総額約1億円の資金調達!Elaly大薮雅徳が描く、信用で評価する社会

総額約1億円の資金調達!Elaly大薮雅徳が描く、信用で評価する社会

記事更新日: 2019/08/29

執筆: 大野琳華

家具のサブスクリプションサービスであるairRoom。新聞やテレビの取材も多数受けており、話題になっています。また7月に総額約1億円の資金調達をしたことで、さらに勢いを加速させています。今回はその資金調達の裏側と今後の展望について、airRoomの運営会社であるElalyのCEO、大薮雅徳さんに取材しました。

プロフィール

大薮雅徳

株式会社Elaly代表取締役兼CEO。 1995年7月生まれ。法政大学中退。dely株式会社にて、フードデリバリーサービス『Dely』の立ち上げを、株式会社FiNCにて、メインアプリ『FiNC』のiOS/Web開発に従事。2017年末、同社にて年間MVPに選出。2018年5月、株式会社Elalyを創業。 「テクノロジーで世界中の人々のライフスタイルを、より良いものに」というVISIONのもと、インテリアのサブスクリプションサービス「airRoom」を運営。

ビジョンの実現のために、最高の組織を

ー早速ですが今回、資金調達をしようと思った理由は何だったのでしょうか。

私たちは先日の資金調達を含め、設立から今日までに2度、資金調達を実施しています。1度目はサービスリリース時の2018年10月です。この頃はまだサービスが存在しておらず、サービスをリリースするため、またPMFをはじめとした成長可能性の高さを証明するために資金を投資してきました。

その投資が多少なりとも実りはじめ、私たちの考えるビジョンから逆算し、さらに事業を加速させるために必要な資金を今回調達しました。


ー元メルカリ執行役員CTOの柄沢さんやラクサス・テクノロジーズ代表の児玉さんなど、名だたる人々から調達したとのことですが、彼らから調達したのはなぜですか。

企業の到達点は、経営者、経営陣はもちろんのこと、メンバーを含めたチーム力に依存すると考えています。そうした意味では、株主はチームの一因であると考えており、私たちにとって経営のプロフェッショナルの存在は大変貴重です。

当社は「テクノロジーで世界中の人々のライフスタイルを、より良いものに」をビジョンに掲げ、経済力がなくても信用力がある人が正しく評価されて夢を諦めなくてもいい社会を作ることを目指しています。私一人の力では到底実現することは難しく、例え近付いたとしても小さな成功で終わってしまうでしょう。

本気で大きな志を実現するためには、私たちのビジョンに深い共感を抱き、深い知見を有する方々の協力が必要不可欠でした。


ーでは彼らがかなり経営に手を入れているのですね。

確かに事実として調達後、当社のことを深く考えご支援いただいている経営のプロフェッショナルたちが、私の意思決定や経営業務に異を唱えることも度々ありました。

議論が白熱することもありますが、これらは自社の成長には欠かせないものです。議論の後、いかに自分が狭義で物事を判断していたのか、改めて気付かされることも数多く存在しました。

大きな志を本気で実現する上で、経営者の成長が必要不可欠なことは言うまでもないことであり、彼らが加わることで間違いなく経営の質は高くなったと自負しています。

ー1億円もの資金を調達するというのは簡単なことではないと思うのですが…

資金調達は何も早く調達できれば良いというわけでもなければ、投資家と対話する数が少なければ良いというわけでもないと考えています。

私たちはまだまだ実績のない名もなきベンチャーですから、今回の資金調達では数多くの投資家の方々と長い時間をかけて丁寧に対話を行なわせていただきました

私たちの目指すビジョンや到達点、実現可能性、市場の状況や規模、競争環境、スケーラビリティ、ダウンサイドリスク等について深い議論を通じ共感いただいた方々に株主としてご参画いただきました。

結果として私たちにおいては、とても良い投資家に恵まれたと考えております。加えて投資家によるデューデリジェンスを通じ経営者としても成長する機会になったと考えています。

目指すはモノのNetflix!?気になる資金の使い道とは

ー今回調達した資金はどのように使う予定ですか。

今後の急激な企業規模拡大に備えて体制を強化するほか、商品ラインナップの拡充、人工知能とARなどのテクノロジーを利用したソリューション開発への投資や人材採用を行う予定です。インテリアだけでなく服や家電のサブスクリプションサービスなど、新規事業も積極的に展開していき、モノのNetflixを実現します。

また私たちが今、注力している点はコーディネートです。今までインテリアコーディネーターが一部の方々を限定的におしゃれな部屋にコーディネートすることが一般的でしたが、私たちはテクノロジーを活用することで誰でも平等にコーディネートしてもらえる体験を享受できる社会にしていこうと考えています。

自分の部屋の写真を撮って私たちに送ってもらえると、数秒でAIがインテリアをコーディネートし、結果を利用者に送ります。そのコーディネートされたインテリアの中から気に入った家具があればそれを借りることもできます。服や家電についても同じです。

住空間すべてにおいてデータさえ渡せば、利用者が考えることなく満足のいくライフスタイルを提供できるようにしていきたいですね。

▲現在提供しているサービス、airRoom。月単位で家具を借りることができるため、インテリア好きだけでなく転勤が多い人にも便利なサービスだ。

別の側面としては私たちは将来的に信用がある人たちをサポートしていきたいと考えています。家具を借りる・返すというやり取りの中でどんどん顧客データがたまっていきます。

その顧客データをもとにきちんと信用できると判断した利用者に対しては、ご利用いただける商品の幅が増えたり、旅行など様々なライフスタイルにおける他のサービスも、蓄積された信用データを用いることで利用できる世界にしていきたいです。そのためにも現在、さまざまな企業と提携を結んでいる最中です。

Elaly経済圏を作る

ー今後の展望についてはどのようにお考えですか。

先ほど「将来的に信用がある人たちをサポートしていきたい」と話しましたが、airRoomを始めた原点もここにあります。今、幸せの総和が経済力に比例することも少なくはありません。しかし、この世界には経済力が低くとも評価されるべき人々が数多く存在します。

そういった人々が経済力の有無に関わらず、夢を諦めなくても良い社会を作りたい、欲しいものを手に入れ、思い通りの人生やライフスタイルを送れる世界にしたい、という考えが根底にあります。

そのビジョンを実現するために我々は家具だけにとどまらず、服や家電などありとあらゆる商材を揃えていきます。そして、サービスを通じ蓄積された与信データを統合し、信頼により成立する決済システムをElaly内で構築していきます。つまり、信用社会により成り立つElaly経済圏を生み出すことが最終的な目標です。

取材を終えて

モノのサブスクリプションにとどまらず、ライフスタイルや社会をも変えようとしているElaly。そんなElalyでは現在、正社員やインターン生を募集中です。急成長のスタートアップで働くことは自身の成長にも、今後の起業にも生かせるのではないでしょうか。

大野琳華

この記事を書いたライター

大野琳華

山口出身。一橋大学商学部に所属。記者・インタビュアーを目指している。

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