士業とは?8士業・10士業の業務内容と活用例・平均年収

士業とは?8士業・10士業の業務内容と活用例・平均年収

記事更新日: 2021/08/02

執筆: 高浪健司

士業という言葉は聞いたことあるものの、士業って実際どんな職業のことを指し、どのような業務を行うのか分からない。そういった声をよく耳にします。 

そこで今回は、士業の意味や8士業・10士業に分類されている士業の種類、さらにはそれぞれの業務内容や平均年収についても解説していきます。

士業とは

士業(しぎょう)とは、たとえば弁護士や税理士、司法書士など「○○士」といったように、「士」という名称が語尾に付く専門性の高い職業の俗称をいいます。

また、士業と呼ばれる職業には資格を有するものが多く、資格は主に国家資格と民間資格の2つです。このうち、国家資格は資格の認定に加え、専門的に行う業務の独占性が法的に認められています。

一方、民間資格の場合は、資格の認定や業務独占性が認められているわけではなく、あくまで特定分野における専門的能力を証明するためのものにとどまります。

 ちなみに、士業は俗にサムライ業と呼ばれることがあります。

これは、「士」という文字が武士の「士」に通じることから“サムライ”つまりサムライ業と呼ばれる由来となっています。

時としてサムライ業と呼ばれる士業ですが、士業は「8士業」と「10士業」に分類されます。次の章では8士業・10士業について詳しく解説していきます。

8士業

8士業について、分類される名称と主な業務内容をそれぞれ見ていきましょう。

8士業
弁護士 弁理士 司法書士 行政書士
税理士 社会保険労務士 土地家屋調査士 海事代理士

 

名称 主な業務内容
弁護士 民事や刑事など訴訟事件の手続きや解決など、法律に関するトラブルへの対処が主な業務です。
弁理士 特許や実用新案、意匠、商標など、国内外における知的財産権の出願や取得手続きを担うのが主な業務です。また、関税の認定に関する手続きの代理も行います。
司法書士 不動産取得や会社設立時の登記申請書類の作成および裁判所へ提出する書類作成が主な業務です。また、法務大臣の認定を受けている司法書士であれば、140万円以下の民事訴訟の手続きを行うことができます。
行政書士 官公署に提出する許認可申請の書類作成事実証明に関する書類作成、権利義務に係わる書類作成など、行政書士の業務は多岐にわたるのが特徴的です。
税理士 確定申告など税務書類の作成税務調査の立ち合い、財務書類の作成、会計帳簿の記帳代理などが主な業務。税務に関する相談や代理などは、税理士の独占業務です。
社会保険労務士 行政機関に提出する社会保険に関する書類の作成や申請代行が主な業務です。また、人事労務管理のコンサルティングなども行います。雇用や社会保険、労働問題、公的年金など社労士の業務は多岐にわたります。
土地家屋調査士 不動産の表示に関する登記につき、必要な土地および家屋に関する調査または測量を行うのが主な業務です。不動産登記の申請代行や審査請求の手続き代理も行います。
海事代理士 船舶の登記や登録、検査をはじめ、船舶免許の取得、更新の申請代行などが主な業務です。


8士業は、戸籍謄本や住民票など公的書類に関して職務上請求を用いて請求する権限が与えられています。

そのため、委任状がなくても第三者の戸籍謄本や住民票を請求することができます。なお、8士業はいずれも専門的業務となる国家資格です。

10士業

続いて10士業です。8士業にある海事代理士を除き、「公認会計士」「中小企業診断士」「不動産鑑定士」の3つを加えたものが10士業に分類されます。

10士業
弁護士 弁理士 司法書士 行政書士
税理士 社会保険労務士 土地家屋調査士 公認会計士
中小企業診断士 不動産鑑定士    

 

名称 主な業務内容
公認会計士 個人事業主をはじめ企業における監査や税務、コンサルティングが主な業務です。特に監査に関しては公認会計士のみが行える独占業務です。
中小企業診断士 中小企業の経営に関する経営診断や助言を行う、いわゆるコンサルティングが主な業務です。
不動産鑑定士 不動産に対する鑑定評価が主な業務で、不動産の価値を求める鑑定評価は、国から認められている独占業務です。また、不動産に関するコンサルティングも業務の一環です。


10士業は、商工会議所の相談窓口に設置されていることが多く、個人や中小企業と密接した業務が対象となっています。もちろん3業種すべてが国家資格です。

その他の士業

8士業・10士業以外にも、士業と呼ばれる職業はたくさん存在します。そのなかで馴染みのある士業をいくつかピックアップしてご紹介します。

会計・コンサルティング

名称 主な業務内容
FP技能士 ファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能士)は、顧客の資産情報を的確に分析し、個々それぞれの目的に沿った資産設計やライフプランの提案を行うのが主な業務です。

 

建築・不動産

名称 主な業務内容
一級建築士 構造設計・設備設計・意匠設計といった建物の設計業務と、工事管理業務が主な業務です。一級建築士は二級建築士や木造建築とは異なり、扱える建造物に制限がないため、業務内容も高度かつ多岐に渡ります。
マンション管理士 マンションの維持や管理に関するアドバイスなどコンサルティングを行うのが主な業務です。よくマンションの管理人と間違われやすいですが、マンション管理士は国土交通省管轄の国家資格者です。

 

土木・技術

名称 主な業務内容
土木施工管理技士 土木工事における施行管理(現場監督)が主な業務です、施行計画から工程管理、予算管理、品質管理、安全管理など多岐に渡ります。
気象予報士 観測データやアメダス、気象レーダーなど、気象庁から提供されるそれぞれの情報を分析し、気温や湿度、降水確率など天気について予想するのが主な仕事です。ちなみに気象予報士になるための国家資格は非常に難しいとされ、合格率はおよそ5%です。
自動車整備士 自動車の点検整備、分解整備、板金塗装などを行うのが自動車整備士の主な業務です。整備士には3級・2級・1級・特殊の4種類の資格があり、いずれも国家資格です。なお、資格によって行える業務内容がそれぞれ異なります。

 

士業の活用事例

さて、ここまで士業やその種類について解説してきましたが、士業は実際どのような場合に活用されているのでしょうか。

個人・法人それぞれにおける士業の活用事例を見ていきましょう。

個人の場合

遺産相続問題

一個人が士業を活用する事柄として多いのは相続問題です。この相続問題のうち、特に遺産分割におけるトラブルは非常に多く、これまで仲の良かった兄弟であっても遺産分割が原因で関係が悪化してしまうことさえあります。

遺産分割などを巡り相続争いが勃発してしまった場合、弁護士を入れないと解決に至るのは極めて困難です。また、相続に土地や建物など不動産が絡んでいるような場合は、土地の分割や売買などにより土地家屋調査士が活用されるケースもあります。

離婚問題

子どもの親権や養育費、財産分与や慰謝料など、離婚にはトラブルへ発展する問題が比較的多いです。そのため離婚に関する問題も基本的には弁護士が活用されます。

ただし、司法書士であっても離婚協議書や公正証書の作成や財産分与における所有権移転登記なども行うことができるので、離婚条件等に問題がなく簡易に済ませたい場合は司法書士を活用する場合もあります。

法人の場合

会社設立のための手続き

個人事業主の場合は開業届を提出すれば完了ですが、法人として会社を設立する場合は法人登記が必要で面倒な手続きが多いため、そこで活用されるのが司法書士です。司法書士は会社設立のための手続き(たとえば定款や登記の作成代行)など、ほぼすべてのことが行えます。

ただ、新たに飲食店や建設業などを始めるといった場合は許可や認可が必要となってくるため、申請に必要な書類の作成や提出などを行う際は行政書士が活用されています。

経理業務の効率化 

法人であれば、決算や税務申告が必要です。しかし、決算や税務申告などの経理作業は非常に煩雑で、自分たちで行うとなると多くの手間や時間がかかってしまい大変です。そこで活用されているのが税理士です。

税理士は経理の専門家であり、貸借対照表や損益計算書の作成、決算申告や給与計算、給与明細書の作成など、あらゆる経理業務を依頼することができます。また、各種補助金の申請や資金調達、節税面でのサポートも行ってくれます。

税理士を活用することで、税に関するあらゆる相談に乗ってもらえるので、会社にとっては大きなメリットとなります。

年収の高い士業TOP10!

士業について理解できたところで、気になってくるのが士業の年収です。

この章では士業の平均年収のトップ10をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

順位 名称 平均年収
1 公認会計士 643万円
2 弁護士 597万円
3 弁理士 575万円
4 不動産鑑定士 545万円
5 一級建築士 515万円
6 税理士 473万円
7 司法書士 451万円
8 社会保険労務士 424万円
9 行政書士 400万円
10 土地家屋調査士 383万円


士業の平均年収はこのようになっております。職種的に特別感があるのに思ったより多くないな。と思った方もいるのではないでしょうか?

しかし、上記で記載している年収額はあくまで新人士業からベテラン士業まで合わせての平均です。

当然のことですが、実際の実務経験や勤務先、勤続年数などによって年収も大きく変動します。

まとめ

士業を知るうえでもっともポイントとなるのが以下の内容です。

  • 士業は弁護士や司法書士、税理士のように、語尾に「士」が付く専門家でサムライ業とも呼ばれているということ。
  • 士業は「8士業」「10士業」に分類され、このうち戸籍謄本や住民票などの公的書類を職務上請求できる権限が付与されているのが8士業。さらに一部独占業務であるということ。 


以上の内容が士業を知っておくうえでもっとも重要なポイントです。

もちろん「8士業・10士業」に入っていない士業もたくさん存在します。いずれにせよ、何か問題が生じた際、その問題の解決に向けて適切に対応してくれる専門家が士業です。

もし、ビジネスやプライベートなどで困った際は、その分野の士業に相談すると良いでしょう。

画像出典元:photo AC

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