3年に1度に行われる「固定資産評価替え」が2021年(令和3年)に行われたことが話題になりました。 都心の地価は上昇傾向にあり、これによって固定資産税も上昇するのではないかと思われていますが、今回の評価替えによる私たちへの影響はどのようなものなのでしょうか?
本記事では、「固定資産評価替え」とは何なのか、また「固定資産」に関わる税金の解説を初心者にもわかりやすくまとめました。
このページの目次
2021年は固定資産評価替えの年度です。
「固定資産評価替え」とは、3年に1度「固定資産評価額」を見直すことを指します。
そして「固定資産評価額」とは、固定資産にかかる税金の税額を算出する際に使用される土地の価格を表します。税率をかける対象となる課税標準額は、基本的に
課税標準額は地価評価額となります。基本的に、この課税標標準額は固定資産評価額となり、土地の場合は時価の70%程度、建物の場合は50~60%程度に設定されています。
最近では都心の地価は上昇傾向にあり、2020年の1月の地価公示価格によると固定資産評価額(つまり課税標準額)は上昇するはずでした。つまり、固定資産税などが以前と比較して値上がりするはずでした。
ですが、今年(令和3年)の固定資産評価替えでは「令和3年度税制改正大綱」によってこの状況が阻止されました。
なので今回の評価替えでは、 2020年の税額より税が高くなる場合は税額に変更なし、減る場合はそのまま減額という措置が取られました。
この措置は、令和3年4/1~令和6年3/31の3年間適用されます。
なぜこのような対応になったのかというと、ウィズコロナ・ポストコロナ時代において納税者の負担をより軽くし、経済再生をより確かなものにしていく必要があったからです。
「固定資産」とひとくくりに言っても、それにかかる税金は実は「固定資産税」だけではありません。所有権を証明するのにかかる税金や取得することに伴う税金、市区町村ごとに設定される税金などさまざまです。
そもそも税金には、特別な手続きを取ることで確定する税金と、自動確定する税金があります。
特別な手続きが必要な税金の、税額決定方式には2種類あり、申告納税方式(自分で税額を申告して納税する方式)と賦課課税方式(公的機関から自動的に通知が来る方式)があります。
申告納税方式の例としては、法人税・地方法人税・相続税・贈与税・消費税などがあります。
以下にあげる税金のうち、登録免許税は、自動確定する税金です。
そして、固定資産税・都市計画税は特別な手続きが必要な税金で、賦課課税方式、不動産取得税は申告納税方式となっています。
不動産取得税は、不動産の取得方法として「購入」をした場合にのみ、登録免許税とは別にかかる税金のことです。計算方法は、以下のようになっています。
不動産取得税=課税標準額×税率4.0%
そのため、購入して固定資産を取得した場合は不動産取得税と登録免許税を支払い、新年度に突入した際に固定資産税を毎年払うということになります。
登録免許税と不動産取得税は、一回払えば終わりですが、固定資産税は毎年支払うことになるため注意が必要です。
固定資産税は1月1日時点の固定資産の所有者に対して、その土地の所在する市区町村から課税される地方税です。
基本的に、支払う金額は市区町村から納税通知書が送られてくるため、その指示に従って納めることになります。支払い方法は、一括か4回払いのどちらかを選択することができ、どちらを選択しても支払う合計金額は変わりません。
また、個人でも法人でも課税率は等しく、現在(2021年3月)では以下の式で算出されます。
固定資産税=課税標準額(地価評価額の50~70%程度)✖️税率1.4%
この課税標準額というのは、税金を課す際の対象であり、課税標準額は地価評価額となります。大抵の場合は、土地は時価の70%程度、建物は時価の50~60%程度に設定されています。
そのため、地価評価額が高いほど納める税金も高くなってしまいます。
ちなみに、この地価評価額の測定方法は以下の3種類あります。
①公示地価(国土交通省が設定)
②基準地価(都道府県が調査)
③路面地価(国税庁が設定)
土地の売買の際は、公示価格か基準地価が用いられており、相続税・贈与税の算定には路面地価が用いられます。
固定資産税は、1月1日時点の所有者に対して課されるため年の途中で土地の売買が行われた際には注意が必要です。
法律的には、年の途中に土地を購入しても税を払う義務はありません。ですが、それだと買い手が売り手よりも得してしまうので一般的には、契約によって月割りで固定資産税を分割して買い手にも負担させます。
不動産業者に仲介して貰えば問題ないところですが、個人同士でのやりとりをする場合には契約時に注意しましょう。
また、個人と法人で土地の売買によって得た利益に対してかかる税金が異なります。個人の場合は所得税がかかり、法人の場合は法人税として扱われます。
都市計画税は、「市街化区域内」に存在する固定資産を所有している人のみに課せられます。そしてこの税金は、固定資産税の納税通知書とともに納税を要求され、固定資産税と同様に一括払いか4回払いを選択することができます。
市街区域とは、例えば日本橋などで、日本橋に土地を持っていれば支払う必要があります。所有している土地の住所で検索すれば概要するかしないかはすぐに調べることができます。
税金の用途は、都市計画事業・土地区間整理事業の費用とされています。
税金は基本的には、
固定資産評価額×1/3
に設定されています。
土地を買ったり、親から相続されたり、もしくは譲渡された際に、所有者が変わったその時点からその土地が自分のものになるわけではありません。
現実はそんなに甘くなく、実際は「登録免許税」という税金を支払わなくてはなりません。
登録免許税とは、いわゆる「不動産登記」をするためにかかる手数料のことです。
「不動産登記」とは、会社を設立する際の登記と同じで、権利関係を明らかにするために必要な手続きです。なので、この「不動産登記」をしなくては不動産の所有権を認めてもらえません。
この登録免許税は、不動産の取得方法によって課税率が変わります。
※国税庁ホームページ参照
不動産仲介業者などに行くと、司法書士に繋いでもらえて、この登記を完了することができます。
東京都主税局または国税庁のホームページに最新情報と詳細が記載されているため、より詳しく知りたい方はそちらを参照してください。
納税通知書が届いたとして、固定資産評価額に対して疑問があった場合、自分で調べて確認したいということがあるかと思います。
そんな時に疑問なのが、「自分で固定資産評価額を調べることはできるのか?」ということですが、実際は固定資産評価額を自分で調べることは可能です。
概算で出す方法と厳密に出す方法がありますが、厳密にやる場合は、税理士か不動産鑑定士に正式に鑑定してもらう必要があります。この場合、かなりの費用がかかってしまうので、どうしても異議申し立てをしたい時などは厳密に算出することを検討しても良いかもしれません。
概算で出す場合は、時価(=実勢価格)から算出することができます。
固定資産評価額の50~70%程度が時価(=実勢価格)となるので、不動産の取引価格をまとめたサイトから土地や建物の実勢価格を調査します。
固定資産評価額に対して異議申し立てをしたい場合は、納税通知書を受け取ってから3ヶ月以内に「審査の申出」をすれば可能になります。
※画像出典元:東京都主税局公式HP
異議申し立てをしたいと考えた時にまず最初にやることは、「審査申出書」の提出です。
「審査申出書」は、東京都主税局の公式HPからダウンロードすることができます。
ダウンロードして印刷したら、委員会事務局か該当する固定資産の所在地を所管する都税事務所に、持参するか郵送で提出します。
その後は、返却された書類にしたがい、結果として「却下」「棄却」「認容」のいずれかが判定されます。
※東京都主税局公式HPから引用
また、評価額自体ではなく課税額に異議申し立てをする場合は、知事に対して審査請求を行うことができます。なお、詳細や最新の情報については東京都主税局公式HPを参考にすることをお勧めします。
固定資産評価替えは、私たちの納税額には影響しますが基本的には毎年受け取る納税通知書にしたがって、指定の期間内に納税をすれば問題ないということがわかりました。
また、固定資産には固定資産税以外にも登録免許税や不動産取得税、都市計画税などがかかります。
税制は、こまめに更新されるので最新情報をチェックして、正しい情報をキャッチするように気をつけたいですね。
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