TOP > インタビュー一覧 > 働き方改革の前に「辞め方改革」しよう。 ハッカズーク鈴木が語る”アルムナイ”との向き合い方
弊社プロトスター株式会社が運営する、起業家と投資家のためのマッチングプラットホーム「StartupList」。
利用者インタビュー第2弾は、企業の退職者=アルムナイと企業とをつなぐシステムを提供する、株式会社ハッカズークの代表取締役CEO、鈴木仁志氏です。
働き方改革の実現のために重要だと語る「辞め方改革」とは一体どのようなものか。その進め方とともに、鈴木氏がどのようにスタートアップリストを活用していたのか、深掘りしていきます。
プロフィール
代表取締役CEO 鈴木仁志氏
ーまずは、鈴木さんが起業しようと思った経緯を伺っていきたいと思います。
僕は起業前の10年ほど、人事採用のコンサルの会社に勤めていたのですが、退職した人と繋がりをもつことが多くの企業ではタブーだと言われていました。
まるで、退職者は「裏切り者」かのように思われていたからです。
退職者とのつながりを切ると、彼らの持っているネットワークやノウハウが散逸してしまいます。そんな状況を見て、「勿体無いな」と思っていたのがサービスを始めようと思ったきっかけです。
ー起業しよう、と前々から考えていたのか、それとも急に思いついたのでしょうか?
以前から「起業したい」という思いはありました。
僕の父が、様々な企業に関わって転職を重ねているのを見て、「そういう生き方ってありだなあ」と感じていました。
また僕自身、カナダの大学に通っていた時に、日本車のパーツを輸入して、自分で立ち上げたwebサイト上で販売していたのですが、その頃から「自分で何かやる」ということが好きだったように思います。
大学卒業後、日本に帰国してからは、「いつか起業しよう」と思いながら自由に仕事をやらせて頂きました。そんな中で、自分が考えている事業が起業した方がいいタイミングを迎えたので起業をしたということですね。
会社に「辞めます」とお話ししてからは、仕事の引き継ぎをする傍ら、サービスコンセプトを固めていました。準備は十分にできていましたので、会社を辞めるのと同時に起業ができました。
ーサービスのローンチ自体はいつでしたか?
ベータ版で出したのが、退社から半年後のことです。
「退職者」という言葉はネガティブな印象を持たれがちですから、事業のコンセプト自体を広げていくためにオウンドメディアだけでもローンチしました。
起業したばかりの頃は、お客さんのいない状態だったので、オウンドメディアの取材を中心にプロダクトを作りこんでいました。
ーそれでは改めて、事業について詳しく教えてください。
うちでは、コンサルティングとSaaSをBtoBtoC向けに提供しています。
具体的には、まず「アルムナイとつながることは大切だ」と感じている企業の方に向けて、「そもそもアルムナイとはどういう存在なのか」「社員との関係性」について、コンサルティングを行っていき、「アルムナイとのベストなつながり方」を考えていきます。
そこからは、SaaSを使ってコミュニケーションの設計を行ったり、オフラインのイベントを通して社員を巻き込んでいったりして、アルムナイの組織のようなものを作っています。
ーターゲットは企業の人事などでしょうか?
人事企画や経営企画の担当者などに利用されています。「社員の再雇用」「採用ブランディング」「オープンイノベーション」など目的は様々です。
例えば、最近では「エンジニアにやさしいカルチャーに変えていきたい」という企業が多くなっています。
しかし、そういった企業はエンジニアがどんどん外に出て行ってしまっているので、どこから改善すべきか分かりません。
ですから、離職していったエンジニアたちに「どこがエンジニアにやさしくないの?」とか「うちらしい、エンジニアのための制度を作るから一緒に考えてよ」と意見をもらうわけです。
するとアルムナイは「自分が居た会社の環境が良くなって欲しい」と愛情をもって真剣に考えてくれます。
ーなるほど。外部にいると意見も言いやすいでしょうね。
今までは、アルムナイ同士の繋がりと企業との繋がりを作っていたのですが、今度はそのコミュニティに社員も入れるようにしました。
アルムナイの間でFacebookのグループができると、会社の文句の言い合いや、社員の引き抜きの場になってしまいがちでした。
しかし、会社が公式にコミュニティを作って「お互いメリットがあるような関係性を築いていきましょうよ」と提案をする方が、比較的そういう問題も起こりにくいんです。
今回、スタートアップリストを活用し、ドリームインキュベータ(以下、DI)から資金調達を行った鈴木さん。
その利用方法や資金調達の過程について伺いました。
ーでは、今回の資金調達を含め、スタートアップリストの使い方について教えてください。
僕は友人のfacebookの投稿を見てスタートアップリストに登録したんですが、最初のうちは投資家の情報よりも、起業家の方の情報をよく見ていました。
他の方の事業内容を見て「どのように書くと相手に伝わりやすいか」を研究し、自分の事業説明文をブラッシュアップするのに利用しました。
もちろん、スタートアップリストを利用したことで複数の投資家の方に出会うことができました。
Reality Accelerator の郡さんにお墨付きを頂いてから、ディップの進藤さんに繋いで頂いたり。VCの方が「スタートアップリストで会った方から聞いたよ」とメッセンジャーでお問い合わせを下さったりもしました。
ー共通の友人経由で知り合いの投資家を紹介していただくことも多いようですね。
そんな中、DIの下平将人さんから連絡を頂いたと。お会いしてから、大体どのぐらいの期間で投資が決まったのでしょうか?
3ヶ月ほどかかりました。
実は下平さんにお会いする前に、以前から面識のあった前DIベトナム社長の細野恭平さんからFacebookで「面白いことをやっているね」と連絡を頂いていました。
そこで「下平さんからご連絡を頂いています」とお話ししたところ、「早くお話を進めましょう」という流れになりました。
ー複数の投資家の方からお声がけがあった中で、DIを選んだ理由は何でしょうか?
投資家の方は、「自分たちに合うか・合わないか」を重視していました。
「タブー視されてきた退職者に対する見方を変えるために、PRにも膨大なお金を使うなど、立ち上がりに時間がかかります」とお話しをして、それに対する皆さんの反応を見ていました。
すると多くの方は「早くお金になるような、リクルーティングのデータベースにした方がいいんじゃないのか」とおっしゃられました。
下平さんにもそういう考えはあったかもしれませんが、「アルムナイとの繋がりのようなものが実現すれば、ヤバいサービスになる」と信じてくださったようです。
「DIのコンサルティングとインキュベーションで支援をするよ」と。今も手厚いご支援をして頂いているので、とても感謝しています。我々にとっては最高のパートナーですね。
ー鈴木さんから、「資金調達をしよう」と考えている起業家に対してアドバイスがあれば教えてください。
スタートアップリスト上では、「ファイナンシングのとき、〇カ月前から動くべきか」と、投資家の検討期間もリアルに全部見えるので、そこはめちゃくちゃ勉強した方がいいと思います。
あと、投資家の意見に一喜一憂することがあるかもしれませんが、自分たちの事業が良い・悪いのではなく、投資家が自分たちに合うかどうかだと思います。
ビジネスの伸ばし方を分かっている方の意見なので僕も彼らの意見を全て真摯に受け止めますが、結構凹みますよね。
特にシードのフェーズだと孤独なので。僕も、1週間で5連敗ぐらいして、へこんで帰ってきたことがありました。(笑)
事業として、プロダクトとして、提供したいと思ってる方々に対して刺さってるかどうかが一番重要だと思っているので。
ここがしっかりと刺さってるという自信があるのであれば、他の投資家から何を言われても、関係ないと思います。
ー最後に、ハッカズークの将来のビジョンを教えてください。
「辞め方改革」というのを行っていきたいと思っています。
ある古い企業の話ですが、ある社員が「辞める」と分かると、「最後の1カ月は飲み会誘うな」と言われたり、また、人事制度の観点から、部下が辞めようとすると、上司から「お前が辞めたせいで俺の評価が悪くなる」と言われたりすることがあるそうです。
会社の滞在期間中は問題なくやってこれたのに、最後の数か月間だけ良くない思い出が強く残ってしまうと、全てが良くなかったように思えてしまいます。
当然、退職後にその人との有効的な関係を築くのも難しくなってしまいますよね。
ですので、辞める側と送り出す側の両方をコンサルティングしていき、「最後は気持ちよく辞めよう」という意味での辞め方改革というのを推進していこうと思っています。
多忙を極める起業家の方々にとって、自社に最適な投資家を見つけ出し、比較・検討するのは大きな負担となります。
Startup Listを利用すれば、VC、CVC、エンジェル投資家を含む投資家のリストを一覧で見ることが出来ます。
起業家が最小限の負担で資金調達を達成し、事業推進に注力するためのサービスです。
出典:スタートアップリスト公式HP
次回はセブン銀行の松橋さん、西井さんに取材します。
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