会社設立で代行業者は利用すべき?0円代行は本当にお得か徹底解説

会社設立で代行業者は利用すべき?0円代行は本当にお得か徹底解説

記事更新日: 2023/09/24

執筆: 編集部

会社設立の準備では、起業家がやるべきことがたくさんあります。

数多ある業務のなかで、外注できる部分があるなら代行業者などを上手く利用するほうが時間や労力を確保できるでしょう。

なかでも0円で会社設立にかかわる業務を代行してくれる業者は、委託費用が抑えられると注目されています。しかし、なぜ0円で会社設立を代行してくれるのか不思議ですよね?

起業家は代行業者を利用すべきなのでしょうか。また、0円代行業者の利用は、本当にお得なのでしょうか。

会社設立代行業者を利用するうえでのメリット・デメリットと合わせて解説していきます。

なぜ設立代行業者は0円で代行できるのか

会社設立代行業者には、「0円で代行します」と謳っているところも多くあります。起業家にとって資金は大切なもの。できるだけ節約したいと考えるのも当然です。

ですが、0円で会社設立にかかる手続きを代行して、なぜ業者として成り立つのか不思議に思われる方も多いのではないでしょうか。それを解説する前に、まず会社設立にかかる費用から見ていきましょう。

会社設立でかかる費用の内訳

会社を設立するには、定められた金額を納める必要があります。その金額は、株式会社と合同会社で異なります。


設立にかかる費用には、株式会社と合同会社で多少異なる部分・金額がありますが、おおよそ上図に挙げた内容が一般的なものとなります。

なぜ0円で代行できるのか

0円で代行といっても、会社設立にともなう費用の全額が無料になるわけではありません。

上図に挙げた費用は、代行会社を利用しても法務局に支払うべき金額として決まっています。0円代行というのは、あくまでも代行にともなう手数料が無料になるだけです。

手数料を取らずに事業が成り立つのかと思ってしまいますが、そこは代行業者特有のカラクリがあるのです。

本来、会社設立のような登記に関わる手続きを代理で行えるのは、司法書士のみと定められています。

ところが、手数料0円で代行する業者のほとんどは、税理士会計事務所や会計ソフト販売業者、インターネット回線業者など、およそ登記とは関連のなさそうな業者ばかりです。

しかし設立後には、節税対策などで税理士と顧問契約を結ぶ会社もあれば、経理業務の簡略化のために会計ソフトを導入する会社もあります。

また、今はほとんどの会社がインターネット利用をしていますから、インターネット回線業者と契約を結ぶことも珍しくありません。

司法書士ではない代行業者の多くは、無料で代行を買って出ることによって顧客リストを集めているのです。さらに、大半の0円代行業者は、本業との契約をセットにしていることが多いものです。

本業の事業と契約をしてくれれば、代行費用を徴収できなくても収益が見込めます。その結果、0円で代行がおこなえるというのがカラクリの中身なのです。

会社設立で代行を依頼できる範囲


会社設立前には、定款の作成から法務局での登記手続きまで、段階を踏んであらゆる手続きをおこなうことになります。

登記にかかわる業務は司法書士の専門業務ですから、0円代行業者ができるのは定款の作成や認証・登記手続きに必要な書類を作成するまでとなります。これは、同じ士業に属する税理士などにもいえることです。

法務職と呼ばれる士業であっても、それぞれの業種で対応できる範囲が異なります。

唯一全ての業務をカバーできるのは、弁護士だけです。しかし通常は、会社設立に弁護士が関わることはありません。

設立後の手続きでは、弁護士以外のそれぞれの専門家の力を借りることになるのが一般的です。

会社設立する専門家と代行業者の違い

会社設立において代行業者が必ずしも専門家であるとはいえません。では、専門家とはどのような立場の人をいうのでしょうか。

会社設立を代行する専門家と設立行業者

会社設立を代行してくれる専門家とは、司法書士を含めた士業のことを指しています。なかでも、司法書士は会社設立を含めた登記業務の専門家です。

会社の事業内容によっては、司法書士だけでは対応できないものもあります。その場合は、別の士業に依頼することになります。

士業でくくられる専門家は、それぞれに役割が異なっています。依頼する際には、その専門家が何に適しているのかを知っておくと、誰に相談すればいいのかがわかりやすくなります。

たとえば、外国人労働者を雇用するには、就労ビザが必要です。この場合、登記は司法書士、ビザ申請は行政書士に依頼するのが適切です。

ところが、それぞれの業務を別々の専門家に委託すると、それだけコストも大きくなってしまいます。

設立代行業者には、上図で紹介した士業を含め、いろいろなジャンルの業者がいます。業者によっては、士業と連携を取って代行業務を請け負っているところもあります。

どんな士業と連携しているのかによって、依頼できる範囲も変わってきます。

設立代行業者のメリット・デメリット

設立代行業者を選ぶ際には、一律に何が良い・悪いを判断するのはナンセンスです。というのも、起業家それぞれで抱えている背景が異なるからです。

もしも、設立代行業者を使わずに、自分で会社設立の手続きをした場合と合わせて、自分はどれに当てはまるのかを考えてみてください。

会社にとって税制や融資は、特に神経を使うところです。0円代行業者にはさまざまな業者がいますので、利用をするなら税制や補助金に強い設立代行業者がおすすめです。

設立後からすぐに経理や税務関連のアドバイスを得られますし、募集期間が決まっている補助金や自治体ごとに異なる助成金を知っていれば融資にも困りません。

こうした能力の高い人材を雇い入れるとなると、求人をかけたり、選別に時間を割いたり、雇用後の人件費などさまざまな費用がかかります。

これらを踏まえて考えると、税理士などの専門家と顧問契約を結び、都度相談できる状況を作るほうおが、結果的にコストも抑えられでしょう。

ピッタリの設立代行業者を選ぶ4つのポイント

0円代行業者を選ぶなら、次のポイントを押さえた業者を探しましょう。以下に挙げた内容は、悪質な業者と優良な業者を見極めるポイントにもなっています。

1. 代行範囲

代行を依頼するにしても、起業家によって対応して欲しい範囲や対象が違います。

自社ではどんなサポート・代行を望んでいるのかを予め明確にしておくことが、適切な代行業者選びに繋がります。

そのうえで、以下のポイントで自社に合う業者を見極めましょう。

  • サポートをしてほしいのか? 代理で代行してほしいのか?
  • 不安な部分をサポート、または代行をしてくれるのか?
  • 代行範囲はどこまで対応してくれるのか?

代理で設立手続きができるのは司法書士だけですから、代理かサポートかの選択で、まず業者をふるいにかけることになります。

定款や登記書類の作成を手伝ってもらうだけでいい、法務局に提出するのは起業家自身でするというのであれば、サポートだけでも十分でしょう。

代行している範囲は業者によって異なりますので、自社が望む範囲をカバーしている業者を選ぶようにましょう。

2. 代行費用

代行業者のなかには、悪質なケースもあります。

優良な業者と判別するためにも、次のポイントで業者を見極めるようにしましょう。

  • 後から追加料金が発生しないか?
  • 別の有料契約がないかどうか?
  • 契約期間が適切か?
  • 途中解約は可能か?
  • 途中解約で高額な違約金が発生しないか?

契約内容によっては、最低2年は解約できない、電子定款作成サービスは追加料金といったものもあります。

さらには宣伝内容と実際の契約内容が違っていることもあるため、どのような契約内容になっているのか、条件面も注意を払ってしっかりとチェックしましょう。

加えて費用面で、チェックしておくべきポイントがあります。必ず複数の他社と比較をしたうえで、次のポイントを確認しておきましょう。

・費用が安い理由は何か?
・条件面がどう違うのか?

代行業者によって、条件がそれぞれ異なります。

費用が安い理由に、提携の士業との契約がある、別の事業での契約が必須となっているなど、違いをよく確認してください。

3. 電子定款への対応

代行業者を利用する場合、電子定款への対応があるかどうかも確認しておきましょう。

電子定款で登記すれば、設立にかかる費用が少しでも抑えられます。電子定款には印紙を貼る箇所がないため、収入印紙代が不要になるからです。

定款を紙・電子のどちらで作成するかは、起業家の自由です。代行業者を利用するなら、コスト削減が狙える電子定款で対応してもらえるところを選びましょう。

もし起業家が電子定款を自らで作るとなると、紙の定款を用意するよりもコスト・時間・労力がかかります。


起業家が電子定款を作るには、電子証明書やパソコンソフトなど、さまざまなものを用意しなければなりません。

もしもパソコンを持っていなければ、それも用意する必要があります。そうなると、かかるコストはさらに大きくなります。

また、会社設立にともなう他の作業と並行して、何度も役所に足を運んだり、慣れない電子定款づくりをおこなったりと、より作業を煩雑化させてしまうことにもなります。

設立準備は、慣れない作業の繰り返しですから、少しの作業の遅れが設立を遅らせてしまう原因になってしまいます。

しかし、代行業者には電子定款を作るための設備が整っています。それらを利用することにより、定款そのものを作る労力と時間をお金で買うことができるのです。

4. 顧問契約の有無

設立後に税理士との顧問契約を検討しているのであれば、設立代行業務を請け負っている税理士会計事務所と契約をするのがおすすめです。

この場合も、業者ごとに顧問料が異なります。他社比較をして、必ず顧問料も確認しておきましょう。

税理士を選ぶ際も、対応範囲を確認しておくことをおすすめします。税理士によっては一般的な税務しか対応していないこともあり、相続税や不動産取得税といった法人事業に関連する部分の対応に慣れていない税理士もいます。

おすすめの設立代行業者3選

代行業者はそれぞれに、さまざまなバックボーンを持っています。おすすめの代行業者をピックアップしてみましたので、参考にしてみてください。

1. 会計設立専門 会社格安センター


画像出典元:会計設立専門 会社格安センター 公式HP
 


会社設立を専門とするサポート会社です。

税理士との契約もなく、追加費用もかかりません。2万件を超える実績があるため、ノウハウも信頼できます。

設立後もアフターフォローを無料で受けられます。そのなかには、節税や経営に関するアドバイスも含まれており、多方面のサポートが期待できます。

 

2. Archer Consulting Group


画像出典元:Archer Consulting Group 公式HP
 


法人向け総合コンサルティング会社がおこなっている代行事業です。

代行手数料0円で会社設立のサポートが受けられます。グループ会社には会計事務所や行政書士事務所もあり、助成金利用で活躍する社労士も所属しており、会社設立後のサポート体制も万全です。

顧問契約が不要な場合には顧問契約を結ばなくていいという自由さもあります。

 

3. 会社設立完全代行ネットテラス『みなづき法務事務所』


画像出典元:会社設立完全代行ネットテラス『みなづき法務事務所』公式HP


司法書士と行政書士、2種の士業による法務事務所です。

登記業務の専門家が対応してくれるので、代理での登記手続きまで依頼できます。

しかも、司法書士にのみ許されているオンライン登記を電子定款でおこなえば、手続きにかかる費用も格安に抑えられる強みもあります。

全国対応もしているため、所在地に関係なく依頼できます。

 

4.会社設立freeeの「登記お任せプラン」

クラウド会計ソフトとして有名なfreeeも登記代行サービスを提供しています。

会社設立freeeの「登記お任せプラン」は、提携している司法書士法人に書類作成から役場や法務局への手続きまで、全て依頼することができます。

手数料は30,000円と、一般的な登記代行業者の相場50,000〜100,000円程度と比較して、安価な価格設定であることも特徴です。

※登記お任せプランは、会社設立freeeに無料登録いただいた後に、オプションとして選択していただけるようになっています。

まとめ

会社設立にともなう手続きは、会社法の知識が必要です。中途半端な知識で登記をおこなえば項目漏れなどで、法人税を余計に支払うことになるなど、その後の経営にも支障を来します。

それらを避けるには、知識のある設立代行業者を利用することがベストでしょう。顧問契約までは考えていないという起業家でも、顧問契約なしを選択できる代行業者であれば、安心ではないでしょうか。

多忙を極める会社設立時は、時間と労力も惜しいものです。上手く代行業者を利用して、スムーズな設立を目指しましょう。

画像出典元:PEXELS

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