総勘定元帳とは?仕訳帳との関連性と記入方法を例付きで解説!

総勘定元帳とは?仕訳帳との関連性と記入方法を例付きで解説!

記事更新日: 2021/05/27

執筆: 佐藤杏

総勘定元帳とは、仕訳帳の内容を勘定科目ごとに分けて転記した帳簿です。

この記事では、総勘定元帳の記入方法と作成ポイントを事例付きで解説します。

帳簿は「仕訳帳→総勘定元帳→補助簿」の流れで作成され、決算書類の「貸借対照表」と「損益計算書」の基データになります。

総勘定元帳は、個人事業主も法人も記帳と保管が義務付けられています。

会計ソフトの活用も含め、総勘定元帳について正しく理解してきましょう

総勘定元帳とは

総勘定元帳とは、仕訳帳の内容を勘定科目ごとに分けて転記した帳簿です。

「そうかんじょうもとちょう」と読み、「元帳」と略して呼ばれます。

総勘定元帳と仕訳帳は連動しており、2つの記帳は会社経営において財政と経営状況を把握する上で大切な帳簿です。

総勘定元帳と仕訳帳の違い

仕訳帳 毎日の仕訳を日付順に記録 特定の日付のすべての取引が確認できる
総勘定元帳 仕訳帳の内容を勘定科目ごとに転記 勘定科目ごとの取引日、発生原因、残高などが確認できる


勘定科目ごとに記載する総勘定元帳は、特定の勘定科目の取引日や取引の発生原因、残高を確認することができます。

仕訳帳は日付順にすべての取引を記録するので、特定の日付の取引を確認する時に使います。

帳簿は「仕訳帳→総勘定元帳→補助簿」の流れで作成する

取引発生から各帳簿の記入までのおおまかな流れは以下のとおりです。

1. 取引発生

2. 入金伝票や出金伝票などの起票

3. 仕訳帳に記入

4. 仕訳帳から総勘定元帳へ転記

5. 補助簿に記入


総勘定元帳は、仕訳帳と共に複式簿記で「主要簿」と呼ばれています。

総勘定元帳と仕訳帳には日付・金額・借方と貸方の勘定科目しか記入しません。賃借対照表や損益計算書などの財務諸表の作成だけなら総勘定元帳と仕訳帳の情報で十分です。

しかし、仕訳帳と総勘定元帳だけでは取引先や商品ごとの明細を把握できず、取引先や取扱商品の数が多い企業などでは実務に支障をきたす可能性があります。

そのため、取引先や商品ごとの期日や売掛金・買掛金の残高などの明細を補足・管理するために「補助簿」を作成します。

複帳簿の例

現金出納帳、得意先元帳、仕入先元帳、預金出納帳、経費帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳

 

総勘定元帳の記入方法

総勘定元帳には次の2つの記入方法があります。

標準式
  • 相手勘定科目とその金額を借方・貸方に分けて記載
残高式
  • 金額のみを借方・貸方に分けて記載
  • 残高を記入するのでいくら残っているのか把握できる

実際の仕訳を例にして、総勘定元帳に記入する方法を紹介します。

例1:勘定科目が一つの場合

たいていの取引は、ひとつの取引について借方・貸方両方に該当する勘定科目を一つだけ使用して仕訳します。

標準式・残高式それぞれで勘定科目が一つの場合、どのように仕訳帳から総勘定元帳に転記するのか紹介します。

標準式

標準式の記入のポイント
  • 日付欄には取引発生日を記入
  • 摘要欄には借方の場合は貸方、貸方の場合は借方の勘定科目を記入
  • 「仕丁」にはその仕訳が記載されている仕訳帳のページを記入
  • 「借方」欄には仕訳帳の借方金額、「貸方」欄には貸方金額を記入

 

残高式

残高式の記入ポイント
  • 日付欄には取引発生日を記入
  • 摘要欄には借方の場合は貸方、貸方の場合は借方の相手勘定科目の相手勘定を記入
  • 「仕丁」にはその仕訳が記載されている仕訳帳のページを記入
  • 「借方」欄には仕訳帳の借方金額、「貸方」欄には貸方金額を記入
  • 「借または貸」の欄は、借方残高(借方合計の方が貸方合計より多い)場合は借、貸方残高(貸方合計の方が借方合計より多い)場合は貸を記入
  • 一般的に、資産・費用に含まれる勘定科目は借方残高、負債・純資産・収益に含まれる勘定科目は貸方残高となる

 

例2:相手の勘定科目が複数になる場合

現金で一度に借入金と利息を返済した、仕入のときに買掛金と現金の2種類の方法で支払いをしたといったケースでは、一つの取引につき借方か貸方のどちらかに2つの勘定科目を使うことになります。

そうした場合は、相手の勘定科目が複数になり、次のように仕訳帳や総勘定元帳に記入します。

相手勘定科目が複数ある場合は「諸口」を使います

諸口とは

諸口(しょくち)とは「取引相手(講座)が複数あります」という意味の言葉です。仕訳帳から総勘定元帳に転記する時に借方・貸方どちらかの勘定科目が複数になる場合に使います。


参考例では「現金」の勘定科目に対して、「借入金」と「支払利息」という複数の勘定科目が存在しています。この場合は、現金勘定の摘要欄に「諸口」と記入すれば、それを見た人は相手勘定科目が複数あると理解できます。

「諸口」と記載されていることは、複数勘定取引の目印です。

諸口と記載された取引の詳しい内容を知りたい場合は、仕訳帳の該当する日付を見ればすぐに分かります。

総勘定元帳を作成ポイント

総勘定元帳は記帳と保存が義務づけられている

総勘定元帳は、法律で明確に記帳と帳簿等保存義務が決まっています。

総勘定元帳の記帳義務と保存義務に違反したが発覚すると「100万円以下の罰金」「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」「延滞税」が命じられます。

仕訳けミスや計算誤りなど仮装・隠ぺいを伴わない場合でも、義務違反の為罰則の対象です。

また、青色申告の事業主は、記帳と帳簿等保存義務に違反した場合、青色申告が取り消される場合があります。

総勘定元帳は、正しい記帳と保管を行いましょう。

総勘定元帳の保管期間

  個人事業主(税法) 法人の場合(会社法)
総勘定元帳 7年間 10年間
総勘定元帳を記帳する時に使用した書類(請求書、納品書、送り状、領収書など) 5年間 7年間

 

総勘定元帳を保存しなかったった場合のペナルティ

青色申告の取り消し
  • 白色申告者になる
  • 青色申告による控除や節税などの特典を失う
推計課税
  • 白色申告者に対して、税務署長が推計して所得税や法人税の課税を行うのが推計課税
  • 自社が確定申告していた金額よりさらに多く追徴される
消費税の仕入控除控除が認められない
  • 売上1,000万円越えの法人や個人事業主は、課税売上高から仕入控除税額を引いたものを消費税として納めているが、帳簿がなければ仕入税額控除が認められずその分が課税される
100万円以下の過料
  • 会社法第976条により、帳簿の記録や保存について違反した場合は100万円以下の過料が課せられる

 

総勘定元帳は手書き・エクセルでもOK

総勘定元帳は、記帳は手書き書面でもデータでも、記帳と帳簿等保存義務は変わりません

総勘定元帳にフォーマットと記載事項に間違いがなければ、手書きでも、エクセルのようなデータでも認められています。

重要な会社のお金と取引の記録なので、ミスなく記帳しやすい管理しやすい方法を選びましょう。

ただし、総勘定元帳などの帳簿書類を「電子データだけで保存」するには、あらかじめ所轄税務署長に電子帳簿保存法申請書の提出・承認が必要です。

エクセルのようなデータでも電子帳簿保存の承認がない場合は、プリントして書類管理しなければなりません。

会計ソフトは仕訳帳と自動で一括作成ができる

総勘定元帳を手書き記帳や手計算すると手間と計算ミスに繋がるのでお勧めできません。

会計ソフトは、仕訳帳と自動で一括作成ができ、決算書類まで自動集計で完了できます。

さらに、法改正などによる税率変更の対応や勘定科目を自動仕訳をしてくれるので経理知識のサポート・ミスの軽減などメリットが多くあります。

会計ソフトを活用することが、会社の資金状態の分析・把握が可視化され、会計業務の効率化と正確性が向上は会社の信頼性に繋がります

総勘定元帳におすすめ!会計ソフト3社

シェア上位を占める人気のクラウド会計ソフト3社を比較していきます。

会計freee


手軽に導入できることから、個人事業主からの評価がとても高い「会計freee」(運営:freee株式会社)。

freeeが多くの個人事業主に選ばれる理由は、「簿記の知識がなくても、操作できる独自システム」です。

会計サービスそのものはもちろん、パソコンからもスマホからも、見やすく入力しやすいシステムが、生活の中で無理なく使いこなせるとして人気を集めています。

次に、freeeのサービスそのものについて、少しお話しましょう。freeeの個人事業主向け会計ソフトは、スタータープラン・スタンダードプラン・プレミアムプランの3段階が用意されています。

  スタータープラン スタンダードプラン プレミアムプラン
月払い
1,180円/月 2,380円/月 なし
年払い
11,760円/年(月当たり980円) 23,760円/年(月当たり1,980円) 39,800円/年(月当たり3,316円)
メンバー追加 freee認定アドバイザー以外はメンバー追加不可

4人目以降、1人あたり
月額払い 360円年額払い 3,600円

4人目以降、1人あたり年額払いのみ3,600円

※税抜価表記

スタータープラン、スタンダードプラン、いずれも手頃な価格でスタートできるのですが、より手軽に始められるスタータープランです。しかし、ここでもやはり価格だけで選んでしまうのは要注意。価格の違いには当然、機能に差が出てくるわけです。

例えば、スタータープランにはついていない、「消費税の申告機能」について。

2年前の売り上げが1,000万円以上の個人事業主の場合、消費税の課税義務が発生するため、消費税の申告機能のあるスタンダードプランを選択したほうが良いでしょう。

その他機能に関しても、詳しくは公式ホームページにて確認し、あなたに合ったプランを選択しましょう。

 

マネーフォワード クラウド(MFクラウド)


マネーフォワード クラウド(運営:株式会社マネーフォワード)の魅力は、「自動化連携できる金融機関(銀行、クレジットカード会社など)が豊富」な点です。

同社が2018年1月に発表した資料では、対応する金融機関は2,650以上。また2018年11月、同社のプレスリリースでは、足利銀行提供の個人向け参照系APIと提携したことが発表されていました。

この点からみても、連携する金融機関がいかに豊富かを伺えます。

とはいえ、他のクラウド型会計ソフトにおいても、メインバンクやメジャーなクレジットカード会社など、一般的に多く使われている金融機関は網羅されています。

そのためマネーフォワード クラウドは、自社もしくは取引先が地方銀行などを常用している場合などに活用されると考えられます。

次に気になるコスト面について。マネーフォワード クラウドの個人事業主向け会計ソフトには、無料プラン・ベーシックプラン・あんしん電話サポート付きベーシックプランと、3つの選択肢があります。

  月額プラン 年額プラン
スモールビジネス 1ヶ月あたり3,980円 1ヶ月あたり2,980円
ビジネス(1ヶ月無料) 1ヶ月あたり5,980円 1ヶ月あたり4,980円


価格的にみると、マネーフォワード クラウドの無料プランも魅力的ですよね。しかし、無料プランでは会計仕訳が年間50件しか処理ができないため、年間で支出・売り上げが多い場合には、あまりお勧めはできません。

一方、会社勤めの傍ら、副業の範囲で小規模事業をしている方は「無料プラン」でも十分活用できるでしょう。

また、ベーシックプランでは、仕訳データ処理も無制限なうえに、他社の確定申告ソフトとも連携できるなど、本格的に事業を進める方にとって、オススメできる内容と言えます。

 

やよいの青色申告(白色申告)オンライン

やよいの青色申告(白色申告)オンライン(運営:弥生株式会社)は、パソコンにダウンロードするタイプの会計ソフトとして広く使われていた「弥生会計」がベースとなっている、クラウド型会計ソフトです。

つまり、会計ソフトのなかでも「老舗」と言えるでしょう。

やよいの青色申告(白色申告)の魅力は、なんと初年度が無料であること。

  プラン 初年度 通年(2年目以降)
青色申告
セルフプラン 無料 8,000円/年
ベーシックプラン(操作質問可能) 6,000円/年 12,000円/年
トータルプラン(操作質問・業務相談可能) 10,000円/年 20,000円/年
白色申告 フリープラン 無料
ベーシックプラン 4,000円/年 8,000円/年

※税抜価格

また、やよいの青色申告(白色申告)オンラインは使えば使うほど自動的に学習していくため、2年、3年と続けて使用する場合には、より高性能な状態で使えることが期待できます。

だからこそ、まずは1年間利用して、弥生会計ブランドの信頼度を体験してみるのもいいかもしれませんね。

 

 

まとめ

総勘定元帳について解説しました。

総勘定元帳などの帳簿は、故意でなくても、記帳や保存にミスがあると義務違反のペナルティがあります

会計ソフトで自動計算する場合も、総勘定元帳とは何かは基礎知識として理解しておきましょう。


画像出典元:O-DAN

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