未経験からのエンジニア養成プログラム「TECH::EXPERT」や「TECH::CAMP」などを展開する株式会社divの代表取締役、真子就有さん。
その裏の顔は、登録者30万人越えのYouTuber、マコなり社長。
社長というとめちゃくちゃ忙しいイメージだが、どうやって30万人もの人を魅了するYouTuberになったのだろうか?
真子さん本人に直接お話を聞いてみた。
プロフィール
真子就有(まこゆきなり)
大野
早速ですが、YouTubeを始めたきっかけを教えてください。
真子さん
友達がやってたんですよね。
始めて数ヶ月でチャンネル投稿者も数十万人突破していて。それで自分もできるんじゃないかなって。
大野
割と気軽なノリだった。
真子さん
確かに考えてみると、YouTubeでの発信をしている起業家がいないのって不思議だなと思って。
みんな、FacebookやTwitter上での発言や活動はしているじゃないですか。
YouTubeでも同じように人に価値を提供できるのに、何でそれをしている人がいないんだろうと思い、始めてみました。
大野
確かに、どちらも自分の想いを伝えられるツールですね。
真子さん
そうなんです。
それから、自分はもともと「話し続ける」ことが得意なんです。
会社での会議や普通の会話と違って、プレゼンのように一人で話し続けるには、いかにその場の空気を作って、聴いている人に語りかけられるかが重要です。
自分はその部分が得意なんですよ。
だからYouTubeでも、動画という場の中で、同じことをしたらいいんじゃないかな、と思ったんです。
大野
なるほど、得意を生かして発信できるということで始めたのですね。
それで実際YouTubeをやってみてどうでした?
他の人にもYouTubeチャンネルを始めることをオススメしたいと思いますか?
真子さん
いや、やめた方がいいですよ。
大野
ええ…(困惑)
真子さん
というのも、実際きちんとYouTubeをやるというのは大変なことだからです。
生半可な気持ちでやれば、必ず中途半端な結果に終わります。
大野
やっぱりYouTubeを続けることってキツいんですね…。
具体的にはどういったことが大変なんですか?
真子さん
まず、YouTubeで話す内容を考える事からかなり苦労します。
1本の動画につき、大体10分程度話していますが、文字数に換算すると3000字ほど。
今まで出した動画数を考えると、既に本10冊分は出しています。
これだけ話せたのは、僕がずっと教育事業に取り組んでいて、ある程度の知見があったからです。
大野
確かに、普通の人なら本10冊分も話すことないな…
真子さん
それにYouTubeはもうすでにレッドオーシャンです。
マーケティング的な目線をもって、企画を練っていく必要があります。
僕の場合、ターゲットをビジネスパーソンと明確にし、彼らに向けて最適なコンテンツである、「人生や仕事に役立つ動画」を提供するようにしています。
ビジネス系YouTuberは、当時まだブルーオーシャンだったこともあり、他のプレイヤーをごぼう抜きすることに成功しました。
この点に関して言えば、ある意味、起業家はYouTuberに向いているかもしれませんね。
大野
YouTubeのチャンネルを人気にするのに、そこまでビジネスの考え方が必要なんですね…
真子さん
ただ一方で、起業家だからこそ苦労することもあります。
会社の代表である以上、言いたい放題に言えるわけではありません。
代表というのは会社の広告塔であり、イメージでもあるので、良くも悪くも会社の印象を左右します。
僕自身、強すぎる発言があまり好きではないというのもありますが、比較的クリーンな動画を投稿するように意識しています。
大野
そんなに大変なのに、真子さんがYouTuberとして成功できた理由は一体、何ですか?
真子さん
動画の質に徹底的にこだわったことですね。
大野
動画の質にこだわる…当たり前では…?
真子さん
YouTubeを見ていると時々どうでもいいような動画が上がってることありません?
特に毎日投稿とかだと、マンネリ化しているような。
大野
ありますね。
真子さん
ユーザーがチャンネル登録してくれるのは、そのチャンネルの動画は毎回面白いと思えるからです。
その期待値を下げてはいけないと思うんですよね。
僕自身、話す内容はたくさん持っていたのですが、それをさらに深堀り、考察しました。
ビジネスや自己啓発だけでなく、哲学についても本やネットで調べましたね。
これによって僕の動画には論理の穴が無いようになっていると思います。
また、ユーザーが面白いと思う内容をみつけて、フォーマット化していくことが必要ですね。
僕のチャンネルだと「やってはいけないことランキング」に人気があるので、そういったコンテンツを定期的に投稿しています。
▲100万再生を超えた人気動画。
関わってはいけない人をランキング形式で紹介している
真子さん
あとは週に3回投稿しているのですが、毎回どんな内容にするか会議して決めています。
といっても、ほとんど自分が考えるので、考えたものを壁打ちさせてもらう感じですね。
大野
そこまでこだわったものを週3で投稿するとなると、かなり負担じゃないですか?
本業の会社経営に差し障りそうなんですけど…
真子さん
会社の経営に関しては、意思決定以外の部分は権限を移譲してあるので、問題ありません。
ただそもそも、YouTubeと経営を分けきれていないんですよね。
大野
と、言いますと?
真子さん
今みたいに取材を受けたときのことや、会社の代表として出席した会議でのことがネタになったりします。
一方で、動画で話す内容について調べることで世の中について知ることができ、それがビジネスのアイデアになることもあります。
なんでもそうですが、人間はアウトプットがないと成長しません。
例えば、英語でも学ぶだけでなく、実際に話してみないと身につかないって言いますよね。
僕は、週に3回ビジネスについて調べ、考察し、動画としてアウトプットするということを1年間繰り返してきました。
他の経営者よりも今の社会やビジネスについて、詳しくなっていると思います。
大野
なるほど、YouTubeも経営に生きているんですね!
大野
真子さんはYouTubeチャンネルや今の事業の前にも、革新的なWebサービスを開発してバズってますよね。
こうした「他にない新しいこと」に取り組む姿勢を持ち続けることはなかなかできないことだと思います。
真子さん
そうですね。
僕自身、教育事業を経営する中で、「常識」にとらわれて、「人生を変えたいのに、その一歩を踏み出せない人」を多く見てきました。
そういう人に「プログラミングをやってみたら?」などと声をかけても、「でもそういうこと苦手だから…」と返されたりしますね。
大野
心当たりがありすぎて、胸が痛い。
真子さん
ひとつ、印象的な出来事があります。
僕は中学生のころ、合唱コンクールのリーダーを務めていました。
でも、当時のクラスメイトには「学校の行事をさぼるのがかっこいい」という常識があったんですよね。
だから僕は「真面目ぶってる」と言われ続けて、なぜだか無性に腹がたちました。
なんとか練習を頑張って、コンクールでは優勝することができました。
それ以降、僕を「真面目ぶってる」といじるクラスメイトはいなくなりました。
それどころか「勝つのは面白い、それに向けて練習を頑張ることに価値がある」という僕の考えが、クラスの常識になったんですよ。
このとき「腹が立っていたのは、自分の考えが理解されていなかったからだ」と気づきました。
大野
「サボるのがかっこいい」というそれまでの常識が、クラスメイトにとって練習をあまりやらない理由になっていた。
でもいざ練習してみると、優勝して新たな価値観を得ることになった。
真子さん
そうです。
「今までの常識」に価値なんてありません。
常識なんてものはコロッと変わるんです。
大野
説得力がすごい。
真子さん
だからこそ、もし人生を変えたいなら「やりたくないこと以外ならやってみる」ということが大事なんです。
何でもいいんです。
降りたことのない駅で降りてみるとか、ふだん買わないものを買ってみるとか。
ほんのちょっとしたことでいいんです。
常識にとらわれずに、新しいことをやってみるだけで、何かが変わるかもしれません。
YouTubeに真剣に取り組み、クールな表情で熱く語ってくれたマコなり社長。
それはまさにYouTube動画を生で見ているかのような取材だった。
とりあえず筆者も今度、あまりのおしゃれさに恐れおののいて、行くのを躊躇していた自由が丘にでも行ってみようと思う。
山口出身。一橋大学商学部に所属。記者・インタビュアーを目指している。
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