投資先32社を初公開!山口豪志の投資理論

投資先32社を初公開!山口豪志の投資理論

記事更新日: 2019/03/11

執筆: 狐塚真子

株式会社プロトスター 代表取締役COO / 株式会社54 代表取締役社長  山口豪志氏

クックパッド株式会社に入社し、2009年の同社IPOにトップセールスの貢献。12年より3人目の社員としてランサーズ株式会社に参画し、約3年の在籍期間中に事業を急成長させる。2015年5月にベンチャー支援を強化するために株式会社54を創業。2017年7月よりプロトスター社へ参画。


エンジェル投資家図鑑第3弾となる今回は、株式会社プロトスター 代表取締役COO / 株式会社54 代表取締役社長の山口豪志氏です。

ランサーズの社員時代から既にベンチャー投資を始め、現在累計数はなんと32社。今回の記事では、その投資先リストや投資遍歴を初めて公開させて頂きます。

投資活動はベンチャー業界への恩返し、ただ勿論やるからには、リターンにこだわりたいと述べる山口氏。お金やビジネスについての独自の視点について深掘りしました。

普通に生きていれば年相応の価値観しか身につかない

ーなぜクックパット、ランサーズを経て、投資活動を始めたのですか?

もともと投資活動に興味が特別にあったわけではなくて。

2009年から尊敬していた原丈人さんのやってきたことを真似しようと思ったことがベンチャー投資をはじめたきっかけです。

原さんは光ファイバーの会社を起業して、売却。その後、売却した資金を元手に新しい技術を持つベンチャー企業への投資をされて大きな成功を収めた方で、今も世界中で活躍しておられます。

普通に生きているだけだと自分の価値観や自分の判断の基準になるものは、例えば僕が25歳だったら25年間分の人生経験からしか得られないんですよ。その限られた経験の中でしか物事を判断する材料が無いとなると、知見経験が乏しいですよね。 

だから自分が尊敬している人のやっていることを見よう見まねで兎に角やってみるということは、自分の視野であり幅を広げる上で一番手っ取り早い方法だと思いました。

投資活動とは終わりのないライフワークである


あと、私自体はお金に対して無駄使いをすることが嫌いなので。良くも悪くも、ものすごい合理主義者なんです。そのため、投資したからには投資先の企業価値を高めるということに関して、とてもシビアになります。

投資先の会社が伸びなければ結果として自分自身の信用にも関わりますし、何よりもそのベンチャーに関わった方全てが不幸になってしまうので、自分の出来る支援は全力でします。

また、ベンチャー投資自体も非常に合理的で、リターンが大きく、リスクが少ないものだと確信しています。

例えば、ベンチャー投資で企業価値が1億円の会社で100万円を投資したとしますよね。もし、その会社が100億で株式公開をできれば投資した100万円は1億円の価値になる。一方で、その会社が潰れたときは、当然ながら、100万円は戻ってはきません。ベンチャー投資は、期待値や上昇の幅はある意味では青天井なのに、失敗時の損失は投資した金額だけなのです。

さらにいうと、私自身が今まで培ってきたビジネスでのネットワークやビジネスモデルの検証と導入実施の営業など、分かり易く投資先の会社を成長させることができるので、ベンチャー投資をやらない理由はないですよね。

私の人生において仕事とは2種類でライスワークとライフワークがありまして。ライスワークとはプロトスターや、自分の個人会社の経営などの日々やること。一方で、基本的に投資活動はある意味終わりの無いライフワークだと思っています。

ー山口さんがこれまでに投資してきた企業は何社あるのでしょうか?

現在、投資先の累計数は32社になります。

ランサーズの社員時代、2013年からベンチャー投資は始めていました。2014年10月末にランサーズを辞めるまでの間で4社には投資していましたね。

本邦初公開!山口さんの投資遍歴

ーランサーズ時代から投資する軸は決まっていましたか?

これ自体は、当初から決まっていました。よく聞かれるけど、基本的には諦めない人に投資すると言うのが投資スタンスです。

シード、シリーズA、B、C・・・と言われるような、企業の投資フェーズはいくつかありますが、基本的にはシードしかやらないと決めています。

8億円くらいの投資価値のベンチャー企業に投資をしたこともあるけれど、基本的には企業価値が10億以上になっているフェーズの企業に後から入ることには興味はありません。

それは私自体が、誰かが価値をつけたものに後から乗るというよりも、誰も価値だと思ってない状況に最初に張りたいという気持ちがあるからです。

ー起業家の特徴以外にはどういった軸で投資していますか?

「Humanインフラ」「Businessインフラ」「Lifeインフラ」という3つの軸で見ています。


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Businessインフラはヒト・モノ・カネ・情報のこと。これらはどんなビジネスを行う上でも必須になりますからね。

Lifeインフラは衣・食・住・医、つまり普段の生活で不可欠なものです、万人にニーズがありますよね。

Humanインフラというのは他の人は言わない定義だと思います。補足すると、人間を人間たらしめているものと言い換えることができるかと思います。

まずは教育です。読み書き算盤という基礎の学問を習得するからこそ、他の人と意思疎通が可能になります。そのため、教育は非常に重要です。

また、人間が生きていく上で、3つの経験が人生を彩っています。それが、本・旅・友達です。これらは経験と言い換えることもできます。本(映画や音楽なども含む)は間接経験、旅(実際に見聞し体感すること)は直接経験、そして、友達は共有経験(友人や家族などと共に過ごす時間)ですね。だからこそ、これらを豊かにしてくれる企業にも投資をしています。

ー山口さんがこれらの投資先に行っているサポートは具体的にどういったものでしょうか?

起業家の要望には基本的に全て応えられるようにネットワークを強化しています。

例えば資金調達においては他の投資家を連れてきたり、私自身が営業マンとして稼働することもあります。

セールスや広報的な活動を実際にできることがシンプルで分かりやすい強みですね。

これまで依頼されたことで1番多かったのは、プロダクトつくりの検証(どういうサービスで誰にいくらでどうやって売るのかを決める)、新規顧客開拓とメディアへの売り込みによるマーケティング、この2つですかね。

海外出張手配サービスの、ボーダーに関しては初期クライアント30社程度を最初期に営業同行しましたね。今では売り上げが月間数千万円ぐらいあるので、このまま成長すれば新規株式公開も夢では無いでしょう。

ーここで山口さんが実際に支援をされている起業家の方に、実際にこれまでどのような支援を受けてきたのか、お話を伺いました。

株式会社サイトビジット
代表取締役 鬼頭政人氏

山口さんとは、私の起業前夜に共通の知人を介してお会いしました。当時、ベンチャーにもITにも疎かった私にとって、はじめてのメンターであるといえます。 投資していただいた後も、人や取引先の紹介、事業アイディアの議論など、様々なご支援を頂いています。

山口さんからは、自身がお金を儲けるという私心が全く感じられません。「社会のため、人類のためにできることをやる」という意思と行動力にはいつも感嘆させられます。 リターンをお返ししたい、という気持ちはもちろんありますが、それ以上に、社会にとって必要なサービス、会社でいることが山口さんへの恩返しと思い、日々仕事に邁進しています。これからも宜しくお願い致します。

ボーダー株式会社
代表取締役社長 細谷智規

ビジネスの世界では、よく0→1、1→10…と成長フェーズに分かれて話がされますが、山口さんとの出会いがいなければ、0→1のフェーズを乗り越えることはできませんでした。

山口さんとは、3年ほど前、知人の紹介を通じて出会いました。 当時、僕が持っていたのはビジネスアイデアのみでした。素晴らしいアイデアがあっても、実現するにはオペレーションとお客さんが必要です。オペレーションの課題は自分でクリアできましたが利用してくれるお客さんがいませんでした。そんなときに、初期のお客さんを紹介してくださったのが山口さんです。困っている僕に、ビシっとライトパーソンを紹介してくれました。

また、営業が得意でなかった僕に同行し、営業の進め方をレクチャーしてくれました。こうしたサポートを通じ、お客様がお試しでご利用してくれたからこそ、サービスのブラッシュアップができ、今の成長フェーズにつながっています。

山口さんはお会いするたびに、どんどん視野が広くなっているなと感じています。このままいくと、視野は世界にとどまらず、宇宙にまで及んでしまいそうですが。 僕も山口さんに負けないように、自分を成長させていきたいと思います。これからも宜しくお願いします。

株式会社SPACER
CEO 田中 章仁氏

私を含め、弊社メンバーにはIT業界出身の者がおらず、支援コミュニティを持っていませんでした。また、IoTという性質上、ビジネスを理解してくださる方も殆どおりませんでしたが、StarBurstでプレゼンをした際すぐに我々の価値を見抜いて頂き、そこから様々な支援を頂けるようになりました。

シード投資を考える段階になったとき、山口さんが大学にてミツバチを研究されていたことを知り、「昆虫に目を向けることができる心を持った方に投資を頂きたい」とエンジェルの出資を打診しました。

出資のイロハも分からなかった私に、必要な手順を一から教えていただいたばかりでなく、エンジェルの取りまとめも行って頂きました。現在もビジネスが成長するにつれ、適切なタイミングで適切な方をご紹介し続けていただいております。


ー投資先で特に印象に残っている経営者の方はいらっしゃいますか?

どの経営者も印象的ですし、唯一無比な方々ばかりですね。だからこそ投資させていただいて、一緒に仕事したいと思うのですけど。

その中でも敢えて選ぶとしたら、最初に投資させていただいたスタディスト社の鈴木代表とスキャンマン社の杉本代表でしょうか。クックパッドやランサーズでの経験を評価してくださって「是非一緒にやってください」と言われて嬉しかったですね。

そういう意味でいうと投資活動を始めた最初の投資先は印象深いです。毎月の定例を行い、小さなことでもなんでも支援できることは!と動き回っておりました。

ちなみに、スタディスト社、タブルエル社、pulit社、POL社、スペースアール社などはユニコーン級を狙えると思います。直近の10月に経営に参画させて頂いた遠隔医療診断のアグリー社も経営者が現役の医師でとてもユニークな方なので、今後がとても楽しみです。

ZAZAはmisocaの豊吉さんが同じ名古屋起業家として支援されていて、豊吉さんが「投資するのでご一緒しませんか」とお声がけいただいので、共同出資をさせていただきました。

基本的に投資する企業は友人からの紹介が圧倒的に多いんですよ。紹介を受けたのを全部投資するわけではないですが、人から誘われて共同出資を行うことは多いと思います。

担当者の力量さえあれば大企業相手だって十分戦える

ー山口さんが考える、エンジェル投資家の仕事とは何でしょうか?

自分の強みをベンチャー企業に提供することは大前提としてあると思いますね。

あとは信用・与信、ネットワークが圧倒的に足りていないので、そこを付加してあげようと思って動きます。

ネットワークをある程度提供できれば、仕事がどんどんと進められるようになっていくので。


ー投資先を山口さんから紹介された企業は「山口さんの紹介だから」という理由で会ってくれているということでしょうか?

そうですね。全然課題感や関心領域を知らない初見の会社に対して電話営業して「〇〇という商材があって、是非一度説明させてください」と言われても、それはなかなかハードルが高いですよね。

予め私が知っている会社や経営者であるという関係値があって、相手方の企業にそのベンチャーの強みである商材のニーズがありそうだなと思える企業に紹介するので、「そういうことでしたら、是非一度、お話を聞きたいですね。」という流れになるでしょう。

ベンチャー企業は、キャリアが10年、20年、50年、下手したら100年続いているような信用度の老舗企業と戦わなくてはいけないですよね。

そこには当然ながら他社でできないより良い強みがあった上で、支援者の信用を借り物競走しないとビジネスとしては勝ち上がっていけない状況があるわけです。

たとえ、競合相手が大企業であったとしても、担当者が信用ある人だったら勝てるかもしれません。結局、会社が持ってる信用度と担当者の熱量で商売が決まってしまうのでね。だからビジネスは面白いんです。

担当者の力量さえあれば相手にどんな会社を迎えようとも戦える。一方で、そのかわり信用を無くすようなことをしたら、それこそ負けてしまいますけどね

お金の使い方こそ人を表す鏡である

ー他のエンジェル投資家に対して思うこと、エンジェル投資文化に対して思うことはありますか?

ちょっと話の範囲が大きくなりますが…

【お金の使い方】こそが、その人の生き様だなって思うことがよくあります。

どういう消費活動・投資活動をするか、というのは、ある意味でその人を映す鏡だなと。

またその投資家の方が起業家に対する対応の仕方や態度も、見ていて非常に興味深いです。

別に私自身から見て他のエンジェル投資家の方がどうというのは、特段、意見はないですが、「なるほど、こういう人なんだな」とか「こういうタイプの人か」と観察しています。(笑)良い悪いということではなく、ある種のクセというか、特徴というか。

日本のエンジェル投資文化というのも、もっと多様で広がれば良いと思いますし、挑戦者を応援するということを 声をあげるだけではなく、投資をしてお金を提供する、という実際の行動で示してほしいなと思っています。


ーありがとうございました。

 

 

次回は、ママ向けQ&Aアプリ「ママリ」を運営する他、投資家としても活躍する大湯俊介氏を取材します。

狐塚真子

この記事を書いたライター

狐塚真子

津田塾大学英文学科に在学。趣味は映画鑑賞、ダンス、旅行、ライブに行くこと。

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