TOP > インタビュー一覧 > 〜京都市の科学館の未来を考えるアイデアソン開催!〜 知識の伝達だけでは時代遅れ? 好きなものを極めるオタク育成や推し活が鍵となる科学を起点にイノベーティブな「STEAM教育特区」へ
KYOTO Innovation Studio vol.14
KYOTO Innovation Studioでは、京都市内外の多様な「知」を持つ方を招き、「京都でイノベーションを加速させる」ことをテーマに、様々な意見交換を行っている。
参考:KYOTO Innovation Studio 公式HP
第14回目となる今回は、アイデアソンを実施。
テーマは『京都の科学館のワクワク・ドキドキを一緒につくりませんか? ~「科学の芽」から始まるイノベーション〜 』だ。
参加者48名(経営者、クリエイター、学生、大学職員、起業家、会社員、京都市青少年科学センター所員を含む京都市職員など)が京都市青少年科学センターに集まってアイデアを出し合った。
ファシリテーターを務めたのは、京都市都市経営戦略アドバイザー/早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏。
気軽に楽しめるエンターテイメントがあふれている今日、「科学は難しいもの」と思われがちだが、この壁を超えるためにはどうすれば良いのか。
答えは、科学というジャンルを超えたところにあるのかもしれない。
参加者とセンター所員のアイデアがミックスされることで、従来の価値観では思いつかないような解決策が浮かび上がってきた当イベントをレポートする。
京都市長 松井 孝治 氏から京都市長賞、京都市青少年科学センター 所長 瀬戸口 烈司 氏(京都大学名誉教授)からは京都市青少年科学センター所長賞、そして参加者の多数決で選ばれた入山賞の発表も行われた。
このページの目次

京都市都市経営戦略アドバイザー/早稲田大学ビジネススクール教授 入山 章栄 氏
ファシリテーター:入山 章栄 氏
早稲田大学大学院 経営管理研究科 早稲田大学ビジネススクール教授
京都市都市経営戦略アドバイザー
慶應義塾大学院経済学研究科修士課程修了後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院より博士号を取得し、同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。
WBS准教授を経て、2019年に現職へ。
「世界標準の経営理論」(ダイヤモンド社)等の著書のほか、メディアでも活発な情報発信を行っている。
入山:KYOTO Innovation Studioは、京都市が主催する「知の探索」の場づくりとして、2022年度より始動した行政と民間の共創型のプロジェクトです。
京都市内だけでなく市外からも多様な専門性や視点を持つ方々に参加してもらい、京都の地域資源や行政課題を見つめ直し、京都の未来について本質的な議論を行ってきました。
第14回目となる今回は、「京都市青少年科学センターの面白い使い方」をテーマとしたアイデアソンを開催します。
舞台は、喋るティラノサウルスの模型や市内唯一のプラネタリウム、職員の科学愛が詰まった展示物などにより、人々の「科学の芽」を育ててきた京都市青少年科学センター。
私は青少年科学センターに初めて来ましたが、大きな可能性を感じました。
築56年の歴史を感じる建築物、自然あふれる屋外園、なかなかこういった場所はありません。
この青少年科学センターが、さらに発展するために何が必要なのか、どういった方向性を目指すべきなのか、考えてみましょう。
私が期待しているのは、誰も思いつかないような型破りなアイデア。
なぜなら、常識的なアイデアはセンター所員の方達がすでに思いついて取り入れているからです。
今回の目的は、異分野の人が集まってイノベーションを起こすこと。
センターの方々は発展させる方法を熟考されたかと思いますが、内部の人だけの話し合いだとイノベーションが起きにくいんですよね。
イノベーションは離れた場所にある「知」と「知」が組み合わさった時に起こります。
だからこそ、外部の人のアイデアが重要です。
また、どれだけ素晴らしいアイデアでも実行に移さないと意味がありません。
私は京都市の都市経営戦略アドバイザーを務めているので、今回のアイデアのうち最低でも1つは京都市に提案します。
アイデアソンについて
● 参加者は予め決められた9チーム(5~6名/1チーム)に分かれて行動
● 各チームに京都市青少年科学センター所員と京都市職員、それぞれ1名以上を配置
● 科学センター内を探索して魅力や課題を捜し議論した後プレゼンを行う
(探索・議論の時間は2時間15分)
● 斬新なアイデアを創出できるよう、既存の価値観に縛られることなく自由に発想する
● プレゼン後に京都市長賞、京都市青少年科学センター所長賞、入山賞(参加者の多数決)の発表
それでは、京都市の西田さんから、ひと言お願いします。

京都市 都市経営戦略監 西田 良規 氏
西田:KYOTO Innovation Studioを2022年に立ち上げましたが、様々な方にご参加いただいたおかげで成果が出始めています。
たとえば、Forbes JAPAN『CULTURE-PRENEURS AWARD』の「カルチャープレナー」という言葉はKYOTO Innovation Studioから生まれました。
CULTURE-PRENEURS 30 2025 | Forbes JAPAN(フォーブスジャパン)
京都でよりイノベーションが加速するには〜カルチャープレナーの聖地としての可能性〜
カルチャープレナーとは、文化やクリエイティブ領域の活動によって、革新的なビジネスを展開し、豊かな世界の実現を試みる人達のこと。
文化的価値が高い京都なら、たくさんのカルチャープレナーを生み出せるでしょう。
これからも新たなイノベーションを起こす人を輩出するために、多種多様な人が集まる機会をつくっていくので、皆さまのご参加をお待ちしています。

京都市青少年科学センター 市民科学事業課長 谷野 陽子 氏
入山:次は、京都市青少年科学センターの谷野さんから、現状や課題を教えてください。
谷野:本日は京都市青少年科学センターにお越しいただきありがとうございます。
京都市青少年科学センターの設立目的は、科学者精神を体得した将来の市民を育てること。
科学者精神とは、時代を切り開いていくための普遍的な力です。
昭和44年(1969年)設立で、指定都市の科学館では一番古い建物ですが、市内唯一のプラネタリウムがあり、担当職員(5名)の完全オリジナルプログラムを提供しています。
56年の時を経て、屋外園には豊かな緑が茂り、多くの鳥や昆虫が住んでいることも魅力の一つです。
しかし、設立以来一度も大規模改装をしておらず、雨漏りが日常茶飯事。
館内で害虫と遭遇することが多く、ムカデもよく出てきます。
そこで施設も含めた京都の科学館の在り方を考えるための、STEAM教育の充実に焦点を当てた検討会議を立ち上げました。
検討結果の報告は来年の夏頃を予定しています。
入山:本日の参加者からのアイデアが検討会議で話し合われる可能性はありますか。
谷野:もちろんです。このセッションの様子を報告して意見をもらう予定です。


画像出典元:京都市公式HP
谷野:当館の最大の特徴は、センター学習です。
全校が来館する京都市立小学6年生と多数の中学1年生に、当館オリジナルの観察実験プログラムを実施しています。
観察実験プログラムで使用するのは、職員がこのプログラムのために開発したオリジナルの教材です。
また、京都市立学校の教職員向けの理科研修も行っていて、年間24種類80個の観察実験 ・実技研修という充実ぶりは全国でも他に例がないと思います。
当館に在籍している理科の教員は約20名。
京都の理科教育の中核施設として研究授業の指導や学校支援にも力を入れています。
このような活動を行っているため、当館は日本で一番「学校と近い科学館」であり、それはこれからの科学を担う人材育成という観点でも重要なポジションにあると考えています。
年間入場者数は、昨年度が14万4,000人と、過去最高記録である昭和57年の14万7,000人には及ばなかったものの、コロナ前の水準に戻ってきました。
STEAM教育という観点での他施設との違いは、「サイエンスは自然科学だけではない。世の中のモノ・コトとサイエンスは密接にかかわっており、もっと広い視野に立ったほうが面白い」という姿勢で取組んでいること。
公立の科学館でできることは限られているので、連携(他分野とのコラボ)を重要視しています。
最近だと、プラネタリウムと生け花のコラボをしました。
連携で得られるものは、「物的・人的支援」と「新しい知見」。
とくに「新しい知見」には予想以上の効果があり、学術的な知識にとどまらず、人脈、当館で埃をかぶっていたものの値打ちの再発見など多岐にわたります。
最後に、皆さんに知ってほしい言葉を紹介します。
今回のセッションのサブタイトルである「科学の芽から始まるイノベーション」。
この「科学の芽」は、ノーベル物理学賞を受賞された朝永先生が当館のためにしたためてくださった「ふしぎだと思うこと。これが科学の芽です。よく確かめて、観察して、そして考えること。これが科学の茎です。そうして最後になぞがとける。これが科学の花です。」という言葉の一節です。
皆さんはこの言葉から何を感じられるでしょうか。
本日は当館がさらに愛されて何度も来たい場所になれるようなアイデアをいただければと思っています。

1974年11月6日、国立京都国際会館において、湯川 秀樹・朝永 振一郎・江崎 玲於奈の3人の博士による座談会が開催された際、「子どもたちに向けた言葉を」との要請に応えて、朝永博士が色紙(京都市青少年科学センター所蔵)に書かれた言葉。
入山:ありがとうございます。
私は京都市青少年科学センターの立地もキーポイントだと思っています。
京都駅北側は盛り上がってますが、センターのある南側は注目があまり集まっておらず、アクセスも良いとは言えない場所です。
「この地域の理想の未来」や「センターが果たすべき役割」について教えてください。
谷野:京都市青少年科学センターをどのように街づくりの拠点にするかは、今まで深く考えたことはありませんが、同じ伏見区内の少し離れたところで脱炭素などの環境に配慮した住宅地が作られています。
まだ大学や企業が点在している状態なので、それらを結んで環境を学べるネットワークを作っていきたいですね。
入山:では、センターの課題だけでなく、地域の未来まで見据えてアイデアソンを開始しましょう。






チームに分かれ議論を行っている様子

科学センターの派出所(お寺や小学校など)を街中にたくさんつくり、日常の中で科学に触れる機会を増やすことで興味関心を増加させ、聖地である科学センターへの訪問者を増やす
● 京都市青少年科学センターはアクセスが良くないので、訪れるハードルが高い
小学生・中学生・高校生などの学生を始めとした全ての人
ポイント
● 科学館ではなく日常の中から気づきがあり、日常の気づきを理解し発展させるのが科学なのではないかという仮説に基づくアイデア
● 科学センターで得られる視点を普段から持つことが大切
● 日常生活で知った科学の芽が人々のアイドル(推し)になれば、科学センターに行きたくなる
【例】市内にあるお寺や小学校、青少年活動センター、図書館などに子供や市民が集まり、鏡の映り方の実験をする→科学センターには特殊な機械があるので、鏡の実験の答え合わせができる(センターの職員や大学の教授が訪問者をサポートする)
● 推し活ではみんな仲間なので、年齢や性別の壁を超えて科学について語り合える
● 科学センターの年季の入った建物等の環境も愛着形成に役立つ

京都市長 松井 孝治 氏
素晴らしいアイデアを、ありがとうございます。
どのチームも違った良さがあり、アイデアを掛け合わせることでさらに可能性が広がるでしょう。
チームFの『ネットワーク型』が私が提唱している「京都学藝衆」※のテーマ型コミュニティを目指す部分とフィットしていました。
※多様な技芸や技能、見識、経験を磁力として人を惹きつけ、学び合うことで、京都の魅力や価値を次の世代につなげていく方々の連なり
参考:京都基本構想の策定及び 今後の展開(京都学藝衆構想)について
今回のような垣根を超えたディスカッションこそ、京都市役所に期待していること。
市役所の中だけではなく、多彩な人を京都でどう混じり合わせるか、どうやってオタクの拠点を作っていくか、それらを市役所の職員と市民の皆さんで腹を割って話してほしいと思っています。
「『土推し』などレアな科学の芽に興味がある人は周りに語り合える人が滅多にいないため、意義のあるアイデアだと思う」
「科学に少しも興味がない人でも、 カマキリが大好きな人と話してるうちにカマキリ好きになることがあるので、楽しそうに科学の話をしている人を見て「科学って面白いんだ!」と思ってもらいたい」
「京大生などの学生は偏愛をキャンパスの中でとどめがちなので、もっと街中でも出して欲しい」
「科学センターまで来れないご高齢の方も近くに派出所があれば参加できて、そういう方の視点に触れることもできるのが素晴らしいと思う」

他ジャンルとコラボした特別展示を常設し、企業への特別インターン権を副賞とするコンテストを行う
● 今は入場者数が増加傾向だとしても、日本社会の人口減少によりマイナスに転じる恐れがある
● とくに中高生や大学生の入場者数が少ない
中高生や大学生
ポイント
● 科学に興味がある学生だけでなく、科学に興味がない学生も訪れたくなるよう「スポーツ」「アート」「福祉」「伝統芸能」「食」等とコラボする
● 最近流行っている「ヨガを科学する」のように、科学的な分析をして視覚化・言語化まで行うことで「科学へのとっつきにくさ」をなくす
● コンテストには、中高大生が意識している「就職」に関する副賞をつける
● 科学者の卵を発掘できるだけでなく、広報など他の分野で活躍できる人材に出会えるという企業側のメリットもある
● 独自性のあるコンテストを行うことで、科学センターの認知度拡大につながり、中高大生に向けたSNS発信もしやすくなる

京都市青少年科学センター 所長 瀬戸口 烈司 氏
所長:どのチームも優劣をつけるのが難しく、全て互角でした。
科学センターの一番大きな課題は、高校生相手のプログラムが少なく、集客にも苦戦すること。
教員約20人が科学センターで活動していますが、高校教員少数しかいないことが関係しているのでしょう。
くわえて、京都市教育委員会が管轄している高校は、京都市内のわずか15%程度である9校しかなく、
それで余計に、科学センターが高校生をカバーすることが難しくなっています。
こういった背景があるため、京都市青少年科学センター所長賞は高校生に焦点を当てていたチームAに決めました。
他のチームの皆さんも、新しい視点のアイデアを考えてくださり、本当にありがとうございました。

科学センター周辺地域に突出した価値を出して(義務教育型のSTEAM教育特区をつくる)教育目的の移住を推進する
子供の教育に関心が高い親世代
● 科学センター周辺地域が持つ価値を、まちづくりや発信の観点からさらに引き出す余地がある
● 科学センターはデザイン性や遊びの要素が足りない
ポイント
● 住宅街なので非日常より日常的に住む場所としての発展を目指すべきだと考えた
● シュタイナー小学校が京都にあり、その近くに家を買った知人が、「子供が中学校になったら、この小学校に通わせたい人に家を売る予定」と言っていたので、教育を受けさせたい場所に住居を構える人が一定数いる
● 科学の部活動に対して機材の貸し出し等の支援をし、他にも科学に特化したプリスクールを設置したりしてSTEAM教育を盛り上げていき、最終的には、義務教育型のSTEAM教育特区をつくる
● 楽しく遊べる公園のような科学センターにし、さらに特区化もして藤森のSTEAM教育を体験したい方がたくさん訪れる場所にする

「教育は非常に重要で、アメリカでは、良い教育機関がある場所はものすごく地価が上がる」
「藤森では空き家件数が増えているので、外部の人が住む場所を見つけやすいのもメリット」
Q:移住先を選ぶ時の情報収集では、良い部分の宣伝が多くどこもキラキラして見えるが、どうやって差別化するのか?」
→「群馬の前橋などアートの街は結構あるが、科学教育の街は聞いたことがない」
→「STEAM教育に特化した地域はまだ少ないので、かなり大きな強みだ。親は遠くで働いていても教育のために藤森に家を構える選択肢を検討するし、藤森でSTEAM教育を受けて育った人たちが、大人になって子供をもった時にまた帰ってくることもあるだろう」
Q:認知度を高めるための施策は?
→「藤森のSTEAM教育を体験したい方がリサーチした時にヒットするサイトを作ることで認知度を上げることができる。現に私はフランス人学校の運営をしているが、京都に住んでフランスの教育を受けたい方がサイトを見て、世界中からたくさん引っ越してくる」
Q:藤森の教育特区を実現させるための人的な支援(チューターや集まる子供たちを導く人)は、どのように調達する?
→「大学生や京都の地場産業の方など、役所ではなく民間の人材を借りる方向で話していた」

科学センター内でデジタルデトックスをして、科学の力で日常の疑問や課題を解決することで、科学センターを「夢見る場所」にする
主に子供
● 「科学の芽と茎と花」の提言だけでは、子供たちのモチベーションが生まれない
● 科学者精神は能力の話が中心で、「どうやったら子供たちがやる気になるのか?」という視点が抜けている
ポイント
● テーマは「スマホを捨てよ!科学の街へ出よう!」
● 科学の芽が生まれない原因はスマホで検索してしまうから
● 科学センターに入る時にスマホを預け、たとえば、火を起こすという「お題」の場合、方法や必要なものを資料で調べて科学に触れる
● 過去の英知を知り科学の町で生活する中で足りないピースを埋める体験が、夢見る力を育てることに繋がる
● 夢見る力とは、未来の社会を想像し、現在と結びつけることで理解して、一歩一歩歩みを進める力のこと
● 「科学とは何だろう?」を考える場所にして、自分たちにとって必要な「新たな未来の1ページ」を見つけてほしい
● 訪問者に任せきりにするとハードルが高すぎるので、企業や地域のサポートを得ることも大切
「AチームとHチームでコラボしたらハードルが低くなると思う」
「今はなんでも簡単に手に入るため、ハードルが低いものより「無理ゲーなこと」のほうが子供たちは夢中になる」
「『困難性が少し高いこと』をしている時に没入感が高くなって幸福感を味わえるという『フロー理論』というものがあり、ピアニストだと即興で弾いている時が最も没入する。(いつもは楽譜を見て弾いているのに、即興だと楽譜がないから「チャレンジ」となり、必死でピアノを弾くため)そして、没入できると「楽しかった」と感じるので、京都市青少年科学センターでも、没入体験ができると理想的だ」
Q:資料が置いてあるだけでやる気になるのかが心配だがどう思うか?
→「SNSなどで企画内容と日程情報を出して、ある程度心の準備をしてもらえると参加しやすいのではないか」

科学センターをラボとしてクリエイティブな人に使ってもらう
科学センターを遊べる場所にして、人をさらに呼び込む
クリエイターを始めとした全ての人
● 千年後まで残るような魅力が不足している
ポイント
● 千年の都である京都には、短期的ではなくサグラダファミリアのような千年後まで残るものがふさわしいと思い「千年残る科学の城」をテーマにした
● 科学センター全体を城下町として捉え、商人の街やものを作る人の街、市場、といった枠組みで考えた
● 城の最上階の天文台は靴が脱げる畳にして、科学センターの工作室で作ったものを持ち寄り、お寺のお坊さんの講演会やサロンのようなお茶会をする
● お城といえば籠城なので、「京都市青少年科学センター内で衣食住が完結する」ことを目指す
● 【例】田んぼでお米を作る、畑で野菜を作る、藁でゴザを作る、科学センターの工作室の工具を使って色々な日常品を作る
● 訪問者を増やすために、博物館での宿泊、駐車場にキッチンカーを集めたマルシェ、サウナに入った後に砂漠コーナーで整える、などの施策を行う
● 公園的なみんなが集まる場所になったら、最初はライトユーザーだった人が科学の沼にハマってクリエイティブな活動をするかもしれない
● 自然科学だけではなく、文学、人文学、社会科学などをボーダレスで扱って進めていく
「必要なものを買うのではなく科学センターにある畑や森を使って自分達で創り出せば、確実に科学の力が身につくと思う」
「遊びが学びに近づかないと発展しない課題をクリアしている案だと思う」
「天文台が畳になっていて裸足になれるのが非常に印象的で、子供たちが裸足で畳を走り回れる場所は貴重だ」
Q:科学センターを天守閣に見立てた場合、年貢は何なのか?
→「場所の利用料を対価として払ってもらう方法や、定期的なサロン開催のメンバーシップとしてサブスクリプション形式がある」

科学センターを、失敗を面白がる実験ができ、多様な存在が交流して混じり合う場所にする
子供を始めとした全ての人
● 科学の勉強をするだけの場所になっているため、生活に活かす目標や新たな発見が生まれにくい
ポイント
● 京都市青少年科学センターのあるべき姿は、失敗も面白がる探求心をもつこと
● 今の日本社会の主流である「失敗を避ける傾向」に反して、失敗を恐れず何でもやってみる、実験してみることが科学センターの役割
● 【例】混ぜると良くないとされているスパイスもあるが、いろいろなスパイスを混ぜると、とても良い匂いになったり、とても変な匂いになったりする。そういった冒険ができる機会を作り、様々な科学的なことをインプットしたり体験したり、疑問に思ったことを仮説を立てて実験・検証することを繰り返すうちにワクワクした気分になれる
● 「しなさい!ではなく、やりたくなったらやれば良い」が大事で、誰に言われたわけでもないのに、つい行きたくなってしまう場所になることが大事
● 科学センターを、大人も子供も市内の人も市外の人も一人の人として関われる『子供も大人も京都LUB(ラブ)』にする
● 京都LUB(ラブ)は、LAB(ラボ)としての実験する場所、なおかつハブ(人が集まる)
「小学校やお寺に科学センターの派出所を作った場合、そこでカードを集めて、最後に集大成として、科学センターで集まって他のコレクターと戦ったり見せ合ったりするのも面白いと思う」
Q:ダムに興味がなくてもダムで配布しているカード集めのためにダムに行く人もいるので、例えば展示を見終わったらカードがもらえるアプローチ方法はどうか?
→「私は季節の植物で作ったモンスターを貼るカードを作るイベントをしたことがあり、800人の人に来てもらえた。ただ学ぶだけではなく、そういった楽しみもあるほうが行きたくなると思う」

科学だけにとどまらず、あらゆる分野の専門家の話を聞く機会をつくり、人々の「すごく面白い!」「これが好き!」という『好き』を増やし、さらに、その人達を科学センターに集めることでレベルを高める
全ての人々
● 科学センターで何かを教える時代は、もう終わりなのではないか?
ポイント
● 科学センターで各分野のプロの話が聞ける機会をつくり、人々の知的好奇心を刺激することで何かに興味を持つきっかけをつくる(日常にあふれている科学を学び続けていくことが重要)
● 興味関心のあるものを突き詰めると「オタク」になり、科学センターで同じ分野のオタク同士が語り合うことで知識や考え方のレベルが上がっていく
● これまでは来場者に何かを教えていたが、これからは「好きなものがある人達を集め、そのレベルを高める」という時代がやってくる
● プロから学ぶと、将来の職業選択を増やせるのもメリット
● 好きのレベルを上げていくと、生きがいやウェルビーイングにも繋がる
● 座学だけでは不十分なので、アート、伝統芸能、最新のテクノロジーなどが必要だが、京都市は外部との繋がりが薄いため、科学センターがハブになりファシリテーターの会社と組んで繋がりを作り底上げしていくことで、さらに価値が上がる
「AIが台頭してきたこともあり、知識を与える方法はもう時代遅れなのではないか。だからこそ、全然違うジャンルの人や同じジャンルで高め合える人と共に探求を広げていくことが大切だ」
「京都市青少年科学センターはカオスな場所だが、イノベーションを起こすためには、整理整頓するよりカオスのままにしたほうが良いのかもしれない」
「カオスな環境で学びながら原理原則を見つけたり、その中で自分の観察眼を鍛えて何かを目指すという、元々の科学の精神を培ってもらいたい」
Q:センターの存在を知らない人にも来てもらう方法はあるのか?
→「各分野に関するハッシュタグを着けた投稿をSNSで発信したら、その分野に興味がある人と繋がれると思う」

科学センターを未体験の世界に旅する場所にする(様々な文化・世界を科学センターで感じ、気づきがあった時に不思議が生まれて科学につながる、そんな「循環=科学の種をまく」をつくる)
子供を始めとした全ての人
● 科学の芽を育てるための「科学の根」を広く張ることができていない
ポイント
● 科学の芽が出る前に根が大きく広がっていないと大きな花が咲かないのでは?花が咲いた後どうなるんだろう?という話になり、「根を張ること」と「種を蒔いて循環させていくこと」が大事だという結論に至った
● コンセプトは、「世界を旅するように科学を学ぶ。未体験に挑戦する、四季と自然を感じる」
● 【例】科学センターの工作室や器具類をつかって砂漠スペースでサハラ砂漠の臭いをかげたり、砂漠での食事を再現する
● 科学センターで様々な世界の味や匂いや声、食感や風などを五感を通じて体験する旅行ができると、非常に楽しく、好奇心も刺激される(根が広く張る)
● 生き物や生活など様々なものに出会う「科学+αの場所」にして科学センターの価値を上げる
● 学びの方向性は「知識を得られて楽しい」ではなく「自分で実際に手を動かす」「体を使ってやってみる」
● 大事なポイントは、科学からスタートするのではなく、世界の文化や社会が入り口になり、その後ろに科学が控えていることなので、科学者、エンジニア、職人などが持つ技術や理に触れる機会もつくる
「一般的に『科学センター』や『歴史文化センター』のように、特定の分野だけの専門施設になってしまいがちだが、本来は分ける必要はないので自然科学だけで閉じてはいけないという重要な問題提起だ」
「私は一度も外国に出たことがなく、外国に対する根ができていないが、先日、たくさんの国に行ったことがある人の話を聞いていて、改めてグローバルな目線が大事だと思った」
「京都は科学が非常に弱いが、せっかく世界中の人が訪れる場所なのでもっと他国の文化を楽しんで、科学に繋がると良いと思う」
「私は海外で日本の特集を見つけると、気になって見に行きたくなるので、外国の方も自国に関するイベントだと知ったら、寄ってみたくなるはず。そこから交流が生まれたら、科学センターの価値がさらに上がるだろう」
Q:種を蒔く話がメインだったが、根の部分は何になるのか?
→「根は科学だけにとどまらない、あらゆる物事への興味関心で、科学だけに限定しないからこそ根が広く張り、根が広がるほど花が大きくなる」

オノマトペで展示案内マップを作る
科学の要素をプラスした食事スペースを設置する
子供を始めとした全ての人
● 表示物のフォントが揃っていない、展示を見る順番も示されていないなど、興味を持つ前に疲れてしまう
● 休憩したくても食事をとる場所がないので、プラネタリウムを見たらすぐ帰ってしまう施設になっている
ポイント
● 今の科学センターに足りないものは、ときめく瞬間、心躍る瞬間
● 見るだけでワクワクするオノマトペのマップで、ときめく世界に入っていく瞬間を作る
● 日本語のオノマトペは、多言語より数が多くて千語以上あり、絵本だったら「キラキラ」「くるくる」「カラカラ」のように子供も大人もときめくマップが作れる
● 科学クッキング(紫キャベツで塩焼きそばをつくると、焼きそばの麺が緑色になり、そこにレモンの汁をかけると赤い焼きそばになる、最適な器具や速度を学びながらマヨネーズを作るなど)と食事ができる場所を作る
● 科学館だからこそ、オノマトペや食のような五感を使って発展させていくことが大切
Q:オノマトペの施設案内の参加型は検討したか?
→「言葉を自分で見つける参加型も良いと思う」
KYOTO Innovation StudioではSessionにて生まれたアイディアをプロジェクトとして実装していく取組を行なっています。
さらに、京都市内外での繋がりを広げていくために交流会やコミュニケーションプラットフォームを運営しております。
本記事に関連して、本プロジェクトへのご質問がある方はHPお問い合わせ先までご連絡いただけますと幸いです。
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