組織コミュニケーションに成功している企業は何が違うのか? 識学社長に聞く、組織コミュニケーションの極意5つ

組織コミュニケーションに成功している企業は何が違うのか? 識学社長に聞く、組織コミュニケーションの極意5つ

株式会社識学 代表取締役社長 安藤広大氏

記事更新日: 2019/01/17

執筆: 狐塚真子

株式会社識学 代表取締役社長 安藤広大氏

1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学卒業。同年、株式会社NTTドコモ入社後、2006年ジェイコムホールディングス株式会社(現ライク株式会社)入社。主要子会社のジェイコム株式会社(現ライクスタッフィング株式会社)で取締役営業副本部長等を歴任。
2013年、「識学」と出会い独立。識学講師として数々の企業の業績アップに寄与。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。

今回お話を伺ったのは、組織運営のコンサルティングを行う株式会社識学の安藤広大氏です。

安藤氏によると、スタートアップの企業に多い組織コミュニケーションの問題は「誤解」やそれによって引き起こされる「無駄」が原因とのこと。無駄を最大限に無くしたシンプルかつ、明確な組織運営について伺いました。

その1. 自己評価制度を無くす

ーまずは御社の事業内容について教えて下さい。

安藤:識学とは、人間の意識構造に着目した独自の理論で、人間が物事を認識して行動に移るまでのことを指しています。人は正しい認識が出来ると正しい行動が出来ますが、逆を言えば、認識を誤ってしまえば行動も誤ってしまうという訳です。

こうした認識の誤りのことは「誤解」や「錯覚」と言われますが、我々は「人がどのように誤解や錯覚を起こしてしまうのか」を理論で解説しています。

1人の人間であったとしても、誤解や錯覚を持った状態では自分の得たい正解を得ることが出来ないことが多いです。これが組織単位になってしまうと、組織のパフォーマンスを下げることに繋がり、大きな問題になってしまいます。弊社のコンサルティングは、その誤解や錯覚を取り除くことを行っています。


ー組織に多い「誤解」や「錯覚」とはどのようなことを指すのでしょうか?

安藤:「部下が自分なりに会社のためにすべきことをしたと思っている。ただ上司からすると、それは全く求めていないことであると感じている。」「上司の指示を部下が間違った風に受け取ってしまう。」といったことです。これは「コミュニケーションにおける誤解や錯覚」ですね。

また別のパターンとして、識学では「事実の仕組みに対する誤解や錯覚」と呼んでいるものがあります。

例えば、自己評価によって対価や利益が獲得できた経験はありますか?

…無いですよね。他人から評価を獲得できて、初めて何かを得ることが出来るんですよ。ということは自己評価というのは生きていくうえで価値がありません。でも自己評価は大切だと思っている方が多い。これも誤解や錯覚です。

この認識を持ったままでいると、自己評価と、本来評価を獲得するための他者評価とのギャップに苦しみますが、これは意味のないことだと理解出来ていたら良いですよね。

自己の今の状態をしっかり分析することは大いにやるべきだと思いますが、自己評価という制度を行っている企業に対してはその制度を無くすように言っていますね。

その2. 情報伝達の問題は 責任の明確化で解決できる

ー情報伝達や労働生産性の向上のために、御社が気を付けていることは何でしょうか?

安藤 : 会社の成長を妨げるような「無駄なことを一切しない」ということです。意思疎通というのは、上司から部下からの伝達、部下から上司への伝達、いわゆるホウレンソウ、の2つがありますが、後者の情報伝達の段階でエラーが起きやすいんです。これは何故だと思いますか?

ー「無駄」が原因だとすれば… 本来は必要のない、多くの情報を一度に伝達しようとするから、ということでしょうか?

安藤 : それもありますが、ホウレンソウが適切に行われない原因は、メンバーそれぞれの責任が曖昧であるからなんです。メンバーの責任が明確であれば、責任を果たすために、問題やエラーに対して自分で解決しようとします。

ということは、責任を明確にして、情報を上司に上げる権限だけを与えておけば、こちらから情報を取りに行くということもなく、適切な情報だけが上がってくるんです。とにかくシンプルな組織運営こそが、情報伝達を機能的に行うために大切なことです。いちいち上司が部下に聞きに行かないと伝達がされない、という状態にしてしまうと、部下はそれに甘えるようになってしまいます。

また、責任が重複している場合「なぜ仕事をやってくれなかったのか」と認識のずれも生じてしまいます。責任範囲が明確、尚且つ必要なコミュニケーションしか発生しなければ、社員同士のいがみ合いなども起きません。

 

その3. プロセス評価は必要ない

安藤:自分が求められた成果を残すためにも、無駄なことは一切しません。

我が社ではプロセスを一切評価していません。何故なら、プロセスを評価をすると、部下が「自分は頑張っている」とアピールを始めるからです。また、プロセスに上司が介入すると、部下が自分で考えずに上司の指示を待つようになったり、仕事がうまくいかなかった場合は、自分の責任と思わず、上司のせいにしてしまいます。このようなことから、結果で評価することのみが重要なのです。

また、会議などでは、結果のみを話すようにしています。結果のみの会話とは、部下からの結果報告に対して、上司は「では次に君は何をするの?」と、部下の次の行動の精度を問うだけです。そのため、識学の会議時間はかなり短いです。

ーちなみに、日報制度についてはどのように行われていますか?

安藤:日報は「上司が設定した目標に対して、自分が現在どういう状況にあるか」という差分を理解するために必要です。「その日起きたことに対して自分の意見や感想を書く」というように、日報を日記のように捉えている会社もあるようですが、それでは意味が半減してしまいます。

上司が設定した目標は、給与にも影響します。識学では半期に一回の評価で給与が必ず変動する制度をとっています。

その4. 従業員は友達でも家族でもない

安藤:「従業員は友達でも家族でもない」ということも起業家に伝えたいですね。社員同士の交流の場として、飲み会やレクリエーション企画を設ける会社もあるようですが意味がありません。

ーそれは何故でしょうか?

安藤:社長、上司、部下との距離が縮み、仕事上での位置関係が崩れてしまいます。そうなると厳しいことが言いにくくなってしまうからです。だから識学では、必要のない飲み会やレクリエーション企画などは一切ありません。

ーなるほど。「無駄なことをしない」ということは、やはり社員の働きやすさにもつながるのでしょうか?

安藤:はい。無駄がないので、とても働きやすいようです。会社のルールもシンプルであるので仕事に集中することができます。

ーコンサルティングを行っている会社にはどのような成長例がありましたか?

安藤:多くの企業は飲み会の場を設けたり、社長が社員と近い存在であろうとしていました。識学を導入したことで、社長は社長としての仕事を、管理職は管理職としての仕事を全うできるよう位置関係を明確にし、機能させたことで、業績が伸びてきています。

創立から4年目ですが、識学を導入した企業は900社になりました。1ヵ月で大体50件のペースで増えていっています。もちろんプロモーションも行っていますが、全体の7割ほどが口コミですね。

識学を導入することによって、経営者は嫌われる可能性もあるし、人気者ではなくなると危惧されるかもしれませんが、結果的に事業は成長するし、それによって従業員の幸せにも繋がります。

 

その5. 良いチーム作りの前に、会社・従業員の成長にコミットせよ

安藤:会社というものは、お客様にサービスを提供して、対価を頂いて、その中から従業員の給与が支払われる…という順番で回っていますよね。つまり兎にも角にも、会社がお客様に対してサービスを提供し続けることができないと、社員に対して給与を支払うことができません。

 

だからこそ、まず社長やリーダーが優先すべきことは、会社が市場から評価を得続けるための決断をすることなんです。その結果として、会社が世間から認められたり、会社の利益が増えることで従業員にも利益を分配することができ、幸せになる人が増えるのです。しかし多くのリーダーは、そのことよりも先に「従業員に気持ちよく働いてもらうにはどうしたら良いか」「従業員のモチベーションを上げるにはどうしたら良いのか」という方向に視点がいってしまいがちです。

 

このようになってしまうと、組織が伸びるかどうか、ということ以外にも目を向けるようになってしまうので、結果的に会社が伸びなくなってしまいます。

 

確かにビジョンを示すことは大事です。しかしながら、社員が社長と同じ熱意をもってそのビジョンに向かっていく、ということはあり得ないんです。社員は、自分の仕事において最高のパフォーマンスができるかどうかに集中しますよね。それで良いんです。社長はビジョンを達成するための最短ルートを考えて社員に設定するべきですね。

狐塚真子

この記事を書いたライター

狐塚真子

津田塾大学英文学科に在学。趣味は映画鑑賞、ダンス、旅行、ライブに行くこと。

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