支払調書はなぜ必要なのか? 記載内容や提出義務について徹底解説!

支払調書はなぜ必要なのか? 記載内容や提出義務について徹底解説!

記事更新日: 2020/05/21

執筆: 編集部

個人事業主として働いていると、委託先から「支払調書」を受け取る場合があります。

これはどのようなもので、いつ必要となるのでしょうか?

当記事では支払調書の概要や記載項目について見本付きで解説します。

また、個人事業主の場合でも、一定要件を満たす人は自身で支払調書を作成し税務署に提出しなければなりません。

こちらのケースについても、詳しくみてみましょう。

支払調書とは

給与所得者の場合、勤めている会社が税の手続き等を行ってくれます。しかし個人事業主の場合、こうした手続きはすべて自身で行わねばなりません。

支払調書は税の申告を行う際、納税額の根拠となる書類のひとつですが、どのようなものなのか、まずは概要を把握しましょう。

1. 法定調書のひとつ

支払調書とは、源泉徴収義務者となる企業などが「誰に」「いつ」「どのような内容で」「いくら支払ったか」を明確にするための書類です。

所得税法や相続税法により定められた「法定調書」のひとつですから、要件に該当する人は必ず調書を作成し税務署へ提出しなければなりません。

法定調書とよばれるものの種類は、全部で60種類。このうち所得税にかかる法定調書は43種類ほどで、主に次のようなものがあります。

  • 利子等の支払調書
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書

源泉徴収義務者が支払調書を税務署に提出すれば、税務署はお金がどこからどこへいくら動いたのか、明確に把握できます。

税の申告を請けた際、その内容が正しいかどうかを判断する手がかりのひとつとなるのです。

提出時期は支払調書の種類によって異なりますが、報酬や不動産に関わる支払調書は「支払いが確定した日の属する年の翌年1月31日まで」と定められています。

このとき「法定調書合計表」も併せて提出せねばなりません。

2. 企業から個人へ渡される場合もある

支払調書は源泉徴収義務者から税務署へ必ず提出されるものですが、取引のあった個人事業主などに交付されることも多々あります。

このとき、支払調書には、差し引かれた納税額と支払い金額が明示されています。

一般的に、個人事業主が受け取る支払調書は、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」です。

会計管理がスムーズになるため、個人事業主としては必ず発行してほしいところ。しかし、源泉徴収義務者から報酬を支払った相手への支払調書交付は義務ではありません。

あくまでも相手の厚意によるところが大きいため、交付を強要することはできません。

3. 源泉徴収票との違い

源泉徴収票:支払った相手に対して発行義務がある

支払調書と同様の法定調書に「源泉徴収票」があります。

こちらは、企業等事業者が労働者に対して発行するものです。

給与所得者に給与を支払った場合は、企業が給与額や源泉徴収額等をまとめて記入して税務署に提出せねばなりません。

一見すると支払調書とよく似ていますが、源泉徴収票は「給与を支払った者に対しても発行義務がある」という点で異なります。

支払調書の場合、支払った相手に対して調書を発行しなくても法的な問題はありません。しかし源泉徴収票は、給与を受け取った個人全てに確実に発行しなければ、法律違反となります。

また、相手が個人事業主だった場合でも、報酬を支払えば企業は源泉徴収の義務があります。ただし、これは「給与所得」ではないため、個人事業主に対し源泉徴収票は発行されません。

源泉徴収票はあくまでも「給与所得」に対し発行されるもの。企業と雇用関係に無い個人事業主の場合は「支払調書」がその代わりとなるのです。

4. マイナンバーの記載はあるのか

委託契約を結ぶ際、マイナンバーの使用許可について確認された個人事業主も多いのではないでしょうか。このとき「支払調書に記載するため」と説明を受けるはずです。

というのも、支払調書を税務署に提出するときは、マイナンバーの記載が必要です。源泉徴収義務者は相手が法人なら「法人番号」を、個人ならマイナンバーを記して支払調書を作成します。

これにより税務署は、より正確に個人事業主のお金の動きを把握できるようになるのです。

ただし、源泉徴収義務者から個人に支払調書が発行される際は、マイナンバーの記載はありません。これは、マイナンバーの記載が「個人情報提供の制限規定」に抵触するためです。

支払調書に記載される内容

支払調書は、法律で定める様式に則って記載し、税務署に提出されねばなりません。それぞれの項目について、詳しくみてみましょう。

出典:国税庁:[手続名]報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(同合計表)

1. 支払を受ける者

こちらは、源泉徴収義務者が報酬を支払った相手の住所や氏名が記載されています。ただし、住所は支払調書がされた日の現況でなければなりません。

支払を受けた人のマイナンバー(または法人番号)も必ず記入されます。

2. 区分

こちらには、どのような報酬が支払われたのかが記載されます。一般的なものとしては、原稿料、翻訳料、通訳料、印税、賞金、診療報酬などがあるでしょう。

3. 細目

支払われた報酬の内容や回数を記載する欄です。原稿料なら「何回支払ったのか」、印税なら「書籍名」などが詳細に記されねばなりません。

4. 支払金額

その年内に支払が確定した金額を記載します。支払調書作成時に支払が済んでいないものについては、未徴収の税額が内書きされます。

5. 源泉徴収額

報酬が支払われた際、徴収された税額が記載されています。支払調書作成時に未徴収の税額があるときは、「支払金額」の項と同様に内書きが記載されます。

6. 支払者

源泉徴収義務者の氏名や企業名、現住所が記されています。税務署へ提出する場合はマイナンバーや法人番号が記載されますが、報酬支払者に交付する場合はこれらの記載はありません。

支払調書が必要になるときとは

報酬を支払った人は、源泉徴収義務者として税務署に支払調書を提出せねばなりません。

一方で報酬を受けた人にも支払調書が交付される場合がありますが、こちらはどのような場面で使用されるのでしょうか。個人事業主が支払調書を必要とする場面について紹介します。

1. 確定申告

個人事業主が報酬支払者から交付された支払調書は、「確定申告」のときに有益です。年度の所得を申請する際帳簿と付き合わせて確認すれば、日々の会計管理が適切かどうかわかります。

整合の取れない場所やあいまいな金額がピックアップでき、正確な申告ができるようになるのです。

2. 支払い調書がないときは

支払調書がそろっていれば、スムーズな確定申告が可能です。ただし、前述のとおり、報酬支払者は報酬を支払った人に対し支払調書を発行する義務はありません。

取引相手が複数ある場合などは、すべての支払調書がそろわないケースもあるでしょう。

支払調書がないときは、「再発行を依頼する」「支払調書なしで確定申告する」といった方法があります。

1. 再発行してもらう

支払調書の再発行は、発行元でのみ可能です。どうしても支払調書が無ければ困る、という場合はお願いしてみるとよいでしょう。

ただし、再発行に応じてくれるかどうかは相手次第です。近年はコスト削減のため「発行義務のない支払調書を送りたくない」という企業も増えています。

自身の不手際で支払調書をなくした場合などは、郵送料の負担を申し出るなど誠意のある対応が望ましいでしょう。

2. 添付せずに提出する

支払調書はあくまでも源泉徴収義務者が税務署へ提出すべきもの。支払を受け取った人への交付は義務付けられていないため、確定申告では支払調書がなくても問題はありません。

日々の会計管理簿を元に税額を算出し、そのまま提出してください。確定申告に支払調書が添付されていなかったとしても、ペナルティの対象にはなりません。

自身が支払調書を発行するケース

個人事業主の場合でも、自身が報酬を支払ったときなどは支払調書を作成して税務署に提出する義務があります。ここからは、自身で支払調書を発行するケースについて紹介します。

1. 提出義務があるのはこんな人

支払調書の提出が必要かどうかは、「誰に」「いくら」支払ったかによります。誰かに次のような報酬を支払った場合、支払調書の発行が必要です。

報酬、料金の内容 提出義務が発生する支払金額
特定の資格を保有する人への報酬(弁護士など) 年額5万円
原稿料、講演料、デザイン報酬など 年額5万円

支払った報酬額が年額5万円以下なら、支払調書の提出は不要です。

複数人に複数回報酬を支払った場合は個別にきちんと取りまとめておき、「年額報酬がいくらだったのか」が分かるようにしておきましょう。

2. 発行者が支払調書提出を怠るとペナルティが

源泉徴収義務者となった場合、支払調書の提出期限は、先述したとおり翌年の1月31日です。法律で提出が定められた書類ですから、「忘れた」では済まされません。

支払調書の提出を怠ったり虚偽の申告をした場合、所得税法第242条の5により「1年以下の懲役」または「罰金50万円」のペナルティが科せられます。

個人事業主でも報酬を支払うなどした場合は、なるべく早く正しい申告額を算出し、必ず期限内に支払調書を提出してください。

3. 税務署への提出方法

税務署へ支払調書を提出する際、主な方法は次の3つです。

1. 書面による提出

2. 光ディスク(CDやDVDなど)で提出

3. e-Tax(国税電子申告・納税システム)から提出

書面の場合は、税務署から送られる様式を利用することができます。また、国税庁のHPから「手書き用」または「入力用」のPDFファイルをダウンロードしてもよいでしょう。

一方、書面ではなくデータで提出したい場合は、CDやDVD等にデータを入れて提出する方法もあります。

ただし、データ形式での提出は事前に申請が必要です。「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書」を提出予定日の2カ月前までに所轄税務署に提出し、承認を受けておきましょう。

様式と記載例は国税庁のHPからダウンロード可能です。

また、マイナンバーカードを持っている場合は、自宅から「e-Tax」での申請がおすすめです。ただし、こちらも事前にいくつかの準備を行う必要があります。

まず、e-Taxの利用が初めての場合は、マイナンバーカードに組み込まれている「公的個人認証サービスに基づく電子証明書」などの電子証明書を取得しなければなりません。

このとき「ICカードリーダー」が必要ですから、準備しておきましょう。

加えて、納税地を所轄する税務署には「e-Taxの開始(変更等)届出書」の提出も必要です。

「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」を利用すればオンライン提出ができます。国税庁のHPにアクセスして、事前準備をはじめてください。

まとめ

支払調書は、個人事業主にとって源泉徴収票の代わりのようなもの。委託先から送付された場合は大切に保管しておきましょう。

確定申告時に必ずしも必要なわけではありませんが、税務調査が入ったときなどに有益な証拠となります。

また、自身が源泉徴収義務者となった場合は、支払調書を作成して税務署に提出しなければなりません。

要件はさまざまありますからきちんと確認し、自身がこれに該当するか否か把握しておいてください。

支払調書は税の申告をする上で重要な帳票です。受け取ったり発行したりしたものはきちんと保管しておく必要があります。

画像出典元:Unsplash、Pixabay

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