電子請求書の保存方法を解説!電子帳簿保存法に対応するには?

電子請求書の保存方法を解説!電子帳簿保存法に対応するには?

記事更新日: 2024/07/12

執筆: Mai Nemoto

電子帳簿保存法は2022年1月に大幅な見直し・改正が施行されました。

本記事では、電子請求書におけるデータ保存の完全義務化、紙の請求書の保存方法、電子帳簿保存法における電子取引とは何かについて解説します。

電子帳簿保存法に沿った電子請求書の保存方法や保存する際の注意点、さらに保存期間や電子帳簿保存法の罰則についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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電子帳簿保存法で「電子請求書のデータ保存」が完全義務化

2024年1月以降、電子取引による書類の紙保存は電子帳簿保存法によってできません。

電子帳簿保存法とは、国税関係(法人税や所得税)の帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律です。

1998年に制定されてから何度か改正され、2022年1月1日に「電子取引のデータ保存」が義務化となりました。

2023年12月31日までは宥恕措置が取られていましたが、2024年1月1日からは完全義務化となっています。

電子取引に該当しない「紙の請求書」の保存方法

では、電子取引に該当しない紙の請求書はどのように保存すればよいのでしょう。

ケース別に解説します。

請求書を紙で受け取った場合

取引先から請求書を紙で受け取った場合は、「紙のまま保存する」もしくは「スキャナ保存」のどちらかを任意で選べます。

ただし、紙をスキャナで読み込みデータ化して保存する際は、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」における要件を満たす必要があるという点には注意が必要です。

電子帳簿保存法に従ってスキャナ保存すれば、紙の書類は処分することも可能です。

請求書を紙で発行した場合

企業または個人事業主が請求書を紙で発行した場合も、「紙のまま保存する」もしくは「スキャナ保存」のどちらかを任意で選択できます。

電子で作成した見積書・請求書・領収書を取引相手の希望により、紙に印刷して送付した際も控えは保存要件を満たすことでスキャン保存が可能となります。

電子帳簿保存法における電子取引とは

そもそも、電子帳簿保存法における電子取引とはどのようなものをいうのでしょうか。

国税庁が2023年6月に発表している「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」によると、電子取引とは取引情報の授受を電子的方式により行う取引を指します。

具体的には下記のようなものが含まれます。

  • 電子メールにより請求書や領収書のデータ(PDFファイル等)を受領
  • インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)又はホームページ上に表示される請求書や領収書等のスクリーンショットを利用
  • 電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスの利用
  • クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用
  • 特定の取引に係るEDIシステムの利用
  • ペーパレス化されたFAX機能を持つ複合機
  • 請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して受領

また、請求書・領収書・注文書といった書類は、FAXであってもペーパーレス化機能があれば電子取引に該当します。

電子帳簿保存法に沿った電子請求書の保存方法

電子取引のデータ保存が完全義務化となり、電子データでやり取りした取引は、電子データのまま保存する必要があります。

電子帳簿保存法に沿った電子請求書の保存方法について、ケース別に解説します。

電子請求書を受け取った場合

電子請求書を受け取った場合、電子取引のデータ保存における要件を満たしたうえで電子保存する必要があります。

電子請求書を紙に印刷して、紙で保存するという方法はできません

メール・クラウドサービス・ホームページからのダウンロード・記録媒体など、取引相手からどのような方法で受け渡されたとしても、電子データでの受領はデータ保存します。

電子請求書を発行した場合

電子請求書を発行した場合、電子取引のデータ保存における要件を満たしたうえで電子保存しなければなりません。

たとえば、請求書をExcelで作成し、PDFデータに変換してからメールに添付して送信した場合、控えを電子データで保存する必要があります。

ExcelやPDFデータを紙に印刷して保存するといった方法はできません

電子帳簿保存法における書類の保存方法は3通り

ここでは、電子帳簿保存法における3通りの書類の保存方法について解説します。

  • 電子データ保存
  • スキャナ保存
  • 電子帳簿保存

【義務】電子データ保存

電子取引をした請求書・領収書・注文書といった書類は、すべて電子データのまま保存することが義務付けられています。

メール・クラウドサービス・ホームページからのダウンロード・記録媒体など、紙以外の受け取り方法であれば、電子データでの受領はデータ保存が必須です。

【任意】スキャナ保存

企業または個人事業主が紙で取引書類を発行した場合、もしくは取引相手から紙の取引書類を受領した場合は、スキャナ保存するかどうかは任意です。

紙のまま書類を保存してもよいですし、紙の書類をスキャンや写真撮影によってデータ化したうえで保存することも可能となります。

ただし、紙の取引書類をデータ保存する際は、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」における要件を満たす必要があります。

【任意】電子帳簿等保存

国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存(電子帳簿等保存)とは、仕訳帳・総勘定元帳・現金出納張などの帳簿類および損益計算書・貸借対照表などの決算関連書類を指します。

これらの帳簿類や決算関連書類は、会計ソフトを使用して電子上で作成した場合に電子帳簿保存法の要件を満たすことで電子データのまま保存することができます。

ただし、電子データのまま保存するかどうかは任意であるため、紙に出力して保存することも可能です。

電子請求書を保存するときの注意点

電子請求書などの電子取引された書類は、「真実性の確保」と「可視性の確保」が必要です。

また、真実性と可視性の確保が不要となるケースもあるので、それぞれ詳しく解説します。

真実性の確保

電子データで保存する取引書類や帳簿類が改ざんされていないことを担保するために、真実性の確保として下記の要件を満たす必要があります。

  • タイムスタンプが付された後の授受
  • 授受後遅滞なくタイムスタンプを付す
  • データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステムまたは訂正削除ができないシステムを利用する
  • 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備え付け

可視性の確保

電子データで保存する書類は、必要なときにいつでも確認できるように管理する必要があり、可視性の確保として下記の要件を満たす必要があります。

  • 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備え付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限る)
  • 見読可能装置の備え付け等
  • 検索機能の確保

検索機能の確保については、下記の要件を満たす必要があります。

  • 取引年月日や取引金額など、国税関係書類の種類に応じた主要な記録項目を検索の条件として設定できる
  • 日付または金額に関係する記録項目を指定して条件を設定できる
  • 2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できる

「可視性の確保」が不要になるケース

令和5年度税制改正によって、電子帳簿等保存制度の見直しや緩和が行われ、2024年1月1日から電子取引の電子データ保存について、保存時に求められる要件が不要になるケースもあります。

税務調査などの際に電子取引データのダウンロードを求められ、応じることができるようにしている場合は、可視性の確保における検索機能の確保が不要です。

この条件に当てはまるケースでは、「日付または金額に関係する記録項目を指定して条件を設定できる」および「2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できる」という要件は不要となります。

また、基準期間(法人:2事業年度前、個人事業主:前々年)の売上高が5,000 万円以下の事業者についても税務調査の際に取引情報の電子データをダウンロードできるようにしておけば、検索機能の確保についての要件がすべて不要です。

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電子請求書の保存期間

電子請求書など、電子データの保存期間について解説します。

法人の場合

法人の場合、確定申告の提出期限の翌日から7年間は保存する必要があります。

ただし、青色申告書を提出した事業年度で欠損金の繰越控除を受ける場合は、保存期間が10年間となります。

個人事業主の場合

個人事業主の場合、帳簿や書類に応じて5年間もしくは7年間の保存が必要です。

保存期間 青色申告 白色申告
5年 取引に関して作成し、又は受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) 決算に関して作成した棚卸表その他の書類
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類
7年 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)
損益計算書、貸借対照表、棚卸表など

インボイス制度により控えの作成・保存が義務化

2023年10月からインボイス制度が開始され、適格請求書(インボイス)の控えを含む保存が義務化となっています。

適格請求書の保存期間は7年間であり、仕入税控除の要件として保存すべき請求書等においても同様です。

電子帳簿保存法に関する罰則

2024年1月1日より電子取引における書類は、すべて電子データでの保存が完全義務化されているため、違反した場合は下記の罰則を受ける可能性があります。

  • 青色申告の取り消し
  • 重加算税10%の課税
  • 100万円以下の罰金

青色申告の取り消し

災害等による事情がなく、電子帳簿保存法の要件に従ってデータが保存されていない場合は、青色申告の承認を取り消される可能性があります。

重加算税10%の課税

電子取引のデータに関して、改ざんや隠蔽などが発覚した場合は重加算税の対象となり、罰則として10%の加重がされます。

100万円以下の罰金

電子帳簿保存法だけでなく、法人の場合は会社法も遵守する義務があります。

電子データの保存要件などに違反があった場合、100万円以下の罰金が科される可能性があります。

電子請求書の保存には電子帳簿保存法に対応できるシステムの導入がおすすめ

電子請求書のデータ保存は完全に義務化されているため、電子帳簿保存法や会社法などさまざまな法律に準拠したうえで適切な管理が必要です。

紙の請求書であっても、データ保存の要件を満たすことでデータのまま保存ができます。

業務効率化や人的ミスの防止という観点でも、電子帳簿保存法に対応できるシステムの導入がおすすめです。

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まとめ

電子請求書におけるデータ保存の完全義務化、紙の請求書の保存方法、電子帳簿保存法における電子取引とは何かについて解説しました。

電子帳簿保存法における取引書類の保存方法を正しく理解をしたうえで適切に管理することが重要です。

法律を遵守した電子請求書の保存・管理ができるように、自社に適した電子帳簿保存法に対応できるシステムを導入してください。

画像出典元:O-DAN

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