保育園の開業には資格は必要?収入やリスクは?保育園開業の基礎知識

保育園の開業には資格は必要?収入やリスクは?保育園開業の基礎知識

記事更新日: 2019/10/16

執筆: 編集部

2019年10月から保育料の無償化が始まりました。

保育料の負担は減っても、待機児童の数は年々増えています。保育料の負担が減ったことで近くの保育園に空きがなくなり、職場復帰を諦めてしまったという声も多くあります。少子化が問題になっていますが、保育園のニーズはこれから高まることが予想されます。

保育園の開業の際に起こる園児の確保の方法の問題や、保育の知識不足の解消方法ついて詳しく解説します。

保育園の種類

保育園の種類は大きくわけて2つあります。ひとつは「認可保育園」と呼ばれているものです。国の定める基準をクリアしていて、都道府県知事(政令指定都市の場合は、政令指定都市市長を含む)に認可されている児童福祉施設のことをいいます。

もうひとつは、「認定外保育園」です。こちらは、国の基準を満たしていないなどの理由で、都道府県知事の認可が下りていない保育園のことをいいます。

保育園には以下のような種類があります。

1. 認可保育園

認可保育園は、国が定めた基準を満たしていると認められた保育園のことをいいます。国の基準を満たしていることで国からの補助金を受けることができます。

ただし、認可を受けるための基準が厳しいため、最初から認可保育園として開業をめざしてしまうと、開業そのものが出来なくなってしまう可能性もあります。

2. 小規模認可保育園

2015年に子育て支援法が施行され、小規模保育施設として運営されていた保育施設が、小規模保育園として市町村の認可型事業として認められるようになりました。小規模認可保育園で受け入れができる対象年齢は0~2歳で、定員は6~19人までと決められています。

認可保育園を開業するためには準備が大変ですが、小規模認可保育園であれば半年くらいでの開業も可能です。

3. 認証保育所

認証保育所とは、東京都独自の基準によって設置された保育所のことです。都市部では延長時間のニーズが高いため、13時間以上の開所などが義務付けられています。

4. 認可外保育園

認可外保育園とは、国が定めた基準を満たしていないなどの理由で、都道府県知事の認可が下りていない保育園のことをいいます。これから保育園を開業する人の場合は、いきなり認可保育園を開業するよりも、認可外保育園から始めるほうが開業しやすいでしょう。

認可されていない保育園だから良くないということはなく、こだわりを持った保育園を作りたいと考えている人は、あえて認可外保育園の開業を目指す人もいます。

保育園の開業に必要な資格や要件とは?

保育園を開業するために必要な資格や、整えなければいけない要件についてご紹介します。

保育園を開業するための資格

保育園を開業するために、特に必要な資格はありません。

ただし、公立の保育園の園長を目指す場合は、保育士資格を取得後、数年から十数年の保育経験を経て、キャリアアップ研修や昇格試験を受ける必要があるため、必然的に保育士資格を取得する必要があります。

私立の場合は園長になるための条件として保育士資格は必須ではないので、保育士資格がなくても園長になることが可能です。

しかし、園長は保育園の最高責任者という立場なので、保育の知識や経験があることが望ましいといえます。

保育を担当する職員や給食の栄養を担当する職員を採用する際は、保育士や栄養士などの資格所有者を採用する必要があります。

保育園を開業するための要件

認可保育園を開業するための要件は、主に以下のようなものがあります。

ただし、開業する保育園の種類によって必要な要件が異なりますので、開業する保育園の種類に合った要件を満たすことが必要です。


参考:厚生労働省 保育所設備の運営基準

認可保育園と認可外保育園の違い

認可保育園と認可外の保育園の違いは、保育園の種類の項目でもご紹介したとおり施設の設備や職員の人数などが国の基準を満たしていて、都道府県知事(政令指定都市の場合は、政令指定都市市長を含む)に認可されている児童福祉施設のことをいいます。

それに対して、認可外保育園は国の基準を満たしていないなどの理由で、認可が下りていない保育園のことをいいます。

それ以外にも認可保育園と認可外保育園では、補助金や要件の違い、保育料や運営費にも違いがあります。

1. 認可保育園と認可外保育園の補助金の違い

認可保育園の場合は、国の定めた基準を満たしているため、国や自治体から補助金を受け取ることができます。

国からの補助金は、公立保育園と私立保育園向けの2種類があり、公立の場合は運営費のほとんどを補助金によって賄うことができます。補助金の金額は、自治体や園児の年齢、人数によって異なります。

また、施設の定員数や職員の勤続年数などの条件により具体的な補助金の金額は運営する保育園によって異なるため、正確な金額を知りたい場合は各自治体に確認が必要です。

東京都にある認可保育園の補助金額の例

(職員の平均年数が10年以上、園児の1人あたりの補助金額)

0歳児 210,000円
1歳児 135,000円
2歳児 135,000円
3歳児 78,000円
4歳児 69,000円
5歳児 69,000円

認可外保育園の場合は、基本的に国や自治体から運営費の補助を受けることはできません。

ただし、自治体によっては園児の健康を守る目的から、職員の健康診断の経費など認可外保育園に対して補助金を出しているところもあります。

船橋市では、認可外保育施設職員健康診断費補助金 として1人あたり4,200円を上限に、健康診断を受けた職員分の金額について補助を受けることができます。(ただし、1日6時間以上、20日以上の勤務があり、雇用期間が6ヶ月を超えた職員に限る)

2. 認可保育園と認可外保育園の要件の違い

認可保育園を開業する場合、保育園の開業の要件の項目でご紹介したような各都道府県ごとに定められている要件を満たす必要があります。

例えば、東京都の場合、2歳児未満の乳児室は3.3㎡/人、調理室は外部に委託しない場合は調理室を設置する必要があるといった要件があります。

一方、認可外保育園の場合は認可保育園のように2歳未満を預かる乳児室の面積といった要件を満たしていなくても開業することが可能です。

ただし、6人以上の子どもを預かる保育施設を運営する場合は、施設名、住所、施設管理者名などを都道府県に届け出をする必要があります。

3. 認可保育園と認可外保育園の保育料・運営費の違い

認可保育園の場合は、国または自治体から保育園の運営費や設備費、職員の給料などの補助金が出ます。したがって、保育園運営において補助金が大きな部分を占めています。

また、保護者が支払う保育料も保護者の所得によって決まるため、同じ条件で保育園に通っている園児であっても保育料が異なります。

認可外保育園の場合は、基本的に国や自治体からの保育料や運営費の補助はありません。

認可保育園に入園する場合は、自治体から子どもたちが振り分けられますが、認可外保育園の場合は入園を希望する保護者が保育園に直接申し込みをします。

さらに、補助金がありませんので、保育園の運営に必要な費用は保護者からの保育料が大きな割合を占めることになります。

認可保育園を設立するには?

ここでは、認可保育園を開業する方法についてご紹介します。

1. 事業計画を立てる

保育園を開業する場合に必要なことは、まずどんな保育園を開業したいのか事業プランを立てましょう。

保育に従事した経験者であれば、保育に必要なことやどんな保育をしていきたいのかを考えることができますが、保育経験がない場合は、保育の知識がないため事業計画をひとりで考えることは困難です。

その場合、フランチャイズに加盟するか、コンサルタント会社を利用するといった方法が有効です。

2. 開業のための初期費用や運転資金を確保する

事業計画に見合う初期費用や運転資金を確保しましょう。

認可外保育園であれば、大きな施設を準備する必要はないケースもあります。

しかし認可保育園の開業をめざす場合は、園の設備や職員の人数などの国が定める基準をクリアする必要があるため、開業に必要な初期費用や運転資金を確保しなければなりません。

園児20名ほどの保育園を想定した場合、500万円+人件費分の資金の確保が望ましいといわれています。

3. 保育園を開業するための場所を確保する

保育園を開業するための場所を確保しましょう。

保育園は大切なお子さんをお預かりする場所です。施設の設備だけではなく、周辺の環境にも配慮し、実際に歩いて周りの環境や安全を確認した上で場所を決めると良いでしょう。

4. 認可を受けるために必要な要件をすべてを確認する

保育園の認可を受けるためには、多くの要件を満たすことが必要です。見落としがないように認可に必要な要件を必ず確認しておきましょう。

5. 国が定める要件に合うように施設を整備する

保育室、給食室、園庭など認可保育園として開業するためには、必ず設置しなければいけない設備や広さが定められています。

保育園の開業予定場所の施設が、国が定める要件に合うように整備することが必要です。

国が定めている認可保育園の都道府県別の要件は、厚生労働省のホームページより確認することができます。

厚生労働省ホームページ 保育所の設備及び運営に関する基準の条例制定状況及び運用状況等(都道府県)

保育園を開業したあとに注意しなければいけないこととは?

1. 園児を確保する方法を準備する

認可保育園の運営を予定している場合は、保護者が住んでいる自治体の保育課に入園の申し込みをし、自治体が各認定保育園に園児を振り分けるので、一定の人数を確保することが可能です。

しかし、認可外保育園の運営を予定している場合は、すぐに入園希望者が集まらない可能性があります。

事前にホームページやSNSを使って宣伝をしたり、体験入園などで実際の保育園の様子を知ってもらうための宣伝活動が大切です。

宣伝活動には、他にも以下のような方法があります。

  • 人が集まる場所でのチラシ配り
  • 保育園に入園しそうな家庭が多いエリアでのポスティング
  • 地域のフリーペーパーなどに広告を掲載する
  • 小さなお子さんがいる家庭にメール便やDM(ダイレクトメール)の送付

DMによる反応率は、1%あれば成功と言われています。ポスティングやDM発送は費用対効果を考えて、お子さんが多い地域をしっかりリサーチしてから行うことが大切です。

2. 職員が働きやすい環境を整える

保育園を開業する場合、園児を確保できなければ健全な経営をすることはできませんが、健全な経営をするためには、職員が働きやすい環境を整えることも大切です。

良い保育士や職員の確保は、良い保育につながります。良い保育を提供できれば、保護者の口コミなどで園の評判があがることにつながります。

ビジネスで大切なことは、「ヒト」「モノ」「カネ」と言われています。

経営にはお金はもちろん大切ですが、職員が働きやすい環境を整え、良い人材に長く働いてもらうことが保育園の経営の安定につながります。

まとめ

少子化が問題になっていますが、保育園の入園を希望しても入園することができないいわゆる待機児童の数は、都市部ほど深刻な問題になっています。

また、保育士は仕事が大変なのにも関わらず安い給料で働いている人が多いなど、職場や就業条件などの面でも課題が多い業界です。

とはいえ、保育園の開業は、収益を上げて利益を得るだけではなく、社会福祉にも大きな貢献をすることができます。

保育の仕事をしたい、本気で待機児童の問題に向き合ってみたいという人は、最初の一歩を踏み出してみませんか。

画像出典元:Burst、O-DAN

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