コンビニに無いものも置ける?! オフィス向け無人コンビニ「600」とは

コンビニに無いものも置ける?! オフィス向け無人コンビニ「600」とは

記事更新日: 2019/01/15

執筆: 於ありさ

600株式会社 執行役員  阿部愛氏

SEとして6年間ERPや業務系のシステム設計や開発に携わった後、2009年にサムライインキュベートへ参画。事業開発、イベント運営、広報、コミュニティーマネージャーなど様々な業務に関わる。

2018年1月 600株式会社へ執行役員として参画。「従業員の体験価値」を最大化する Employee Experienceを担当する他、PRやバックオフィスも兼務。3児の母。

テクノロジーの発達や働き方改革を理由に、何かとロボット化が進む現代。実際、中国ではキャッシュレス化や無人販売などが進んでいる一方、日本ではまだまだ有人のコンビニが当たり前となっています。また、マンションやオフィス内のスペースでは有人店舗を設置するほどの販売量の見込みがないため、運営が難しいといった問題もあるようです。

2018年6月に600株式会社が正式展開を開始した、無人コンビニエンスストアサービス「600」(ろっぴゃく)は、それらの課題を解決するかもしれないと今まさに注目を集めています。

今回は、オフィス向け無人コンビニ「600」の特徴や強み、人形町にオープンさせた「600」の体験スペースとオフィスについて600株式会社の阿部愛氏にお伺いしました。

社員が欲しいものを、キャッシュレスで購入できる

―無人コンビニそのものは中国を中心に盛り上がっている一方で、日本ではまだまだだなという印象もあります。今はどのような形で事業を展開されているのでしょうか。

阿部:弊社の無人コンビニ「600」はキャッシュレス型の冷蔵ショーケース型のものになっております。普段はドアに鍵がかかっているのですが、クレジットカードをスワイプするとドアのカギが開き、中の商品が取れます。そして、中の商品を選んだ後でドアを閉めると、何を取ったかが判別され、最初にスワイプしたクレジットカードで精算されるという仕組みです。

オフィスの中に設置すればエレベーターに乗ってコンビニに行く必要もなく、ちょっと自席を立ち上がって1分もあれば、自分の欲しいものを買うことができます。

提供:600

―なるほど。では、オフィスでの利用が中心なのでしょうか?

阿部:そうですね。今年の6月に正式展開のリリースを出して、以降東京都内23区のオフィスを中心に展開を進めています。スタートアップ企業を中心に導入してくださっています。

オフィスの他には、CASE Shinjukuさんや、ブロックチェーンコワーキングスペースのNeutrinoさんなどのコワーキングスペース、シェアオフィスにも導入いただいています。

導入企業さんにお話を伺うと、企業によってオフィスコンビニを導入することになった課題はそれぞれ違う印象です。例えば、近所にコンビニがない福利厚生として導入したい、オフィスからコンビニまでエレベーターで下に降りるまでの時間を有効活用したいと感じている企業さんに導入していただいています。

―ちなみに、商品を補充した後に、利用者の方が何を取ったかということはどのように認識しているのですか。

阿部:商品にRFIDタグが貼られており、そのタグで在庫管理を行なっております。600の中に何がいくつあるかというのを判断しているため、中の商品を取り出してドアを閉じた瞬間に、「600」の中身をもう一回読み取って、何がなくなったかを判別し、決済が完了するという仕組みです。

―オフィスグリコなど社内で物品を購入できるサービスが増えてきている中、「600」ならではの強みは何でしょうか?

阿部:強みは「幅広いものを置ける」ということです。

例えばコーヒー1つとっても、ブラックコーヒーなのか微糖なのか、ペットボトルタイプのものがいいのか紙パックのものかなど、様々な選択肢があります。そういった要望に対しても私達は対応します。ユーザーサポートに要望を投げていただくと、リクエストに応える形で商品を揃え、補充に行きます。他にも、常に何本キープしておいて欲しいみたいな要望に応えたり、社員の方が欲しいものや、好きなものをリクエストすると定番化できるます。逆に購買データを見て売れていない商品を棚から外し、喜んでいただけそうな商品を提案することもあります。

―それは便利ですね。社内という空間に、その会社ならではのショップを持てることになる気がするのですが、極論コンビニにないものでも良いのでしょうか?

阿部:おっしゃる通りです。

サポートのご依頼を受ける方法としてSlackの共有チャンネルかLINE@を利用しています。実は、ある会社のSlackの共有チャンネルで「神戸牛」というリクエストがありました(笑)沢山のスタンプが付き、会話が盛り上がった様子を見たうちの社員が「これは何か置くしかない」「期待に応えたい」と策を考えました。

―それで、どうしたんですか?

阿部:600のメンバーで意見を出し合って、大きく「神戸牛」と書いてある神戸牛のビーフジャーキー1,400円を導入しました。だいぶ高額だったので不安だったのですが、社長さんが買ってみんなで分けて食べたと報告をいただき安心しました。

―今後、社内の備品を、社員が経理部署を通さずに直接買うのにも応用できそうな事例ですね。

阿部:そうですね。ただ、日本はまだまだ法人用のクレジットカードやプリペイドカードを社員に渡している企業が少ないので、今後法人向けのプリペイドカードなどが広まってくれたら良いなと思います。

実際、購買データがリアルタイムで反映されるのも「600」の強みですので、「600」の社員が補充しに行く際に、必要最低限の量だけを持って行って、全部入れて戻ってくるということもできますし、必要なものを必要な分オフィスに置けるのは企業様にとっても強みなのではないかと思います。

 

PRや広告の打ち出し以上に、ユーザーに使われる工夫に注力

―2018年6月にリリースしてから約半年が経ちましたが、「600」のPRはどのような形で行なっているのですか。

阿部:今はプレスリリースの質をすごく大事にしたい一方で、今いる人員でリソースを割くのは難しいので、スタートアップ系のPR会社さんにプレスリリース作成からメディアリレーションなどをお願いしています。一方で、アウトプットに対してのチェックは、社内でしっかりリソースを割く必要があると考えています。

6月にリリース出した後、CMや駅構内でのデジタルサイネージの放映など、いろいろな広告施策を行いました。広告の施策を打っているのと同じタイミングでPRも頑張っていかないと、興味を持っていただいた商品が、どのぐらい信頼性があるのか判断できず利用にはつながらないということも十分あり得ますので、そのバランスは意識しました。ただ最近は広告やPRよりもUser Experienceの改善に力を入れています

―具体的に教えていただけますか?

阿部:「600」を使ってもらう時に、お客さんがどういった動きをして、どれだけ好みのものを補充し、そして買ってもらえるかに意識を置いています。

例えば、「600」をオフィスのどの辺に置いているかも重要なんですね。席に近い場所だと、席の上で食べるものがよく売れるので、簡単につまめるような、手が汚れないものが売れる傾向にあります。広い空間だと、飲み物や食べ物が売れますね。あとは、コンビニが遠いオフィスだとパンが、筋トレをしている方が多い職場だとサラダチキンやプロテインバー等が売れます。

―面白いですね。ちなみに御社では、何を置いているんですか?

 

阿部:600社の「600」は従業員の欲しいものが置いてあります。代表の久保が好きなブドウ味の果汁グミ、エンジニアのメンバーが好きなアポロなど、社員の好みがあふれ出た「600」になっていますね。

あとは、0円でお客様がお試しできる商品も置いたりしています。今後は「600」と法人が連携して、サンプルを置いてみたりするのも面白いかなと思っています。

 

 

 

 

古き良き街でありながら最先端を行く東東京の魅力


―10月に事業拡大に伴いオフィスを移転されたとおもうのですが、なぜ人形町という街を選んだのでしょうか?

阿部:正直エリアというよりは、オフィスが1階であることにこだわりました。「600」の筐体は輸入したり、仕入れたパーツをこちらで組み立ててから納品しているんです。搬入導線などの観点から、1階のオフィスだといいなと思っていました。

あとは、オフィス兼、誰でも気軽に「600」の体験ができる場所にしたかったというのもあります。今のオフィスは、玄関がガラス張りになってて、入口に体験スペースを設けることができました。

―では街というよりは、オフィスの設備などを重要視されたのですね。

阿部:でも、入居してきてからは人形町という街は素敵だなあと思っています。道が碁盤の目状で、卸問屋さんや、老舗のお店も多かったりして、街やそこに住む人からもらえる刺激が大きいなと思っています。通勤途中にふと卸問屋さんを見て、これを「600」に置いたら面白いかも、とちょっとしたアイデアが浮かぶこともあります。

―なるほど。それは思いがけない収穫ですね。

阿部:はい。思いがけない収穫と言えば、老舗のお店や古いカフェでも意外とキャッシュレス化が進んでいるなと驚きました。

―プレスリリースを見て、「東東京にオフィスを構えることによって何か期待されているのかな…」という文脈のようにも感じたのですが、具体的にどのようなことを期待していらっしゃいましたか?

阿部:オフィスと倉庫を分散したいなと考えていました。実は、補充倉庫になっている拠点がすでに1箇所あるんですね。渋谷・新宿エリアへの補充は便利なのですが、東側への最適化ルートも確保したいなと思ったときに、都内の東側にオフィスを作って、東側はそこから広げていきたいなと思ったんです。

移転前は、オフィス、倉庫、R&Dセンターと拠点と3箇所あって、かなり固定費のコストが膨らんでいましたが、今は東側にも拠点を作れているので、東側のオフィスのお客様拡大というところも意識できるようになりました。

―拠点ありきで、開拓していこうというということですか。やっぱりお客さんが近い方がビジネス的にやりやすくなりますよね。

阿部:そうですね。特に日本橋エリアは、オフィス街かつ観光地でもあるので、お昼休みの時間に人が多く外に出づらい企業さんも多いのではないかと思っています。

 

今後の展望

―今後「600」をどのように展開していこうと考えていますか?

阿部:まずは東京23区内のオフィスを中心に導入を進めていきたいですね。導入台数を増やすのも大事な一方で、都内にこだわることで補充ルートが最適化できるメリットもあります。ただ闇雲に導入数だけにこだわって全国各地まで対応してしまうと、目指すべき数字からはずれてきてしまう感じはあるかなと思っています。

―ちなみに今後、他の企業との連携については行なっていく予定ですか。

阿部:実は「600」の中にスタートアップの企業の商品を置かせて頂くなど、すでに連携を行なっている部分はあります。

健康食品や、スタートアップ特有のおもしろさがあるもの、刺激がもらえるような恣意的なサービス、オフィス内コミュニケーションの活性化を図れるような商品は導入していきたいですね。特に健康食品は、すごくニーズが高く、「600を導入する=半強制的に健康なものを食べられる」という良いサイクルも作れると思うので、ぜひお声がけいただきたいです。

仕入先側のメリットとして、ユーザーが興味はあるけどわざわざ訪問して買うのにはハードルが高い、みたいな商品をトライアルで使っていただく、という一手にも繋げられるかなとも思っています。

 

取材者プロフィール

栗島祐介

プロトスター株式会社代表取締役CCO (Chief Community Officer) 早稲田大学商学部卒。アジア・ヨーロッパにおいて教育領域特化型のシード投資を行う株式会社VilingベンチャーパートーナーズCEOを経て、当社を設立。HardTech領域の起業家支援コミュニティ「StarBurst」の運営総括、起業家・投資家の情報検索サービス「StartupList」の運営を行う。
於ありさ

この記事を書いたライター

於ありさ

1991年生まれ。フリーランスのライターとして「働く」と「好き」(美容・エンタメ)を中心に執筆、編集/広報/採用広報なども行なう。好きなものはサッカーとライブ鑑賞。

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