ビジネスソフトウェアリーダー企業がアクセラレータ!SAP.iO Foundry Tokyo DemoDayレポ

ビジネスソフトウェアリーダー企業がアクセラレータ!SAP.iO Foundry Tokyo DemoDayレポ

記事更新日: 2019/11/15

執筆: 大野琳華

10月30日(水)にSAP.iO Foundry Tokyo DemoDayが開催されました。

エンタープライズもしくはB2B向けのプロダクトを持つスタートアップ4社がプログラムに参加し、イベントに登壇しました。

SAP.iO Foundryとは

SAP.iO FoundryとはSAPによるアクセラレータプログラムです。

SAPが世界各国で展開するスタートアップ向けプログラム「SAP.iO 」のうちの一つであり、日本で7か国目となります。

2月に募集を開始したところ、53社ものスタートアップが応募

その中からSAPの事業戦略「Intelligent Enterprise」に沿ったプロダクトを持つ企業が選考され、12週間にわたるプログラムを受講しました。

SAP.iO Foundryの最大の特徴は、SAPの身の入れ方が半端じゃないこと

セッションを行うだけでなく、SAPの顧客に参加企業を紹介し、PoCにまで結び付けています。

これまで信頼関係を大事に築いてきた顧客に対し、他社を紹介するというのは大きな挑戦であると同時に、リスクをはらみます。

SAPの覚悟が伝わってきますね。

参加企業のプレゼン

今回のデモデイでは受講した4社が登壇しました。

1.ZENKIGEN

ZENKIGENは面接に焦点を当てています。

まだまだ課題も多い面接。企業の採用力を強化し、候補者も満足するためのプロダクト「ZIGAN」です。

面接の中で95%を占める非言語コミュニケーションを、AIを活用することで候補者にフィードバック。

候補者に最適な面接体験を提供します。

またweb面接プラットフォーム「HARUTAKA」も展開しています。

ZENKIGENではこうして集めたデータを活用し、今後は1on1などのミーティングにも事業を拡大していく予定です。

2.estie

東京のオフィス市場は世界最大だといわれています。

しかし今登場してきている不動産テックのほとんどは個人住宅向け。

オフィス市場はデータを利活用することができず、いまだにクローズドな領域でした。

そこでestieではオフィスを専門とした不動産探索プラットフォームを運営。

また機関投資家に向けたAIアナリティクスサービス「estie pro」にも力を入れています。

いずれも8,500ものオフィスに関するデータを生かしたプロダクトです。

今後は部署、業務ごとに連携できるプラットフォームを展開していくとのこと。

3.fuzed.link

企業がSNSをどう活用していくかがカギとなっている現代

そのためにはユーザーひとりひとりを理解し、その人に最適なコンテンツを提供することがベストです。

しかしセグメント分析ができず、単一のリンクへしか誘導してない企業が少なくありません。

fuzed.linkではそれぞれのユーザーの視聴数、クリック数などに基づいて、セグメントを分析

セグメントごとに適切なリンク先を提供します。

来年の3月から4月にかけて、長期契約の獲得を目指します。

4.INNOVIA

日本経済を牽引してきた製造業。

しかし従業員をそれぞれ管理するためには、Excelだと2000シートほど作成する必要があり、必要事項の記入も管理も大変なものでした。

INNOVIAでは「SKILL NOTE」を独自に開発。

従業員の保有資格や保有スキルなどを一元管理することができます。

これにより製造業のかなめともいえる品質管理を効率的かつ徹底的に行うことが可能です。

現在は2つのSAP製品とも連携。さらにプロダクトを便利にしていき、ものづくり産業をアップデートしていきます。

パネルディスカッション

今回のイベントではZENKIGENから野澤さん、estieから田中さん、fuzed.linkから小野さん、INNOVIAからは山川さんが登壇。

さらにパネルディスカッションを行いました。(以下、敬称略)

Q1.このプログラムを通して変わったことはありますか?

山川

理想に魂がこもるようになりました

 

これまでもビジョンとしてものづくり産業を変えるという大きなものを持っていたのですが、理想を語っているだけでした。

 

しかし、このプログラムに参加し、SAPの方々と連携することで、さまざまなグローバル企業と関わる機会が得られました。

 

そのおかげで、私たちもグローバルでやっていけるという確信が得られ、ビジョンを具体化できるようになったと感じます。

小野

弊社は若いチームなので、日本のエンタープライズセールスのプロセスを本当に学ばせていただきました。

 

だから変わったというよりも、成長したという思いの方が強いですね。

 

あとはどう成長していくかということだけでなく、SAPさんのような大企業とどうパートナーシップを組んでいくかということも考えるようになりました

Q2.プログラムで最も価値があったものは何ですか?

野澤

お二人の話に通じるところがあるのですが、世界で活躍するSAPのノウハウを惜しみなく出していただいたことですね。

 

毎回セッションが楽しみだったのですが、ノウハウを学ぶだけでなく、どうスタートアップで活用していくかということを考えることができました。

 

あとはサンフランシスコの企業に実際に訪問し「このようなアプローチは他にない」と言ってもらえたことは本当に自信になりました。

田中

僕もその時実際訪問したのですが、SAPの社員さんと一緒に伺ったので、最初から取締役の方にお会いし、議論することができました

 

少しずつステップを踏むことが一般的なスタートアップでは、まず無いことなのでとても感謝しています。

Q3.SAPとの連携をどのように活用しましたか?

山川

メンターの方や営業の方に、実際の商談に同行させていただきました

 

実際に我々のコンセプトがウケそうなお客様とお会いし、忌憚ない評価を受けることができました。

小野

INNOVIAと比べると我々のプロダクトは少しアーリーです。

 

そのためPoCをいきなりやろうというよりは、インテグレーションをどう進めるかということが課題でした。

 

その中でさまざまな方とお話をして、このプロダクトが一番フィットするインテグレーションの仕方は何だろうと本気で考えることができました。

Q4.プログラムで改善すべき点はありますか?

田中

ほんとにあっという間のプログラムでした。

 

私たちが相手にしている企業様は金融や不動産事業なので、社内調整にかなり時間がかかります。

 

次のアポをとろうとすると1か月後ということもありました。

 

その中でPoCをするとなると、3か月という期間は少し厳しかったという印象です。

Q5.これからどのようにビジネスを進めていきますか?

山川

製造業の未来を変えるビジネスをやっていくと改めて思っています。

 

これから進みそうな案件もあるので、SAPさんとも引き続き連携していきたいですね。

田中

不動産のデータプラットフォームを築いていくためにも、SAPさんといいパートナーとして今後も関わっていきたいです

小野

コンテンツをベースに人がどう考えているかを理解する、という面でテクノロジーにおいて最先端を行く企業を目指します。

 

また、長期契約に結び付きそうな企業が2件ほどありますので、きちんと結果を出していきたいですね。

野澤

構想が一気に完成までいけました。

 

このプログラムに参加し、まさに世界への切符を手に入れたと思っているので、まずはこのプロダクトを磨いていき、世界に通用するものにしていきたいです。

 

また現在、資金調達中なのでSAPさんからご出資いただけるということを期待しています(笑)

終わりに

SAPの本気度に筆者も圧倒されたデモイベントでした。

今回が初めてのプログラムだった、SAP.iO Foundry。

今後どのように進化していくのか、目が離せません‼

 

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