IVR決済サービスは、IVR(自動音声システム)で決済代行をおこなうサービスです。
キャッシュレス決済の利用率増加により、カード情報を扱う事業者にも高いセキュリティレベルが求められます。
セキュリティ体制を強化したい企業は、IVR決済サービスの導入により、クレジットカード情報の被保持化の実現が可能です。
本記事ではIVR決済サービスのメリットや選び方、さらにはおすすめの7サービスを比較しながら紹介します。
このページの目次
IVR決済サービスとは、IVR(自動音声応答システム)によって顧客自身がクレジットカード情報を入力し、決済を実施できるサービスです。
顧客が電話でカード決済を希望した場合、オペレーターは対応をIVRに切り替えます。
顧客は自動音声案内に従い、自身でカード番号・有効期限等の必要情報を入力する流れです。
決済完了までにオペレーターの介在が不要なため、事業者は改正割賦販売法が義務付ける「クレジットカードの非保持化」を実現できます。
IVRサービスは以下の仕組みでクレジット決済を完了させます。
IVRサービスを挟むことにより、オペレーターが顧客のクレジットカード情報に触れたり、事業者がクレジットカード情報を保管したりといったフェーズは発生しません。
IVRサービスを大別すると、以下の2種類があります。
単独提供型決済代行サービスとは切り離してIVRサービスを提供 |
決済代行会社型決済代行会社が「サービスの一部」としてIVRサービスを提供 |
IVRサービスを選ぶときは、サービスの提供形態をチェックしてみてください。
画像出典元:「GMOペイメントゲートウェイ」公式HP
オンライン総合決済サービス「PGマルチペイメントサービス」の一部として提供されるIVRサービスです。
カード決済完了後に再度オペレーターとつなぐ「オペレーター通話戻し機能」を標準搭載しており、決済後の顧客フォローまでしっかりと行えます。
またAPI連携機能を備えており、受注システムと決済情報との連携も容易です。
同社が提供する各種サービスと合わせて導入すれば、ビジネスの成長が加速するセキュアで効率的な決済システムを構築できます。
ただしIVRサービスは単独では利用できません。
PGマルチペイメントサービス クレジットカード決済の契約と、審査通過が必須です。
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「ヤマト運輸株式会社」公式HP
ネット通販の決済手段から入金確認・清算までをまとめて提供する、「クロネコwebコレクト」が提供するIVR決済サービスです。
顧客がクレジットカード決済を申し込むと、ヤマト運輸の決済処理サーバーに接続され、自動音声応答に切り替わります。
事業者はクレジットカード情報に触れることがなく、スムーズに決済が完了する仕組みです。
また受注管理システムとの連携にも対応しており、現在の運用フローを変更する必要はありません。
国際5ブランドや国内主要クレジットカードに対応しており、スムーズな導入が可能です。
初期費用:330,000円(税込)
月額費用:33,000円(税込)
※同時接続回線数を追加する場合、1回線毎に月額11,000円加算
画像出典元:「SBペイメントサービス株式会社」公式HP
40ブランド以上の豊富な決済手段をそろえる、総合的な決済プラットフォームです。
IVRサービスは、オプション扱いで提供されています。
受電番号はコールセンター全体で共有するため、運用管理は極めてスムーズ。
席数や拠点の増減にも対応しやすく、煩雑な設定はいりません。
電話回線数(同時通話数)に応じて加算される料金体系により、コストを抑えた運用が可能です。
IVRの設定は顧客ごとに細かく設定を変えられるため、画一的なサービスの導入が難しい小規模コールセンターにも適しています。
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「NTTコミュニケーションズ株式会社」公式HP
通信大手「NTTコミュニケーションズ株式会社」が提供する、SaaS型の音声自動応答サービス「Vポータルダイレクト」が提供するIVR決済サービスです。
「電話決済パッケージ」の選択により、オペレーターを介さないクレジットカード決済が可能となります。
利用可能なサービスタイプは、「ベストエフォートタイプ」「ギャランティタイプ」の2種類です。
「同時着信数が多い」「大規模回線を使用している」などの企業は回線共有型のベストエフォートタイプ、6回線までの小規模事業者は6回線のギャランティタイプがおすすめです。
電話決済パッケージ料金(フリーダイヤル×ベストエフォートタイプ:回線共有型 最大92ch利用)
初期費用:22,000円(税込)
月額費用:220,000円(税込)
ほか、回線料金がかかります。
画像出典元:「SMBCファイナンスサービス株式会社」公式HP
「SMBCファイナンスサービス株式会社」が提供する、「決済ステーション」のオプションサービスです。
顧客がクレジット決済を希望すると、電話はIVRシステムに転送されます。
顧客が自身でカード情報をプッシュ入力した後、サービス側のサーバーからカード与信照会が実施される仕組みです。
オプションを選択すると「ボーナス払い」「リボ払い」などを選択できるほか、拠点ごとに請求情報や収納情報を管理できるようになります。
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「株式会社DGフィナンシャルテクノロジー」公式HP
各種決済ソリューションを提案する「株式会社DG フィナンシャルテクノロジー」のIVR決済サービス。
顧客がクレジット決済を選択すると、同社のシステムに電話が転送される仕組みです。
カード番号はPCI DSSに準拠したセキュアな環境で処理・管理されるため、情報漏えいや紛失の心配はありません。
運用を開始したいときは、振り出された電話番号を電話機に設置するだけ。
ASP型の決済サービスにより、新たな機器の設置は不要です。
オプションを選択すると、オペレータ通話戻し機能や決済情報API連携機能も利用できます。
初期費用:300,000円
月額費用:30,000円~
(税表示なし)
月額費用は、「基本利用料」+「アカウント料×席数」+「追加接続ch料×接続ch数」となります。
画像出典元:「株式会社電話放送局」公式HP
改正割賦販売法の基準をクリアしたIVR決済サービス。
PCI DSS認証も取得しており、堅牢なセキュリティ体制を誇ります。
決済で使用するIVRは、全て株式会社電話放送局による自社開発です。
企業ニーズに合わせたカスタマイズにも対応しており、自社に最適なIVR環境を構築できます。
またカード情報の取得は、「オペレーターによる代行」「顧客本人」の2パターンを切り替えられる仕組みです。
「プッシュ入力は面倒」と感じる顧客も、離脱の心配はありません。月額費用は固定のため、座席数の変動が大きい企業も安心です。
初期費用:400,000円
月額費用:200,000円~
(税表示なし)
月額費用には月間4,000件までの着信が含まれます。
4,001件目からは着信1件ごとに25円がかかります。
「改正割賦販売法」により、クレジットカードを扱う事業者には「クレジットカード情報の非保持化(※1)」あるいは「PCI DSS準拠(※2)」が義務付けられています。
IVRサービスはPCI DSSに準拠しており、法律に準拠したセキュアな利用環境を実現可能です。
「電話で顧客のクレジットカード情報を聞き出して自社システムに入力する」という受注形態を取っている企業は、クレジットカード情報が「通過」しており、これは非保持化ではありません。
非保持化のためには「専用の決済端末を用意する」「独立した通信回線で処理する」などと、手間の掛かる対策が必要となるでしょう。
電話番号の追加・変更のみで対応できるIVR決済サービスを導入した方が、手間やコストを抑えられます。
※1クレジットカードの非保持化
クレジットカードの非保持化とは、クレジットカードを扱う事業者が、自社の機器やネットワークなどで顧客のクレジットカード情報を保存・処理・通過しないことを指します。
※2PCI DSS準拠
「Payment Card Industry Data Security Standard」の頭文字を取ったものです。国際カードブランド5社によって規定された国際的なデータセキュリティ基準で、クレジットカードを扱う全ての事業者を対象としています。
顧客がクレジットカード決済を申し出たときは、オペレーターが丁寧な復唱確認・入力確認を行うのが一般的です。
IVRサービスを導入すれば、これらの工程は全て省略できます。オペレーターが受けられる電話の数が増え、機会損失を防ぐことが可能です。
またクレジットカードは重要な個人情報であり、扱うオペレーターの心理的負担も小さくありません。
IVR決済サービスを導入することで、オペレーターはカード情報の入力ミスや個人情報を扱う心理的負担からも解放されます。
IVR決済サービスは、プッシュボタンでクレジットカード情報を入力するだけ。
周囲に人がいる環境でも利用しやすく、クレジット情報の漏えいリスクを減らせます。
オペレーター相手とはいえ、クレジットカード情報の伝達に不安に感じる顧客は少なくありません。
IVR決済サービスの導入によって顧客の不安を払しょくできれば、顧客満足度の向上が期待できます。
コールセンターの拠点やオペレーターの増減に、スムーズに対応できるかどうかをチェックしましょう。
「受電番号をコールセンター全体で共有する」といったサービスなら、拠点やオペレーター数が代わるたびに設定を変更する手間がありません。
IVRサービスを導入すると「初期導入費用」「月額料金」「追加オプション費用」などが必要です。
回線数や対応座席数は、サービスによる違いが顕著な傾向があります。
自社の運用方法・規模・組織形態にマッチした料金プランがあるかどうか、確認してください。
万が一システムトラブルが発生したとき、ベンダーがどのような対応を取ってくれるかを確認しましょう。
トラブル対応の時間が限られていたり対応が遅かったりするサービスだと、トラブルからの復旧が遅くなる恐れがあります。
「クレジットカードを利用できない」という事態が長く続くと、社会的な信頼の喪失・顧客離れにつながるかもしれません。
IVRサービスとは、自動音声応答がクレジットカード決済を代行してくれるサービスです。
オペレーターがクレジットカード処理に介在しないため、セキュアで法律に準拠したクレジットカード取引環境を構築できます。
社会的なキャッシュレス決済化の流れは、今後さらに加速していく見込みです。
IVRサービスにより顧客からの信頼を獲得することは、企業が今後安定的に成長していく上で必要な選択となるに違いありません。
自社にマッチしたサービスを見極め、顧客にとって不安のないクレジットカード利用環境を構築しましょう。
画像出典元:O-dan
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