インセンティブには目的を達成するための刺激という意味がありますが、ビジネスシーンでは主に成果に対する月給以外の報酬という意味で用いられています。ここではインセンティブの種類から、インセンティブ制度と混同してしまいやすい事柄について詳しく解説していきます。
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インセンティブ(incentive)の辞書的な意味は「目標を達成するための刺激」というものです。辞書的な意味でインセンティブという言葉が用いられることもありますが、ビジネスシーンにおいてさまざまな意味合いが含まれていることがあります。
例えば海外のビジネスシーンでは単に「見返り」や「報酬」を意味することが多いです。日本のビジネスシーンで用いられる場合には「目的を達成することによって得られる報酬」を意味しています。 また経済学的に用いられる場合には意思決定を左右する要因に対し、インセンティブという言葉を用いることもあります。
インセンティブという言葉は文脈からその意味を理解していく必要のある言葉であると言えるでしょう。
目標を達成することにより得られる報酬とは、本来の月給とは別に支給される報酬のことです。この報酬は現金とは限りません。
記念品や旅行など報酬の形はさまざまです。またどの程度の報酬を得ることができるという決まりもありません。そのためインセンティブの支給方法や内容は企業により完全に異なると言えます。
インセンティブ報酬の支給例は次の通りです。
毎月月給に上乗せ、あるいはボーナス時に報酬を上乗せで支給
記念品や指定されていた商品の支給
旅行券等の支給
新株予約権のことで、あらかじめ会社が定めた権利行使価格で自社株を取得することができる権利(値上がりした際に権利行使により利益を得る)
現金の代わりに細かい目標達成によりポイントを付与し、後日ポイントを貯めて商品を購入することができるポイント制での支給
インセンティブとは個人の成績によって得ることのできる報酬ですので、現金支給の場合では一部歩合給・歩合給と同じ意味です。注意するべきは歩合給有りきの月給になっていないかどうかです。
インセンティブはあくまで特別に得られる報酬ですので、特別に得られる報酬がないと生活することができない月給ではインセンティブの魅力はありません。反対に本来モチベーションを高めるための目標がノルマとなり負担になることもあります。
インセンティブ制度を理解するために1番重要なポイントは、個人の成果を評価する制度であるということです。各企業が設けた目的を達成することができた個人が、その成果に応じて報酬を得られる制度です。
各企業が設けた目的を達成することができた個人が、その成果に応じて報酬を得られる制度となります。目的を達成することができた個人のみが報酬を得られますので、当然ながら目的を達成することができていない個人は報酬を得ることができません。
例としては1カ月に10件以上の契約を取ることができた社員には月給とは別にいくらか支給するというものや、1件につきいくらの報酬を与えるというものになります。支給額や支給時期については法律で定められているものではありませんので、各企業のインセンティブ制度の内容により異なります。
インセンティブ制度では優秀な社員とそうではない社員では受け取ることのできる報酬額に差が生まれるものです。成果主義とも呼ばれるこの制度を企業が導入することにより、仕事に対する意欲が向上することで企業成績が向上するというメリットがあります。
頑張れば頑張っただけ報酬という形で還元されますので、社員一人一人のモチベーションを高めることができると考えられています。入社年度や役職に関係なく個人の成績を正当に評価する制度により、給与に対する不満も解消されると言われています。
インセンティブ制度は完全歩合給と混同されることがあります。仕組みは似ているもののインセンティブ制度と完全歩合給は異なるものです。インセンティブ制度の報酬は月給+成果による報酬であるのに対し、完全歩合給は成果による報酬のみを得ることができます。
インセンティブ制度は月給+成果による報酬ですので一定の安定感があります。完全歩合給ではすべて成果による報酬となりますのでリスクも高いですが、インセンティブ制度での報酬に比べ受け取ることのできる成果による報酬の金額が高いと言われています。
インセンティブ制度は歩合給とほぼ同じ意味で用いられることもありますが、完全歩合給とは別のものであることを理解しておきましょう。
インセンティブはしばしばボーナスと混同されますが、その仕組みは全く異なるものです。インセンティブ制度は個人の成果を評価する制度であるのに対し、ボーナスは個人評価が一部に含まれていたとしても基本的には、会社の業績に応じて受け取ることができる賞与になります。
インセンティブ制度は全員が受け取ることのできる報酬ではないのに対し、ボーナスは基本的に全員が受け取ることのできる報酬です。
個人の成果を重視するのがインセンティブ制度であり、会社の成績を重視するのがボーナスと理解しておくと分かりやすいでしょう。
インセンティブを活用している会社は数多くあります。ここでは代表的な1社の活用例を紹介していきます。
大東建託株式会社はインセンティブを活用している企業として知られています。建物の賃貸事業と不動産管理事業を行う会社である大東建託株式会社は、公式サイト内採用情報では諸手当内にインセンティブ(歩合給)制度との記載があります。
実績を上げれば上げた分だけ受け取ることができる報酬額が高まります。これにより社員のモチベーションが上がり、業績が向上していると考えられています。
インセンティブ制度は販売や営業といった職種にて導入されていることが多いです。仕事に対する成果が報酬という形で具体的に評価されることから、仕事に対するモチベーションが向上します。
インセンティブ制度を活用している企業の多くが業績の向上を実感しているようです。離職率が低下した企業もあるなど、社員にとっても魅力的な制度であることは間違いありません。一方、インセンティブ制度による報酬額が月給額とバランスが崩れてしまうとノルマとなる可能性もある制度です。
インセンティブ制度は法的に具体的な目安があるわけではなく、企業によりその形態が異なるものですので要件や報酬額、報酬時期等をしっかり確認し、意欲向上に繋がる制度になっているか見極める必要があると言えるでしょう。
画像出典元:大東建託株式会社、写真AC、Pixabay
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