起業1年半で20億!タイミー小川嶺に聞く資金調達の裏側

起業1年半で20億!タイミー小川嶺に聞く資金調達の裏側

記事更新日: 2020/02/26

執筆: 大野琳華

日本経済新聞など多くのメディアに取り上げられ、話題となっているバイトアプリ「タイミー」

そのユニークなプロダクトだけでなく、1年半という短期間ですでに4度の資金調達を果たしていることからも注目を集めています。

今回はタイミーの代表取締役である小川嶺さんに、資金調達の裏側について取材しました。

プロフィール

小川嶺

立教大学経営学部に在学中。高校の時からインターンを始め、リクルート、サイバーエージェントのインターンを経て、試着をするだけで割引になるファッションアプリRecolleを起業。その後ピボットし、株式会社タイミーを設立。リリース1年3ヶ月でユーザー数は20万人を超え、導入店舗数は3000店舗と急拡大を遂げている。

日本のために

ー「タイミー」はすぐに単発バイトができるアプリですが、開発するきっかけは何だったのでしょうか?

 

僕自身、常に何かをしていたい人間なので「時間」というものは常に意識していました

実際、大学2年で起業しようと思ったのも、就活までの空白の時間を「豊かじゃない」と感じてしまったというのが一因としてあります。

じゃあどんなプロダクトで起業しようかと考えたときに、アルバイトのことを思い出したんです。

コンビニや運送業などで日雇いバイトばかりをしていたのですが、時間が足りずにやりたいことができない人を何度も見てきました

そこで人手が足りていない店舗と、すぐ働きたい人をマッチングできるようにすればいいんじゃないかと考え、できたのがタイミーですね。

好きな時に好きな場所で働けることから、多様な働き方を促進し人手不足に歯止めをかけることができるのでは、と考えています。

ー最近では「タイミートラベル」という新たなプロダクトもローンチされましたね。こちらはどのようなサービスでしょうか?

 

これは"第二の故郷を見つけよう”をコンセプトとし、地方の人々と労働を通じたふれあいの機会を提供するワークシェアリングサービスです。

こちらも「関係人口」(地域や地域の人々と多様に関わり、地域づくりの担い手となることが期待される人材)を増やし、地方の人口減少を食い止めることを想定しています

 

ーどちらのサービスも人手不足や人口減少といった「社会課題」を重要視しているように感じます。

 

そうですね。日本のためにも社会課題を解決するというのは強く意識しています

 

ー「日本のため」というのはすごく大きなワードですね。

 

確かにすごく仰々しいように感じるかもしれませんが、なんだかんだ、みんな日本のことが好きじゃないですか。

ラグビーワールドカップだって多くの人が日本チームを応援していましたよね。

だからこそ実はみんな日本をよりよくしたいと思っていて、ニュースやSNSでは大きなトレンドになる。

社会課題に目を向けている証拠ですし、それだけ共感を得やすいものだと思います。

▲タイミーのホームページ。かわいらしいキャラクターとともに、社会課題解決を目指すことを明示している。

実際、資金調達の時にもこのことがアピールポイントになりました。

2018年12月には3億円調達しているのですが、その際にはサイバーエージェントの藤田ファンドから1億円調達しました。

藤田さん自身も社会課題に目を向けていたからこそ、そこに対する熱が伝わったのだと思います。

20億調達の裏側

ーつい先日、20億円の資金調達を行っていましたね。起業1年半でこの額はかなり珍しい事例だと思います。

 

最年少上場を目指して、かなりスピーディーに成長できています。

従業員も100人近くになりました。

この次の1年間、事業拡大や人件費を含めた会社運営に必要な金額だと思っています。

 

ー今回の資金調達を振り返って、何が成功の鍵だったのでしょうか?

 

投資家の方々への説明内容を一人一人作りこみました

投資家の方々の人数が多くなると、説明を考えるのも大変なので、一律的なものにしがちなのですが、それを投資家も見抜きます。

あくまで投資家の目線に立ち、相手の気持ちを組み込んで、説明していますね。

ロジカルかどうかももちろん大事ですが、最後に決め手となるのは「どれだけ心が動かされたか」だと思っています。

 

ーここまで力を入れたからこそ、20億もの資金調達を実現できたんですね。最後に、小川さんから、読者へ伝えたいことはありますか?

 

起業家が増え、切磋琢磨できる相手ができることが、日本を豊かにすることにつながると思っています。

だからこそ、同世代の人にもっと挑戦していってほしいです。

 

 

大野琳華

この記事を書いたライター

大野琳華

山口出身。一橋大学商学部に所属。記者・インタビュアーを目指している。

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