TOP > 組織 > 採用 > 採用通知書とは?【文例つき】記載事項や書き方のキホン
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主に新卒採用で用いられる「採用通知書」。企業が求職者の採用を決め、その意思を求職者へ伝えるためのものです。
採用通知書の書き方や出し方次第では、企業のイメージを損なう恐れもあるので、意義や書き方をしっかりと把握しておきましょう。
今回は、採用業務に携わる担当者向けに、採用通知書とは何かから内定通知書との違い、採用通知書に記載する事柄まで解説。さらに、コピー&ペーストで簡単に活用できる文例やひな形までご用意。
採用通知書の法的効力や、求職者に好印象を持ってもらえる採用通知書の書き方のポイントについても言及しており、採用通知書への疑問や悩みがすべて解消する内容になっています。
このページの目次
企業が求職者に対して送る「採用通知書」。採用を知らせるために送るものと認識されている方も多いのではないでしょうか?
実は、採用通知書は単に採用を知らせるためだけのものではありません。
採用通知書は、その名の通り、求職者に対して採用を通知する書面ですが、言い換えれば企業側からの「採用の意思」を示す書面でもあるのです。
これを受け取ることで求職者は「採用が決まった」と明確に判断することができます。
採用通知書の定義は企業によって異なり、内定通知書を兼ねた「採用内定通知書」を発行するところもあります。
採用通知書の送付パターンとフロー | |
パターン1 | 電話やメールによる内定通知 → 採用通知書を送付 |
パターン2 | 内定通知書を送付 → 求職者からの内定承諾を受理 → 採用通知書の送付 |
パターン3 | 『採用内定通知書』として送付 |
パターン4 | 内定式で直接、採用通知書を手渡し |
なお、採用通知書は、その字面からだけでは「紙に印刷したもの」しか許されないように思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
近年では、メールや電話、面談などカジュアルな形で通知する企業も増えています。
採用意思を示すものであるにもかかわらず、法律上、発行の義務はありません。採用通知書を発行するかどうかは、実質、企業に委ねられているのです。
それでも大半の企業が採用通知書を発行するのは、求職者に採用の意思があることを明確に知らせるため。
そのほかでは、求職者の他社選考の取りやめや入社意思の強化など、優秀な人材の取り逃し回避の可能性が高まるメリットもあるからです。
採用通知書を発行することで、企業側に採用の意思があることを明確に伝えられるだけでなく、企業と求職者間に認識の違いが生まれるのを防止することもできます。
内定が決定したあとに求職者側で何らかの認識違いがあったとしても、採用通知書に具体的な内容を明記しておけば、その違いを改められます。
万が一、認識の齟齬を放置する状況が長引くと、契約トラブルや内定辞退といった問題につながりかねません。
最悪のケースでは、訴訟問題になったり、求人活動を再開することになったりして、余計なコストを費やすこともありえます。
契約トラブルや訴訟問題と聞くと、採用業務を担う人は不安を覚えるかもしれません。そこで、少しだけ採用通知書にまつわる法律面についても触れておきます。
まず、「採用通知書」や「採用内定通知書」といった呼び名だけでは、法的拘束力の発生の有無は決まりません。
では、どんな場合に法的効力が発生するかというと、通知書に記載する内容や同封する書類によって法的効力が発生するというのが一般的な見解です。
法的効力が確実に発生する 主なケース |
採用意思を通知するとともに、入社承諾書や労働条件通知書が送付され、承諾書を受理した場合 |
法的効力の発生が考えられる 主なケース |
採用意思や今後のスケジュールを伝えるだけの通知 |
企業の求人は、労働契約への申込者を募るための募集であり、求職者の応募は労働契約への申し込みに該当。
さらに、企業が採用決定を通知することによって、労働契約申し込みへの承諾に当たるとみなされています。
ここで「労働契約を交わしたわけではないのに、労働契約が成立するのか?」と思われる方もいるかもしれません。
「採用」という言葉は、一般的に「採用内定」を指し、専門的用語で「始期付解約権留保付労働契約」といいます。「始期付」とは入社日が決定していることを指し、「解約権留保付」とは入社日までにやむを得ない事情があった場合に労働契約の解約ができることを指します。
採用通知の書面上で「採用内定」や「入社決定」といった記載があれば、それ自体が、条件付きの労働契約が成立状態にあることを示しているといえるのです。
労働契約が成立すれば、労働契約法第16条によって企業側は一方的に求職者(=労働者)を解雇することができませんから、内定を簡単に取り消すことができません。
また、労働契約法第6条によって、書面を送付しての通知ではなく口頭での通知でも、書面送付時と同様の法的効力が発生することが規定されています。
この法的効力は求職者側にも発生しますが、民法によって求職者(=労働者)側からの契約解除の自由が保障されているため、法的な力のみで内定辞退を差し止めることはできません。
企業によっては採用通知書とは別に、内定通知書も発行しているところもあります。
この2つの通知書の違いは何なのか。表にまとめましたので、比較して見ていきましょう。
採用通知書 | 内定通知書 | |
書面の目的 | 採用の決定を表すもの | 内定の決定を表すもの |
発行の法的義務 | 定めなし | 定めなし |
通知を出せるタイミング | 定めなし | 新卒採用の場合は、卒業・終了年度の10月1日以降 |
通知の形式 | 企業による (書面、電話、メール) |
企業による (書面、電話、メール) |
労働契約における 法的効力 |
場合による | 効力が発生する |
求職者側への 法的拘束力 |
発生しない | 発生しない |
採用通知書は、内定通知をした求職者に対して「正式にあなたを採用します」という意思を伝えるためのものです。
一方、内定通知書は、最終面接に合格した求職者に対して「社内で採用を決定した」ことを伝えるための書面です。
少しややこしいですが、内定通知書は「社内での採用結果を、求職者にひとまず伝えるためのもの」と捉えておくといいでしょう。
近年ではペーパーレスやデジタル化促進、インターネットおよびスマートフォンの普及などの影響から、内定通知書と採用通知書をひとまとめにした「採用内定通知書」で済ませるケースも増えています。
ここでは、ブロックごとに文例をご用意しました。コピー&ペーストでお使いいただけるようになっていますので、ぜひご活用ください。
拝啓 貴殿におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。この度は、多数の企業の中から弊社求人にご応募くださいまして誠にありがとうございました。また、先日はお忙しい中、ご来社いただきましたこと、重ねてお礼申し上げます。
厳正なる選考の結果、貴殿を弊社社員として採用することといたしましたので、ご連絡いたします。
入社日は令和〇年〇月〇日です。
入社日については、〇月〇日頃にご案内いたします。
つきましては同封した書類をご確認いただきまして、必要事項をご記入のうえ、期日内にご返送ください。
提出期限:令和〇年〇月〇日
同封書類:入社承諾書 1通、入社誓約書 1通、労働条件通知書 1通、スケジュール表 1枚
提出書類:入社承諾書 1通、入社誓約書 1通
採用通知書に直に労働条件を記載する場合は、別途、労働条件通知書を送付する必要はありません。
ご不明点等がございましたら、末尾記載の連絡先までお問合せいただけますと幸いでございます。
〇〇様とともに働く日を、社員一同、心よりお待ちしております。
人事担当 起業太郎
TEL:〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
MAIL:〇〇〇〇@〇〇〇〇.〇〇.〇〇
ここからは、実際に採用通知書を用意する場面になったとき、どのように書けばいいのかについて言及していきます。
メールであれ紙での通知であれ採用通知書を送付する際は、求職者の立場になって親切かつ丁寧な内容にすることがポイントです。
求職者は、同時並行で複数の企業と面談をおこなっている可能性が高く、事務的な文面では印象が悪く映ることもあるからです。
また、不親切な案内では、入社後にぞんざいに扱われるのでは?といった不信感を持たれてしまうリスクがあります。好印象を抱いてもらえるように、以下の点に留意しておくといいでしょう。
採用通知書は、求職者に対して採用決定を知らせるものであるため、記載事項に抜け漏れがあれば、トラブルの原因になりかねません。
そうなれば、会社の信頼を失ったり、イメージ低下に繋がったりする恐れもあります。
それらの事態を避けるには、一から書面を作るよりも、既存のテンプレートを活用して必要箇所だけ書き換える方法がおすすめです。
新たに独自のフォーマットを作るよりも効率的、かつ簡単に採用通知書を作成できます。
採用通知書そのものに記載しなければならない事項は、法律上、定められていないため、何を記載するかは企業で決めることができます。しかし、求職者の立場や、認識の齟齬を回避するという観点で考えると、少なくとも以下に挙げた内容は網羅しておくのが無難です。
項目 | 内容および注意点 |
発行日 | 採用通知書の発行年月日 |
宛名 | 応募者(=求職者)の氏名 |
差出人名 | 正式名称での社名、代表取締役の氏名 |
書面のタイトル | 「採用通知書」または「採用内定通知書」 |
お礼 | 採用試験応募へのお礼を伝える文章 |
採用決定の知らせ | 採用が正式に決定したことを明記 |
採用取り消し事由 | 学校が卒業できない・不祥事などの正当な理由があれば、企業側から採用内定を取り消せる場合があることも明記 |
入社日 |
|
同封書類の内容 | どんな書類をいくつ同封しているのかを明記 |
同封書類の返送期限 |
|
同封書類の返送先 |
|
今後のスケジュールや流れ |
|
締めの挨拶 | 入社を心待ちにしていることが伝わる文面で、求職者の不安を拭う |
問い合わせ先 |
|
求職者は、採用が決定しても入社するまではさまざまな不安を抱えがちです。
特に、次に何をすればいいのかわからない状況は、不安が大きくなりやすいため、起こすべきアクションについて明示されていると安心します。
ここに不足があれば、求職者は不親切な企業だと感じて内定辞退を申し入れるリスクを増大させてしまいます。
それを回避するためにも、採用通知書では上表にまとめた注意点に留意した書面を用意しましょう。
採用通知書に同封する書類は、採用通知書そのものの取り扱いに合わせて用意します。
たとえば、内定通知書を送った後の採用通知書と、内定通知書と採用通知書をまとめた「採用内定通知書」では、同封する書類に違いがあります。
共通する同封書類は、以下のものです。
内定通知書と採用通知書をまとめた「採用内定通知書」では、以下の書類を必ず同封します。
上から順番に解説していきます。
ビジネスシーンでは、あらゆる書類において添え状を同封するのがマナーとされています。これには、同封書類に何があるかを案内する案内状としての目的もあります。
採用が決定した求職者自身が書く書類で、入社日までに期間が空くときに用いられます。「採用が決定しました」という通知を送るだけでは、企業側が入社を受け入れた意思を確認できても、求職者側の心変わりまではわかりません。内定辞退を防ぐ目的を兼ねて、求職者の「入社意思」を確認するものとして同封します。
入社承諾書そのものには法的効力は発生しませんが、書面を取り交わすことよって企業側と求職者間の意思の共有が行えるうえ、求職者の内定辞退を防ぐ心理的効果が期待できます。
なお、入社承諾書には以下の項目が盛り込まるのが一般的です。
入社承諾書には、正当な理由なく入社を拒否しない旨の誓約を付け加えておくと、双方に固い意思があることを共有できます。
入社にあたり、以下の点について求職者から誓いを立ててもらうための書面です。
記載内容には、以下の項目が盛り込まれています。
入社承諾書と類似する項目も多いため、入社承諾書と入社誓約書を同一書面にまとめている企業も少なくありません。
講習会や勉強会など入社前に受講する研修がある場合は、それらのスケジュールを案内します。
このときに必要となる持ち物や提出物があれば、その旨を研修場所とともに明記しておきます。
そのほか、入社日までに対応してもらう事柄がある場合は、その旨をわかりやすく図式化するなどして求職者がアクションしやすいように案内しましょう。
同封する入社承諾書や入社誓約書は、企業側が一方的に送るだけでは意味がありません。求職者側から返送を受けて、はじめて意味を持ちます。
返送をスムーズにするためにも、返信用封筒を同封しておきます。
返信用封筒が入っていないと、次のようなリスクに繋がります。
返信用封筒が入っていれば、求職者の「早く返送しなければ」という心理をかき立てることができます。
なお、返信用封筒には、必ず返送先の住所と宛名(部署・担当者氏名)、切手の貼り付けをしておきましょう。
これらは、求職者の手間を省くほかにも、宛先の書き間違いや返送の遅延などを防ぐためでもあります。
労働条件通知書とは、事業者が労働者に対して賃金・契約期間・勤務地といった労働条件の内容を知らせる書類のこと。
企業には、労働契約を結ぶ際に求職者に対して労働条件を提示する義務があるのです。
採用通知書を送付する以前に送った内定通知書で、労働条件通知を行わない場合には、必ず採用通知書の送付時に同封しなければなりません。
また、労働条件通知は、採用通知を口頭で行ったとしても、出来る限り書面で用意することが労働契約法第4条によって規定されています。
労働条件通知書で明示する条件は、労働基準法第15条により、以下の通りと定められています。
1.労働契約の期間に関する事項
2.期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
3.就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
4.始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
5.賃金(退職手当及び⑧の臨時に支払われる賃金を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
6.退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
7.退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
8.臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び労基則第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
9.労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
10.安全及び衛生に関する事項
11.職業訓練に関する事項
12.災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
13.表彰及び制裁に関する事項
14.休職に関する事項
上記のうち7~14の事項においては、定めがない場合のみ明示する必要はないとも同条文に規定されています。
自社に該当する箇所を確認いただき、労働条件通知書に記載するようにしてください。
なお、労働条件通知書のフォーマットは、厚生労働省のホームページよりダウンロードしたものを使うのがおすすめです。
採用通知書を送るタイミングは、最終面接から遅くとも1週間以内に届くようにします。日が経つごとに、ほかの企業へ求職者が流れるリスクが高まるからです。
採用通知自体は、メールや電話でもかまいませんが、聞き間違いや受信の確認漏れ、あるいは伝え漏れなどのリスクもあります。
事前連絡としてメールや電話を使い、できるだけ書面にて送付するのが望ましいでしょう。
もしも、選考基準に達さずに不採用になった場合でも、その旨の通知は必ずしておきます。最近では、書面以外にメールで済ませる企業も増えています。
不採用での電話通知はしないのが一般的です。不採用通知をする際は、採用者同様に丁寧な対応を心がけましょう。
採用通知書は最長で1週間以内に求職者のもとへ届くように送付します。
これによって、求職者に安心感を持たせられ、同時並行で就職や転職活動をしていた他社への流入を防ぐことが可能です。
内定通知書とひとまとめで送付する場合も、本記事で取り上げた内容が適用されますので、採用通知書のみで内定と採用を知らせる際の参考にされてください。
画像出典元:Pixabay、Unsplash
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