCartaですが、実はCarta自身がまだ上場していない会社だったのです。
そこで、Carta Xの実験台として、自社の株を売り買いさせてみました。
その結果、自社の時価総額が格段に上がり、まさに自社が実際にユーザーとなって、Carta Xの有望さを実証しました。
これはアメリカのベンチャー界でも瞬く間に話題となりました。
Cartaは新しい従業員を大幅に増やし、取締役会管理やポートフォリオ分析など新しいプロダクトを立ち上げました。
Cartaの参画企業を増やすことで独自のデータを構築していくといいます。
この調査分析で、会社の株式保有者を「性別」の観点から分析したところ、目に見えて女性が持つ株式の割合の方が小さいことがわかりました。
出典元:https://techcrunch.com/2018/09/18/the-gap-table/
こちらは約6000社のデータを元にしているそうですが、Cartaは参画企業をさらに増やし、独自のデータベースをより確からしいものに構築していくといいます。
Cartaは上場企業や投資家向けのサービスも行なっていますが、やはりスタートアップの支援が中心ということは変わらないそうで、今後未上場マーケットがさらに加速していくことに期待が膨らみます。
Cartaは未上場市場という、今まで流動性がなかったマーケットに流動性を持たせました。
今までIPOが成功のルートと考えられていましたが、資金調達の手段が増えたり、未上場企業の社会的信用も上がったことで、上場するに値する企業でもあえて上場しない企業も多くなってきました。
上場に対しての考え方も多様化する中で、未上場マーケットに流動性を持たせたことは、企業や投資家に大きなインパクトを与えました。
今後この市場は拡大すると見られており、Cartaの存在はますます大きなものになりそうです。
スタートアップは判断の元となる情報が少なく、定性的なものになりがちですが、Cartaのような株式管理のツールの利用や未上場マーケットに流動性を持たせることで、投資する上での判断もしやすくなり、スタートアップの資金調達の幅も広がることでしょう。
そしてこの流れは米国だけでなく、数々の諸外国にも起こり得ることです。
日本でCartaのような企業は現れるのでしょうか。
今後の動向に期待です。
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