【総務省も推奨】自治体におけるチャットボットの導入事例!メリット・活用するコツを紹介

【総務省も推奨】自治体におけるチャットボットの導入事例!メリット・活用するコツを紹介

記事更新日: 2024/03/08

執筆: 木下千恵

総務省の積極的な働きかけもあり、チャットボットを導入する自治体が確実に増加しています。

とくにAI搭載型を活用すると、住民サービスの向上、業務効率化、訪日外国人への対応など、様々な面で質の高いメリットが期待できます

本記事では、自治体がチャットボットを導入するメリットや導入事例、運用のコツを解説します。

おすすめのチャットボットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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チャットボットとは

チャットボットとは、人の問いかけに対してチャット形式で応答する自動会話プログラムのことです。

質問内容に応じて、事前に登録した情報を自動で答えるほか、最近ではAIを活用したり、SNSなどの外部サービスと連携したりすることで、より的確で多様なサービスが提供できるようになりました。

そのため、多くの自治体や民間企業、福祉、教育、観光といったあらゆるサービスで導入例が増えています


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総務省も推奨している自治体のチャットボット導入

総務省は、令和4年6月、「自治体によるAI活用・導入ガイドブック*」を発表し、全国の自治体に向けてチャットボットの導入を積極的に呼びかけています。

働き方改革による行政職員の過剰労働と単純作業からの解放や、コロナ禍により広まった非対面でのコミュニケーションを促進する必要性が高まっていることなどが主な理由です。

平成30年あたりから自治体におけるチャットボットの導入は確実に増加しており、総務省のデータ*では、平成30年に55団体だったのが、令和2年には179団体、同3年には280団体となっています。

AIの目覚ましい進化などを勘案すると、さらにこの勢いは加速していくと予想されます。

*参照:自治体における AI活用・導入ガイドブック

自治体がチャットボットを導入するメリット

チャットボットを自治体が導入することによって得られるメリットとして、以下の4点が挙げられます。

  • 24時間365日対応が可能
  • 業務効率化
  • 多言語対応
  • 住民の満足度向上

24時間365日対応が可能

自治体は、平日の夜間や土日祝日は休みになるので直接職員が応対できる機会が限られています。

チャットボットを導入すると住民の問い合わせなどに24時間365日、常時対応することが可能になります。

窓口・電話受付では職員が開庁時間内に対応する必要がありますが、チャットボットなら利用者が時間帯をいっさい気にせず問い合わせできることで、結果として開庁時間内の問い合わせ件数が減ることも期待できるでしょう。

業務効率化

自治体がチャットボットを導入すると、多くの問い合わせや単純作業の代替が可能になるため、職員はより複雑かつ重要度の高い業務に集中できます。

窓口や電話での問い合わせは、長時間になることが多く、その度に仕事を中断すると、残った業務は残業や休日出勤でこなすほかありません。

チャットボットの導入により職員の負担が軽減されれば、働き方改革が進み、労働環境のスマート化、ホワイト化が実現するのです。

くわえて、残業や休日出勤の手当削減による人件コストの削減も可能となるでしょう。

多言語対応

チャットボットは多言語対応が可能です。

窓口で対応しようと思えば、通訳を雇ったり、不慣れな翻訳ツールを使いながら時間と労力を奪われたりといったデメリットが少なくありません

しかし、チャットボットは、多いものなら20ヶ国以上の言語に対応できるため、海外からの移住者やコロナ禍以降、増加傾向にある訪日外国人のサポートを大幅に充実させることができます。

住民の満足度向上

住民による自治体の対応への不満は、決して少ないとは言えません。

とくに、

  • 待ち時間が長すぎる
  • 電話が繋がらない
  • 手続きやシステムが複雑でわかりにくい
  • わざわざ出向くのが大変

といったものは、どの自治体にも共通の課題といえます。

チャットボットを導入すると、待ち時間はほぼゼロ、いつでもアクセスできて、何度でも納得いくまで手続きやシステムの説明に目を通せるため、住民の満足度を向上させることができるでしょう。


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自治体におけるチャットボットはどう活用されている?

続いては、自治体でチャットボットがどのように活用されているのかを見ていきましょう。

問い合わせ窓口

住民の不満のうち「待ち時間が長い」「電話が繋がらない」「出向くのが大変」といった課題を解決するツールとして、チャットボットは非常に活躍しています。

問い合わせ窓口として活用することにより、自宅や外出先からでも多くの疑問解消に役立ちます

日中働くビジネスパーソンや身体に不自由がある方も、わざわざ電車や車などを使って訪れる手間が省けるため利便性が高まるでしょう。

証明書発行の案内

印鑑登録証明、所得証明、住民税証明といった各種証明書発行についての案内にもチャットボットが活用できます。

これらは、回答を定型化しやすいためチャットボットに一任するにはうってつけでしょう。

これにより職員の業務効率化と省人化が大幅に促進できます

子育て支援

自治体には、以下のような子育て支援についての問い合わせも、数多く寄せられます。

  • 保育園・幼稚園・一時預かりに関する支援
  • 妊娠や子育て関連の悩み
  • 申請関連・助成金等について

子育て世代の住民はSNSをはじめとするデジタルサービスに馴染みが深いです。

わざわざ役所に出向かずとも、チャットボットで情報収集できたり、疑問が解消できたりすると非常に助かります

観光案内

地域の名所、ランドマーク、グルメやエンタメといった情報発信にもチャットボットは大いに役立ちます。

とくにインバウンド需要の高まりで外国人への観光案内件数が大幅に増加しているため、多言語対応できるチャットボットは自治体にとって非常に利便性が高いのです。

観光スポットのみならず、交通手段をはじめとするアクセス案内ができる点も助かるでしょう。

自治体向けチャットボットの導入事例

自治体向けチャットボットの導入事例について見ていきます。

神奈川県横浜市の「イーオのごみ分別案内」

神奈川県横浜市では、住民からのごみの分別相談にチャットボットを活用しています。

持続可能性を高めるために、全国の自治体におけるゴミの分別・収集は厳密に細分化される傾向です。

横浜市では、分別ルールを守らない市民・事業者には過料(2,000円)を科す罰則制度を実施しています。

とはいえ、住民からすると正しく分別するのは難しいのが現実です。

そこで横浜市では、「イーオごみ分別案内」を導入し、会話口調のフランクな応対、クイズや雑学の出題をしながら、わかりやすく案内。

結果として、導入後わずか10ヶ月で203万件の利用があり、そのうちコールセンター営業時間外の利用が50%、コストもコールセンターの10%に抑えられています

和歌山県の子育て支援「きいちゃんの子育て応援広場」

和歌山県では、子育て支援にチャットボットを積極活用しています。

  • 妊娠・出産
  • 健診・予防接種
  • 施設検索
  • 子供の手当・助成
  • 保育園・幼稚園

といった内容について、スマホ画面から聞きたいことを入力するだけで、該当する情報を瞬時に表示します。

解決した場合は、最後に「YES!」を押して終了。未解決の場合は、さらに質問を続けるという具合です。

福井県永平寺町のAIコンシェルジュ「小梅ちゃん」

福井県と曹洞宗大本山永平寺と永平寺町が共同で「永平寺門前の再構築プロジェクト」を立ち上げ、その一環として対話可能なAIコンシェルジュの「小梅ちゃん」を導入。永平寺入り口付近に観光案内所を設置し、その目玉にしました。

和服姿の小梅ちゃんが、永平寺に関する情報をはじめ、付近の観光スポットやグルメ、土産店などの情報を伝えます。

日本語以外にもタッチパネルから英語や中国語(簡体・繁体語)を選択できるので、外国人観光客への対応も可能です。

埼玉県AI救急相談

埼玉県では、医師会や看護協会、医療機関などの専門家が協力して、AIを利用したチャットボット式の救急相談を提供しています。

利用者は名前を明かさずに、チャットで救急相談ができ、

  • 可能性のある症状の案内
  • 「今すぐ救急車を呼びましょう」や「現時点では医療機関に行く必要はないでしょう」といった緊急度の判定
  • 家庭での対処法への助言
  • チャット画面から救急電話相談(​​#7119)や119番への電話が可能
  • 相談内容を埼玉県救急電話相談の相談員に引き継ぐことが可能

といったサービスが受けられます。

救急車を呼んでも症状を伝えるのが困難で対応に時間がかかったり、救急車を呼ぶかどうか迷ったりすることがよくあるので、そのようなニーズに応える効果があります

山梨県笛吹市の「フッキー」

山梨県笛吹市でもAIキャラクターの「フッキー」が活躍しています。

  • ​​妊娠・出産、子育て
  • 住まい
  • 結婚・離婚
  • ごみ
  • 健康・医療
  • 戸籍、住民票、印鑑登録、マイナンバー、
  • 国民年金
  • 税、福祉・生活支援、
  • 学校・教育、

など、市役所の業務にかかわるほとんどの分野について、約1,800問もの質問に答えることができます。


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自治体へのチャットボット導入費用

チャットボット導入にかかる費用について見ていきましょう。

チャットボットには、大きく分けてシナリオ型とAI型の2種類があります。

  • シナリオ型・・・選択肢に対して用意された定型の回答をする
  • AI型・・・AIが質問に応じてより的確な回答を用意。学習により精度も上がるが、データ蓄積とチューニングが必要なためコストがかかる
  シナリオ型 AI型
初期費用 10万円前後 20〜100万円前後
ランニングコスト(月額) 5〜10万円前後 10〜30万円前後

自治体向けチャットボットおすすめ5選

自治体向けのチャットボットの中でおすすめを5つご紹介しましょう。

COTOHA Chat & FAQ

特徴

「COTOHA Chat & FAQ」は、自然文での意味検索技術により事前学習やチューニングなしでも高いパフォーマンスを発揮できます。

多彩なユーザーインターフェースにより、検索ボックスへのFAQのレコメンドや、SNSでの活用もでき、最大13言語にリアルタイム翻訳も可能です。

導入実績:埼玉県・安中市・日光市など

料金

【Web限定プラン】
  トライアルサービス 本格サービス
初期費用 0円 0円
月額費用 55,000円(税込)

月ごとのセッション数により104,500円〜2,200,000円(税込)

2,000,000セッションを超過した場合は、個別相談。

備考 1契約者につき1回限り
最長3ヶ月限定
初月無料
最低利用期間は1年後の月末まで

【ドキュメント回答プラン】

月額料金・・・88,000円(税込) ※最大1ヶ月無料お試し可能。

【レギュラープラン】
  トライアルサービス 本格サービス
初期費用 0円 チャットボット 3,300,000円
検索ボックス 1,650,000円
問い合わせフォーム 1,650,000円
オペレーターチャット(単体) 55,000円
月額費用 55,000円(税込) 月ごとのセッション数により
214,500円〜2,200,000円(税込)
備考 最長3ヵ月間 2,000,000セッションを超過した場合は、個別相談

 

MOBI BOT

特徴

簡単に応答シナリオを管理でき、質問が多岐にわたるような複雑な対応には、AIチャットボットとの併用も可能です。

とくに公式LINEアカウントを活用した住民サービスは定評があり、学校連絡網、子育て関連の相談、交通状況の不具合の確認といったさまざまな用途での実績があります。

導入実績:​​横浜市・別府市・堺市・相模原市・長岡市・市川市など

料金

初期費用:30万円〜
月額基本料:15万円〜
オプション料金:要望に合わせて見積もり

OfficeBot powered by ChatGPT API

特徴

ChatGPTアルゴリズムを活用し、複数の情報源を要約して一発で回答できるのがOfficeBotの特徴です。

登録した質問文と違う言い方がなされても、登録済みのFAQからAIがパターン拡張して最適な回答を出します

FAQデータがなくてもOfficeBotに関連資料を登録するだけでAIが回答を提案してくれるので実用までの時間が短くできます

LINE公式アカウントやMicrosoftのTeamsと連携すれば職員のサポートツールとしても使えます。

導入実績:内閣府 地方創生推進室・東京都千代田区・北海道東川町・池田市・沖縄市など

料金

初期費用:35万円
月額料金:15万円

ObotAI 自治体向け

特徴

ObotAIは、日本語以外にも英語や中国語、ロシア語、タイ語、ウクライナ語、韓国語など11言語に対応できます。

母国の文化や風習を熟知しているスタッフが各言語でAI育成をしているので、より精度の高いサービス提供が可能です。

APIやWebhookで多数の外部連携ができます。

導入実績:厚生労働省・新宿区・目黒区・港区(東京都)・千葉県・富山県・長野県・宝塚市・桑名市・明石市・小松市など

料金

要相談

KUZENfor 自治体DX

特徴

株式会社クウゼンが提供するAIチャットボット「KUZEN」を自治体向けに開発。

自治体のHPやLINE公式アカウントとの連携で住民からの問い合わせに対応可能。

チャットから各種届出や申請を完結できるので、行政手続きのオンライン化を促進できます。

導入実績:三鷹市・東京都目黒区・青梅市など

料金

要相談


■おすすめのチャットボットをさらに詳しく知りたい方はこちら!

 

チャットボットの費用や導入事例がわかる資料を見る

自治体でのチャットボット運用のコツ

最後に、自治体でチャットボットを運用する際のコツについて解説します。

具体的には以下の3点です。

  • 業務課題を洗い出す
  • 自治体のキャラクターを使う
  • 簡単に運用できるツールを選ぶ

業務課題を洗い出す

チャットボット導入にあたっては、まず「何を」「どのように」解決したいのか、その業務課題とソリューションについて具体的に洗い出すのが先決です。

自治体によって、解決したい問題の内容や優先順位は異なります。

一部の担当者だけで検討するのではなく、責任者や現場で働いている職員から現状をヒアリングし、解決したい課題の核心をつかむことが欠かせません。

そのうえで、チャットボットが類似した課題を解決した実績があるかを精査しましょう。

自治体のキャラクターを使う

多くの住民が利用する、馴染みやすいツールにするためには、自治体のキャラクターをチャットボットにも利用するのが効果的です。

住民にとって認知度が高くて親しみやすいキャラクターが受け答えするとなると、高齢者やデジタルへの苦手意識が強い人たちにも、短期間かつ広範囲に浸透させやすくなります。

簡単に運用できるツールを選ぶ

チャットボットに優れた機能があっても、使いこなせないのでは意味がないので、簡単に運用できるかが非常に重要です。

チャットボットは、導入したらそれで万事解決というわけにはいきません。

状況に応じて常にシナリオや応答の改善を繰り返し、メンテナンスをしていく必要があります。

問い合わせ履歴を随時分析し、回答が課題解決に寄与しているかという実効性を精査できる機能も必要です。

自治体内部に担当者をおき、長期にわたって自前で運用できる体制を構築することが求められるでしょう。

人員の交代が定期的にある自治体では、どんな人材でも容易く使えるツールであることが必須となります。

まとめ

自治体がDXを推進するうえで、チャットボットの導入は欠かせません。

住民の満足度が向上するのはもちろん、職員の業務効率化によるワークライフバランスの改善にも間違いなく寄与するでしょう。

ただし導入にあたっては、解決課題を具体化し、その目的にかなう運用可能なツールを選択することが大切です。

チャットボットの活用がまだという自治体担当者の皆さまは、この記事を参考に導入に着手してみてください

画像出典元:Pixabay

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