介護タクシーは公的な介護サポート事業として、政府の支援を受けることのできるタクシー業務ですが、2019年度の現時点で、事業者が不足しています。
「介護タクシー」とは、自宅のベッドから病院のベッドまで、要介護者が「介護サービス」を受けながら移動し、「介護保険」が適用できるサービスです。
高齢化社会を迎え、通院も含めて利用希望者が増え、同居している家族の負担が軽減できると需要が伸びています。
介護タクシーを開業するために必要な資格や要件、資金や許可申請などの開業の流れを徹底解説します。
このページの目次
普通のタクシーの運転手は、タクシー利用者の自宅に上がって、要介護の人の乗降車を手伝うことはできません。
介護の必要な要介護者や、身体に障害のある人を送迎するには、介護の資格が必要です。
まず、介護タクシーとは、どのようなタクシーなのかについて、理解しておきましょう。
一般的に「介護タクシー」と呼ばれているものには、ヘルパータクシー、介護タクシー、福祉タクシーがあります。
介護施設や介護事業所のディサービスでは、利用者を自宅と施設の間で、車で送迎する必要があります。
ヘルパータクシーとは、ホームヘルパー2級以上の資格があれば、業務用の2種免許がなくても、介護の必要な人を送迎できるようにしたものです。
ドライバーは、ケア輸送サービスについての研修を受けることが義務づけられています。
介護タクシーは、訪問介護の一種で、正式には「通院等乗降介助」と言います。
高齢者や身障者を、車椅子でも乗降できる、リフト機能のついた車両で送迎するタクシーです。
介護タクシーのドライバーは、自動車二種免許や介護職員初任者研修の資格が必要です。
通院だけでなく、広く一般的な利用目的で、介護の必要な人を移送するものを、福祉タクシーと呼びます。
全国の多くの市町村では、高齢者や身障者の外出時のタクシー利用を補助するために、市町村が料金の一部を負担する制度を導入しています。
福祉タクシーは、要介護者に認定されていない人でも利用できる、補助金制度のあるタクシー業務です。
介護タクシーは、訪問介護の一種で、通院等の外出の際に目的地への移動だけではなく、降車後の移動や受診の手伝いも行うサービスです。
介護タクシーのドライバーは、2種免許や介護資格が必要で、車両も車椅子の乗降に対応するなど、業務を行う上で多くの制約があります。
開業に際しては、運輸局への許可申請や運賃認可が必要で、法令試験にも合格し、許可から6か月以内に営業を開始して「運輸開始届」を提出します。
一般に、介護保険を利用する通院者に送迎を提供するものを介護タクシーと呼んでいますが、保険対象でない人でも利用できます。
介護タクシーは要介護者の通院等の乗降介助を行うことに対し、福祉タクシーは広く高齢者や障害者にサービスを提供します。
市町村によっては、障害者に「福祉タクシー利用券」を発行したり、一割の割引制度を設けているところがあります。
福祉タクシーの正式な呼び名は「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送営業限定)」といい、「国土交通省の運送事業」の管轄です。
介護タクシーは、要介護者の通院介助が主な目的で、「厚生労働省の介護保険事業」の管轄となります。
両者は、サービスを提供する対象者が異なること、行政の管轄機関が異なることが根本的な違いです。
介護タクシーは、個人・法人が比較的に低資本で、車両1台から始められるビジネスとして人気ですが、資格や免許の取得が必要です。
免許申請の際には、人的・設備的要件をクリアし、資金を確保しなければなりません。
開業するには、まず、これらの開業要件が、実現可能かについて調べておきましょう。
運転免許には、一種免許と二種免許があり、タクシーなどのお客様を乗せるには、「第二種運転免許」の取得が必要です。
二種免許は、教習所に通えば約1ヶ月で、20万円程度の費用で取得できますが、運転技術のある人は通学しなくても、飛び入り試験も受験できます。
ケアドライバーを名乗るには、介護職員初任者研修の資格が必要です。
介護職員初任者研修は、2013年まで「ホームヘルパー2級」と呼ばれていた資格です。
福祉関係の資格には、以前は、介護福祉士、訪問介護員、居宅介護従業者、ケア輸送サービス従業者研修がありました。
しかし、2017年の法改正で、「介護福祉士」と「介護職員初任者研修」の2つになりました。
「介護福祉士」は、福祉系の高校や専門学校で学び、実習と年に1度の国家試験に合格することが必要です。
しかし、「介護職員初任者研修」は、約1ヶ月におよぶ130時間(10項目)の研修で資格が取得できます。
専門学校では、夜間や土日コースもあり、上限40.5時間分までは通信教育で学習できます。
介護タクシー事業を運営するには、下記の要件を満たす必要があります。
介護タクシーの営業所の設置要件 |
・営業所となる物件は、自己所有でも賃貸でもよい |
車庫の設置要件 |
・車庫の設置条件 |
運行管理者の選任 |
車両5台以上の営業所は、「運行管理者」の有資格者を1名選任することが必要 |
安全な介護タクシー業務のための管理業務内容・運転者の乗務割の作成 |
開業に必要な資金は、車両取得費用と約2か月分の運転資金です。
概算例ですが、軽自動車の場合は約200万円、普通自動車ならば約300万円の自己資金の準備が必要です。
資金計画では、国からの補助金や銀行借入れなども検討してみましょう。
開業するまでには、各種試験の合否もあり、少なくとも3~4か月以上が必要です。
資金を確保し、人的・設備的要件を整え、運行管理者を決めたら、次に、各種申請手続きの準備をします。
運輸局へ許可申請や運賃の認可申請をし、法令試験に合格して許可証を受領したら、車両を購入します。
許可後6か月以内に営業を開始し、速やかに運輸開始届を出します。
地域によって審査期間は異なりますが、下記のようなシミュレーションを立てて、開業準備を始めるのがおすすめです。
開業までのシミュレーション | |
1月中 | 陸運支局へ申請書を提出 |
2月中 | 法令試験を受験 |
3月中 | 許可書の交付を受ける |
4月中 | 運賃認可の交付を受ける |
5月始め | 介護タクシー業務を開始 |
介護タクシーの業務を行うには、運輸局へ、介護タクシーの許可申請と運賃の認可申請が必要です。
許可申請を提出するときに、車両見積書が必要になるため、車両の選定を行います。
運輸支局は平日に随時受付していますので、月末までに受付されると、翌月の法令試験をスムーズに受験することができます。
運賃の認可を受けるために、地域の介護タクシーの運賃相場を調べて、妥当な料金を設定して申請します。
運賃設定には、ケア運賃・介護運賃・民間救急運賃・寝台車運賃の4種類があります。
「介護運賃」は、訪問介護サービスで、要介護者の輸送を行うもので、介護事業者の指定書が必要です。
「民間救急運賃」は、消防局と連携して患者の輸送を行い、民間救急の認定書が必要です。
申請においては、「運行管理者・整備管理者の選任届」や「指導主任者の選任届」が必要です。
法令試験を受けて、合格しなければなりません。
試験は40分間30問の、○X形式問題で、合格基準は8割以上の正解です。
ちなみに、運送六法を持ち込むことができます。
法令試験に合格し、提出書類に不備が無ければ、申請日から約2〜3ヶ月程度で、管轄の運輸支局から許可証・認可書が交付されます。
管轄の運輸支局で許可証を受領する際には、運輸局の運行説明があります。
また、交付時に、3万円の「登録免許税納付書」を渡されますので、最寄りの金融機関から遅滞なく納税します。
各運輸局の申請に際して、自己資金が十分あることを示す、預金口座の残高証明書の提出が必要です。
そのため、福祉自動車は、許可書交付後に購入するのがおすすめです。
車両は、新車・中古車を、一括購入・分割購入・リース契約で準備します。
ちなみに、福祉自動車とは、車いすやストレッチャーのためのリフトやスロープなどの設備を備えた自動車のことです。
自動車の購入時には、営業ナンバーの取得や、タクシーメーターの取り付けも必要です。
車両が納車されたら、車両の検査・登録を行い、必要に応じて、事業用車両の緑ナンバーへの変更も必要です。
車両の名義上の所有者は、個人ではなく事業者でなければならず、任意保険・賠償責任保険の加入も事業者名義で行いましょう。
サービスを開始し、最後の手続きになる「運輸開始届」を、許可日の6か月以内に提出します。
提出書類には、写真や証明書の写しなどの添付書類が必要となります。
・登録番号が確認できる、自動車の前後左右の日付入り写真
・営業所、車庫、休憩睡眠施設の写真
・自動車任意保険の加入証と自動車検査証の写し
・従業員10名以上は、就業規則・労働保険関係成立届・年金保険届けの写し
法人の場合は、社会保険に加入し、ドライバーや運行管理者の保険加入手続きを行います。
介護タクシーは、独立・開業をしても集客に困らず、売り上げを確実に確保できるのが大きな魅力です。
通常の新規ビジネスでは、チラシをポスト投函したり、地域紙に広告を出したり、営業回りをして集客することが必要です。
しかし、介護タクシーは、病院や公共施設と連携し、仕事を受けることができるほか、行政からのサポートも受けることができます。
介護タクシーで成功している約9割の事業者が、他業種からの転職者で、福祉やタクシー業務を初めて経験する人が多いのが特徴です。
介護の基礎知識を学び、車椅子で人を運ぶ技術や介護車両の使い方を習得して、比較的短期間で開業しています。
必要なステップを踏んで申請許可を受ければ、年齢や性別に関係なく長く続けられる仕事です。
保険負担されている売上金の回収は、要介護者へのサービスの提供として、介護給付費を「国保連(公的機関)」へ請求をするかたちで行います。
確かなサービスを提供すれば、利用者が固定客も増え、広告費などの経費もかかりません。
法人化してスタッフを増やし、事業を拡大して、将来的には人材管理や経営に専念することも可能です。
集客に困ることなく、安定した売り上げが確保できる、将来的にビジネスを大きくして行けることが、介護タクシーで開業する大きな魅力となっています。
介護タクシーは、要介護者に通院や移動の手段を提供するタクシーで、公的な介護サポート事業として国の支援を受けることができます。
介護タクシーを開業するのには、第二種運転免許や介護職員初任者研修の資格が必要で、5台以上の車両で営業する場合は、運行管理者の選任が必要となります。
車庫を備えた営業所や、車いすやストレッチャーのためのリフトやスロープ設備の付いた車両も必要です。
運輸局への申請や運賃の認可、法令試験の合格や運輸開始届が必要で、多くの書類作成や審査があるため、開業までには少なくとも3、4カ月の準備期間がかかります。
開業すれば、病院や行政と連携して要介護者の送迎サービスが行えるため、一般の事業の開業よりも、集客や売上代金の回収が速やかに行え、比較的安定した運営が可能です。
介護タクシーは、現在、事業者数が足りていないため、近年、新規事業の開業として最も注目されている分野の一つです。
画像出典元:O-DAN
電話ひとつで儲かる?便利屋を開業するためのポイントを解説【完全マニュアル】
脱毛サロンは個人の方が儲かる?!開業する手順や費用を解説
自宅サロン開業の最低予算は?失敗例と3つのメリット・デメリットも紹介!
エステサロンを開業する5つの手順!必要な資格や費用を解説
フランチャイズ経営おすすめの業種11選!成功の秘訣も紹介
コインランドリー開業はいくら必要?出費の抑え方&フランチャイズも
セレクトショップ開業手順は?オンラインと店舗の違いも紹介
【たこ焼き屋開業の為の完全マニュアル】資金は?ぶっちゃけ儲かる?
【完全版】イチからわかる整骨院の開業方法と必要資金
【英語教室開業のための完全マニュアル】資格は必要?開業費用は?