最近、ラインなどのSNSツールやECサイトなどで、こちらの質問に機械が自動で回答してくれる「チャットボット」を良く見かけませんか?
チャットボットは、今まで人が行ってきた問い合わせ対応や顧客対応を任せることにより、業務効率が大幅にアップするとして、今注目されています!
この記事では、これから導入を検討してる方に向けて、チャットボットとはどんなものか、間違われやすい人工知能(AI)との違い、種類や導入で得られる効果などを解説しています。
導入の注意点や活用事例、おすすめのチャットボットも紹介しているので、比較検討にお役立てください!
このページの目次
チャットボットは、「チャット(会話)」と「ボット(ロボット)」を組み合わせて作った造語で、ユーザーからのメッセージにロボットが自動的に返信してくれるアプリです。
ご存知のとおり、チャットはネットワーク上でリアルタイムに会話ができるシステムのことで、ボットは、ロボットを略した言葉です。
これら二つが組み合わさったプログラムのことをチャットボットといい、ネットワーク上でおこなわれるチャット会話を対人間ではなく、対ロボットでおこないます。
画像出典元:ヤマト運輸公式HP
例えば、ヤマト運輸の集荷や問い合わせ、再配達の依頼。
従来は、集荷依頼の電話をかけたり、不在票をみながら電話して自動音声に沿って操作をしたり…。何かしながらでは出来ないので結構面倒でした。
これが今では、ラインのヤマト運輸公式アカウントのトーク画面に「荷物問い合わせ」や「再配達」などと入力するだけで、それに見合った回答を自動的にチャットボットがしてくれるので、今までのようにわざわざオペレーターを介することなく、荷物の問い合わせや再配達の依頼を簡単にする事ができるようになりました。
近年では、企業がこうしたチャットボットを自社サイトなどに設置し、サイトへの訪問者に対しサービスや商品の問い合わせ対応などの案内窓口として導入するケースが増えています。
こちらの質問に自動的に回答してくれるなら、「チャットボット=人工知能 」という認識の方も多いと思いますが、そもそもチャットボットと人工知能は別ものなので、そこは一旦切り離して考えてください。
人工知能は人間のように「学習」したり「推論」して自ら「判断」するテクノロジーです。
例えば、
上記の文章は、使われているワードは異なりますが、目的は「カフェに行きたい」という点で一致します。
AIはこのような表現のふり幅を吸収することができるので、学習しながらユーザーへ回答する範囲を広げていくことが可能です。
一方、チャットボットは人工知能の有無に関係なく、人間のような「会話」を行うシステムの総称のことをいいます。
人工知能とチャットボットは別物であると前述しましたが、チャットボットにはAIを搭載した人工知能型と搭載していない人工無脳型があります。
人工無脳型のチャットボットが予め設定されたルールに沿った受けごたえしか出来ないのに対し、人工知能型のチャットボットは自ら学び賢くなっていくので、より自然な会話をすることができます。
「じゃあ、人工無脳型なんて役に立たないじゃん」という声も聞こえそうですが、そんなことはありません。
詳しくは後述しますが、例えばカスタマーセンターなどに導入し、顧客からの良くある質問に対してチャットボットを有効に使えば、それだけで人員削減や業務効率化につながります。
どちらにもメリット・デメリットは必ずあり、AIを搭載しているから優れているとは一概には言えません。
ここでは、人工知能型と人工無脳型のチャットボットについて解説していきます。
チャットボットは人工知能搭載の有無によって「ルールベース(シナリオ)型」と「機械学習型」に分けられます。
人工知能を搭載していないタイプで、予め人間が設定したシナリオやルール通りに会話を展開していき、それに沿わない回答はできません。
プログラミングの種類で「ログタイプ」「選択肢タイプ」「辞書タイプ」「Elizaタイプ」に分類されます。
同じ内容の問い合わせなどを自動化したり、人との連携をはかることで業務効率がアップします。
ただし、シナリオ・ルールを設定する手間や少しでも複雑な質問をすると対応できなくなってしまうのがデメリットです。
カスタマーサポート業務、旅行サイトなどの問い合わせ業務など
人工知能を搭載したタイプで、自ら「学習」、「推論」して「判断」をして成長していきます。回答を間違えてしまっても反復学習で会話の精度を高めていけます。
自ら学習するので、ルール設定の手間はかかりません。また、高度・広範囲な問い合わせにも対応する事が可能なので、人員削減に大きく役立ちます。
ただし、定期的なチューニングはかかせませんし、「教師データ」といって回答の元になるデータベースの質が悪いと学習能力が高まり辛いなど回答精度に不安がでるデメリットもあります。
飲食店の予約代行、ECサイトでの接客など
ここまでで、チャットボットは便利なものなんだなぁ。という事は大体理解いただけたかと思います。
では、チャットボットで得られる具体的な効果ってなんなのでしょうか?
主な効果として下記があげられます
・顧客満足度を上げることができる
・時間や人員のコストカットにつながる
今まで、いちユーザーの立場としてこんな不満ありませんでしたか?
カスタマーセンターに電話してオペレーターの人と話をしたり(これでオペレーターの感じが悪かったら最悪極まりない!)、メールで問い合わせをしたけど返信が遅くてモヤモヤしたり、企業のHPに掲載されているQ&Aに自分の求めている情報は掲載されていなかったり…。
こういったユーザーの不満が、チャットボットを導入することで大幅に解決することができるので、企業側からすると、顧客満足度のアップという成果につながります。
また、企業側はユーザーからの問い合わせ対応に追われて、人員も時間もかなり費やしていたりします。
チャットボット導入で得られる大きな効果を解説しましたが、チャットボットを導入することによって他にも得られるメリットがあります!
インターネットが普及している現代、ユーザーは曜日・時間に関係なく24時間365日いつでもサイトへ訪問することができます。
そのため、たとえ自社が営業時間外であっても問い合わせは発生するものです。
チャットボットを導入すれば、営業時間外での問い合わせはもちろん、単純なものであれば回答することが可能なので非常に有効的です。
サービスや商品に対して何らかの疑問を感じた場合、一般的には電話かメールのどちらかの方法で問い合わせをおこないます。
しかし、電話の場合は回線が混みあってオペレーターに繋がるまで長時間待たされたり、メールの場合は回答が得られるまで数日待たされたりするなど、電話やメールは回答を得るまでのレスポンスが悪いことが多いです。
チャットボットはそういった手間なども省けるため、ユーザーに与えるストレス軽減に効果的です。
これまで企業とユーザーとが接点を持つ場合、Webサイトへ訪問したユーザー側からの行動によるものがほとんどで、企業側はあくまで受け身の状態でありました。
しかし、チャットボットをLINEやFacebookなどに設置すれば、チャットボットを利用してくれたユーザーに対して企業側からも能動的なメッセージを送ることができるようになります。
このように、LINEやFacebookなどの方がWebサイトを介すよりも、ユーザーとの接点が増すことに期待ができます。
メリットの多いチャットボットですが、導入にはもちろん注意点があります。きちんと把握しておきましょう。
商品によって付随するサポートに大きな差があり、課金する必要があるものもあるため注意しましょう。
チャットボットは幅広い場面で利用されています。
以下はチャットボットがよく利用される業務と改善できる要素の一覧です。
・カスタマーサポート:よくある質問をチャットボットに対応させることで、問い合わせ対応の手間を削減できる。
・予約受付:従来電話などで受けていた予約対応を一部チャットボットに変更する事で予約のとりこぼしを防ぐ効果があります。
・ヘルプデスク:ツールの使い方など緊急ではない問い合わせをチャットボットに流すことで業務効率を高め、社内の生産性を高めることに役立ちます。
それでは、実際に企業がどのような目的でチャットボットを導入し、どのような成果がでているのか、事例をご紹介します。
LOHACO(ロハコ)は、オフィス用具でお馴染みのアスクル株式会社が運営する、個人向け通販サイトです。
ロハコでは、サイト訪問客に対してカスタマーサポート(マナミ)というカタチでAI型チャットボットが導入されています。
なんでもアスクルでは、AI型チャットボットのマナミさんが全お問い合わせのうち3分の1を対応しており、これによって6.5人分の人件費削減に成功したとしています。
もちろんマナミさんでも対応しきれない内容もあるので、そういう場合は引き続きオペレーターへ繋がるよう準備されています。
BtoC事業を展開する企業にとってカスタマーセンターは必要不可欠な部門です。
しかし、同じような問い合わせ内容も多いことから、スタッフの労力を軽減させるためにもチャットボットの導入は効果的です。
高齢者を中心に配食サービスを展開する株式会社シルバーライフ。
同社は、高齢者向けに栄養バランスなどに配慮した弁当を定期的に届けるサービス「まごころ弁当」を開始したころ、新規の問い合わせや質問など月に3000件、多い時で一日150件の電話が入ったとのこと。
Webサイトには「よくある質問」を設置するも効果がなかったため、チャットボットの導入に至りました。
チャットボットの導入後、問い合わせの電話が減ることはないものの、チャットボットを導入したおかげで、受付センターのオペレーター数を増やすことなく、これまで対応しきれなかった問い合わせ(20%増)にも対応することが可能となりました。
島村楽器株式会社は、オンラインストアをはじめ全国に168拠点の店舗や音楽教室を展開する大手総合楽器店です。
特にオンラインストアに関しては夜間にサイトを閲覧するお客さんが多く、問い合わせも夜間に集中していたそうです。
当初は、メールでの受付・回答という流れを取っていたものの、どうしても回答が翌日以降になってしまうなど、顧客満足の観点から満足度は低いものであると考え、チャットボットの導入を決定に至ったようです。
チャットボット導入後、営業時間外をチャットボットが対応するなどして、メールでの問い合わせ件数2~30%の減少に成功したとのことです。
人気に拍車がかかるチャットボットですが、提供している会社も急増し、導入を検討していても「一体何を選べばいいのやら…」という、ユーザーも多いのでは?
チャットボットは問い合わせの件数や担当者、エンジニアの有無でもおすすめの種類が異なります。
そこでこの章では、数あるチャットボットの中から、最近飛躍的に進化をしてきているAIを利用したチャットボットを中心にピックアップしました!
画像出典元:「AI Messenger」公式HP
数あるチャットボットサービスの中で提案・開発から導入後の運用まで一貫したフルサポートを行ってくれる点が「AI Messenger」の魅力です。
そのため、AI Messengerでは自社の課題に対して適切なチャットボットを運用することができます。
お問い合わせ対応に課題を感じている企業、例としてお問い合わせ件数がひと月に1,000件以上ある企業には非常におすすめのサービスとなっています。
料金詳細は、資料をご参照ください。
画像出典元:「QA ENGINE」公式HP
QA EINGINEは機械学習で最も権威のあると言われるクイズコンペティションで優勝した経験があるくらい他社と比較しても高性能なAIを使用しています。
それにも関わらず初期導入費用がかからずお手軽に導入ができる点が非常に魅力的です。
導入目的としては、カスタマーサポートや社内ヘルプデスク業務の効率化を図りたい場合特におすすめです。
簡単操作ながら、高度な質疑応答を実現できます。
初期導入費用は発生しません。月額利用料が30万円でエンジンを追加するごとに20万円かかります。
詳細は資料をご参照ください。
画像出典元:「Chamo」公式HP
Chamoの1番の特徴は、ほかのチャットボットと比較して導入がしやすい点と有人と無人のハイブリッド型である点です。
導入のしやすさに関しては、HPに専用HTMLタグを入れ込むだけで簡単にチャットボットが作成できることが魅力と言えます。
また、「経営者が選ぶ 国産セールス&マーケティングプラットフォーム No.1」や「国内チャットツール導入実績No.1」という実績を誇るのもChamoの強みです。
自動話しかけ機能やユーザー情報管理機能を駆使し、接客の質の向上に寄与します。この自動話しかけによって、オペレーターの有無に関わらずオンタイムで素早い対応が実現するので成約に結びつく可能性が高まります。
初期費用は0円で、完全固定料金制です。
従量料金は一切無く、1日当たり166円~というコスパの良さを誇っています。
15日間もしくは、チャット10回まで全機能無料で使えるお試しコースも用意されているのでまずはそちらを試してみるのが良いでしょう。
画像出典元:「Cogmo Attend」公式HP
Cogmo Attend(コグモアテンド)は作り方・運用も簡単なAIチャットボットです。
AIにIBM Watsonを採用しているために質問理解力にすぐれた機能を持ち、的確な回答を提示することが出来ます。
またシステム連携で有人チャット切り替えや業務自動処理も行えます。
社内のヘルプデスクやお客様対応の窓口として活用することで、大幅な工数・コスト削減ができます。
ライセンス初期費用として60万円必要です。
初期費用はやや高額ですが、1ライセンスで複数チャットボット運用可能でリーズナブルです。
月額利用料金は10万円からになっていますが、チャットの会話数により利用料は変わります。
詳細は資料をご参照ください。
他にもおすすめのチャットボットについて知りたい人は、下記記事を参考にしてください!
近年、多くの企業でチャットボットの導入が進みつつあります。特に、企業が一般消費者を対象としたビジネスをおこなう「BtoC」においては、カスタマーセンターの存在は欠かせません。
しかし、企業規模が大きければ大きいほどユーザーからのお問い合わせ件数は増え、限られた人だけでは対応しきれなくなるといったケースに陥るケースも多々あります。
ユーザーからのコンタクトは企業にとって非常に重要なものであり、できるだけ多くの問い合わせに対応し、顧客満足度を向上させていくことが企業の売上アップに繋がっていくことだと言えます。
チャットボットは、人では対応しきれない部分を上手にカバーし、よりシームレスな顧客対応を可能にしてくれる非常に優れたシステムです。
ぜひ、導入の際は目的を明確にしたうえで、自社にマッチしたチャットボットを導入してみてください。
画像出典元:O-DAN