EDI(Electronic Data Interchange)は、電子データ交換と訳される企業間の受発注の取引一括管理システムです。
この記事では、EDIに関わる電子帳簿保存法、EDIの種類、Wed-EDIや電子契約との違い、導入メリットを解説しています。
EDIはWeb-EDIが登場し、導入メリットも多いシステムです。
また、今後導入するにあたっての2024年問題についても触れています。
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EDI(Electronic Data Interchange)は、電子データ交換と訳される企業間の受発注の取引一括管理システムです。
受発注に関わる取引書類(請求書、納品書、伝票、帳簿など)を専用の通信回線からデータで受送信し、作成・送付・管理を出来るようにしたシステムがEDIです。
EDIは流通取引に多く利用されているシステムとして知られています。
EDIが電子化する取引書類(請求書、注文書、納品書など)は、国税関係書類に該当します。
主に関わってくるのは、電子帳簿保存法です。
法第10条((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存))関係では、企業が「電子取引」を行った場合は、当該の取引情報を電磁的記録を保存しなければならないとしています。
さらに、同じく法第10条で見積りから決済までの取引に関してデータ項目や保存状態の条件も定められています。
法第2条((定義))関係で、電子取引にEDIが含まれると明記されています。
EDIで取引したデータは法令に従った記載と保存が必要です。
参考資料:国税局「法第2条((定義))関係」
参考資料:国税局「法第10条((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存))関係」
EDIは、データ形式や識別コードなどシステムの設定内容によって種類が変わります。
個別EDIとは、固定された少ない取引先を持つ企業向けの受発注システムです。
取引先仕様にシステム内容をカスタマイズできますが、それにより他の取引に活用するのが難しいのが特徴です。
そのため、取引先が増えるごとに個別EDIも増やしていく必要があります。
標準EDIは、同じデータ形式や識別コードなど設定を複数の取引先と共有する受発注システムです。
個別EDIのように取引先ごとの細かい設定は出来ませんが、一つの標準EDIで複数の取引先とのやり取りが可能です。
特別なカスタマイズが不要で、複数の業種業態の取引先を持つ企業向けの受発注システムです。
業界VANは、標準EDIを特定の業界に特化した仕様の受発注システムです。
業界や取引先との共通コードを設定出来るため、共通コードを利用する取引先を多く持つ企業向けの受発注システムです。
貿易業務に使われるEDIとして知られており、流通BMSは業界VANの一つです。
全銀EDIとは、支払通知番号や請求書番号など、商取引に関する情報(商流情報)のデータのやり取りが可能になった受発注システムです。
売掛金の消込など経理処理システムと一緒になった標準EDIです。
EDIの導入で、受発注に関わる取引書類(請求書、納品書、伝票など)の作成・送付・管理の業務がデータになるため作業工程の簡略化されます。
紙の書類の場合に発生していた、書類発行、郵送、ファイリング、管理場所の確保は不要な作業になります。
リアルタイムでデータのやり取りをするため、時間ロスもなくなります。
さらに、取引書類データの送受信や他のシステムとの連携により売上や会計のデータ管理も可能です。
EDIで取引書類がデータ管理となり、紙や印刷代、封筒代、郵送代、印紙代のコスト削減に繋がります。
さらに、ファイリング不要により保管場所の費用やファイル代も削減できます。
EDIによるリアルタイムのデータ管理で、人的ミスの軽減、在庫の誤差や流通データ管理の徹底、取引業務スピードアップなど、取引に関する正確性が向上し、取引先からの信頼に繋がります。
Web-EDIは、インターネットとWebサーバーを利用したEDIシステムです。
従来のEDIは、企業と取引先の双方に同じシステムと専用機器が必要で初期費用と保守などの運用費が高額なのがデメリットです。
Web-EDIは、パソコンとネットに繋がる環境があれば利用できるため、双方が同じシステムと機器を揃える必要がなく、初期費用も従来のEDIより安くなります。
デメリットは、標準化されておらず、個別EDIのように取引先ごとにカスタマイズしたWeb-EDIを導入する必要があり、通信プロトコルの確認も必要です。
上記でも述べた通り、Web-EDIはパソコンとネット回線があれば利用できるため、初期費用も従来のEDIより安くなります。
Web-EDIはクラウドが一般的で、導入が簡単です。
クラウドWeb-EDIの場合はアップデートも手間がかからないため、運用・保守も簡単です。
通常のPC利用と同じようにセキュリティソフトや暗号化されたデータでやり取りをすれば、セキュリティ対策も堅牢です。
EDIの2024年問題とは、2024年でISDN回線が利用できなくなるという問題です。
(ISDN回線とは、NTTが提供する固定電話回線です。)
多くのEDIは、今もISDN回線を使用しており、企業は2024年までに回線変更やWeb-EDIへの移行をしなければ機能に不具合が生じる可能性があります。
しかし、企業は回線変更でもWeb-EDIへの移行でも、取引先への説明と同意、EDIシステムの変更費用負担が発生します。
EDIに不具合が起きた場合、流通の停止やデータの消失など大きな影響があり、利用企業に早急な移行計画と対応が求められています。
今後EDIを導入する場合は、2024年問題を見据えて検討しなければなりません。
EOS(Electronic Ordering System)は「電子発注システム」と呼ばれ、発注のデータのみをやり取りするシステムです。
EDIより先に登場したEOSは、ハンディーターミナル(携帯端末)で利用する事が多く、EDIのように納品書や請求書など取引関連のデータを送受信する事は出来ません。
EOSだけを導入しても取引書類の作成・送付・管理の作業は発生します。
EOSはデータのフォーマットが違うシステムと連携が出来ないため、大手物流センターなど取引量が多い企業向けのシステムと言われています。
EDIに中に機能の一部として組み込まれたEOSは、他のシステムとの連携が出来るようになります。
取引に関する書類データをやり取りするEDIと、契約書などの文書データをやり取りする電子契約は似ていますが、違いは2点あります。
1. 電子契約は法的効力として電子署名とタイムスタンプを必須にしているが、EDIには規定はない
2. EDIは企業間(BtoB)に限定、電子契約は企業同士・企業と個人(BtoB・BtoC)どちらでも自由に利用出来る
企業間と取引においては、EDIと電子契約システム両方が必要になってきます。
EDIを導入しようと思ったとき、どのようなポイントに気を付ければいいのでしょうか。
これからEDIを導入する企業は、2024年問題を見据えて導入が必要です。
解決策として期待されているのがWeb-EDIです。
新規導入であれば、費用対効果や取引量に考え、初期費用と運用・保守費用が抑えられるWeb-EDIを検討するべきです。
導入コストだけを考えれば、EDIよりWeb-EDIですが標準化されていないため、取引先との合意が必要です。
EDIでも回線問題が解決できれば、自社の取引内容に合った「個別EDI」「標準EDI」「業界VAN」「全銀EDI」「流通BMS」を選ぶことが出来ます。
画像出典元:「EXtelligence EDIFAS」公式HP
「EXtelligence EDIFAS」は、発注、納期回答、出荷、検収、請求など一連の企業間取引を電子化できるツールです。
API連携で、外部システム(基幹システム等)とシームレスにデータ連携できるので、購買業務の効率化が可能。
月額2,000円〜の低価格導入が可能でありながら、業務削減効果は93.8%という実績で、評価も高い点が魅力です。
中小企業庁が推進する「中小企業共通EDI」にも対応。EDIがあまり普及していない中小企業取引のために最適化・標準化されたEDIで、EDI導入の手間・コストを大幅に削減できます。
電子帳簿保存法に対応したデータ保管が可能なので、ペーパーレス化も促進できます。
初期費用:無料
契約期間:1ヶ月~
月額費用:2,000円~(取引社数により変動)。
基本利用料に加え、必要に応じて、オプションを組み合わせることも可能です。
EDIについて解説してきました。
EDIは、個別EDIから始まり、標準EDI、業界VANへと進化してきた流れがあります。
ですが、ここにきて新たに2024年問題が発生してきました。
一つの解決策として期待されているのがWeb-EDIです。
Web-EDIは、導入コストが安い点が魅力なのですが、標準化された仕様がまだまだ少ないのがデメリットです。
ですが、2024年問題をきっかけに、様々な企業がWeb-EDIの導入に踏み切っています。
取引先との合意し、自社の取引内容に合ったEDIを導入しましょう。
画像出典元:Pixabay