TOP > インタビュー一覧 > 事業を成長させたいスタートアップのための国内最大級のカンファレンス「IVS」について、内容・参加方法・参加メリットを独自取材!
島川敏明氏
年に2回開催される「IVS」。
事業成長のきっかけを掴みたいシード・アーリー期のスタートアップが過去416社登壇してきた「IVS LAUNCHPAD」では、2022年2月時点でファイナリストの約15%がエグジット(上場や事業売却)に至るなど、名実ともにスタートアップの登竜門となっている。
成長意欲の高いスタートアップ経営者にぜひ知ってほしいIVSの内容・参加方法・参加メリットについて、IVS代表の島川氏にお話を伺った。
ー「IVS」とは何ですか?
2007年に誕生した、国内最大級の経営者カンファレンスです。1年に2回、国内外から700名以上の起業家・投資家が一堂に集まる場となっています。
3日間の開催期間の中で、シード・アーリー期のスタートアップのためのピッチイベント「IVS LAUNCHPAD」や、トークセッション、ネットワーキングを行うための場を提供しています。
ー「IVS」には、どのような人が参加されるのですか?
上場を目指し、エクイティでの資金調達を考えている、もしくは、すでにエクイティ調達を経験しているスタートアップの経営者、また、その支援をしている方々などに参加いただいてます。
参加される経営者やスタートアップが属する投資ラウンドは様々ですが、3日間の中でさまざまな人とのネットワーキングが可能です。
ー「IVS」の具体的な実施内容について、教えてください。
大きくは4つのコンテンツで構成されています。参加するスタートアップにとってのメリットを考えて設計した結果、現在の形式になりました。
①起業家・経営者によるトークセッション
②経営者・支援者とのネットワーキング
③ピッチ機会の提供
④IVS開催後も続くコミュニティへのアクセス
「IVS DOJO」(先輩起業家が経験をシェアする企画)
ー 1つ目の起業家・経営者によるトークセッションは、どのような内容ですか?スタートアップにとっての参加メリットも教えてください。
通常得ることが難しいトレンドや最新情報、記事に載らないオフレコ話を知ることのできる機会となっています。
例えば、「Web3.0」などがそうですが、時間軸的にまだネットにも本にも書かれていない、実践者しか知らない情報というものが多くあります。
IVSのトークセッションの中で実践者たちが話す情報には、そういった最新でリアルなものが含まれています。
非公開情報が多いスタートアップ業界の中で、業界の人たち同士が情報交換ができる場、お互いにギブしあえる場を作り、スタートアップ業界全体に還元し合う場として、15年続いています。
ー登壇されるゲストの起業家や投資家の方々は業界の著名人の方々ですよね。彼らの期待はどこにあるのでしょうか?
いくつかパターンはありますが、「スタートアップ業界の先駆者に育ててもらった」という思いのある方は多くいらっしゃいます。そのため、「後輩に還元したい」という思いを持っている方々が協力してくれています。
また、コミュニティの要素が絡んでくるのですが、同窓会的な立ち位置として近況報告をする場だったり、新しい出会いの場として参加いただく方も多いです。
登壇者にギブしてもらうばかりではなく、興味のあるテーマでディスカッションできる、同レイヤーの人との新しい繋がりができることを楽しめた、というお声も頂いています。
ー2つ目の、経営者・支援者とのネットワーキングについて教えてください。
ネットワーキングの部分は特に力を入れています。
スタートアップは、人とのつながりや出会いによって、その後の事業成長のスピードが変わると考えているため、自然でストレスの少ないネットワーキングを参加者同士でできるよう、毎回工夫しています。
初対面の人が多く集まるネットワーキングの場で、いきなり交流をすることはなかなか難しいですよね。相手が誰でどんなことに興味があるのかわからない中で、ひたすら名刺交換をした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
IVSでは、より自然で負荷のかからないネットワーキングができるよう、場やコンテンツを設計しています。
例えば、あえてトークセッションを小規模(20人〜30人)での開催にして、登壇者と参加者の距離を縮めたり、また、参加者同士のコミュニケーションが生まれるようにしています。
セッションごとに誰が参加するのかを公開しており、参加者はどんなことを話したいか、聴きたいかなど、ある程度準備をしてセッションに臨めますので、活発なセッションになります。
さらには、参加者同士の仲間意識が生まれるようなアクティビティも用意しています。大人数が一堂に集う中から、同じ趣味に興味のある人同士が繋がれるよう考えつつ、今回も準備をしています。
IVS2021 NASU アクティビティの様子
ー3つ目の「IVS LAUNCHPAD」について、参加することで得られる具体的なメリットについて、改めて教えてください。
メリットは3つあります。まず1つ目は、資金調達や協業が決まりやすくなることです。1回のピッチで、IVSに参加する先輩経営者や投資家、スポンサー企業などに自身の事業を知ってもらうことができます。
ピッチの後すぐ、その場で声をかけられることもあるようです。
運営として、受賞者のPRに力を入れていますので、メディアを通じて結果を知った方から問い合わせがあるとも聞いています。
開催後に、調達が決まった、事業連携が決まった、大手メディアへの出演が決まったなど、報告をもらえるのが嬉しいですね。
また、2つ目のメリットは、特典や賞品がもらえることです。前回の「IVS2021 NASU」では、スポンサー様からスタートアップの経営に直接役に立つ特典に加え、4,000万円相当の別荘もサプライズとして贈られました。
3つ目のメリットは、登壇を機に、スタートアップの社内結束力が強まることです。
登壇者たちは本番までに、社内で何度もピッチの練習をされるんです。
また、本番当日は、チームメンバーはオンラインでの観戦となるものの、代表者が胸を張って壇上に立つ姿に心を打たれるメンバーも多いようです。
社内メンバーで一丸となってプレゼンをブラッシュアップしてきたという企業から「良いチームビルディングの機会になった」と、後日感謝をいただくのは、開催を続けてみての気づきですね。
ー過去の登壇企業をいくつか教えてください。
すでにIPOされている企業だと、freee、WealthNavi、Wantedly、ココナラなどです。
最近の優勝企業ですと、SHE、カウシェ、エンゲート、207、カミナシ、アダコテック、Fundsなどにご登壇いただきました。
ースタートアップ業界の中で注目度の高い「IVS LAUNCHPAD」ですが、どうしたら選考を通過して本番当日にステージに立つことができるのでしょうか?応募時の要件と選考フローについて教えてください。
応募要件は、プロダクト(デモでもOK)が開発済みであることのみです。
選考は3段階あります。
1次選考では、書類・動画での選考を行います。
2次選考では、本番当日と同じく6分のピッチをHeadline Asiaのキャピタリストにしていただいています。
また、本番では質疑応答などはありませんが、選考の場合はQ&Aや次の選考に向けたピッチのメンタリングなどを行なっています。
最終選考は、2次選考と同じですね。登壇いただく企業を14社前後に絞り込む必要があるため、運営側も真剣です。
LAUNCHPAD Entertainment
ー選考を通じてキャピタリストからメンタリングを受けられることにも大変価値がありそうです。選考の過程で得られるものが、他にもあれば教えてください。
ファイナリストには惜しくもなれなかったスタートアップでも、選考の段階で評価が高かったスタートアップには、IVSへ特別招待(参加費無料)をさせていただいています。
また、選考に参加いただいた多くのスタートアップを、割引価格などでIVSへのご招待をさせていただいております。
前述の通り、IVSではピッチ以外にもトークセッションやネットワーキングの場がありますので、一度IVSにご参加いただき、事業成長の糸口を見つけていただければと応援の意を込めてご招待しています。
また、年に2回のIVS以外にも、クローズドなイベントやネットワーキングの場を開催しているので、そちらにお声がけさせていただくこともあります。
そのほかにも、IVS LAUNCHPADに応募いただいた方に、多くのスタートアップが使っているサービスの割引クーポン(特典)を提供しています。例えば、AWSのサーバー使用料金が割引になったりします。
ーIVSは参加条件に「招待制」とあります。スタートアップが初めて参加意思を持った時には、どうしたら良いのでしょうか?
ぜひ、ピッチイベント「IVS LAUNCHPAD」にご応募ください!
運営側が言うのも何ですがIVSの参加費は安くはありません。LAUNCHPADの選考で高い評価を得た企業は特別価格でIVSにご参加可能ですし、ぜひご応募いただきたいですね。
LAUNCHPAD応募申込みはIVSのHPから:https://www.ivs.events/
ーIVSは、今や日本のスタートアップ業界における大規模コミュニティですが、どのように生まれ、成長してきたのでしょうか。
「経営者同士ディスカッションできる場がないから欲しいよね」という話になり、3人のHeadline Asia(当時はInfinity Ventures)のファウンダーが2007年に立ち上げました。
そのころは、日本のスタートアップ業界は今よりももっと小規模だったので、スタート時は「IVS=スタートアップ業界にいる知り合い」という感じで仲間内の50名くらいでスタートしました。
そこからIT業界のメインストリームの中心にいる人たちが集まるようになり、加えて、スタートアップがより成長できる場としてIVSを活用したいと考える人たちが国内外で増えたことから今の形になりました。
招待制や審査制にした結果、IVSには急成長が期待できるスタートアップが集まっています。スタートアップコミュニティとしてのクオリティの高さは自負していますね。
周囲の「人」の環境が起業家やスタートアップに与える影響は大きいと思うので、圧倒的な成長を望む方はぜひIVSへの参加を通じて、コミュニティに参画ください!
ーIVSが場をつくる上で大事にしていることとは。
企画を考える際には、「起業家のためになるかどうか?」を最も大事にしています。
シードアーリー期の起業家を特に応援したいので、彼らにとって有益かどうかスタートアップファーストを意識して、全体設計やコンテンツ作りをしています。
・未来を自分たちの手で作ろう、掴もうとしている人たちが、集まる場であること
・参加者同士が圧倒的に繋がれる場であること
・今後成長するであろう起業家、それを応援したいと願う投資家が集う場であること
・日本にいながらグローバルな視座を持てる環境であること
このあたりを見失わないようにして、毎回IVSを企画、運営していますね。
ーちなみに、プレシード期でプロダクトがまだない状態のスタートアップは、プロダクトを作ってからでないと、IVSに参加できないのでしょうか?
プロダクトがない方々も、次回以降のLAUNCHPAD参加者、もしくはトークセッションの登壇企業になる可能性は十分にあると考えています。
これから起業を目指している方のコミュニティとなっている運営チームに「運営スタッフ」としてご参加いただく枠もご用意していますので、ご興味のある方はぜひご応募ください。
スタッフ申し込みはIVSのHPから:https://www.ivs.events/
ー最後に、シード・アーリー期のスタートアップへのメッセージをお願いします!
IVSに参加することでビジネスが圧倒的にすすむ機会を提供します。
爆発的な成長を望むスタートアップはぜひ、IVSへのご参加をお待ちしています!
次回は2022年7月6日〜7月8日に沖縄県那覇市にて開催します。
IVS2022 LAUNCHPAD NAHAの応募締切は4月22日です!
取材・編集後記(亀岡)
拡大する日本のスタートアップエコシステムの中でトレンドを追いながら、常に「スタートアップのためになるか」を考えIVSを進化させる彼らの姿勢は、顧客と向き合い続けるスタートアップと重なった。
スタートアップへの高い貢献意欲と起業家マインドを持ち合わせたトップが牽引するIVSに、スタートアップを目指す方は「起爆剤」としてぜひ活用することをお勧めしたい。
金融機関や外資コンサル、アクセラレーター施設立上げを経て独立。合同会社OmochiのCEO。Startup Hub Tokyo(TAMA)のチーフコミュニティマネージャーや、起業希望者向け個別相談、イベント企画運営を通じて日本のスタートアップ業界の拡大を目指す。
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