コア業務に集中して業務の効率や収益を上げたいと、誰しもが思う事。
これまで残業時間などで対処してこれた不随業務も、近頃の働き方改革によって難しくなってきていたりと、とにかくコア業務に集中できない…。
そんな悩みを抱えている皆さん、BPO、「Business Process Outsourcing(ビジネスプロセスアウトソーシング)」はご存じですか?
業務の効率を図りつつ、コストを削減し品質向上・顧客満足度向上に有効なアウトソーシングの一つです。
今回は、BPOとはなにか?メリット・デメリット、導入のポイントまで徹底的に解説します。
さらに、おすすめのBPOを提供しているサービス業者もご紹介しているので、導入を検討される際には是非お役立てください!
このページの目次
BPOとは、Business Process Outsourcingの頭文字を取った略語で、「ビジネスの業務プロセスをアウトソーシングする」という意味です。
BPOは外注サービスの一つですが、厳密には少し異なります。
通常のアウトソーシングは、業務プロセスのうちの一部を外部業者に委託するものですが、BPOは、業務プロセスを丸ごと外部業者に委託します。
また、通常のアウトソーシングの場合は、社内のリソースを外部の力を借りて拡充させるために利用されますが、BPOではそれらに加えて業務設計から委託できます。
業務効率化や業務改善まで対応してもらえるため、業務コストの改善・削減にも繋がり、生産性・収益性が向上するというメリットもあるのです。
一時的な外注では、企業の課題を改善するまでには至りませんが、BPOは業務の効率化やコスト削減の他、課題の解消や改善もサービスに含まれているので、経営戦略の基本とも考えられています。
この他にもコンサルタントや社内の情報システム整備をするシステム部門などもBPOの対象となります。
これらの部門は、専門的な知識やスキル、人材確保が難しい企業においては業務負荷が大きくなりやすい部門なので、委託することで、社内のリソース確保やコア業務への人材投入ができるようになります。
前章でも少し触れましたが、BPOを導入することで自社にとってどんなメリットがあるのかを具体的に見ていきましょう。
企業としても、収益の高い業務に注力したいところ。現実には付随業務が多く、コア業務に集中できないという従業員は多く存在しています。
そこで、ある一連の分野をBPOを利用し、コア業務に集中できる環境を整えることができれば、業務の効率も各段にアップします。
もちろん、委託料金はかかりますが、コア業務の効率をあげることで、生産性や収益アップは勿論、無駄な人件費や人材確保の必要もなく、総合的にみてもコストを削減する事ができます。
BPOで委託するのは専門分野に特化した事業所なので、高い専門スキルが活用できるということ。
専門的な知識をもったスタッフに一任できるので、会社も、より高いレベルの技術やスキルを活用する事ができるようになります。
前述しているように、高い専門スキルを活用できれば、品質向上とリードタイムの短縮が可能に。
顧客から何か要望が来た場合でも、エキスパートに任せた方がスピーディーかつ高いクオリティで対応する事がきるので、顧客満足度は必然的にアップします。
業務効率の向上やコスト削減など自社で得られるメリットの大きいBPOですが、下記のようなデメリットも考えられますので、頭に止めておきましょう。
BPOで、ある分野一連の業務を委託するのは、社外のノウハウを取り入れて強みに出来る反面、自社内にはノウハウをストックできないというデメリットもあります。
BPOをやめてしまえば、委託していた業務は全て自社に戻ってきます。ですが、そのノウハウがなければ今まで通り円滑に業務をすすめるのは非常に困難です。
特に、専門分野を扱う業者だからこそ、そのノウハウを委託元といえど全ては共有をしない場合も珍しくはありません。
普段から、事業者と良好な関係を築き、最低限の業務進捗などは把握しておくようにすることも重要です。
また、BPOで委託する前に、外部に任せても将来的に困らない業務かどうかを一度考察する事も大切です。
選定した業者のセキュリティ意識が低いと、会社の信頼を落としかねない大きなトラブルに見舞われる事も考えられます。
後述しますが、業者選定の際には、プライバシーマークなど情報の取り扱いの規格しているかどうかもチェックし、判断材料の一つとしておくのもよいでしょう。
BPOの導入を成功させるためには、単に最適な業者を選ぶだけでは不十分で自社側でいかに最適な段取りで必要な情報を業者側とやりとりできるかが重要です。
この章では、BPOの導入を成功させるためのステップと、各ステップ毎に細分化された具体的なタスクを解説します。このステップに沿って、各ステップに割り当てられたタスクを遂行することで、自社のBPO導入を成功に近づけることができるでしょう。
目的の明確化
BPOを導入する目的(コスト削減、効率向上など)を明確にします。目的が明確であることで、導入プロジェクトの方向性が決まり、適切な業務範囲の選定が可能になります。
委託範囲の特定
どの業務プロセスを外部に委託するかを決定します。この段階では、コア業務とノンコア業務を識別し、効果的なアウトソーシングが可能な業務を選択します。
要件定義
提案依頼書には、自社の具体的なニーズ、業務の要件、期待する成果、スケジュール、予算などが含まれます。このドキュメントは、外注先に対する期待 を明確に伝え、提案を受ける基礎となります。
評価基準の設定
提案を評価するための基準を定義し、適切なBPOパートナーを選定するプロセスを整理します。
様々なBPOサービス提供者を比較検討し、自社のニーズに最適なサービスプロバイダーを選定します。サービスの品質、費用、専門性、セキュリティ対策、サポート体制などを評価基準として考慮します。
情報交換
選定したサービスプロバイダーとのヒアリングを通じて、具体的な業務内容や期待する成果について話し合います。この段階で、双方の理解を深め、プロジェクトの成功に必要な詳細情報を共有します。
調査と分析
BPO業者は、提供するサービスの範囲と品質を確定するために、必要な調査や分析を行います。
ソリューション提案
外注先は業務分析の結果に基づいて、最適な業務プロセスと改善策を提案します。このプロセスでは、プレゼンテーションやデモを通じて提案内容を確認できます。
プロセスの構築
合意された提案に基づいて、外注先は新しい業務プロセスの構築を行います。これには、マニュアル作成、システムの設定、人材の配置などが含まれます。
実装とテスト
構築された新しい業務プロセスは、実際の運用環境でテストされます。この試験運用はシステムやプロセスが設計通りに機能することを確認し、必要に応じて調整を行います。不具合が見つかった場合は、本運用前に修正を行うことが重要です。
本運用の実施
試験運用を経て、新しい業務プロセスの本運用を開始します。この段階では、業務プロセスをスムーズに運用し、期待される結果を達成することが目標です。定期的なモニタリングと改善活動を通じてBPOの効果を最大限に高めることが重要です。
BPOサービスといっても、業者によって得意な分野・サービスは実に様々なので、自社の課題を解決するために導入するならば、自社にあったものを選びたいもの。導入時、どんなポイントに気を付けていけばいいのでしょうか?
BPOサービス業者には、それぞれ強みとするものが異なります。たとえば、人事業務に強い、物流に強いなどです。
企業がBPOを導入する際の注意点は、コア業務に関しての業務はBPOすべきではないということ。そして、自社でノウハウを蓄積したい業務については、BPOすべきではありません。
BPOは、業務プロセスを一括して外部業者に委託するものです。そのうえで、企業はコア業務に集中して収益を上げる。それが、BPO活用の目的です。
委託した業務のノウハウは、自社にフィードバックされませんから、契約終了後に自社内でBPOと同じクオリティで業務が遂行できるかといえば難しいと言わざるを得ません。
よって、BPOに依頼する業務では、自社のコア業務から切り離されており、なおかつ今後コア業務になりえる可能性のない業務を選定すべきです。
BPO業者は、各業務の専門家ともいえます。しかし、業者によって抱えているノウハウは異なります。
自社にとって負担になっている業務を得意分野として受託しているサービス業者を選ぶようにしましょう。
そのためにも、まずは自社の課題をより具体的に洗い出すことが重要です。それから、業者の専門性とマッチングさせて選定していくのが良いでしょう。
また、サービス業者の企業規模が大きいほど、対応できる範囲も広がります。
対応できる範囲が狭いと、切り出したい業務によって異なるBPOサービス業者を利用しなければならず、コミュニケーションコストがかかる要因になってしまいます。
企業規模が大きければ、一括して委託できる範囲が広がり、依頼にかかるコスト軽減にも繋がります。
業務の一部を委託しますから、情報漏洩に関して気になるところでしょう。信頼できるBPO業者は、必ずセキュリティポリシーを持っています。
また、適切に情報を取り扱っているかどうかは、BPOの実績からも判断可能です。大手企業をはじめとした多くの取引先があれば、セキュリティが万全であると考えられるからです。
また、BPO業者にはプライバシーマークを保持しているところもあります。
プライバシーマークは、一般社団法人日本情報経済社会推進協会によって、個人情報の取り扱いに関して適切な体制が取られていることが認められている法人企業に付与されるものです。
プライバシーマークのあるBPO業者であれば、安心して業務を委託できます。
この他にも、BPO業者のセキュリティ体制を見るポイントがあります。
委託した業務を海外で対応するBPO業者の場合は、国際的セキュリティ規格「ISMS」などに準拠しているかをチェックしておきましょう。
どんな業務をBPO業者に委託するか、業務領域や選定するBPO業者によって、かかる費用は異なります。
委託にかかる費用が、自社で対応する際の人件費を下回るのであれば、委託するメリットがあると考えていいでしょう。
まずは、委託したい業務で現状どれくらいの人件費がかかっているのか算出する必要があります。そのうえで、複数のBPO業者から見積もりを取ってみるといいでしょう。
上記の事例はいずれも上場している大企業で、従業員数も多くその分業務プロセスも複雑なため、BPOの難易度は高いです。それにも関わらずBPOに成功できたのは、各事例のポイントにも記述しましたが、以下の点を重視してBPOを進めたからだと言えます。
・BPO導入前に業務プロセスを改善
・複数のBPO業者を比較検討し、最適な業者を選定
・KPIを設定し、定期的に成果を測定
・BPO業者と密に連携
・セキュリティ対策を徹底
BPOは、企業のコスト削減、業務効率化、人材確保などに役立つツールです。これらのポイントを参考に、自社に合ったBPO活用方法を検討してみてください。
BPOの契約形態を選ぶことは、導入の成功に直結する重要な意思決定です。適切な契約形態を選択することで、期待するサービス品質を確保し、予算内で業務を遂行できます。この章では、一般的なBPO契約形態である固定価格契約、時間材料費契約、成果報酬契約の各特徴、メリット、デメリットを解説し、各業務に最適な契約形態の選び方についてご紹介します。
契約形態 | 概要 | メリット | デメリット |
固定価格契約 | 事前に決めた範囲の業務を固定の価格で遂行する契約です。 | 費用が予測しやすく、予算管理が容易 | スコープ外の作業が発生した場合、追加費用がかかってしまう場合も。 |
時間材料費契約 | 実際の作業時間や使用材料に基づいて費用が決定します。 | 柔軟な対応が可能で、プロジェクトの変更に対応しやすい。 | トータルコストが予測しにくく、予算超過のリスクがある。 |
成果報酬契約 | 目標達成や成果に基づいて報酬が決定されます。 | 成果に対するモチベーションが高まり、目標達成への努力を促進 | 成果の定義が難しく、期待と実際の成果のギャップが生じる可能性がある。 |
BPOサービスは、自社がコア業務に注力するために活用するアウトソーシングの一つです。外部委託することによって、自社課題の改善を図り、収益性を高めることが可能です。
サービス提供業者は多岐にわたり、それぞれの業者によって得意とする業務領域が異なります。
選定時には、自社が外部委託できる業務領域を洗い出しておくことが重要です。ここが甘いと、導入してから求めていたサービスとのズレを感じる要因になります。
本記事参考にしていただき、ぜひ自社に合ったBPO業者を見つけてください。
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