ペーパーレス化を推進する方法として注目されている電子契約とEDIです。2つとも紙を使わずに電子化された文書をやり取りするので意味が同じような気がします。
この記事では電子契約とEDIそれぞれの意味と、2つの違いをあらためて説明します。
さらに電子契約とEDIにより実現可能となるペーパーレス化によるメリットについても触れます。
この記事から、EDIと電子契約の違いについて正しく理解できるでしょう。
このページの目次
EDIとは「Electronic Data Interchange」の略です。発注書・納品書・請求書などのビジネス文書のやり取りを、書式を標準化して統一化し、通信回線を利用して取引のスピード化を図る仕組みです。
EDIを利用するためには、データをやり取りする通信プロトコルと、やり取りするデータの標準フォーマットを定めなければなりません。EDIには、同じ業界や同じ業種の企業間で利用できる標準EDIと、特定の企業間だけで利用できる個別EDIがあります。
通信プロトコル(通信手順)によりEDIは次の2種類に分けられます。
EDIと電位契約の違いについて説明する前に、電子契約の定義についても触れておきます。
これまで契約書は紙面上で作成され、署名・押印され証拠化されてきました。電子契約ではデジタル文書で契約書類を作成し、それをインターネットを通して当事者間でやり取りし、署名・押印の替わりとなる電子署名を施します。デジタル文書の契約書は企業のサーバもしくはクラウドストレージなどにデータとして保管します。
EDIと電子契約の定義を比較すると、以下の3点が相違点といえます。
◾️電子契約についてさらに詳しくお知りになりたい方はこちらの記事を参考にしてください。
EDIや電子契約により企業はペーパーレス化を推進出来ます。ペーパーレス化により企業はどんなメリットを受けることができるのか最後に紹介します。
EDIと電子契約両方に共通しているのは、当事者間同士でのデータのやり取りがスムーズにできるという点です。
さらに、保管している紙の資料は、それを探したり、そこから必要な情報を抽出する際に手間と時間がかかります。
しかし、データ化された文書は、分類されたフォルダからすぐに必要な文書を見つけることができます。検索機能などを使えば必要な情報を抽出することも簡単です。こうした点でペーパーレス化は業務効率化につながります。
紙で文書を作成するには、紙代・インク代・プリンター・コピー機などが必要です。紙の資料を保管するために、保管スペース・棚・ファイルなども必要です。
データ化された文書はサーバもしくはクラウドストレージに保管されるので、印刷コスト・保管のためのコストがいらなくなります。もちろんペーパーレス化を実現させるツールを導入するためのイニシャルコストは必要ですが、長い目で見ればペーパーレス化は全体のコスト削減につながります。
紙の資料には紛失・盗難のリスクがあります。閲覧可能な人物を制限することも困難です。
ペーパーレス化すれば、システム上で閲覧できる人物やダウンロード可能な人物を制限することができます。それによりセキュリティを強化し情報漏洩のリスクを軽減できます。
紙媒体のデータは火災や自然災害など失われる可能性があります。紙媒体のデータは一度失われると復元がほぼ不可能です。
デジタル化されたデータは、サーバもしくはクラウドストレージ上に保管されます。それにより、バックアップができ、火災や災害によるデータの消失リスクを軽減できます。
EDIは、標準化された通信プロトコルやフォーマットを利用し、同業界・同業種の企業間でデータをやり取りすることです。
電子契約は、デジタル化した契約書類を、インターネットを通じて、企業と企業、もしくは企業と個人の当事者間でやり取りします。電子署名して契約が締結されたものは、サーバやクラウドストレージ上に保管されます。
定義を比べるとEDIと電子契約の違いは明らかです。EDIは同業種の企業と企業の間に限られたものですが、電子契約は企業と企業、企業と個人との間でもやり取りされます。
電子契約は電子署名やタイムスタンプで証拠を残しますが、EDIに関してはそれらは使われません。
両者には利用範囲に関して違いがあることが分かりました。企業によっては両方を導入する、もしくは片方のみ導入する企業もあるでしょう。いずれにせよ、正しい理解があれば導入の必要性を理解し、こうしたツールを使いこなしていくことができるでしょう。
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