近年、導入する企業が増えているサテライトオフィス。
働き方改革に対する対応、人材不足の解消、業務効率の改善などサテライトオフィスは多くの課題解決に繋がるポテンシャルを秘めています。
今回は、サテライトオフィスについての解説と、導入のメリット・デメリット、支店との違いや大手企業のサテライトオフィス活用事例などについて詳しく説明します。
このページの目次
サテライトオフィスとは、企業の本社や官公庁の本部などから離れた場所に設置されたオフィスのことです。
「サテライト」とは英語で「satellite(衛星)」という意味で、本社や支店などを中心として、その周りに衛星のように存在する小規模な拠点のことを指します。
大手から中小零細まで多くの企業がさまざまな理由からサテライトオフィスの導入を進めており、そのスピードは加速化しています。
サテライトオフィスはどのような位置づけなのでしょうか。一般的な支店や営業所などとはどのように違うのでしょうか。
通常、支店は本社と離れた場所にあり、その地域の営業拠点の中心として位置付けられる場合が多いようです。
法務局に提出する商業登記にも「支店名と住所」を記載することが義務付けられています。独自の決裁権や納税義務をもつなど、本社に近い裁量を独自でもつことができます。
営業所は、本店から離れた営業拠点という位置づけに違いはありませんが、支店のように登記義務などはありません。
その分、支店に比べて裁量の範囲も狭く、あくまで本社管轄の一拠点という位置付けになります。
サテライトオフィスは、支店や営業所よりもさらに小規模で事業範囲も狭い場合が多いようです。
サテライトオフィスには都市型、郊外型、地方型と大きく3つの種類があります。
まず都市型は、東京や大阪などの首都圏に構えられたサテライトオフィスです。
都市型は、首都圏に本社を構える企業が別の新規事業拠点として構える場合や、地方企業が都内などに活動拠点を構えたい場合に開設する場合が多いようです。
都市型では、既存の施設やシェアオフィス・コワーキングスペースを利用しやすいので積極的に活用したいです。
郊外型は、都心の中心部から離れた郊外部に開設するタイプのサテライトオフィスです。
社員の通勤事情やライフワークバランスを考慮する場合や営業など対外折衝などの活動から離れたデザインや開発などクリエイティブ系部署の拠点として開設されています。
地方型は、東京、大阪、名古屋などといった都市部から離れて、人口の少ない地方にオフィスを開設するものです。
社員の多様な働き方を推進したり、地方の優秀な人材獲得を有利に進めるためなどに開設しています。
サテライトオフィスを開設するメリットは、大きく3つあります。それは業務効率の向上、BCP(事業継続計画)対策、そしてコスト削減です。
サテライトオフィスを導入することで、従業員の働き方の多様化がはかれます。
結果として業務内容に合わせたオフィス環境の最適化が可能となり、生産性や業務効率が向上するわけです。
交通の便で適した場所にサテライトオフィス開設すれば、社員の通勤時間の短縮やライフワークバランスも向上します。
営業面でも地方に本社のある企業が、サテライトオフィスとして都内に拠点を構えることで、取引先との商談機会を増やせるなど機会損失を防ぐこともできるでしょう。
またBCP対策としては有事におけるリスクヘッジに役立ちます。
会社の拠点を都市部だけでなく遠隔地域に広げることで、震災リスクなどを分散することができるわけです。
さらにコスト削減も大きなポイントです。
サテライトオフィスによる営業拠点の開設は、大がかりな支店や営業所開設に比べて初期投資を抑えることができます。
近年は、サテライトオフィス向けの様々なサービスが登場しており、一般的な月契約のルーム貸しだけでなく、特に契約期間が週や日数単位など短期契約ができるものもあります。
そのため本格的な営業所開設前にお試しでサテライトオフィスを立ち上げ、一定の期間動向を見るといったことも可能です。
またシェアオフィスのようなサービスであれば、必要な電話やファックスなどの機器類がすでに備え付けられているものが多く、そういった点でも初期投資を極力抑えることもできるでしょう。
サテライトオフィスのデメリットとしては、大きく2つあります。1つはコミュニケーションや情報共有の不足、そしてセキュリティの問題です。
まずサテライトオフィスを開設することで本社との距離が広がり、各拠点間のコミュニケーションや情報共有に不足が生まれやすくなります。
本社の社員とサテライトオフィスの社員との間で十分なコミュニケーションを取り合うために、定期的なウェブ会議を開催するなどの施策が必要になるかもしれません。
またシェア型サテライトオフィスの場合は、他社の人間と同じスペースで作業をすることになるため、情報漏洩やセキュリティ面でのリスクを考慮する必要があります。
サテライトオフィス開設には、地域の優秀な人材確保がしやすいという点が挙げられます。
特にリモートワークがしやすい職種であれば、地元で就職したいという優秀な人材を集めることも比較的容易なため、その点でも設置する地域の選定は重要なポイントになるでしょう。
地域教育機関と連携して優秀な人材を紹介する専門担当者を配置している自治体などもありますので、そのような情報もしっかり収集しておくようにしましょう。
オフィスを新たに開設する場合は、初期費用や設備費用など様々な費用が必要となってきます。
現在では、地方創生やコロナなどの影響により、種々のシェアオフィス・コワーキングスペースサービスが増えてきたため、実験的にもしくは小規模にサテライトオフィスを開始することは難しくありません。
都市圏でサテライトオフィスを探したい場合はWeWork のように既に有名なサービスが利用できますし、地方郊外でも総務省の「おためしサテライトオフィス」といった行政主体のものを活用することも可能です。
近年は各都道府県が企業誘致に積極的な施策を打ち出しているので、それらの条件を加味してサテライトオフィスを開設することもポイントです。
特に助成金や税制優遇などを打ち出している地域も多いので活用したいところです。
近年は、遊休スペースを解放してサテライトオフィス用に貸し出すなど新規サービスを行なっている自治体もあるようです。
初期投資やランニングコストを抑える意味でも、そのような支援を有効に活用しましょう。
株式会社リクルートは都内近郊に社員が子供連れで働くことができるキッズスペース付きのサテライトオフィスを開設しています。
主な目的としては、社員の働き方を多様化させることで、社員満足の向上をはかり、業務効率の改善にも繋げたい意向があるようです。
法人向けクラウドサービスを展開するSansan株式会社は、日本のシリコンバレーと言われる徳島県神山町にサテライトオフィスを構えています。
この企業の目的は、日本国内でも有数のウェブサービス関連業界の中心地で優秀な人材の確保、同業関連の情報ネットワークの構築、そして行政の支援体制を有効活用した展開などにあるようです。
徳島県に本社を構える株式会社あわえのサテライトオフィス利用事例は、地方企業の都内拠点開設にあります。
都内に身軽なサテライトオフィスを構えることにより、情報収集、ビジネスチャンスの拡大に繋げているようです。
近年の働き方改革に対する対応、人材不足の課題解決、業務効率の改善など、サテライトオフィスは多くの課題解決に対するポテンシャルを秘めています。
社会の変化に柔軟に対応つつ、自社の経営戦略を見定めながら、そのメリットとデメリットを理解して導入することを検討してみてはいかがでしょうか。
画像出典元:「写真AC」
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